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第136話 最後の別れ
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ついにXデー当日を迎えた。メアリーとクリスのせいで緊迫感がまったく無いXデーになってしまった。クライマックスがこれで本当に良いのかと疑問に感じながらも深夜を待った。
――そして、ついに時刻は夜の11時となり、約束の時間を迎えた。
クリスは眠い目を擦りながら、眠気を我慢しているようだった。
「クリス、我慢しなくても良いからね。眠くなったら寝てても構わないわよ。私がアレクの側にいるから心配しなくても大丈夫よ」
「私もみんなを見送りたい!」
メアリーはクリスに声を掛けるが、クリスは悲しみを堪え気丈に振る舞っていた。
「そうか…… そうだな。クリス、メアリー。僕が昏睡状態になったらよろしく頼む。じゃあ、そろそろ始めるよ」
「「アイ アイ サー」」
メアリーとクリスには心情的に辛い立場だと思うが、それでも元気に振る舞っていた。しかし、その表情は緊張を隠せないのか強張っていた。
斯く言う僕も同く緊張感に押しつぶされそうだった。
あと十数分後には、彼女達を日本に帰すためとはいえ、彼女達の命を奪うことになる。いくら僕からの日本へ帰す為の提案だったとしても……
母上のように一般人だろうがニャンコ様だろうが、一切の躊躇も無くワンパンを喰らわす鬼のメンタルを僕は持ち合わせてはいない。母上のような鬼のメンタルを持っていたら、どんなに楽だっただろうか。
散々、ざまぁをされ続けた怒りというか、怨念というか、様々な思いが頭の中を交差していく。
しかし、彼女達の命に手を掛けるという事を考えると、どうしてもやるせなさを感じて鬱になりそうだ。
――アイスキー、ユリアラ。僕が最後まで殺りきれるように見守ってくれ
僕は気持ちを切り替え、メアリー達に目線を送る。
「みんな、約束通りアロマを灯けてくれたら良いけど…… 究極検知魔法『遠隔隠潜伏発見魔法』発動!」
意識を遠く離れたヒロイン達の元にある僕の魔力の込もるアロマを探す。さらに意識を集中し、僕の魔力とその傍にいると思われるヒロイン達の魔力も確認が出来た。
「アロマは睡眠促進の効果もあるけど、一応、睡眠魔法も掛けておくよ」
僕がそう言うと、メアリーも涙声になりながら、
「ううっ…… お願い」
「『究極魔法遠隔睡眠促進魔法』!」
◇
数分後、ヒロイン達は深い眠りについたようだ。
「じゃあ、続けるよ」
「「……………………」」
メアリーとクリスは鳴き声を必死に堪えていたが、静かに涙を流していた。この時、僕の髪は金髪から銀髪へと変わりつつあった。そして、緊張の中、両手を上に掲げ、
「『究極魔法安楽即死魔法』!」
「二人とも安心してくれ。この魔法は脊髄に弱い電撃を流して、呼吸不全を起こすんだ。恐怖も痛みも苦痛も感じない。どんな名医だろうが、死因はわからないはず、最終的には突然死か自然死として処理されるだろう。そして、どんな魔法の使い手でも魔法による安楽死とは見抜けないはずだ」
「――ええ…… ありがとう……」
声にならない声で答えるメアリー。
――これから僕の二つ名を『白い死神 ドクゥータ キーリィーコ』と呼んでくれ!
