ざまぁにはざまぁでお返し致します ~ラスボス王子はヒロインたちと悪役令嬢にざまぁしたいと思います~

陸奥 霧風

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第132話 嫌われ者

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僕は再び頭を上げ、語り始める。

「アイスキー、ユリアラ聞いてくれ。やっとアイツらヒロイン共に意趣返し出来る究極魔法が完成したよ。『どんな魔法かって?』それは、発動してからのお楽しみだ。アイスキーだって、ユリアラと二人でアイツらヒロイン共の悪行を散々見てきただろ。そのお返しだよ。別に社会の底辺に落としてやるとか、そこまで酷い事はしないさ。アイツヒロインらのアワワな顔を見たいだけさ。まぁ、日本に帰ったアイツヒロインらの顔なんて、こっちの世界からじゃあ見れないのが非常に残念なんだよなぁ~」

アイスキー達との語らいに、一拍の間を置いて、再び語り始めた。

アイツヒロインらを日本へ送り出す。その意味を考えると心がいたたまれない気持ちになるんだ。日本に送り出すんだ。って、きれいごとを言っても結局は単なる人殺しだよ。親しい人達をまた手に掛けなければならないなんて、この世界は何処までも不条理だよな。ハァ~ まったく」

大きなタメ息を吐き、

「安心してくれ。言った手前、責務だけはしっかり果たすから。『大丈夫か?』って、アイスキー。お前、僕のこと心配をしてくれるのか? わかってるよ。やるべき事はやる。これが僕の矜持だからね。それとアイツヒロインらにはざまぁをしてやらないと気がすまいからな。まあ、二人で見ててくれよ。僕がどんなざまぁをするかを…… じゃあ、そろそろ僕は帰るよ。全部終わったら報告にまた来るよ。それじゃあ、またな」

今は何も答えない二人に別れを告げ、宿屋へ向かった。

本当に誰かが、僕の独り言を聞いていたら、恥ずかしくて悶絶しまう。いや、悶絶どころの話じゃないな。僕の半径100m以内には誰も近寄っては来ないだろう。それも違うな。近寄れないではなくて、入れないのだろう。どこらかどう見ても変質者ヘンタイには変わりはないのだから……

まあ、いいさ。僕には孤独ボッチがお似合いなのさ。至高の孤独テラボッチが似合いすぎて、自分自身に生類憐みの令アレク保護法を交付したい。



―― Xデー前日の真夜中。

『コン コン』

寝ていた僕を強制的に起こすように、ドアをノックの音が鳴り響く。

「――誰? 女将さん? どうしたの? 朝食の時間にはまだ早いと思うんだけど? 今、午前1時だよ」


「……………………」


僕の問い掛けに返事が返って来ない。いくら僕が至高の孤独テラボッチが似合うからといって、ガン無視するのはさすがの僕でも心が傷付くぞ。

「女将さん? 何か用でもあるの?」

「……………………」


――これはおかしいぞ。僕はそこまでみんなに嫌われていない! 


僕がこの宿屋に居ることは誰も知らないはず。まさか、旧グランプロス帝国の残党が僕を暗殺するためにやって来たのか!?

暗殺者ごときにられる僕じゃないが一応の対策として

鉄壁の守りシールド!」

僕は防御強化魔法を唱えて万全を期した。そして戦闘モードに構え、もう一度声を掛けた。

「誰だ! 僕に何か用か!」

「……………………」

僕の問い掛けに再度、返事は帰って来なかった。そこまで僕は嫌われていたのか……

ベッドから起き上がり、ドアに近付く。


――敵認定確定! さあ、来い! いつでもブッ殺ろしてる! 大事な事なので二回言わないと気がすまない……
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