27 / 100
黒の章
27.エピローグ
しおりを挟む
「で、遺跡調査に行ったはずが何故か主を倒して戻ってきました、か。」
笑いを含んだ声で言った組合長に、マリーが渋い顔をする。
「話を聞く限り、トウコとリョウの頭がイカれていなければ、君たちはここにはいなかったのだろうね。」
頭がイカれていると言われたトウコは、我関せずとばかりにマリーの隣で足を組んで煙草をくゆらせ、リョウはトウコの腰を左手で抱き、ソファにふんぞり返るように座って天井に向けて煙を吐き出している。
そんな2人を横目で見たマリーは諦めたようにため息を小さく吐くと応える。
「でしょうね。私も直接見ていたわけじゃないから分からないけど、2人はソフィアと戦っていた。厳密に言うと、ソフィアのことがそれぞれトウコとリョウに見えていて、その相手と戦っていた、かしらね。」
「見てねーだろーなぁ。お前、吹き飛ばされてただけだもんな。」
「ぐっっ・・・」
リョウの心底バカにするような口調の言葉に、マリーが言い返せず口ごもる。
「マリーはヒーラーだからな。」
「フォローになってないわよ、トウコ!」
3人を愉快そうに眺めながら組合長もまた煙草に火をつけると、一口吸って続ける。
「つまり、主は本気のトウコとリョウ相手に同時に戦っていたわけだ。相手の想い人の姿に見えている自分を君たちは殺せるわけがないと油断していたのだろうね。趣味の悪いことを思いつかなければ、君たちは殺されていたね。」
「たまたま運よく核を壊せただけだと思うけどな。そうじゃなかったら俺もトウコも殺されてたと思うぞ。」
「リョウが潰した瞳と、トウコが潰した心臓。君はどっちが核だったと思っているんだい?」
「さあな。両方ってこともあるかもしんねーぞ。」
「たぶん、瞳だ。」
「なぜそう思う?」
「私がリョウの胸を貫いても、まだリョウは私を殺そうとする素振りを見せたのさ。だから、首の骨を折って更にとどめを刺そうとしたら、急に風が吹いた。」
「聞きたくなかった・・・お前、俺の胸に風穴空けた後に、更にダメ押ししようとしてたのかよ・・・えげつねえ・・・」
リョウの呟きにトウコが鼻で笑う。
「トウコがリョウにとどめをさそうとする直前に、リョウがトウコの瞳を潰したってことだね。」
「人聞きの悪いこと言うんじゃねーよ。あのクソ女の瞳だろ。」
「どっちもどっちだわホントに・・。」
マリーが遠い目をしながら呟き、言葉を続ける。
「それにしても組合長。トウコを助けた謎の男は、本当にあなた知らないの?」
「断言するが、本当に僕は関与していないよ。あの遺跡に送ったのは君たち破壊屋だけだよ。」
組合長の言葉にトウコら3人は考え込むようにして黙った。
「道が塞がれる前に遺跡を脱出していたか、それとも本来の姿に戻った遺跡に飲み込まれたか・・・。トウコのことを知っている素振りを見せたのだろう?そのうちまた君たちの前に姿を現すような気がするよ、僕は。」
組合長の言葉に、即座にリョウが怒りと苛立ちを含んだ低い声で反応する。
「黙れ。」
そんなリョウのことを組合長は口元に微笑を浮かべて見やると、「君はバカだが、僕はそんなバカな君を気に入っているよ。」と言った。
トウコが少しリョウに体を寄せると、リョウは大きくため息を吐いてトウコの頭を撫でると体の力を抜いた。
そんな様子を見ていたマリーが「トウコもリョウの扱いがうまくなったわねぇ」としみじみ呟いた。
「さて、君たちの報酬だが、事前に契約していた遺跡調査の報酬に加えて、主の討伐報酬も上乗せするよ。遺跡が宝物庫に姿を変えていた場合の報酬に比べると、雀の涙だが遠慮なく受け取ってくれたまえ。主討伐おめでとう。」
組合長の笑いを含んだ言葉にマリーががっくりと項垂れ、リョウが天を仰ぎながら「あー俺とトウコは大金を手にして結婚してるはずだったのになー」と疲れた様子で呟いた。
そう、トウコとリョウが主を倒したあの後、遺跡は本来の姿を取り戻した。しかし、そこに宝物庫は現れなかったのだった。
「トウコ!リョウ!」
「大丈夫ですか!?」
