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辛愛。ー終幕。ー
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ヒノルルェ・ナーギャ=シナヴィリは、愛されてここにいる。
「ハヴェン様!!!!」
「ハヴェン!!!!!」
悲痛な叫び声が、この部屋に反響する。
『魔族の王たるもの、みっともなく恥も外聞もなく生きるがよい。』
だが、余を含め。
邪神は、潔く散るのが務めぞ。
『承知しました』
たとえ拝命されたものが、どのようについて廻るとしても。
「……」
いつまで経っても、衝撃を受けることがなかったので。
不思議に思いながら手を伸ばし、高等技術を放った。
その直後、呻く声が聞こえた。
それに安堵し、そして。
また、愛しい妻の名を囁く。
「ヒノルルェ………いるか?」
「………わた、しは……妻……だもの。」
「他でも、ない…あなたの……。」
妻として、接してくる『彼女』に。
違和感を何故か、覚えた。
再び、直ぐ様高等技術を行使して殺した。
それから、念のため。
素早く拘束した後に、心臓辺りを刺し穿った。
『針艱釁写叉』
そして、辛愛した『ヒノルルェ』を捜した。
地下室のドアの傍に置いてあった、「ヒノルルェ」を。
抱き抱えながら、手からこぼれ落ちる髪を掬い上げた。
そして梳きつつ撫で、もう聞こえない彼女に囁く。
それが、どんな結末を迎えようと。
その人物は、幸福に包まれていたと言える。
愛し、愛し。
遇いや。
薆や。
『泡沫の王』の、愛する『仔』の。
物語は、閉幕しやした。
終幕と相成りますよォ、これにてコレにて。
あちきらのかたりを聞いてくださって、ほんにありがとうござんす。
「ハヴェン様!!!!」
「ハヴェン!!!!!」
悲痛な叫び声が、この部屋に反響する。
『魔族の王たるもの、みっともなく恥も外聞もなく生きるがよい。』
だが、余を含め。
邪神は、潔く散るのが務めぞ。
『承知しました』
たとえ拝命されたものが、どのようについて廻るとしても。
「……」
いつまで経っても、衝撃を受けることがなかったので。
不思議に思いながら手を伸ばし、高等技術を放った。
その直後、呻く声が聞こえた。
それに安堵し、そして。
また、愛しい妻の名を囁く。
「ヒノルルェ………いるか?」
「………わた、しは……妻……だもの。」
「他でも、ない…あなたの……。」
妻として、接してくる『彼女』に。
違和感を何故か、覚えた。
再び、直ぐ様高等技術を行使して殺した。
それから、念のため。
素早く拘束した後に、心臓辺りを刺し穿った。
『針艱釁写叉』
そして、辛愛した『ヒノルルェ』を捜した。
地下室のドアの傍に置いてあった、「ヒノルルェ」を。
抱き抱えながら、手からこぼれ落ちる髪を掬い上げた。
そして梳きつつ撫で、もう聞こえない彼女に囁く。
それが、どんな結末を迎えようと。
その人物は、幸福に包まれていたと言える。
愛し、愛し。
遇いや。
薆や。
『泡沫の王』の、愛する『仔』の。
物語は、閉幕しやした。
終幕と相成りますよォ、これにてコレにて。
あちきらのかたりを聞いてくださって、ほんにありがとうござんす。
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