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生み出す力。ーされど。ー
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はて、こんなものだったかな。
……………………まあいっか、支障はないし!
そこにうねり続くのは、赤い糸と人の形を保とうとするモノ。
在るのは、友情があったことこそ喜びだと誇り、親しいモノの安寧と楽しみや喜びに満ち溢れる未来がやって来ること。
それのみを願う、ひとつの露。
それだけなのだけれど。
あっけなく散る定め。
此処は此処は、紛うことなき戦場なのだよ。
それから静かに響く声が一つ。
遠くて聞こえないが、嫌な予感が脳裏をよぎる。
必死に、親しいモノに手を伸ばそうとする少女の手は、そして。
かすかに震えるも、掴むことが出来ず虚しく落ち崩壊を始め、灰となりかける。
ああ、さぞや慈しんだ仔を奪われ悲しんでいる事だろうに。
『“縁は紡がれた、それも善き縁でなく。
それはただの血にまみれた縁に等しく。”』
『“されど蒼月に濡れることは、垂れることは許されない。”』
“『崇高な祈りは絶たれたと悦ぼう!』”
声が重なる。
その声は悪意に溢れた喜びで、浮かれたままだ。
けれどこれで、君は終わりではないと告げるように、弾んだ声が耳に入ってくる。
“君の望んだ笑顔は手に入らない、でも。”
物であるかのように、少女の髪を掴みぶら下げる。
崩壊を始めている少女は動かない。
もうその可愛らしい顔が、周りのモノのために綻ぶことはなくなった。
“もしも、一番近くで見守れたらサイコーだよね?”
あとは空虚に消えるのみ。
“まあ、それは君をイジってからかな?”
そう言って、顔を覆い灰を黒炎に変えた何者かはその『役立たずの魔法令嬢』を地へと投げ捨てた。
“アレはただのしがない魔法令嬢だからね。”
不思議な人はそう言って屈み、それでも人の形を保とうとするモノの頭を撫でようとした。
そう、愛情を示すように。
まるで慈しむようにね。
払われて睨みつけられた気がするけど、構わないよ!
………………どうせ、モノになるし別に……良いよ、愛しい愛しい。
…………………………僕らの【人間】………なんだから。
“何にしろ、還れないよ?君は。”
そう告げる声は、只管に冷淡な響きを放っていた。
“そうだろ?はぐれオオカミさん”
意図してか、嘲笑の声が降りかかる。
“ここまでよくもってくれたね、俺は嬉しいよ♡”
ころっと声音が変わる。
“君とアレは交わってはならなかったんだ”
『だって君達は。』
もったいぶるように、間を置いて。
…………それはどこまで行っても。
……………………。
『……もう戻れないね、キミたちも。』
『______』。
それはそれとして、はぐれオオカミさんはどうするのか、興味があるなぁ。
『______』。
非情で。
……夢…か。
…酷く、忌々しい夢だった。
低く吐き捨てる声がひとつ。
……すー、すー。
…すー…。うぅ~ん。
寝室に可愛らしい声がひとつ残る。
咆哮がひとつ。
地下牢にて、唸るだけ。
それから獰猛な咆哮がもうひとつ残る。
あの方に似た不思議な人が、愉しげに告げる。
『それに仕える眷属だろう?』
化けの皮を剥がすのが、非常に楽しみになっただろう。
『残留思念へとなったモノはあなた方の最高のギフトとなるだろう』
『きみができるのは理性も知性もなくしぼくらののぞみのままに暴虐を尽くすだけ』
『たのしみにしているよ』
『ね?』
手のひらにあるのは宝石、癪に障る宝石。
『彼等』の愛し子の一人。
喋れないけれど、確かに寵愛を賜っている。
そう、『邪神達』の寵愛を。
例えばその中でも、凶悪な『魔神』と呼ばれている邪神とか。
もう綴ったのだけど、もう少しだけ綴らせてもらうよ。
あるいは、深淵より深く昏い処にある黒檀のごとく暗く強靭な皮膚を持つ、暴龍の骸で創られた玉座に坐す王の享楽とも。
けれど、かたられているのは一体どちらなのだろうね。
『虚の仔』と呼ばれている、『仔』らの中にいる王なのか。
それとも、『邪神達』の中にいる王なのか。
はっ……あるいは。
さてさて、興味は尽きないからこの先も楽しく綴らせてもらうよ。
それは正しく、何処まで行っても愚劣な「____」だ。
『_____________』。
『もう戻れないね、キミたちも』
それはそれとして、はぐれオオカミさんはどうするのか興味あるなあ。
『______________』。
………………………………………………あはははっ。
剣戟音が響く。
これは映像?それとも現実?
目が覚める、ええ。
現実だったわ、盲点。
彼女が夢の内容を覚えていて、それが精神に影響を及ぼしている可能性も無きにしも非ず、な状況なわけなのだけれどもこの様子だと覚えていそうだね。
ばたばたと、手を動かしているわけではあるな。
『いいかい、君は覚えていなくてはいけないよ』
あの夢とは違う、穏やかな声が頭の中を駆け巡る。
『幸せな夢があったことを、忘れていても構わない。
けどね…彼らが救わないことなんて幾らでもあるだろう。』
『……狐たちがいたことすらも君は覚えていなくてはいけないよ。』
『………覚えておいて』
輪廻は再び巡る。
それは幸と成るか、凶と成るか。
玉座に御座す、王の享楽は始まったとの事。
人の仔よ、存分に抗うといい。
これは意地悪な『彼等』の掌にちょこんと在る、ひらりと翻る彼女の物語____。
開幕、開幕。
……………………まあいっか、支障はないし!