マリーとヨシが2人に駆け寄りながら声をかける。仰向けに倒れている2人の姿を見たマリーが悲鳴を上げた。
「2人ともぼろぼろじゃないのよ!一体あの靄の中で何があったの!?」
トウコとリョウは起き上がりその場に座り、マリーとヨシを見上げる。
「説明はするから、とりあえず治療してくんねーかな。体中痛くてたまんねぇ。分かってる範囲では左腕と右の肋骨が折れてる。たぶん、他にも骨がいってるとこがあるはずだ。」
「私も頼む。見ての通りリョウに散々切り刻まれたからな。」
トウコの言葉にマリーが目を剥いて更に叫ぶ。
「どういうことなのよ!?リョウ何やってんのよ!」
「いてえ!骨折れてるって言ってんだろ!触るな!揺するな!おいトウコ!お前人聞きの悪いこと言うなよ!俺だけど俺じゃねーだろ!んなこと言ったら、俺の骨折ったのお前だぞ!」
キラキラと金色の粒子が舞い散る中、ぎゃあぎゃあと言い合っているとヨシが突然「あ」と声を発した。
次の瞬間、4人がいた広場が金色の光に包まれ、あまりのまぶしさに全員が目を閉じる。瞼の裏の光が収まったころ、恐る恐る目を開けるとそこには、宝物庫、ではなく何の変哲もない神殿があった。
「おい・・・。宝物庫はどこだ。俺とトウコの結婚費用はどこにあるんだ。」
「神殿ね。」
「神殿ですね。」
「・・・・死にかけた結果がこれかよ。報われねぇ・・・」
リョウががっくりと項垂れ嘆くように言った時、リョウの隣に座り込んでいたトウコが、
「限界だ。ただでさえ血が足りてないのにリョウに散々切られたせいで・・・魔力も枯渇寸前・・・悪い・・」とか細い声で言うと、そのままリョウの肩に倒れこんだ。
「あ!おい!いってえ!左腕にもたれかかるな!」
「トウコさん!?」
「気を失ったわね・・・。」
「マジかよ・・・。治癒してもしばらく目覚まさねーなこれ。ここからリカとの合流地点まで、担いでいくしかねーのか・・。コイツ重いんだよなぁ・・。」
リョウがトウコの頭を己の膝の上に乗せて寝かせながらウンザリした様子で呟くと、ヨシが驚きの声を上げる。
「えっ!トウコさん細いのに・・。」
「肉は胸以外そんなについてねーけど、鍛えてるからな。筋肉ついててて重いんだよ。」
「アンタそんなこと言ったってトウコにバレたら、また骨折られるわよ・・・。それに私が担ぐって言ってもどうせアンタ自分で担ぐんでしょ。」
「当り前だろバーカ。とりあえずトウコが先でいいからマリー治癒してくれよ。金目の物がなんもねえ、こんなしけた場所に長居したくない。とっとと帰ろうぜ。」
マリーが2人の治癒を終え、帰還の準備を整えた一行が神殿を出ていく。
「おいヨシ。俺はトウコを抱えてるし、俺ももう魔力が残りすくねえ。帰りに何か出たらお前がマリーと一緒に頑張れよ。」
「は、はい!頑張ります!荷物も遺跡と一緒に消えちゃいましたからね!荷物持ちじゃなくなった分、僕が戦います!」
「あぁ、ホントに疲れたわ・・。早く帰ってゆっくりお風呂に入りたい。」
「お前、吹っ飛ばされてただけで疲れてねーだろ。」
「おっおだまり!」
「マリーさんはヒーラーですから・・・!」
賑やかに騒ぎながら一行が神殿を出ていくと、後には静寂だけが残された。そこにカツンと足音が響く。
どこからともなく現れた濃紺の外套に身を包んだ男が、紫の瞳で神殿を見上げながら呟く。
「まずは1つ。」
笑いを含んだ声で言った組合長に、マリーが渋い顔をする。
「話を聞く限り、トウコとリョウの頭がイカれていなければ、君たちはここにはいなかったのだろうね。」
頭がイカれていると言われたトウコは、我関せずとばかりにマリーの隣で足を組んで煙草をくゆらせ、リョウはトウコの腰を左手で抱き、ソファにふんぞり返るように座って天井に向けて煙を吐き出している。
そんな2人を横目で見たマリーは諦めたようにため息を小さく吐くと応える。
「でしょうね。私も直接見ていたわけじゃないから分からないけど、2人はソフィアと戦っていた。厳密に言うと、ソフィアのことがそれぞれトウコとリョウに見えていて、その相手と戦っていた、かしらね。」
「見てねーだろーなぁ。お前、吹き飛ばされてただけだもんな。」
