男爵令嬢は、フットワークが軽い。ー。ー

哀訴。ー愛想よくしたいのならどうぞ？ー

あら、お客さん？

わかった。

何やら見目麗しい娘ごがいた訳だ、畜生のたぐいだが今は劇場の案内人をしている。

ひょんなことから商人に拾われたそう、食われたうえで。

ばりばりと、禿から。

可愛そうにとはだれもが言わなかった、だがこの舞台部隊に連れてきてもらえたことは心から感謝している。

つまらない舞踊は顰蹙を買うだろうと、必死に努力をした。

妹がいた、今はどうしているかしらと思慮深くも忙しない毎日に安らぎを与えられることはないのだと理解していくのはそう遅くもなかった。

『人脈、碧落は来訪済み』

いつしか娘ごが、玉かんざしをつけ始めた。

黒いかずちの君にもらったのかと、もてはやされるも紅をつけふっくらとした唇で微笑めば顔を赤くする若い衆。

この娘ご、尻込みしていたと。

何時同胞に喉元を嚙み千切られるかと、不安だったそう。

俺か、オレエソ。

んん、はてさて。

それでも、娘ごは商人に助けられていた。

気配でわかるだろの、娘ご。

『白の濃い恋、雪の拐かし』

それはさておいて、本題へ。

相分かった。

ある森には、襦袢や艶めかしい着物を着こんでいるモノがいるそうな。

盃霾へつちふるというんだがな、これがまあ強いのなんの。

ありゃあ、ランタンが目印なんだぜ。

それを気に入った神さんが、こちら側に引き込んだそうだと。

うちの神さんもやるねえ、ははは！！！

それにしてもあのじゃじゃ馬を引き取るなぞ、館の主もたいがいじゃないか？

『白黒の鬼、引っ提げているものは何ぞや？』

あの子をどうか悪く言わないでくださいまし、おじさま。

まだこちら側に与している可愛い可愛い姪じゃねぇか、館の主はやっとお前を案じ始めているそうだが自分で考えて決めたなら黙っているそうだぜ？

それもそうですね、私の言付けをお父様に添えていただいたのでした。

俺は何もしてないよ、お前の愛想のよさを気に入っただけだからな。

『段階、得やすい餌』

感謝申し上げますわ、黄代の主さま。

それにいい夢を見せてもらったからというのもある、でなきゃあの娘ともども折檻されるところだった。

まったく、おじさまだけおいしい立場にいらっしゃるようですわ。

ははっ、灰色のローブの親父殿には負けるさ。

私の前前世のおじさまもお変わりないようで安心いたしました、皆様の気になる点といえば「フクロウ」と恋の魔女のフクロウの差異でございましょう？

私は言い含められませんの、皆様にご理解いただけましたら幸いです。

『仔猫の戯れ、気紛れの紅茶の選択』

お前の泣き顔、いい眺めだったよ？

それはよかったです、おじさま。

飼ってるやつ、調教しがいがあったろ？

ええ、もちろん頑丈でしたから少々てこずりましたが。

お前の哀訴、強かな魔王に認められてよかったな？

もう意地悪です、おじさま。

『かの舞台の監督』様方が設定してくださったこの舞踏会も楽しまなくては、皆様方。

ええ、エンドのように。

今宵は美しい月夜ですわ、隻月のように。

『勿論のこと、亡者は君を』

こほん、話がそれましたわね。

私共が、招待状を差し上げました。

私共は時代に捨てられた残骸、ならはぐれモノ同士仲良くしましょう？

私は今の時代に打ち上げられたも同然です、それはあの子が体感してくださることでしょう。

私共といたしましては巻き込みたくはなったのですよ、ですがあの子が拒みましたのでこれ幸いと。

そうそう、お客様方はこのような歌をご存じですか？

『緑月と堰月に幸いあれ』

閑話休題。

星喰らいの魔獣のことを私たちは遅ればせながら呼んでおります、宿無しの根無し草と。

可愛い可愛い『あの仔』もお食べになられたのですもの、倉庫にこもっていただければすこしは体に生えた黴臭さもマシになられるかと思うのですが。

それとも、あの強かな魔王の従える蛇にでもとぐろを巻かせてみましょうか？

それで大きなおなかがスリムになりますわ、是非ともお試しになられてみてはいかが？

『蟒蛇がとぐろを巻いて鎌首をもたげて。－憐憫の情持たず、その昔も哀れみ持たれず。―』

あら、私達は。

ただ、ヒントを差し上げていますのにお話をずらすのがお上手なのですね。

蛇のように運をつかむのがうまい名家がございまして、少々縁があったのでしょうね。

ありがたいことにこうして私共が、つながりを持っていただけているのですよ。

『組みつ解れつ。－歌の交わしあい。－』

無条件の愛など持っていてももったいないではないか、どうしてくれる？

どうしてくれると憤られても困惑してしまいます、赤色の蛇ティア―ベリさん。

それは煤けたやつらに言ってくれ、ポワレ。

あら、泡に包まれたテディはもう還れませんよ？

灯はまだお前等の下にあるし、巡りも回ってこないか、ゆゆしき事態だ。

そうですわね、いくらでも手はあなた方を追い回すでしょうし血眼になって探さなくてもよろしいのです。

だが2本の木はああなった、奪還の手はいくらでもあるさ。

夢はいつでもあなた方を活力付けもするでしょうがその反対もあることをゆめゆめお忘れなきよう。

『眼窩のない龍の視線は何処に注がれるか？。－絵空事のゆくは空中か机上の空論かー』

ややもすると、恋の魔女の怪物らもだんまりを決め込んで隠密からの奇襲を仕掛けているかもしれないよ？

私達は名家の方々にちょいと進言をしただけよ、そんなに睨まないで？

懸念？そんなの些末なことととらえているけれど、彼方さんはどうなんでしょうねぇ？

煽っているって問われればいいえ、かしらね？

我慢なんてしなくてよろしいのよ、おきれいなお嬢さん？

『ラミアが気にかけているようです。ー全く敵わないようです。－』

不義なぞあのお方は望まれていない、皆様方だとてそうだろう。

それにしては裏切り者がわんさか出てくるが、皆様方以外に間者がいるやもしれんな？

冠したモノどもは今も持ちこたえて、しかしそれでもいつまでも甘そうな餌を無視できるかと問われれば。

それも空腹の獣のごとくふるまっているモノどもだ、リソースもそう長くはもつまいよ。

その時が訪れるのを今か今かと万障繰り合わせのお上で、待望しているようだぞ。

絡繰りの壇上も揃ってきているようだがまだまだぬるそうなのでな、追加頼めるか。

このような様相となりましたが、『かの貴婦人の機嫌を取るへヴァイストス』様。

いいだろう、仕事が速いのは感心するな。

お褒めの言葉至極恐悦に存じます、それでは業務に戻らせていただいても？

『蘇りは望まれていない。―ホンネ。－』

『脈絡のなさ、柄』