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執事の手記。ー謎の人物について。ー
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○×年、○○。
これは執事長とメイド長に、検分してもらう前提で記録することにします。
ダンスホールの隅にあった鏡の中から、篭手に包まれた手が現れようとしていましたが、結局は。
出ることなく引っ込んでいったのを、覚えています。
彼女は強靭な精神であわや、叫びそうになったのを抑え込んで安心したのか気を緩め、覗き込んでいた鏡から目を離した様子でした。
女神様の加護に感謝いたします。
[気分転換でもしたのだろう]
不意に瘴気がソレから出現し、彼女の身体に纏わりつきそうになったので咄嗟に庇いました。
ええ、そうしました。
彼女も大切でしたので、咄嗟に。
えぇ、……悲しませたのは悪いと思っています。
本当に。
するとあの手は清らかな場所が、苦手なのでしょうか。
それとも、廻ることが苦手だとでも言うのでしょうか。
そうじゃないならなんだと言うのでしょう。
……………なんてことだろう。
いけない、イケナイ。
それから、私は魔物に好かれ始めました。
ああ、それは残念なことに、ですが。
……………ええ、それがきっと危険を呼び込んだのでしょうね。
………そうなる前に。
……あの時の惨状を。
[本人に近い筆跡がある]
……あの惨状を、災厄を。
もう一度。
邪魔。
だと言うのに。
する、つもりか?
そうだ、ったな。
嗚呼。
[この記述はここで終わっている]
[別のページに続きらしき記述あり]
我が国、滅んだ。
飢饉が、起き。
魔物が現れた。
魔族級の強さを持つ魔物達が。
それも、邪神とやら?、か?
わか、らない、忘れてしまった。、?
魔物の王、か?それきっ、と。?魔物の王とやらに、そうに違いない。
に率いられたのだろう。
そして、立ち上がったはいいものの。
皆、皆、皆、血、血、血、血、血に湛んだ。
仲間も、尊敬する人々も、恩師も、家族も、一族も、王族も、まだ幼い我が子も、妻も、妻の家族も、妻の一族も、我が国の中枢だった大臣も、下働きのネアンモ。も。全てが赤に塗れた。
皆、皆、皆、血、血、血、血、血に湛む。
国も、地面も、農産物も、家畜も、育たないまま、飢饉に喘いで、そして。
嗚呼。本当に。血、血、血、血、血、血、血、血、血血、血、血、血、血、血血、血、血、血、血が滲む。
こん、な、こんなにこんな酷い話があるというのか。
ただ、でさえ我が国は、砂と赤熱の、ああ、そうだ。
魔導師、寂、雀の焦土に、。仇なす、魔導師が起こした。嵐の夜の前に、結局、貯蓄はできなかったような。
それから、わざと、魔力を、垂れ流しにしていた魔物達。
名は、たしか。
………、……ん?
……思い出せない、だった、と?思う、記憶に、霧が、いや、………くそ。
…………やめろ、やめてくれ、やめて、くれ、やめろ。
……………ラクレ、ああ、くそ??…………やめろ、やめろ、嗚呼、……嗚呼。
その中の、一匹は、怪我、が。あった。
恐らく、『キイエティ』、という魔物、だろう。
切られたのか、一部、毛と、そう、そうだ、った。
傷があった。おそらく、戦争にでも、巻き込まれたのだろう。
それ、も敵国と、我が国の。起こした。
戦争に、紛れていたのだろう。
諜報活動、でもした際に、だろうか。
一本、腕と思われる部位がなかったから、だ。
皆、皆、皆、血、血、血、血、血、血に湛む。
赫月が、美しかっ、たと、言ったモアン、モの。
白月、が、あった、その、夜、は。
気分、良かった、だと言うのに、モアンモ。モアンモ。
ラクレの笑顔を。
どうして、白月、変えた。
いや、いや、気分悪くなってた、のか。
もしかする、と。よかったのかもしれな、いな。
どち、らかはよくわからない。
わか、りたくもない、しらなくて、いいとその時は。
思っていたさ、だろう。な、そこまで、か?
我が国を、どうして、どう、して、もう、亡国に、した。どうして、なぜ、なぜ、滅ぼした。
守るべき民を、何故。
我が妻も、我が子も、……???
亡国に、した。どうして、なぜ、なぜ、滅ぼした?
神な、んて居ない方が、………悪魔なら、居る、のだろ、うか。
……………嗚呼、そうだ。神、なんて居ない方が、いい。
神が居るのなら、無くしてしまえばいい。
その、存在。
ごと、語り継、がれなくして、我が国の糧に。
我が国の女神よ。
我が国の男神よ。
神に、天誅を。
杖を、杖を、薔薇の、バラの、バラ、の?
