常世の彼方

ひろせこ

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青の章

11.孤児院

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翌朝。
いつもより早く起きた一行は、奉仕活動のために孤児院へ向かっていた。都市内にはいくつもの孤児院があるが、トウコたちが割り当てられた孤児院はスラムにほど近い4区の端にあった。
トウコたちの家からは歩くと1時間以上かかるが、街中を走っている乗合馬車を使えばその半分の時間で到着できる。
だが、トウコたちは指定された時間の2時間前に家を出ていた。
なぜならば。

「忌み子なんて乗せられるか。歩け!」

馬車の御者から投げかけられた言葉にマリーはため息を付き、トウコは肩を竦めた。リョウは無表情だ。既に馬車に乗り込んでいる乗客は、御者同様にトウコを忌々し気に見ている者がほとんどで、残りは厄介事に関わるのはごめんだとばかりに目を逸らし、不憫そうにトウコを見ているのはごく僅かだ。
馬車の周りで成り行きを見守っている者たちも同じようなものだった。どちらにせよ、御者を諫めてくれる者はおらず、仮にいたとしても御者の態度からトウコが乗り込むことは不可能だろう。

「分かったわ。騒がせて悪かったわね。行きましょう。」
トウコたちはその場を離れ歩き出した。
トウコが苦笑しながら言う。
「やっぱりこうなったな。」
「たまに気にしない御者に当たると乗れるけど、今回はダメだったわね。」
「御者が気にしなくても他の客が拒否すればどうせ乗れないけどな。」
トウコが乗車を拒否されることは当たり前で乗れることの方が稀だったため、今回も乗れないことを想定して2時間前に家を出たのだった。
「2人ともすまないね。」
トウコが謝ると、煙草に火をつけていたリョウが不愉快そうに顔を顰める。
「お前が悪いわけじゃねぇ。いちいち謝るな。癪に障る。」
リョウはそのまま歩調を速め、トウコとマリーを置いて先に行ってしまった。
マリーがそれを見て少しため息を付き、次いでトウコを見ると「リョウの言う通りよ。あなたが謝る必要はないわ。」と言い、トウコの背を押してリョウの後を追った。

30分ほど歩いた時、一行の後ろから魔導車の警笛と共に声が掛けられた。
「よーよーよー!破壊屋!久しぶりだな!」
見ると、赤みがかった金髪に少しくすんだ青い目をした男―アレックスが運転席の窓から身を乗り出して手を振っていた。
「あら、アレックス久しぶりね。この間の護衛の時以来かしら?」
「そうだな!あんときゃトウコもリョウもキレて大変だったなぁ!」
豪快に笑ったアレックスはトウコとリョウを見ながら言葉を続ける。
「もうあんな夫婦喧嘩はすんなよ?すんなら死の森あたりでやれや。」
その言葉にトウコが苦笑しながら「あの時は悪かったね。」と言い、リョウは面白くなさそうに顔を背け、その様子をハラハラしながらマリーが見ていた。

「ところで、お前らなんでこんなとこ歩いてんだよ。今日は奉仕活動だろ?どこ行くんだ?」
「4区の外れ。スラムの方にある孤児院よ。」
「ここからだとまだ1時間以上あるじゃねーか。」
「乗合馬車に乗車拒否されたのよ。」
マリーが肩を竦めて言うと、アレックスは豪快にまた笑った。
「そりゃ災難だったな!お前らもいい加減に魔導車買えよ。俺たちより稼いでるだろ?俺たちはスラムで炊き出しだ!なんなら乗ってくか?」

その言葉に、魔導車に乗っていたアレックスの仲間のうち、トウコのことをずっと胡乱な目で見ていた者たちが途端に顔を顰める。その者たちの頭を他の仲間たちが叩いた。
それを目ざとく見ていたマリーが肩を竦めて、「ありがたい申し出だけど、遠慮しとくわ。」とアレックスの申し出を固辞した。
マリーの言葉に一瞬不思議そうな顔をしたアレックスだったが、後ろを向くと「なんだお前ら。玉がちっちぇえやつだなぁ!そんなんだから女にモテねーんだよ!」と仲間たちを一喝する。
「アレックス、いいさ。時間には余裕があるから。乗せてもらうと予定時間よりだいぶ早く着いちまうからね。ありがとよ。」
トウコがアレックスを宥めると、アレックスは眉を少し下げ申し訳なさそうに言った。
「すまねえなあ。こいつら頭が固くってよ。今度飲みにでも行こうぜ!詫びに一杯奢ってやるよ!じゃあな!」
最後はまた豪快に笑いながら手を振り去って行った。顔を顰めた者たちを諫めていた数人もまた、トウコたちに手を振っているのが見えた。
それらを見送ってまたトウコたちは歩き出した。

