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青の章
14.砦
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トウコたちの国の北部は大森林と呼ばれる魔物が跋扈する森が広がっている。第16都市の西に広がる死の森ほど強力な魔物は存在しないが、死の森よりは広範囲に、それこそ国を覆うように広がっているため、大森林を見張る目的で築かれた砦が等間隔に存在しており、それらは全て軍の管轄下に置かれていた。
そのうちの1つである第16都市の北東、魔導車でおよそ3日の距離にある砦に、トウコたちは軍の人員輸送式魔導車の中でBDUを着て武装した兵士たちに囲まれるようにして向かっていた。
本来、砦はそこから1番近い都市の軍の管轄に置かれる。そのため、トウコたちが向かっている砦は第16都市の軍管轄下のはずであり、何故第4都市の軍に伴われているのか、様々な疑問とそれに対する解答もまた恐らくは持ち合わせていたが、それらを全て飲み込んでトウコたちは輸送車の揺れに身を任せていた。
都市を出発して既に2日が経過していた。
何度か魔物の襲撃はあったものの、全て兵士が撃退しており一行は黙って座っているだけでよかった。
神殿から帰還して後、不機嫌だったリョウの機嫌は3人が出会ってから1番の低飛行を続けており、ほとんど言葉を発しない。
当初マリーは祈るような視線をトウコに向けていたが、トウコはその視線を全て無視し、リョウの隣に静かに座っていた。リョウはそんなトウコを忌々しそうにしていたが、それでもトウコが側を離れようとすると睨み付け、休憩で輸送車を降りた時も兵士たちから向けられる侮蔑の視線からトウコを守るようにトウコの側にい続けた。
マリーはそんな2人の様子を心配そうに見続け、やがてなるようにしかならないと腹を括った。
2日目の夜。
最後の野営地点に着き、輸送車を下ろされた一行は用意された天幕の中で過ごしていた。相変わらず会話はなくどこかぎこちない雰囲気の中、マリーとトウコは寝転がり本を読んでいる。リョウもまた体を横たえて目を閉じてはいるが、寝ているわけではないようだった。
そのまま時が過ぎ、マリーが「そろそろ寝ましょうか。」と言った時、リョウが目を開けて体を起こした。
「トウコ。」
トウコの名を呼ぶとそのまま天幕の外へ出て行ったリョウを追い、トウコもまた外へと出て行く。
マリーは天幕の外に手を合わせると、毛布をかぶって目を閉じ、また手を合わせた。
トウコが天幕の外へ出ると、リョウが少し離れたところでこちらに背を向けて夜空を見上げて立っていた。辺りにはトウコたちと同じ天幕が複数張られており、いくつか炊かれた篝火の周りには不寝番の兵士が座っているのが見えた。
トウコも夜空を見上げてみたが、星1つ出ておらず墨で塗りつぶしたような暗黒が広がっているだけだった。
トウコはリョウに近付くと、そっとその右手を取った。
リョウは何も言わないままトウコの手を少しだけ握り返すと、不寝番の兵士がいるのとは逆の方向、暗闇が広がる方へと静かに歩き出した。
少しの衝撃で手が離れそうになる危うい均衡を保ったまま、無言で歩いていた2人だったが、唐突にリョウが足を止めるとトウコに背を向けたまま口を開いた。
「お前は…。お前は過去を清算しろと言ったが、俺にどう清算して欲しいんだ?」
トウコは少し笑い、俯いて答えた。
「その問いはずるいな。お前の過去だ。お前の好きにしたらいい。」
その答えにリョウが握っていたトウコの手を強く握りしめ、振り返ってトウコを睨みつける。その顔は怒りに満ちていたが、青の瞳は悲しみと寂しさの色に染まっていた。
「お前、この期に及んでまだそんなこと…!」
リョウの言葉を遮るようにトウコが言葉を重ねる。
「以前の私ならそう言っていたと思う。でも。」
トウコが顔を上げ真っ直ぐに紫の瞳でリョウを見た。
「私は過去を清算したお前の隣にこれからもいたい。」
リョウの瞳が揺れ、強く握りしめていた手が緩められる。
「…そうか。」
「うん。」
「お前変わったな。」
「以前より数倍むかつくだろう?」
「ああ。死ぬほどむかつく。でも。」
「でも?」
「悪くない。」
