常世の彼方

ひろせこ

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青の章

12.人質

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 神殿から帰還してからというもの、肌を重ねるたびにトウコの身体のどこかしらに噛みつくようになったリョウが、この日もまたトウコに歯形を残し静かに扉を開けた。
これもまた、昔からそうだったかのように習慣となってしまった呼びかけが今夜も行われる。
「リョウ。」
トウコの言葉に振り向くことなく足を止めたリョウの背中に、だがいつもと違って少し躊躇いがちな声が投げられた。
「…ここにいて欲しい。」
その言葉に小さく息を飲んだリョウが僅かに逡巡した後、扉を閉めた。そのまま静かにトウコに向き合うように体を横たえると、そのままそっと抱き締め、小さくため息を吐いた。
「マリーに何か言われたのか?」
「…マリーには宿題を出された。でも、ルリのお説教がちょっと効いた。」
「ルリ?」
「孤児院の色無しの子。」
「ああ…。何て言われたんだ?」
トウコからの返答がなく、リョウが少し体を離してトウコの顔を覗き込むとトウコはすでにうつらうつらしていた。
「…最近よく眠れなくて。今日はなんか寝れそうだ…。おやすみ…。」
そういうとすぐにトウコは寝息を立ててしまった。
「俺だって寝れてねーよ。このクソ女。」

リョウの寝息もまたすぐに聞こえてきた。


翌朝トウコが目を覚ますと、リョウの姿はなかった。
既に冷めてひんやりとしたシーツを指でなぞると、久しぶりに良く寝たせいかすっきりした頭でトウコはリビングへと降りた。
「おはよう、リョウはさっき出掛けて行ったわよ。」
「そうか…。私も今日は出掛けようかな。」
「そうなの?まだ第4都市の軍がうろちょろしてるから出ない方がいいんじゃない?また絡まれるわよ。リョウもそれを心配してるし、間違いなくあいつ怒るわよ。私も一緒に行けたらいいんだけど、今日は私ちょっと用事があるのよね…。」

孤児院での奉仕活動から1週間、神殿から帰還してから1か月が経った。
第4都市から来ている軍の上層部が視察の名目で3区以西の区に度々出てきているらしく、そのための警備強化のせいで街中には第4、第16に関わらず軍人が多く配置されていた。
トウコは既に数回職務質問を受けており、その度に謂れのない嫌疑を掛けられたり罵倒されたりしていた。トウコはそれを厭い、リョウもまた軍とトウコを接触させたがらなかったため、トウコはここしばらくまともに外に出ていなかった。

「そうは言っても、この1か月ほとんど家の中だ。まともに外出したのは孤児院ぐらいなもんさ。家にいるのも飽きた。それに、この間の神殿でグローブが壊れたから新しいのを買いたい。買ったらすぐ帰るよ。」
「んもう、しょうがないわねぇ…。リョウにバレる前に帰って来なさいよ。」
「小さな子供みたいだ。分かってるよ。」

その後、トウコは外出したがマリーとの約束通り新しいグローブだけを買うとすぐに帰路についた。朝食を食べてすぐに出かけたため、まだ昼にもなっていない。
これならリョウが戻るまでに十分家に帰れるなと思っていたその時、静かにトウコの横に3台の魔導車が止まった。
すぐに前と後ろの魔導車からBDUを着こんだ軍人らしき男たち4人が車から降りてきてトウコを取り囲む。それを見ていた市民らが巻き添えにならないよう蜘蛛の子を散らすように逃げ行った。
トウコが静かに軍人を見据えていると、中央の魔導車の後部座席の扉が開いた。
「トウコさんですね?突然すみません。ですが乗ってください。」

トウコが目だけを声の方に向けると、第4都市の軍の制服を着た、褐色の肌に茶が強い金髪に綺麗な青の瞳をしたトウコと同じ20代前半の男が車内からこちらを見上げて微笑んでいた。
「手荒なことをしないとお約束します。ですから、どうぞ。」
男は微笑んだまま、だがしかし有無を言わせない口調で続け、自分の隣の座席を手で指し示す。
外出がバレること、そして何よりもこの男に出会ってしまったことでリョウが激怒する未来に内心ため息をつきながら、無表情で男の隣に滑り込んだ。
男たちが外から扉を閉めると、すぐに魔導車は走り出した。
「2区に私が宿泊している宿があるので、そちらに移動します。詳しいお話はそこで。」
男はそれだけを言うと口を閉じ、トウコもまた何も言わず己の迂闊さを心底呪いながら流れゆく外の景色を見ていた。

3区と2区を隔てる壁には検問所がある。通常ならばここを通る人間は全て身元の照会が行われるが、トウコの乗っている魔導車は窓すら開けられることはなかった。前を走る1台が検問所の兵士に何か渡すと、兵士はトウコの乗っている魔導車に一礼した。そのまま3台の魔導車は2区へと入った。