杖を、奪え。バラの、ば、バラの、杖を。
あの携えている、シルエットの、持つ杖を、杖、嗚呼、嗚呼、嗚呼、嗚呼、嗚呼、杖、杖を壊、せ。
バラ、の、杖を、壊せ。
何もかも、否定する、。
彼処へ、行かなければ。
集う森へ。
あの御方達が、待っている。
待っているのです、
これは執事長とメイド長に、検分してもらう前提で記録することにします。
ダンスホールの隅にあった鏡の中から、篭手に包まれた手が現れようとしていましたが、結局は。
出ることなく引っ込んでいったのを、覚えています。
彼女は強靭な精神であわや、叫びそうになったのを抑え込んで安心したのか気を緩め、覗き込んでいた鏡から目を離した様子でした。
女神様の加護に感謝いたします。
[気分転換でもしたのだろう]
不意に瘴気がソレから出現し、彼女の身体に纏わりつきそうになったので咄嗟に庇いました。
ええ、そうしました。
彼女も大切でしたので、咄嗟に。
えぇ、……悲しませたのは悪いと思っています。
本当に。
するとあの手は清らかな場所が、苦手なのでしょうか。
それとも、廻ることが苦手だとでも言うのでしょうか。
そうじゃないならなんだと言うのでしょう。
……………なんてことだろう。
いけない、イケナイ。
それから、私は魔物に好かれ始めました。
ああ、それは残念なことに、ですが。
……………ええ、それがきっと危険を呼び込んだのでしょうね。
………そうなる前に。
……あの時の惨状を。
[本人に近い筆跡がある]
……あの惨状を、災厄を。
もう一度。
邪魔。
だと言うのに。
する、つもりか?
そうだ、ったな。
嗚呼。
[この記述はここで終わっている]
[別のページに続きらしき記述あり]
我が国、滅んだ。
飢饉が、起き。
魔物が現れた。
魔族級の強さを持つ魔物達が。
それも、邪神とやら?、か?
わか、らない、忘れてしまった。、?
魔物の王、か?それきっ、と。?魔物の王とやらに、そうに違いない。
に率いられたのだろう。
そして、立ち上がったはいいものの。
皆、皆、皆、血、血、血、血、血に湛んだ。
仲間も、尊敬する人々も、恩師も、家族も、一族も、王族も、まだ幼い我が子も、妻も、妻の家族も、妻の一族も、我が国の中枢だった大臣も、下働きのネアンモ。も。全てが赤に塗れた。
皆、皆、皆、血、血、血、血、血に湛む。
国も、地面も、農産物も、家畜も、育たないまま、飢饉に喘いで、そして。
嗚呼。本当に。血、血、血、血、血、血、血、血、血血、血、血、血、血、血血、血、血、血、血が滲む。
こん、な、こんなにこんな酷い話があるというのか。
ただ、でさえ我が国は、砂と赤熱の、ああ、そうだ。
魔導師、寂、雀の焦土に、。仇なす、魔導師が起こした。嵐の夜の前に、結局、貯蓄はできなかったような。
それから、わざと、魔力を、垂れ流しにしていた魔物達。
名は、たしか。
………、……ん?
……思い出せない、だった、と?思う、記憶に、霧が、いや、………くそ。
…………やめろ、やめてくれ、やめて、くれ、やめろ。
……………ラクレ、ああ、くそ??…………やめろ、やめろ、嗚呼、……嗚呼。
その中の、一匹は、怪我、が。あった。
恐らく、『キイエティ』、という魔物、だろう。
切られたのか、一部、毛と、そう、そうだ、った。
傷があった。おそらく、戦争にでも、巻き込まれたのだろう。
それ、も敵国と、我が国の。起こした。
戦争に、紛れていたのだろう。
諜報活動、でもした際に、だろうか。
一本、腕と思われる部位がなかったから、だ。
皆、皆、皆、血、血、血、血、血、血に湛む。
赫月が、美しかっ、たと、言ったモアン、モの。
白月、が、あった、その、夜、は。
気分、良かった、だと言うのに、モアンモ。モアンモ。
ラクレの笑顔を。
どうして、白月、変えた。
いや、いや、気分悪くなってた、のか。
もしかする、と。よかったのかもしれな、いな。
どち、らかはよくわからない。
わか、りたくもない、しらなくて、いいとその時は。
思っていたさ、だろう。な、そこまで、か?
我が国を、どうして、どう、して、もう、亡国に、した。どうして、なぜ、なぜ、滅ぼした。
守るべき民を、何故。
我が妻も、我が子も、……???
亡国に、した。どうして、なぜ、なぜ、滅ぼした?
神な、んて居ない方が、………悪魔なら、居る、のだろ、うか。
……………嗚呼、そうだ。神、なんて居ない方が、いい。
神が居るのなら、無くしてしまえばいい。
その、存在。
ごと、語り継、がれなくして、我が国の糧に。
我が国の女神よ。
我が国の男神よ。
神に、天誅を。
杖を、杖を、薔薇の、バラの、バラ、の?
杖を、奪え。バラの、ば、バラの、杖を。
あの携えている、シルエットの、持つ杖を、杖、嗚呼、嗚呼、嗚呼、嗚呼、嗚呼、杖、杖を壊、せ。
バラ、の、杖を、壊せ。
何もかも、否定する、。
彼処へ、行かなければ。
集う森へ。
あの御方達が、待っている。
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