その時、兵士2人、魔導銃を構えながら2人に天幕に戻るよう警告してきた。2人は軽く右手を上げて兵士に合図すると、しっかりと手を繋いだまま静かに戻った。
翌朝、3人は再び兵士に囲まれて出発した。
出発して3時間ほど経ったとき、唐突にトウコがリョウに話しかけた。
「砦ってどのくらいの大きさなんだ?」
「それなりにデカいぞ。今はそんなに詰めてないだろうが、有事の際には1000人以上は詰められるようになってるしな。都市と同じで塀の中に畑があるぞ。」
「へえ。想像してたより大きそうだ。行ったことあるのか?」
「覚えてねーけど、ガキの頃にいくつか砦は回ったから行ったことあるかもしんねーな。」
リョウの言葉に幾人かの兵士が身じろぎする。それを見てマリーが少し呆れたように言う。
「ねえ、あんたたち。なんか吹っ切れたみたいに話してくれちゃってるけど、私は事情を知らないのよ。巻き込まないでちょうだい。」
その言葉にリョウが鼻で笑う。
「既に巻き込まれてんじゃねーか。それにお前も見当ついてんだろ。もう一緒だ一緒。」
「あっそ。…ところでやっと仲直りしたの?」
その言葉にトウコがきょとんとした顔をし、それを見たリョウが口の端を釣り上げて少し意地悪な口調で答える。
「いや、まだだな。俺はこいつにまだ謝ってもらってねぇ。」
リョウに頭を乱暴に撫でられながらトウコが口を開こうとした時、輸送車が止まった。ハッチが開き、「降りろ。」という言葉が3人に投げられる。
その瞬間、リョウの顔つきが硬く冷たいものへと変わった。
トウコは口を閉じ、輸送車を降りた。
降りると、今しがたそこを通ってきたのであろう砦の門が、ガラガラという音と共に鉄製の落とし格子が降ろされて閉じられようとしているのが見えた。白みがかった茶色の石で組み上げられた高い幕壁が周囲をぐるりと囲み、幕壁の上には幾人かの見張りの兵士が歩いているのが見えた。
幕壁の左右には恐らく見張り台であろうものが2塔そびえ立っている。
前を向くと、幕壁と同じ素材で作られたのであろう、3階建ての丸みを帯びたフォルムの建物が1棟、その後方に4階建てのこちらも同様の形のものが3棟建っていた。
どれも開口部は少なく、建物同士は幕壁で繋がっているようだった。
トウコが砦を見渡していると、早く歩けといわんばかりに兵士の1人が魔導銃でトウコの背中を押す。
それを見たリョウが、硬質な表情のまま左腕でトウコの腰を抱いて歩き出す。
3人が兵士に囲まれて中央にある3階建ての建物へと向かっていると、そこから兵士を伴ってBDUを着た1人の青年が出てきた。
そのままお互いに歩みを進め、1メートルほどの距離まで近づいたころ足を止めた。トウコたちを囲んでいた兵士らが青年に向かって一斉に敬礼をする。青年もそれに敬礼を返すと、リョウを見つめて嬉しそうに微笑んだ。
「お久しぶりです。兄さん。お元気そうですね。」
その言葉にトウコたちを連れて来た兵士の数人がはっとしたようにリョウを見つめ、マリーが小さくため息を吐いた。
リョウは冷たい表情で青年―シュウを見据えて口を開いた。
「なんのことだ。俺はお前の兄ではない。」
「そうですか。お変わりないようで安心しました。」
シュウはそんなリョウの態度ですら嬉しそうに笑い、次いでトウコの方を見た。
「トウコさん、先日は失礼いたしました。ですが、どうやら僕が思うリョウと貴女の思うリョウは同一人物だったようです。…そうだ。これ、お忘れ物です。」
トウコは苦笑しながらシュウが差し出したグローブが入った袋を受け取る。
「そうみたいだな。その辺の道端に落としたと信じていたかったが、やっぱりあなたのところにあったんだな。」
「てめえ、やっぱりコイツと会ってやがったな。」
リョウの地を這うような声にシュウが苦笑しながらトウコを庇う。
「兄さん、トウコさんを責めないであげないでください。僕が無理やりお連れしたんです。」
「連れ出されないようにしてたんだよ、このクソ女。そして、俺はお前の兄じゃない。」
「悪かった。本当に反省してるんだ。あの時は己の迂闊さを心底呪ったよ。」
そこでマリーが疲れたように口を挟んだ。
「ねえ、私はどうしたらいいの?」
「すみません。大変失礼しました。あなたがマリーさんですね。私はシュウ・キサラギと言います。」