「ぐっっ・・・」
リョウの心底バカにするような口調の言葉に、マリーが言い返せず口ごもる。
「マリーはヒーラーだからな。」
「フォローになってないわよ、トウコ!」
3人を愉快そうに眺めながら組合長もまた煙草に火をつけると、一口吸って続ける。
「つまり、主は本気のトウコとリョウ相手に同時に戦っていたわけだ。相手の想い人の姿に見えている自分を君たちは殺せるわけがないと油断していたのだろうね。趣味の悪いことを思いつかなければ、君たちは殺されていたね。」
「たまたま運よく核を壊せただけだと思うけどな。そうじゃなかったら俺もトウコも殺されてたと思うぞ。」
「リョウが潰した瞳と、トウコが潰した心臓。君はどっちが核だったと思っているんだい?」
「さあな。両方ってこともあるかもしんねーぞ。」
「たぶん、瞳だ。」
「なぜそう思う?」
「私がリョウの胸を貫いても、まだリョウは私を殺そうとする素振りを見せたのさ。だから、首の骨を折って更にとどめを刺そうとしたら、急に風が吹いた。」
「聞きたくなかった・・・お前、俺の胸に風穴空けた後に、更にダメ押ししようとしてたのかよ・・・えげつねえ・・・」
リョウの呟きにトウコが鼻で笑う。
「トウコがリョウにとどめをさそうとする直前に、リョウがトウコの瞳を潰したってことだね。」
「人聞きの悪いこと言うんじゃねーよ。あのクソ女の瞳だろ。」
「どっちもどっちだわホントに・・。」
マリーが遠い目をしながら呟き、言葉を続ける。
「それにしても組合長。トウコを助けた謎の男は、本当にあなた知らないの?」
「断言するが、本当に僕は関与していないよ。あの遺跡に送ったのは君たち破壊屋だけだよ。」
組合長の言葉にトウコら3人は考え込むようにして黙った。
「道が塞がれる前に遺跡を脱出していたか、それとも本来の姿に戻った遺跡に飲み込まれたか・・・。トウコのことを知っている素振りを見せたのだろう?そのうちまた君たちの前に姿を現すような気がするよ、僕は。」
組合長の言葉に、即座にリョウが怒りと苛立ちを含んだ低い声で反応する。
「黙れ。」
そんなリョウのことを組合長は口元に微笑を浮かべて見やると、「君はバカだが、僕はそんなバカな君を気に入っているよ。」と言った。
トウコが少しリョウに体を寄せると、リョウは大きくため息を吐いてトウコの頭を撫でると体の力を抜いた。
そんな様子を見ていたマリーが「トウコもリョウの扱いがうまくなったわねぇ」としみじみ呟いた。
「さて、君たちの報酬だが、事前に契約していた遺跡調査の報酬に加えて、主の討伐報酬も上乗せするよ。遺跡が宝物庫に姿を変えていた場合の報酬に比べると、雀の涙だが遠慮なく受け取ってくれたまえ。主討伐おめでとう。」
組合長の笑いを含んだ言葉にマリーががっくりと項垂れ、リョウが天を仰ぎながら「あー俺とトウコは大金を手にして結婚してるはずだったのになー」と疲れた様子で呟いた。
そう、トウコとリョウが主を倒したあの後、遺跡は本来の姿を取り戻した。しかし、そこに宝物庫は現れなかったのだった。
「トウコ!リョウ!」
「大丈夫ですか!?」
マリーとヨシが2人に駆け寄りながら声をかける。仰向けに倒れている2人の姿を見たマリーが悲鳴を上げた。
「2人ともぼろぼろじゃないのよ!一体あの靄の中で何があったの!?」
トウコとリョウは起き上がりその場に座り、マリーとヨシを見上げる。
「説明はするから、とりあえず治療してくんねーかな。体中痛くてたまんねぇ。分かってる範囲では左腕と右の肋骨が折れてる。たぶん、他にも骨がいってるとこがあるはずだ。」
「私も頼む。見ての通りリョウに散々切り刻まれたからな。」
トウコの言葉にマリーが目を剥いて更に叫ぶ。
「どういうことなのよ!?リョウ何やってんのよ!」
「いてえ!骨折れてるって言ってんだろ!触るな!揺するな!おいトウコ!お前人聞きの悪いこと言うなよ!俺だけど俺じゃねーだろ!んなこと言ったら、俺の骨折ったのお前だぞ!」
キラキラと金色の粒子が舞い散る中、ぎゃあぎゃあと言い合っているとヨシが突然「あ」と声を発した。