2区へと入ると街並みはガラリとその色を変える。
3区より西は、大勢の人種が道を行き交い、壁も屋根も色も形も全てがばらばらだ。見る者によっては人々の生活の営みが如実にあらわれた活気に溢れた場所に見えるが、その一方で、無秩序で猥雑、人々の欲望がむき出しになった混沌とした場所にも見えるだろう。
2区を色で表すならば白。それは街を貫く道路も、家の壁も全て白で統一されているということもあるが、人通りはまばらで都市計画に沿って道路が敷かれ整然と建物が並ぶ様は、どこか無機質でトウコにはそれが白に感じられた。
熱気と喧騒にあふれた街の中にいると、この世界に取り残されたような心細さをトウコは感じたが、2区の無機質な街並みの中では己は異質な存在でもっと疎外されているように思われた。

2区に入ってしばらく進むと建物の高さが徐々に高くなってきた。3区より西の区では平屋建てもしくは2階建ての家が多く、豪商などの家や店になると3階や4階建てもあるにはあるがさほど多くはない。
2区では3、4階建ては当たり前のようだった。やがて、魔導車はひときわ高い―10階建ての建物へと到着する。そのまま裏手へと魔道車は進み、裏口と思われる場所に着くとすぐに外から兵士が扉を開ける。
トウコが降りて辺りを見渡していると、男が隣に立った。
「裏口で申し訳ありません。ですが、あなたを正面玄関から案内すると騒ぎになりますので、ご容赦ください。では、行きましょう。」
男がそう言うとBDUを着た兵士が2人を囲むように配置に付き、2人は兵士に囲まれて進んだ。

トウコはホテルの高層にある部屋に入ってすぐの場所、恐らくリビングである部屋に通された。
部屋は品の良い落ちついた調度で設えられており、中央にソファとテーブルの応接セットがあった。部屋には出入口とは別に扉が3つあり、それぞれ寝室とトイレやバスルームに繋がっているのだろうとトウコは考えた。
「どうぞ、そちらにお掛けになってください。」
男が奥のソファに座りながら、トウコに正面のソファに座るよう促す。トウコがソファに深く腰掛け足を組んで座り、すぐに煙草を取り出し咥えると火をつける。
その様子を見ていた兵士が少し殺気だったが、男はそれを視線で制した。
「何かお飲みになりますか?コーヒーでも?」
トウコが何も答えずにいると、男は兵士に目で合図した。やがて、琥珀色の液体が少し入ったグラスが男とトウコの前に置かれる。
「僕は少し飲みたい気分ですので、よかったらトウコさんも付き合ってください。」
男はそう言いグラスを手に取ると、中の液体を少し口に含んだ。

「さて…。強引にお連れしてしまったことをお詫びいたします。はじめまして、トウコさん。私はシュウ。シュウ・キサラギと言います。」
男―シュウが青の瞳で穏やかにトウコを見つめる。
真正面から改めてみたシュウの顔は、どことなくリョウに似ていた。リョウの顔から険をなくし、酷薄で嗜虐的な目元を穏やかにさせるとこんな顔になるのかもしれないとトウコは思った。
しかし、そんなことはおくびにも出さずに、トウコは無言でシュウの目を真っ直ぐに見つめたまま煙草の煙を吐き出した。
また後ろに控えている兵士が苛立ったように身じろぎする。
それには構わず、トウコはシュウに挑発的な視線を向け、尊大な口調で問うた。
「第4都市の軍の高官が、色無しの私に何の用だ?」
「あなたにリョウのことを教えて欲しいのです。」
トウコはシュウを見据えたまま煙草を深く吸い煙を吐き出す。
「まず、はっきりさせておこう。お前の言うリョウと私が知っているリョウ。それは同じなのか?」
「私は同じだと思っています。」
「私はただのリョウしか知らない。」
「そうですか。リョウ・キサラギについては知らない…ということですね。」
「そんな男は知らない。」
「そうですか。残念です。」
特に残念ではなさそうな声でシュウは言い、言葉を続けた。
「では、少し昔話を聞いていただけますか?」
「興味がないな。」
「はは。それはそうですね。…私はこの数年間リョウ・キサラギを探し続けていました。先日ようやく見つけたのですよ。あなたと歩く彼を。」
シュウは琥珀色の液体をまた少し口にする。
「失礼ですが、あなたのことを調べさせていただきました。そしてあなたの側にリョウという男がいることが分かった。」
トウコは相変わらず尊大な態度で煙草を吸っている。
「数回、彼に接触しようとしたのですが上手くいきませんでした。あなたと彼の住む家も分かっています。ですので、強硬手段に出ようと思えば出られるのです。しかし、私はそうはしたくない。そうすると、リョウ―リョウ・キサラギという男は完全に私の前から姿を消すでしょう。」

