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第134話 天才軍師様の完璧すぎる謀略
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「じゃあ、ルナールからは……」
『ゴクリ』
なんなんだ? この溜めは……
「『楽しかった! まさかプリストの世界を実際に楽しめるとは思ってもみなかった。悪役公爵令嬢だったけど、それでも悪役令嬢にならずにすんで良かった。アレク様をはじめ、みんなと仲良くなれて良かった。今までの記憶が無くなるのは悲しいけど。私、日本でも頑張るからね。それで絶対にプリストクリアしてみせるわ。アレク様ありがとう!』って言ってたわよ」
「そうか。ルナールらしいなぁ。ガチの悪役ストーカー令嬢だけどな」
僕がしみじみしていると、
「それに関しては否定できないわ…… 次はマリアね」
「うん」
「『メインヒロインのマリアに生まれ変わって、アレク様を攻略出来なかったけど、ゲーム以上の体験出来たから大満足! 日本に帰ったら絶対にアレク様を攻略してみせるからね。待っててね。アレク様、本当にありがとうね。バイバイ』って、マリアらしいわね」
「そうだな。初めに会ったときは高速タックルだったからなぁ~」
「そうだったの? やっぱり、あの娘は考えなしなんだから。次はフローラね」
「フローラは何とか言ってたんだい?」
「『アレク様。本当に楽しかった。まさか自分がプリストのヒロインになって、貴族の体験まで出来るとは考えもしなかったわ。神様からのご褒美だったのかしら。日本に帰ったらみんなとは離れ離れになっちゃうけど…… 仕方ないよね。みんなと離れるのは淋しいわ。でも、私頑張るからね。アレク様、楽しい思い出をありがとう。追伸 アレク様、無茶はほどほどに』だって、私もみんなと離れるのは辛いけど、自分の決めた事だから…… こっちにはクリスもいるから大丈夫よ」
「フローラは最後までお姉様なんだな。僕の方も楽しかったよ」
「じゃあ、最後にミレーユね」
「なんかとんでもない事を言いそうで怖いんだけど……」
「大丈夫! 最後はまともだから。じゃあ続けるわよ。『アレク様ごめんね。私ってこんなんだから、知らないうちに一杯傷付ける事を言ったかもしれないけど、全部本心だからね! ゲームのアレク様とは違って、人間味溢れる感じで楽しかったよ。また、ゲームで会いましょうね。あと、プリスト2も楽しみにしててね! 必ず作るから! 今度は必ず闇に堕とす! それとアレク様ありがとうね!!』だって、ミレーユにしたら、まともだったでしょ?」
「――どこがまともだったんだ? あの言動はやっぱりマジだったんかい!」
そんな彼女達の思い出話に花を咲かせていた。
◇
「ふぁ~」
ついつい話し込んでしまい、随分と時間が経ってしまった。お子ちゃまのクリスは大きなあくびをし、眠そうな顔をしている。
「さすがにクリスも眠くなって来たわね。じゃクリス。そろそろ寝ようか?」
「うん!」
メアリーとクリスは何事もなかったように、僕が寝ていたベッドに入り込もうとしていた。
「おい!メアリー。どうして僕のベッドに入り込んでるんだ? それは僕が使っていたベッドだぞ。自分達の部屋に行って休んでくれよ」
「イヤよ。もう部屋取れないし、私達がこの部屋を使うから、アレクは自分部屋を探して来て」
メアリーは僕がこの部屋の所有者にもかかわらず、部屋の所有権を強奪しようとしている。
「僕の部屋なのに……」
「えっ? 何? 私達、か弱い女性二人を追い出して、本人は悪びれることなく呑気に惰眠をむさぼるってこと? まぁ、アレクがそう言うんじゃしかたないわ。クリス、私達は外で寝るわよ。あとで王妃様にはアレクがクリスを追い出したって報告しておくから」
「は、母上に報告? そんなことしたら…… 僕は……」
「何か問題でもあった? まあ、王妃様のお気に入りのクリスを蔑ろにするんだもん。それなりの覚悟はしておいた方が良いかもしれないわよ」
メアリーはいかにも勝ち誇ったドヤ顔で、僕に最後通告を告げるのだった。
「僕を脅迫するつもりか」
「脅迫? どうしてわざわざ、私がアレクを脅迫しなきゃいけないの? 私は粛々と王妃様に事実をお伝えするだけよ」
「……………………」
――なんてヤロウだ! 僕を脅迫してくるなんて、コイツはどれだけの修羅場を乗り越えてきたのだろう。手練れじゃなきゃ、こんなえげつない謀略を考えつくなんて出来ないはず…… すっかりコイツが最強の天才軍師様だった事を失念していた自分の浅はかさに絶望してしまう。