予定時間より少し前に孤児院に着いた。
孤児院は想像していたより綺麗で、きちんと管理されているようだった。
「トウコ、良かったな。蜘蛛もムカデも出なさそうだ。」
リョウの言葉にトウコは真顔で頷く。
孤児院の前は広場になっており、そこで多くの子供たちが遊んでいるのが見えた。一行が門をくぐり敷地内に入ると、遊んでいた子供たちの視線が一斉に集まる。
すぐにその中から、1人の男性がこちらに歩いてきた。

「奉仕活動ですね。今日はよろしくお願いします。私はここで子供たちの面倒を見ているシオンと言います。他にも数名面倒を見ている者がおりますので後で紹介しますね。」
薄い茶色の髪で濃い青の瞳の優しそうな顔をした男が穏やかに一行を見ながら挨拶する。
マリーも挨拶を返し、トウコとリョウを紹介する。
「あなたがトウコさんですね。一度お会いしたいと思っていました。実はここにも1人、色を持たない子がいるのです。」
「…そうか。」
「お時間があれば会ってやってください。」
それだけ言うと、男は孤児院の中へ3人を案内するように歩き出した。

孤児院の応接室へと通された3人はそこで他のスタッフを紹介された。皆、穏やかで優しそうな雰囲気をしていた。
応接室の周りには子供たちが集まっており、興味津々の顔で覗き込んでいる。マリーがそれを見て楽しそうに手を振り、子供たちが歓声を上げて手を振り返す。
リョウはその様子にあからさまに顔を顰め、トウコは子供たちを見なかったように目を逸らした。
シオンはそんな3人を見て微笑むと、マリーには広場で子供たちの相手を、リョウとトウコには孤児院の修繕を依頼した。
マリーが応接室を出るとすぐに子供たちに纏わりつかれていた。1人を肩車し、両腕に1人ずつ子供を抱え、腰に数名の子供をぶら下げたマリーが、「いい!?子供たちが近づいてきても邪険にするんじゃないわよ!2人とも顔が怖いんだから、少しでも口角をあげなさい!?いいわね?!」と言い、足元に纏わりつく子供たちを引き連れて広場の方へと歩いて行った。
「いいパパになるな、ありゃ。」
「ママよ!って怒られるぞ。」
リョウの呟きにトウコが苦笑する。
その後、2人はそれぞれ別のスタッフに案内され修繕場所へと向かった。

トウコが案内されたのは、孤児院の裏手だった。いくつかの窓の木枠が外れかかっているので修理して欲しいと言われ、トウコは渡された道具を手に作業に取り掛かった。
孤児院の裏手は小さな林のようになっていて、木漏れ日が差し込む気持ちのいい場所だった。
表から聞こえてくる子供たちの歓声とマリーの声を聞きながら、トウコは作業を進めた。

トウコが2つ目の窓の修繕に差し掛かった時、後ろから声が掛けられた。
「あなたがトウコさん?」
その静かな透き通った声に振り替えると、そこには真っ黒な髪に真っ黒な瞳の少女がスケッチブックを手に立っていた。
年のころは16、7だろうか。少女は透き通るような白い肌で、少し潤んだ大きな黒い瞳は長い睫毛に縁取られている。黒い髪は豊かに盛り上がった胸元まで緩くウェーブしながら伸ばされている。簡素な白いワンピースを着ているが、それがまた彼女の均整の取れた体を際立たせていた。
「私はルリ。はじめまして。」
「ああ…はじめまして。私の事を知っているのか?」
トウコの言葉にルリは少し可笑しそうに笑う。
「あなたのことを知らない色無しはこの街にはいないわ。あなたは有名人だもの。」
「そうか。」
「そうよ。」
トウコはそのまま何も言わずにルリに背を向けると、また修理に戻った。ルリはトウコから少し離れた場所に腰を下ろして壁にもたれ掛ると持っていたスケッチブックを開いた。