数分後、僕達の前に意識の無いルナール、マリア、フローラ、ミレーユが半透明の姿で現れた。
「目の前にいるのが彼女達の霊魂だ。さあ、メアリー、クリス…… 彼女達に最後のお別れを……」
この時、僕も涙声になっていた。
「理香…… 沙希…… ありがとう…… 私の友達になってくれてありがとう。私、二人のこと忘れないからね。フローラ、ミレーユもありがとう。みんなに会えて楽しかったよ。さよなら……」
『紫音…… 私も楽しかったよ。バイバイ』
『紫音…… 今までありがとうね。またね』
『メアリー…… また、いつかどこかで会いましょうね』
『メアリー…… ラブラブパワー注入!』
「アレク! 今、理香と沙希が私の名前を呼んだよっ! フローラとミレーユも!」
「ああ、僕にも聞こえた。確かに聞こえた。霊魂は話すことすら出来ないのに……」
「理香…… 沙希…… フローラ…… ミレーユ…… ううっわぁぁぁん」
ついにメアリーは号泣してしまった。僕はメアリーの肩を抱きしめ、『友情だよ。友情のなせるわざだよ!』と某超人プロレス漫画のドイツ出身で残虐超人の息子の名言でツッコんであげたかったが、ここは空気を読んで言葉を変えた。
「メアリーとクリス。マリア、ルナール、フローラ、ミレーユの友情が奇跡を生んだんだよ」
「うわぁぁぁぁぁぁん!!」
メアリーをさらに号泣させてしまった。
――すまん……
――そして、ついに時刻は夜の11時となり、約束の時間を迎えた。
クリスは眠い目を擦りながら、眠気を我慢しているようだった。
「クリス、我慢しなくても良いからね。眠くなったら寝てても構わないわよ。私がアレクの側にいるから心配しなくても大丈夫よ」
「私もみんなを見送りたい!」
メアリーはクリスに声を掛けるが、クリスは悲しみを堪え気丈に振る舞っていた。
「そうか…… そうだな。クリス、メアリー。僕が昏睡状態になったらよろしく頼む。じゃあ、そろそろ始めるよ」
「「アイ アイ サー」」
メアリーとクリスには心情的に辛い立場だと思うが、それでも元気に振る舞っていた。しかし、その表情は緊張を隠せないのか強張っていた。
斯く言う僕も同く緊張感に押しつぶされそうだった。
あと十数分後には、彼女達を日本に帰すためとはいえ、彼女達の命を奪うことになる。いくら僕からの日本へ帰す為の提案だったとしても……
母上のように一般人だろうがニャンコ様だろうが、一切の躊躇も無くワンパンを喰らわす鬼のメンタルを僕は持ち合わせてはいない。母上のような鬼のメンタルを持っていたら、どんなに楽だっただろうか。
散々、ざまぁをされ続けた怒りというか、怨念というか、様々な思いが頭の中を交差していく。
しかし、彼女達の命に手を掛けるという事を考えると、どうしてもやるせなさを感じて鬱になりそうだ。
――アイスキー、ユリアラ。僕が最後まで殺りきれるように見守ってくれ
僕は気持ちを切り替え、メアリー達に目線を送る。
「みんな、約束通りアロマを灯けてくれたら良いけど…… 究極検知魔法『遠隔隠潜伏発見魔法』発動!」
意識を遠く離れたヒロイン達の元にある僕の魔力の込もるアロマを探す。さらに意識を集中し、僕の魔力とその傍にいると思われるヒロイン達の魔力も確認が出来た。
「アロマは睡眠促進の効果もあるけど、一応、睡眠魔法も掛けておくよ」
僕がそう言うと、メアリーも涙声になりながら、
「ううっ…… お願い」
「『究極魔法遠隔睡眠促進魔法』!」
◇
数分後、ヒロイン達は深い眠りについたようだ。
「じゃあ、続けるよ」
「「……………………」」
メアリーとクリスは鳴き声を必死に堪えていたが、静かに涙を流していた。この時、僕の髪は金髪から銀髪へと変わりつつあった。そして、緊張の中、両手を上に掲げ、
「『究極魔法安楽即死魔法』!」
「二人とも安心してくれ。この魔法は脊髄に弱い電撃を流して、呼吸不全を起こすんだ。恐怖も痛みも苦痛も感じない。どんな名医だろうが、死因はわからないはず、最終的には突然死か自然死として処理されるだろう。そして、どんな魔法の使い手でも魔法による安楽死とは見抜けないはずだ」
「――ええ…… ありがとう……」
声にならない声で答えるメアリー。
――これから僕の二つ名を『白い死神 ドクゥータ キーリィーコ』と呼んでくれ!
数分後、僕達の前に意識の無いルナール、マリア、フローラ、ミレーユが半透明の姿で現れた。
「目の前にいるのが彼女達の霊魂だ。さあ、メアリー、クリス…… 彼女達に最後のお別れを……」
この時、僕も涙声になっていた。
「理香…… 沙希…… ありがとう…… 私の友達になってくれてありがとう。私、二人のこと忘れないからね。フローラ、ミレーユもありがとう。みんなに会えて楽しかったよ。さよなら……」
『紫音…… 私も楽しかったよ。バイバイ』
『紫音…… 今までありがとうね。またね』
『メアリー…… また、いつかどこかで会いましょうね』
『メアリー…… ラブラブパワー注入!』
「アレク! 今、理香と沙希が私の名前を呼んだよっ! フローラとミレーユも!」
「ああ、僕にも聞こえた。確かに聞こえた。霊魂は話すことすら出来ないのに……」
「理香…… 沙希…… フローラ…… ミレーユ…… ううっわぁぁぁん」
ついにメアリーは号泣してしまった。僕はメアリーの肩を抱きしめ、『友情だよ。友情のなせるわざだよ!』と某超人プロレス漫画のドイツ出身で残虐超人の息子の名言でツッコんであげたかったが、ここは空気を読んで言葉を変えた。
「メアリーとクリス。マリア、ルナール、フローラ、ミレーユの友情が奇跡を生んだんだよ」
「うわぁぁぁぁぁぁん!!」
メアリーをさらに号泣させてしまった。
――すまん……
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