シュウはそこで言葉を切り、「私にも一本頂けますか?」と少し笑いを含んだ声で聞いていた。トウコが煙草の箱を投げてよこすと、シュウは1本抜き取り火をつける。煙草の箱をテーブルの上に置くとトウコの方へ静かに押しやり、煙をうまそうに吐いた。
「私の婚約者は煙草が嫌いでしてね。禁煙しているんですよ。」
シュウは深く煙草を吸って煙を吐き出すと、静かに立ち上がるとトウコを冷たく見下ろした。
腰から魔導銃を抜いたシュウがトウコの頭に魔導銃を突き付ける。

「あなたを人質に取れば、リョウ・キサラギはどうするでしょうか?」

同時にトウコの後ろに控えていた兵士らもまた、トウコの後頭部に魔導銃を付き付けた。
4丁の魔導銃を突き付けられたトウコはしかし、眉1つ動かさずに煙を吐き出すと、口元を不敵な笑みに歪ませた。
「決まっている。リョウ・キサラギは何もしない。当然だろう?その男と私は面識がないんだ。そんな子供でも分かるようなことが理解できない頭でも、第4都市では軍の高官になれるんだな。」
トウコの後頭部に押し付けられている銃口の圧が更に強まる。

トウコとシュウはしばらくそのままにらみ合っていたが、シュウが少し体の力を抜いて微笑む。魔導銃を納めソファに腰かけると、後頭部に付き付けられていた3丁も下げられた。

「…兄が、あなたのことを大切にする理由が分かる気がします。」

トウコは何も言わずに2本目の煙草に火をつけた。
トウコとシュウがお互い何も口を開かず、静かな時間がいくらか過ぎた時。
突然、部屋の扉が開き1人の女が駆け込んできた。女はシュウの側まで来るとトウコを見つめる。
「シュウ!その人が…リョウの?」
女はシュウと同じ第4都市の軍の制服を着ており、トウコと同じか少し下くらいの年頃で、綺麗なウェーブの掛かったプラチナブロンドの髪を腰まで伸ばし、瑠璃色の瞳が輝く顔は甘い砂糖菓子のように可愛らしかった。
トウコは女を一瞥すると興味を失ったかのようにすぐに目を逸らし、またシュウの顔を見る。
シュウは少しため息をついて女を諫める。
「何故ここへ来た?ここには来るなと言っておいただろう?」
「で、でも…。」
「トウコさん、大変失礼しました。彼女はアリア・パーソンと言います。彼女もまたリョウ・キサラギの関係者です。アリア、いいからこの部屋を出ていくんだ。」
シュウが兵士に目配せし、兵士がアリアと呼ばれた女を部屋の外へ出そうと動く。しかし、アリアは兵士に促されながらも、トウコに向かって唇を少し震わせながら言った。
「私、リョウの、リョウの婚約者です!リョウに会わせて!」
トウコはアリアには見向きもせず、目の前に置かれたグラスを手に取ると琥珀色の液体を一気に喉に流し込み、シュウに向かって口を開く。
「何度も言うが。私は、リョウ・キサラギ、という、男を、知らない。」
強調するように言葉を区切ったトウコに、アリアが少し苛立った視線を向ける。
「でも…!」
「やめるんだアリア!トウコさん失礼しました。今日はここまでにしましょう。元の場所までお送りします。」
「私も行きます!」
「ダメだ。」
即座に一蹴されたアリアは項垂れ、兵士に伴われて部屋の奥へと連れて行かれる。しかし、部屋の扉が閉まる間際にトウコを振り返ると「リョウに会わせて。」と呟いた。
トウコはそちらを見向きもしなかった。

シュウと共に再び3区まで戻る車内で2人の間に言葉はなかった。
魔導車に乗せられた場所に到着し、開けられた扉から出ようとトウコが足を外に出した時、トウコの背中にシュウのつぶやきが落ちた。
「私が着ているこの制服。本来であれば兄が着ていました。私なんかよりもずっと似合っていたことでしょう。彼の髪の色と瞳の色には、ね。」
トウコは何も言わずに降り、すぐに魔導車は動き出した。
トウコはその場にしばらく佇んでいたが、魔導車が見えなくなると猛烈な勢いで走り出した。
トウコにしては珍しく焦った表情で呟きながら走り続ける。
「今何時だ!ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ!」

トウコが家に着いた時は日が沈む間際だった。
息を切らせてリビングに飛び込んできたトウコを見てマリーが叫ぶ。
「トウコ!こんな時間まで何してたのよ!とっとと帰ってくるって約束したでしょう!?」
「リ、リョウは…?」
「まだ帰ってないわよ!んもう!ハラハラしたわ!私まで殺されると思ったわよ!」
マリーの言葉にトウコはその場に安堵したように崩れ落ちた。
「ま、間に合った…。もう絶対にダメかと思った…。」
「ねえ、アンタ買ったものはどうしたの?」
トウコは自分が手ぶらであることに気付き、愕然とした表情をする。
「ホント何してたのよ…?アンタもうホントにしばらく外出禁止よ!!」
トウコはリビングの床に仰向けに寝転ぶと、頭を抱えて呻いた。
「最悪だ。もう当分外には出ない…。」

しかし、トウコはそれからすぐ家の外どころか、第16都市から出ることになる。
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