シュウはマリーと握手し、3人を見渡す。
「遠路はるばる本当にすみません。お疲れだとは思いますが、まずは私の部屋に案内させていただきます。そこで詳しい説明を。」
そういうとシュウは踵を返して歩き出し、トウコたち3人もそれに続いた。
そのうちの1つである第16都市の北東、魔導車でおよそ3日の距離にある砦に、トウコたちは軍の人員輸送式魔導車の中でBDUを着て武装した兵士たちに囲まれるようにして向かっていた。
本来、砦はそこから1番近い都市の軍の管轄に置かれる。そのため、トウコたちが向かっている砦は第16都市の軍管轄下のはずであり、何故第4都市の軍に伴われているのか、様々な疑問とそれに対する解答もまた恐らくは持ち合わせていたが、それらを全て飲み込んでトウコたちは輸送車の揺れに身を任せていた。
都市を出発して既に2日が経過していた。
何度か魔物の襲撃はあったものの、全て兵士が撃退しており一行は黙って座っているだけでよかった。
神殿から帰還して後、不機嫌だったリョウの機嫌は3人が出会ってから1番の低飛行を続けており、ほとんど言葉を発しない。
当初マリーは祈るような視線をトウコに向けていたが、トウコはその視線を全て無視し、リョウの隣に静かに座っていた。リョウはそんなトウコを忌々しそうにしていたが、それでもトウコが側を離れようとすると睨み付け、休憩で輸送車を降りた時も兵士たちから向けられる侮蔑の視線からトウコを守るようにトウコの側にい続けた。
マリーはそんな2人の様子を心配そうに見続け、やがてなるようにしかならないと腹を括った。
2日目の夜。
最後の野営地点に着き、輸送車を下ろされた一行は用意された天幕の中で過ごしていた。相変わらず会話はなくどこかぎこちない雰囲気の中、マリーとトウコは寝転がり本を読んでいる。リョウもまた体を横たえて目を閉じてはいるが、寝ているわけではないようだった。
そのまま時が過ぎ、マリーが「そろそろ寝ましょうか。」と言った時、リョウが目を開けて体を起こした。
「トウコ。」
トウコの名を呼ぶとそのまま天幕の外へ出て行ったリョウを追い、トウコもまた外へと出て行く。
マリーは天幕の外に手を合わせると、毛布をかぶって目を閉じ、また手を合わせた。
トウコが天幕の外へ出ると、リョウが少し離れたところでこちらに背を向けて夜空を見上げて立っていた。辺りにはトウコたちと同じ天幕が複数張られており、いくつか炊かれた篝火の周りには不寝番の兵士が座っているのが見えた。
トウコも夜空を見上げてみたが、星1つ出ておらず墨で塗りつぶしたような暗黒が広がっているだけだった。
トウコはリョウに近付くと、そっとその右手を取った。
リョウは何も言わないままトウコの手を少しだけ握り返すと、不寝番の兵士がいるのとは逆の方向、暗闇が広がる方へと静かに歩き出した。
少しの衝撃で手が離れそうになる危うい均衡を保ったまま、無言で歩いていた2人だったが、唐突にリョウが足を止めるとトウコに背を向けたまま口を開いた。
「お前は…。お前は過去を清算しろと言ったが、俺にどう清算して欲しいんだ?」
トウコは少し笑い、俯いて答えた。
「その問いはずるいな。お前の過去だ。お前の好きにしたらいい。」
その答えにリョウが握っていたトウコの手を強く握りしめ、振り返ってトウコを睨みつける。その顔は怒りに満ちていたが、青の瞳は悲しみと寂しさの色に染まっていた。
「お前、この期に及んでまだそんなこと…!」
リョウの言葉を遮るようにトウコが言葉を重ねる。
「以前の私ならそう言っていたと思う。でも。」
トウコが顔を上げ真っ直ぐに紫の瞳でリョウを見た。
「私は過去を清算したお前の隣にこれからもいたい。」
リョウの瞳が揺れ、強く握りしめていた手が緩められる。
「…そうか。」
「うん。」
「お前変わったな。」
「以前より数倍むかつくだろう?」
「ああ。死ぬほどむかつく。でも。」
「でも?」
「悪くない。」
その時、兵士2人、魔導銃を構えながら2人に天幕に戻るよう警告してきた。2人は軽く右手を上げて兵士に合図すると、しっかりと手を繋いだまま静かに戻った。
翌朝、3人は再び兵士に囲まれて出発した。
出発して3時間ほど経ったとき、唐突にトウコがリョウに話しかけた。
「砦ってどのくらいの大きさなんだ?」
