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祝子の囁きー茶と赤い花の咲く雨の日ー
しおりを挟む「……ああ、もうこんな時間でしたか。」
時が経つのは早いですね、とカレは笑った。
あなたと過ごしたからでしょうか、とも穏やかな声で付け加えた。
【SE】雨の降る音
それからふと外を見れば、雨がしとしとと降り始めたようだ。
代金を払い、早く帰って夕飯を作らなければ、とあなたは考えるだろう。
「今回はお代はいりません。
サービスです。
それから、これを。」
渡された紙袋には店のロゴが控えめに、それでも堂々と載っている。
黒猫が三日月に乗っている、特段不思議でもないロゴだ。
……それからそこに、書かれているのは「姿水」。
店名だろう、だが不思議に思い首を傾げた。
そういえば「看板」が見当たらなかったな。
そう首を傾げあなたは思う。
………なんでこの店内装の割に、繁盛してないの?
……それからふと、外を見た。
【SE】屋根に水が当たる微かな音と水が跳ねる音
………それだけなら何ら不思議ではないのです、ただ。
彼女の受けとった紙袋のロゴにあった『白馬』とピンク色の椿、『白いローブ』を着ている顔が見えない『女性』に『酷似』している光景が広がっているだけですね。
そう。
白馬と、ピンクの椿の花の横に、白いローブを着ており、顔が見えない女性が立っている。
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