『ゴクリ』
なんなんだ? この溜めは……
「『楽しかった! まさかプリストの世界を実際に楽しめるとは思ってもみなかった。悪役公爵令嬢だったけど、それでも悪役令嬢にならずにすんで良かった。アレク様をはじめ、みんなと仲良くなれて良かった。今までの記憶が無くなるのは悲しいけど。私、日本でも頑張るからね。それで絶対にプリストクリアしてみせるわ。アレク様ありがとう!』って言ってたわよ」
「そうか。ルナールらしいなぁ。ガチの悪役ストーカー令嬢だけどな」
僕がしみじみしていると、
「それに関しては否定できないわ…… 次はマリアね」
「うん」
「『メインヒロインのマリアに生まれ変わって、アレク様を攻略出来なかったけど、ゲーム以上の体験出来たから大満足! 日本に帰ったら絶対にアレク様を攻略してみせるからね。待っててね。アレク様、本当にありがとうね。バイバイ』って、マリアらしいわね」
「そうだな。初めに会ったときは高速タックルだったからなぁ~」
「そうだったの? やっぱり、あの娘は考えなしなんだから。次はフローラね」
「フローラは何とか言ってたんだい?」
「『アレク様。本当に楽しかった。まさか自分がプリストのヒロインになって、貴族の体験まで出来るとは考えもしなかったわ。神様からのご褒美だったのかしら。日本に帰ったらみんなとは離れ離れになっちゃうけど…… 仕方ないよね。みんなと離れるのは淋しいわ。でも、私頑張るからね。アレク様、楽しい思い出をありがとう。追伸 アレク様、無茶はほどほどに』だって、私もみんなと離れるのは辛いけど、自分の決めた事だから…… こっちにはクリスもいるから大丈夫よ」
「フローラは最後までお姉様なんだな。僕の方も楽しかったよ」
「じゃあ、最後にミレーユね」
「なんかとんでもない事を言いそうで怖いんだけど……」
「大丈夫! 最後はまともだから。じゃあ続けるわよ。『アレク様ごめんね。私ってこんなんだから、知らないうちに一杯傷付ける事を言ったかもしれないけど、全部本心だからね! ゲームのアレク様とは違って、人間味溢れる感じで楽しかったよ。また、ゲームで会いましょうね。あと、プリスト2も楽しみにしててね! 必ず作るから! 今度は必ず闇に堕とす! それとアレク様ありがとうね!!』だって、ミレーユにしたら、まともだったでしょ?」
「――どこがまともだったんだ? あの言動はやっぱりマジだったんかい!」
そんな彼女達の思い出話に花を咲かせていた。
◇
「ふぁ~」
ついつい話し込んでしまい、随分と時間が経ってしまった。お子ちゃまのクリスは大きなあくびをし、眠そうな顔をしている。
「さすがにクリスも眠くなって来たわね。じゃクリス。そろそろ寝ようか?」
「うん!」
メアリーとクリスは何事もなかったように、僕が寝ていたベッドに入り込もうとしていた。
「おい!メアリー。どうして僕のベッドに入り込んでるんだ? それは僕が使っていたベッドだぞ。自分達の部屋に行って休んでくれよ」
「イヤよ。もう部屋取れないし、私達がこの部屋を使うから、アレクは自分部屋を探して来て」
メアリーは僕がこの部屋の所有者にもかかわらず、部屋の所有権を強奪しようとしている。
「僕の部屋なのに……」
「えっ? 何? 私達、か弱い女性二人を追い出して、本人は悪びれることなく呑気に惰眠をむさぼるってこと? まぁ、アレクがそう言うんじゃしかたないわ。クリス、私達は外で寝るわよ。あとで王妃様にはアレクがクリスを追い出したって報告しておくから」
「は、母上に報告? そんなことしたら…… 僕は……」
「何か問題でもあった? まあ、王妃様のお気に入りのクリスを蔑ろにするんだもん。それなりの覚悟はしておいた方が良いかもしれないわよ」
メアリーはいかにも勝ち誇ったドヤ顔で、僕に最後通告を告げるのだった。
「僕を脅迫するつもりか」
「脅迫? どうしてわざわざ、私がアレクを脅迫しなきゃいけないの? 私は粛々と王妃様に事実をお伝えするだけよ」
「……………………」
――なんてヤロウだ! 僕を脅迫してくるなんて、コイツはどれだけの修羅場を乗り越えてきたのだろう。手練れじゃなきゃ、こんなえげつない謀略を考えつくなんて出来ないはず…… すっかりコイツが最強の天才軍師様だった事を失念していた自分の浅はかさに絶望してしまう。
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