「それなりにデカいぞ。今はそんなに詰めてないだろうが、有事の際には1000人以上は詰められるようになってるしな。都市と同じで塀の中に畑があるぞ。」
「へえ。想像してたより大きそうだ。行ったことあるのか?」
「覚えてねーけど、ガキの頃にいくつか砦は回ったから行ったことあるかもしんねーな。」
リョウの言葉に幾人かの兵士が身じろぎする。それを見てマリーが少し呆れたように言う。
「ねえ、あんたたち。なんか吹っ切れたみたいに話してくれちゃってるけど、私は事情を知らないのよ。巻き込まないでちょうだい。」
その言葉にリョウが鼻で笑う。
「既に巻き込まれてんじゃねーか。それにお前も見当ついてんだろ。もう一緒だ一緒。」
「あっそ。…ところでやっと仲直りしたの?」
その言葉にトウコがきょとんとした顔をし、それを見たリョウが口の端を釣り上げて少し意地悪な口調で答える。
「いや、まだだな。俺はこいつにまだ謝ってもらってねぇ。」
リョウに頭を乱暴に撫でられながらトウコが口を開こうとした時、輸送車が止まった。ハッチが開き、「降りろ。」という言葉が3人に投げられる。
その瞬間、リョウの顔つきが硬く冷たいものへと変わった。
トウコは口を閉じ、輸送車を降りた。
降りると、今しがたそこを通ってきたのであろう砦の門が、ガラガラという音と共に鉄製の落とし格子が降ろされて閉じられようとしているのが見えた。白みがかった茶色の石で組み上げられた高い幕壁が周囲をぐるりと囲み、幕壁の上には幾人かの見張りの兵士が歩いているのが見えた。
幕壁の左右には恐らく見張り台であろうものが2塔そびえ立っている。
前を向くと、幕壁と同じ素材で作られたのであろう、3階建ての丸みを帯びたフォルムの建物が1棟、その後方に4階建てのこちらも同様の形のものが3棟建っていた。
どれも開口部は少なく、建物同士は幕壁で繋がっているようだった。
トウコが砦を見渡していると、早く歩けといわんばかりに兵士の1人が魔導銃でトウコの背中を押す。
それを見たリョウが、硬質な表情のまま左腕でトウコの腰を抱いて歩き出す。
3人が兵士に囲まれて中央にある3階建ての建物へと向かっていると、そこから兵士を伴ってBDUを着た1人の青年が出てきた。
そのままお互いに歩みを進め、1メートルほどの距離まで近づいたころ足を止めた。トウコたちを囲んでいた兵士らが青年に向かって一斉に敬礼をする。青年もそれに敬礼を返すと、リョウを見つめて嬉しそうに微笑んだ。
「お久しぶりです。兄さん。お元気そうですね。」
その言葉にトウコたちを連れて来た兵士の数人がはっとしたようにリョウを見つめ、マリーが小さくため息を吐いた。
リョウは冷たい表情で青年―シュウを見据えて口を開いた。
「なんのことだ。俺はお前の兄ではない。」
「そうですか。お変わりないようで安心しました。」
シュウはそんなリョウの態度ですら嬉しそうに笑い、次いでトウコの方を見た。
「トウコさん、先日は失礼いたしました。ですが、どうやら僕が思うリョウと貴女の思うリョウは同一人物だったようです。…そうだ。これ、お忘れ物です。」
トウコは苦笑しながらシュウが差し出したグローブが入った袋を受け取る。
「そうみたいだな。その辺の道端に落としたと信じていたかったが、やっぱりあなたのところにあったんだな。」
「てめえ、やっぱりコイツと会ってやがったな。」
リョウの地を這うような声にシュウが苦笑しながらトウコを庇う。
「兄さん、トウコさんを責めないであげないでください。僕が無理やりお連れしたんです。」
「連れ出されないようにしてたんだよ、このクソ女。そして、俺はお前の兄じゃない。」
「悪かった。本当に反省してるんだ。あの時は己の迂闊さを心底呪ったよ。」
そこでマリーが疲れたように口を挟んだ。
「ねえ、私はどうしたらいいの?」
「すみません。大変失礼しました。あなたがマリーさんですね。私はシュウ・キサラギと言います。」
シュウはマリーと握手し、3人を見渡す。
「遠路はるばる本当にすみません。お疲れだとは思いますが、まずは私の部屋に案内させていただきます。そこで詳しい説明を。」
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