そこにうねり続くのは、赤い糸と人の形を保とうとするモノ。
在るのは、友情があったことこそ喜びだと誇り、親しいモノの安寧と楽しみや喜びに満ち溢れる未来がやって来ること。
それのみを願う、ひとつの露。
それだけなのだけれど。
あっけなく散る定め。
此処は此処は、紛うことなき戦場なのだよ。
それから静かに響く声が一つ。
遠くて聞こえないが、嫌な予感が脳裏をよぎる。
必死に、親しいモノに手を伸ばそうとする少女の手は、そして。
かすかに震えるも、掴むことが出来ず虚しく落ち崩壊を始め、灰となりかける。
ああ、さぞや慈しんだ仔を奪われ悲しんでいる事だろうに。
『“縁は紡がれた、それも善き縁でなく。
それはただの血にまみれた縁に等しく。”』
『“されど蒼月に濡れることは、垂れることは許されない。”』
“『崇高な祈りは絶たれたと悦ぼう!』”
声が重なる。
その声は悪意に溢れた喜びで、浮かれたままだ。
けれどこれで、君は終わりではないと告げるように、弾んだ声が耳に入ってくる。
“君の望んだ笑顔は手に入らない、でも。”
物であるかのように、少女の髪を掴みぶら下げる。
崩壊を始めている少女は動かない。
もうその可愛らしい顔が、周りのモノのために綻ぶことはなくなった。
“もしも、一番近くで見守れたらサイコーだよね?”
あとは空虚に消えるのみ。
“まあ、それは君をイジってからかな?”
そう言って、顔を覆い灰を黒炎に変えた何者かはその『役立たずの魔法令嬢』を地へと投げ捨てた。
“アレはただのしがない魔法令嬢だからね。”
不思議な人はそう言って屈み、それでも人の形を保とうとするモノの頭を撫でようとした。
そう、愛情を示すように。
まるで慈しむようにね。
払われて睨みつけられた気がするけど、構わないよ!
………………どうせ、モノになるし別に……良いよ、愛しい愛しい。
…………………………僕らの【人間】………なんだから。
“何にしろ、還れないよ?君は。”
そう告げる声は、只管に冷淡な響きを放っていた。
“そうだろ?はぐれオオカミさん”
意図してか、嘲笑の声が降りかかる。
“ここまでよくもってくれたね、俺は嬉しいよ♡”
ころっと声音が変わる。
“君とアレは交わってはならなかったんだ”
『だって君達は。』
もったいぶるように、間を置いて。
…………それはどこまで行っても。
……………………。
『……もう戻れないね、キミたちも。』
『______』。
それはそれとして、はぐれオオカミさんはどうするのか、興味があるなぁ。
『______』。
非情で。
……夢…か。
…酷く、忌々しい夢だった。
低く吐き捨てる声がひとつ。
……すー、すー。
…すー…。うぅ~ん。
寝室に可愛らしい声がひとつ残る。
咆哮がひとつ。
地下牢にて、唸るだけ。
それから獰猛な咆哮がもうひとつ残る。
あの方に似た不思議な人が、愉しげに告げる。
『それに仕える眷属だろう?』
化けの皮を剥がすのが、非常に楽しみになっただろう。
『残留思念へとなったモノはあなた方の最高のギフトとなるだろう』
『きみができるのは理性も知性もなくしぼくらののぞみのままに暴虐を尽くすだけ』
『たのしみにしているよ』
『ね?』
手のひらにあるのは宝石、癪に障る宝石。
『彼等』の愛し子の一人。
喋れないけれど、確かに寵愛を賜っている。
そう、『邪神達』の寵愛を。
例えばその中でも、凶悪な『魔神』と呼ばれている邪神とか。
もう綴ったのだけど、もう少しだけ綴らせてもらうよ。
あるいは、深淵より深く昏い処にある黒檀のごとく暗く強靭な皮膚を持つ、暴龍の骸で創られた玉座に坐す王の享楽とも。
けれど、かたられているのは一体どちらなのだろうね。
『虚の仔』と呼ばれている、『仔』らの中にいる王なのか。
それとも、『邪神達』の中にいる王なのか。
はっ……あるいは。
さてさて、興味は尽きないからこの先も楽しく綴らせてもらうよ。
それは正しく、何処まで行っても愚劣な「____」だ。
『_____________』。
『もう戻れないね、キミたちも』
それはそれとして、はぐれオオカミさんはどうするのか興味あるなあ。
『______________』。
………………………………………………あはははっ。
剣戟音が響く。
これは映像?それとも現実?
目が覚める、ええ。
現実だったわ、盲点。
彼女が夢の内容を覚えていて、それが精神に影響を及ぼしている可能性も無きにしも非ず、な状況なわけなのだけれどもこの様子だと覚えていそうだね。
ばたばたと、手を動かしているわけではあるな。
『いいかい、君は覚えていなくてはいけないよ』
あの夢とは違う、穏やかな声が頭の中を駆け巡る。
『幸せな夢があったことを、忘れていても構わない。
けどね…彼らが救わないことなんて幾らでもあるだろう。』
『……狐たちがいたことすらも君は覚えていなくてはいけないよ。』
『………覚えておいて』
輪廻は再び巡る。
それは幸と成るか、凶と成るか。
玉座に御座す、王の享楽は始まったとの事。
人の仔よ、存分に抗うといい。
これは意地悪な『彼等』の掌にちょこんと在る、ひらりと翻る彼女の物語____。
開幕、開幕。
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