トウコが次の窓枠に手を掛けた時、ルリが静かにスケッチブックを閉じてトウコの方に顔を向けた。
「私ね、もうすぐここを出るの。ここには15歳までしかいられないから。16歳になった私はここを出て娼婦になるの。」
「そうか。」
「そうよ。私は魔力が全然ないから。組合員にもなれないわ。まぁ組合員になってゴミ拾いしてもいいけれどね。それじゃ暮らしていけないわ。だから娼婦になるの。」
「そうか。」
「私って美人でしょう?」
「そうだな。今まで見た色無しの中でも一番綺麗かもしれない。」
「そうね。みんなそう言うわ。だから私きっと売れっ子になると思うの。私を買ったお店も高級なとこなのよ。酷い扱いはされないわ。」
「そうだな。」
「ねえ。そんな私を不幸だと思う?」
「思わない。」
「そう。」
「ああ。」
「そうね、私も不幸だなんて思ってないわ。私、これでも幸せなのよ。」
「そうか。」
「ええ。街に出たら石を投げられたり、酷い言葉を掛けられたりするけど、ちゃんと友達だっているわ。優しくしてくれる人もいる。私は独りじゃないもの。だから幸せよ。」
トウコは何も言わずに手を動かした。
「ねえ。あなたは幸せ?」
「…そうだな。」
「でも、とても寂しそうだわ。何故?」
その言葉にトウコはルリを振り返った。
静かでどこまでも見通すような黒い瞳がトウコを真っ直ぐに見ていた。
「あなたも私と同じでしょう?酷い言葉を掛けられたりするでしょう?この世界の理不尽さを恨むこともあるでしょう?でも独りじゃないはずよ。友達もいるはずだわ。広場で小さい子たちと遊んでくれているのはあなたのお友達でしょう?」
そこで言葉を切ったルリは、トウコの後ろを見ながらまた言葉を続ける。
「…ねえ、あの人はあなたの恋人?」

ルリの視線を追ってトウコが振り返ると、少し離れた木の陰にリョウが腕を組んでもたれ掛っているのが分かった。
木漏れ日を浴びて佇むリョウは、少し白みがかった金髪の上で光が跳ね、この世界に祝福されているように感じられたが、しかし、リョウ自身がそれを疎んでいるようにトウコの目には映った。
「あいつ…。」
「あの人、少し前からあそこにいるのよ。きっとあなたの事を見守っているのね。優しい人ね。でも、あの人も寂しそうだわ。」
「そうか。」
「ええ。とても寂しそう。そして悲しそうだわ。」

ルリは口を閉じ、またスケッチブックを開いて手を動かし始めた。トウコもまた修理に戻った。

トウコが最後の木枠の修理を終え道具を片付けると、ルリもまたスケッチブックを閉じ立ち上がった。
ルリが静かに近づいてきて、おもむろにトウコの右手を両手で取った。
「私、あなたのことに憧れていたの。色無しだけど力があって強い人だと思っていたの。でもあなたに会って分かったわ。あなたも私と同じだわ。力はあるけど同じ。勝手に憧れてごめんなさい。ねえ。この世界を諦めないで。拒絶しないで周りを見て。独りでは誰も生きていけないもの。」
ルリが少し微笑みトウコの手を握る手に少し力を籠める。
「またお話ししてくれる?」
「…ああ。」
「今度は孤児じゃなくて、娼婦になった私とお茶しましょう。」
「そうだな。楽しみだ。」
「ふふ。またね。」
ルリは嬉しそうに笑い、トウコの後ろに視線を投げるとそちらにも笑いかけ小さく手を振ると、トウコにも手を振って去って行った。

トウコはルリの背中を見送ると、振り返ってリョウの元へと歩いて行く。
「何さぼってるんだ。」
「とっくの昔に終わったんだよ。お前がおせーんだ。」
「そうか。悪い。」
「何話してたんだ?」
「…叱られた。とても綺麗で強い子だった。」
「戻るか。」
「うん。」
リョウが先に歩き出し、トウコがその後を追う。トウコは少し逡巡した後、右手を伸ばしてリョウの左手を取った。少し驚いた様子を見せたリョウだったが何も言わずにトウコの手を握り返した。
そのまま2人は何も話さず、木漏れ日の中を静かに歩いた。
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