次の瞬間、4人がいた広場が金色の光に包まれ、あまりのまぶしさに全員が目を閉じる。瞼の裏の光が収まったころ、恐る恐る目を開けるとそこには、宝物庫、ではなく何の変哲もない神殿があった。
「おい・・・。宝物庫はどこだ。俺とトウコの結婚費用はどこにあるんだ。」
「神殿ね。」
「神殿ですね。」
「・・・・死にかけた結果がこれかよ。報われねぇ・・・」
リョウががっくりと項垂れ嘆くように言った時、リョウの隣に座り込んでいたトウコが、
「限界だ。ただでさえ血が足りてないのにリョウに散々切られたせいで・・・魔力も枯渇寸前・・・悪い・・」とか細い声で言うと、そのままリョウの肩に倒れこんだ。
「あ!おい!いってえ!左腕にもたれかかるな!」
「トウコさん!?」
「気を失ったわね・・・。」
「マジかよ・・・。治癒してもしばらく目覚まさねーなこれ。ここからリカとの合流地点まで、担いでいくしかねーのか・・。コイツ重いんだよなぁ・・。」
リョウがトウコの頭を己の膝の上に乗せて寝かせながらウンザリした様子で呟くと、ヨシが驚きの声を上げる。
「えっ!トウコさん細いのに・・。」
「肉は胸以外そんなについてねーけど、鍛えてるからな。筋肉ついててて重いんだよ。」
「アンタそんなこと言ったってトウコにバレたら、また骨折られるわよ・・・。それに私が担ぐって言ってもどうせアンタ自分で担ぐんでしょ。」
「当り前だろバーカ。とりあえずトウコが先でいいからマリー治癒してくれよ。金目の物がなんもねえ、こんなしけた場所に長居したくない。とっとと帰ろうぜ。」
マリーが2人の治癒を終え、帰還の準備を整えた一行が神殿を出ていく。
「おいヨシ。俺はトウコを抱えてるし、俺ももう魔力が残りすくねえ。帰りに何か出たらお前がマリーと一緒に頑張れよ。」
「は、はい!頑張ります!荷物も遺跡と一緒に消えちゃいましたからね!荷物持ちじゃなくなった分、僕が戦います!」
「あぁ、ホントに疲れたわ・・。早く帰ってゆっくりお風呂に入りたい。」
「お前、吹っ飛ばされてただけで疲れてねーだろ。」
「おっおだまり!」
「マリーさんはヒーラーですから・・・!」
賑やかに騒ぎながら一行が神殿を出ていくと、後には静寂だけが残された。そこにカツンと足音が響く。
どこからともなく現れた濃紺の外套に身を包んだ男が、紫の瞳で神殿を見上げながら呟く。
「まずは1つ。」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
公爵家の秘密の愛娘
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。
過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。
そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。
「パパ……私はあなたの娘です」
名乗り出るアンジェラ。
◇
アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。
この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。
初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。
母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞
🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞
🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇♀️
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さくら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる