常世の彼方

ひろせこ

文字の大きさ
49 / 100
紫の章

01.束の間

しおりを挟む
 「どうすっかなぁ、コレ。」
リョウがトウコのベッドの上で仰向けになって、刃が折れた短剣を握って嘆いている。
隣でリョウの方を向いて横になっているトウコが苦笑する。
「悪かったって。」
「ごめんなさいって言え。」
「嫌だ。」
リョウが舌打ちして、また短剣を見る。
「どうすっかなぁ。」

トウコたち3人が砦から帰還して10日が経った。
都市に戻った翌日に組合長へ報告に行くと、既に軍からの報告が終わっていたようで少し呆れた顔で迎えられた。
「君たちは行く先々で騒ぎを起こすね。まぁ今回は第4都市の軍の高官にも砦にもパイプができたから僕としては問題ないけれど。それに…僕よりも太いパイプを持っていそうな人物も現れたことだしね。」
意味ありげな視線を組合長から向けられたリョウは、忌々しそうな顔をしたが何も言わなかった。

その後3人は特に何をするでもなく過ごしていた。
元々、主討伐の高額な報酬に加えて遺跡護衛で上乗せされた報酬、そして軍からの指名依頼の報酬と、仕事にかかる経費などを差し引いても、3人がしばらく遊んで暮らせるだけの金は十分にあった。
そもそもが、主討伐が終わった時点で3人はしばらく仕事をしないつもりでいたのだ。それが何故か仕事が断れない状況に陥り、毎度毎度誰かが―主にトウコが死にかけるという羽目になっていた。
3人は今度こそ何もしないと誓って、この10日間ダラダラと過ごしていた。
そしてこの10日、リョウはほぼ毎日折れた短剣を眺めては、冒頭のセリフを吐き出し続けていたのだった。

前回の仕事の大森林においてトウコを庇ったリョウは、とっさに魔力を全力で短剣に付与してしまった。そのせいで短剣がリョウの魔力に耐えきれず、折れてしまったのだ。
トウコはあの後、折れた刃と柄を回収していた。それを砦で目覚めたリョウに渡すと、珍しくリョウが絶望に顔を歪め、トウコを驚かせた。
リョウは通常の人間よりも魔力が多いため、普通の短剣ではすぐに折れてしまう。現にリョウは、都市に帰還してからそれなりの値段の短剣を購入し、普段戦う時に付与する程度の魔力を流してみた。
見事にあっさりと全ての短剣が折れてしまった。
それならばと、都市内で鍛え直せる刀工を探したが、どこも無理だと断られてしまった。

「どこかの阿呆が転んだりしなけりゃなぁ…。」
トウコは少し目を泳がせると、リョウに背を向けた。
リョウは握っていた短剣を床に放り投げると、トウコの体を引き寄せて自分の体の上に乗るよう誘導する。
「体で支払え。」
リョウの褐色の胸に手をついて体を起こしたトウコが、リョウを見下ろしながら呆れたように言う。
「もう十分支払った気がするぞ。たぶん釣りがくる。」
「じゃあ、釣りの分は俺の体で支払ってやるよ。遠慮なく受け取れ。」
トウコはくすくす笑いながら、リョウに軽く口づけるとそのまま顎から首へ、胸から腹へと顔を降ろしていく。綺麗に傷がなくなった腹の刺されたあたりに舌を這わせて軽く吸うと、そのまま顔をさらに下へと移動させた。
リョウはトウコの揺れる頭を撫でながらしばらく見下ろしていたが、少し掠れた声で呟いた。
「トウコ、お前海行ったことあるか?」
トウコが目線だけ上げて小さく首を振る。
「…じゃあ海行くか。」
トウコが口を離し、しかし顔は埋めたままリョウを見上げて聞く。
「海って…南0都市か?」
「そうだ。…お前そんなとこでしゃべんなよ。くすぐってぇ。」
言いながらリョウがトウコの腕を引くと、トウコは体を起こしてリョウの腰に跨った。
「足が8本あるけど食うと美味い生き物がいるぞ。食わせてやるよ。」
艶めかしく動き出したトウコの腰を見ながらリョウが言うと、トウコがリョウを見下ろしながら少し苦しげに、しかし即答する。
「…絶対行かない。」
リョウは笑いながら揺れるトウコの胸と腰を掴んだ。


「はぁ?南0都市に行きたいから、そこへ行く護衛の仕事を受けろですって?なんでまたそんなとこに。魔導車でも5日以上かかるでしょう?」
翌朝、リョウがマリーに南0都市の話をするとマリーは素っ頓狂な声を上げた。
「俺の短剣は南0都市の刀工が打ったんだよ。だからそいつに鍛え直してもらうなり、新しいのを打ってもらおうかと思ってな。」
「なるほどねぇ…。って、アンタその刀工の名前知ってるの?そもそもその刀工はまだ南0都市にいるわけ?」
マリーの問いにリョウは目を逸らした。
「…知らねえ。」
その答えにマリーが盛大にため息を吐く。
「わざわざあんなところまで行って、結局打ち直してもらえませんでした、になったらどうするのよ。ねえ、大体あの短剣ってどこで手に入れたの?かなりの業物でしょう?」
「…あの砦の司令官にガキの頃に貰った。」
「それならあんたあの方に手紙でも書いて聞きなさい。」
リョウは目を逸らしたまま返事をしない。
「いいわね?その刀工が誰なのか、いまもまだいるのかはっきりしない限りは、南0都市への護衛の仕事は受けないからね!」
しぶしぶリョウは頷いた。
そこへトウコが「私は行かないからな。」と低い声で呟く。
それを聞いてリョウが大笑いしながらトウコの頭を撫でる。
「お前の嫌いな奴とは似てねーから大丈夫だって。」
「何よ、どうしたの?」
「…南0都市には、足が8本ある不気味な奴がいるらしい。」
「リョウ、何それ。あそこにそんな魔物いたかしら?」
「タコだよ、タコ。」
それを聞いたマリーも噴き出す。
「トウコ、足が10本あるのもいるわよ。8本も10本もあそこの名物で、美味しいのよ。」
「私は絶対行かないからな!」
トウコはそのままソファのクッションを抱きしめると、ソファに突っ伏してしまった。


その日の夜。
リョウはトウコのベッドの上でうつぶせになり、煙草を咥えたまま砦の司令官に手紙を書いていた。
トウコがリョウの口から煙草を奪うと呆れたように言う。
「お前、あの人には可愛がってもらってたんじゃないのか?それを失礼な奴だな。」
リョウは手元から目を上げず、手を動かしながら聞く。
「どういうことだよ。」
「煙草を咥えたまま。しかも全裸。」
「関係ねーだろ。どんな格好で書いたって見えやしねーんだし。」
リョウの言葉に苦笑しながらトウコが手紙をのぞき込むと、予想外に流麗な文字が目に飛び込んできた。
「お前、字綺麗なんだな。意外だ…。」
「お前こそ失礼な奴だな。文字の練習は死ぬほどさせられたからな。昔取ったなんとかってやつだ。これでもシュウより字は綺麗だぞ。まぁマイには負けるけどな。」
トウコは、新しく知ったリョウの小さな過去と、それをてらいもなく話すリョウの態度を少しくすぐったく感じながら、リョウの背中に腕を回して顎をリョウの肩に乗せると、微笑みながらリョウが綴る流麗な文字を眺めた。

リョウが手紙を書いて1週間後。
3人は渋い顔で組合長室のソファに座っていた。

「どうして私たちはここにいるのかしらね。理解に苦しむわ。」
「この間、砦の報告をした時にしばらく俺たちをここには呼ぶなって言ったのもう忘れたのか?耄碌すんにゃまだはえーだろ。それともあれか?もう引退か?」
「リョウ言い過ぎだぞ。だが、引退には私も賛成だな。」

足を組んで3人の向かいに座っている組合長が、涼しい顔で微笑んでいる。
「そこまで言われると、さすがの僕も多少は傷つくってもんだよ。」
少しも傷ついていない口調で言った組合長はさらに言葉を続けた。
「君たちに指名依頼だよ。また軍からのご指名さ。今度は第16都市だけれどね。」
諦めたようにトウコがため息を吐き、リョウがマリーを横目で睨み、マリーがさっと目を逸らす。
ミラが3人に資料を渡すと説明を始める。
「第16都市の治安維持軍よりお三方に指名依頼がありました。今回の仕事内容は、犯罪奴隷の移送です。南0都市の鉱山に送られる犯罪奴隷を、2個小隊約100名とともに移送して欲しいとのことです。出発は5日後、南門に迎えが来るそうです。そこから移動し、本隊に合流していただくとのことです。」

犯罪奴隷。
命がパンよりも安いこの世界においても、法は存在する。殺人や強盗、強姦などの重犯罪を犯した者は犯罪奴隷に落とされ、戦時中ならば最前線の肉壁として、平時ならば鉱山や道路の敷設工事などの重労働が課せられる。
しかし、毎日些細なことで当たり前のように人が殺されているため、1人や2人死んだところで、都市の警察組織も軍も動かない。基本的には集団で商隊を襲うなどした野盗が犯罪奴隷になることがほとんどだ。

マリーとリョウが気まずそうに口を閉じているので、トウコが口を開いた。
「私たちが出る必要がまっっったくない仕事だな。」
その言葉を待っていたかのように、ミラがすかさずリョウに何かを差し出す。
「こちら、アーチボルト中将よりリョウさんへの私信になります。」
「だろうな…。」
疲れたような声でリョウがミラから手紙を受け取り、組合長が愉快そうな響きを含ませて
言う。
「私としては中将―砦の司令官殿から私信が送られるという事実が大変興味深いところなのだけどね。」
「うるせえ。俺はもう関係ねーんだ。利用しようとすんじゃねーぞ。」
組合長がくつくつ笑いながら反論する。
「今回利用した形になったのは君の方だと思うけれど?」
言葉に詰まったリョウは頭を抱えて呻く。
「くそ、マリーが余計なこと言うから。」
「私のせいにしないで頂戴!そもそもアンタが南0都市に行きたいとか言うからでしょう!?」
「いや、事の発端は短剣を折る原因を作ったトウコが悪い!」

責任のなすりつけ合いが、巡り巡って自分のところへと回って来たトウコは苦笑いする。
「まあ、楽な仕事でいいじゃないか。2個小隊と一緒に移動なら魔物が出ても軍が蹴散らしてくれる。私たちはこの間みたいに乗っているだけだ。それで金がもらえるならいい仕事じゃないか。」
トウコの言葉に組合長がすかさず言葉を挟む。
「軍を乗合馬車代わりにするなんて、君たちも大物だね。」
組合長の言葉にマリーが盛大にため息を吐く。
「もしも南0都市までの護衛の仕事を別に受けてた場合、懸念事項がなかったわけじゃないのよね。だって、リョウの短剣は1本折れちゃってるわけだから。その分、多少は弱体化してるわ。まあ、死の森へ入るわけじゃないから1本でも十分だとは思うけれど。」
リョウもまた、溜息を吐いて応じる。
「そのことも考慮してくれた結果がコレなんだろうなぁ…。」

そこに組合長が「正直なところ。」と言葉を挟んだ。
「組合としては今の時期に君たちを都市の外へ出したくはないのだよ。南0都市まで往復で早くて10日。リョウの短剣を打ち直す場合、帰還するのが1か月は先になるだろう?前回君たちが遭遇した大森林の中の遺跡―遺跡になりかけの場所が他にもないか組合として調査する必要がある。例の神殿もあれからどうなったか、危険度が上がっていないかの調査、そして危険がなかった場合、どのくらい神殿が破損したか旧跡研究団体が調査したいと早速言ってきている。他にも君たちに指名依頼が来そうな案件が盛り沢山だよ。今回はトウコの言う通り、君たちというよりも組合が関わる仕事ではない。だから断ることも可能だった。でも、その私信がね。とても太い釘を打ち込まれてしまった。」

組合長の言葉にマリーとリョウが顔を盛大に顰める、トウコが自分は関係ないとばかりに涼しい顔で言う。
「しばらく楽な仕事はなさそうだな。今回は、司令官の好意に思いきり甘えたらいいじゃないか。楽して稼げるチャンスだ。…私は行かないけどな。」
最後だけ真顔で低く言ったトウコに組合長が不思議そうな顔をして聞く。
「トウコは南0都市に行きたくないのかい?」
「…あそこは魔窟だ。足が10本ある奴と8本ある奴がいる。しかもそれを食べるらしい。」
「イカとタコよ。」
すかさすマリーが補足すると、組合長が珍しくぽかんとした顔をした後、小さく声を上げて笑った。
「トウコ、そいつらはその足で吸い付いてくるよ。気を付けるといい。」
「ひっ。行かない、私は絶対行かない!」
トウコが無意識のうちにリョウに縋りつくと、リョウはトウコの肩を抱いて頭に顔を埋めながら言った。
「珍しくトウコが可愛い…。俺、ベッドの上で怖がるトウコを慰めとくから、マリー行ってきてくれよ。」
「アンタの短剣でしょ!アンタが行きたいって言い出したのよ!このバカ!」

こうして3人の短い休暇は終わりを告げた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冷徹公爵の誤解された花嫁

柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。 冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。 一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました

斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。 白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。 その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。 それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。 やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり―― 白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。 身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

〖完結〗終着駅のパッセージ 

苺 迷音
恋愛
過去、使用人に悪戯をされそうになった事がきっかけとなり、分厚い眼鏡とひっつめた髪を編み帽で覆い、自身の容姿を隠すようになった女性・カレン。 その事情を知りながらも夫ローランは、奇妙で地味な姿の妻を厭い目を逸らし続けた。 婚姻してからわずか三日後の朝。彼は赴任先の北の地へと旅立ちその後、カレンの元へと帰省してきたのは、片手で数えるほどだった。 孤独な結婚生活を送る中。 ある冬の日に、ローランの上官であり北の地を治める領主ハルシオン公爵が、カレン夫妻の邸にやってきた。 始まりは、部下の家族を想う上司としての気遣いだった。 他愛もない会話と、節度を守ったやり取り。ほんの僅かな時間を重ねていく。 そのうちに、お互いに灯り始めた小さな心の想い。 だが二人は、それを決して明かさず語ることはなかった。 それから一年ほどたった冬の夜。 カレンから届いた手紙に、たった一度だけハルシオンは返事を書く。 そこには彼の想いが書かれてあった。 月日は流れ、カレンとローランが婚姻して三年目の冬の日。 カレンはひとつの決意と想いを胸に、北へ向かう汽車に乗った。 ※微さまぁか、もしくはざまぁになっていないかもしれないです。 ※舞台は近世・産業革命初頭を基にした架空世界だと思っていただけましたら有難いです。 稚拙な作品ではありますがご覧くださいましたら凄く嬉しいです。よろしくお願い致します。

チョイス伯爵家のお嬢さま

cyaru
恋愛
チョイス伯爵家のご令嬢には迂闊に人に言えない加護があります。 ポンタ王国はその昔、精霊に愛されし加護の国と呼ばれておりましたがそれももう昔の話。 今では普通の王国ですが、伯爵家に生まれたご令嬢は数百年ぶりに加護持ちでした。 産まれた時は誰にも気が付かなかった【営んだ相手がタグとなって確認できる】トンデモナイ加護でした。 4歳で決まった侯爵令息との婚約は苦痛ばかり。 そんな時、令嬢の言葉が引き金になって令嬢の両親である伯爵夫妻は離婚。 婚約も解消となってしまいます。 元伯爵夫人は娘を連れて実家のある領地に引きこもりました。 5年後、王太子殿下の側近となった元婚約者の侯爵令息は視察に来た伯爵領でご令嬢とと再会します。 さて・・・どうなる? ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

処理中です...