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紫の章
12.おねだり
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冷たい水が頭にかけられトウコは目覚めた。
何が起こったか一瞬分からずトウコは焦点の合わない目を瞬かせた。
頬の下に硬く冷たい床の感触。
後ろ手に回された両腕に何かがはめられ、片頬を床に付けて倒れていることを認識した。
自分が南0都市の軍に連行されたことを思い出した途端、全身が軋むように痛み、トウコは少し顔を歪めて小さく呻いた。
南0都市の軍の制服を着た男がトウコの側にしゃがみ込み、トウコの髪を掴んで顔を上げさせる。
「吐け!お前たちの潜伏場所はどこだ!」
トウコは切れて血が滲む唇を不敵に歪ませ、無言で男を見上げた。
男がトウコの髪から手を離す。トウコの頭が床にぶつかるが、男は構わずトウコの腹を蹴った。
トウコが堪らず呻いて嘔吐し、吐しゃ物が男の靴にかかる。男はそれを忌々しげにトウコのシャツで拭うと側にいたもう一人の男に声をかける。
「死なない程度に治癒しておけ。寝させるなよ。」
男はそれだけ言うと、苛立たしげに部屋を出て行った。
残った男がぞんざいにトウコに治癒をかけるソウマた水をトウコにかける。
治癒のおかげで多少体の痛みが引いたトウコは、体を丸めるとリョウとマリーを思いながら唇を笑みの形に歪ませた。
**********
ソウマたちと共に3人が歓楽街の宿に戻った時、2区の方角から黒煙が上がった。
即座にソウマが部下の1人に何が起こったか調べるよう命じ、残りの部下と自分はここで待機して何が起こったか分かったらすぐに連絡するので、3人には部屋から出ないように言った。
言われた通り3人がマリーの部屋で大人しくしていること30分ほどが経った時、ソウマが血相を変えて部屋に飛び込んできた。
「2区で5度目のテロです!犯行声明がトウコさんの名前で出されました!今すぐ我々で皆さんを保護します!」
ソウマを先頭に宿の階段を駆け下りながらトウコが冷笑を浮かべながら呟いた。
「あいつら私を売ったな。」
「やっぱりあいつら殺しときゃよかった。」
リョウが低い声で言い、マリーは何も言わなかったがその顔は怒りに染まっていた。
宿の外に飛び出した時、南0都市の軍の車両が土煙を上げてやってきて、トウコたちを囲むように停まると、中からBDUを着た多数の兵士が魔導式の機関銃を構えて降り、トウコたちを取り囲んだ。
リョウとマリー、それにソウマたちがトウコを守るように立つと、兵士の中から指揮官らしき男が一歩前に出て、トウコを睨み付けながら言った。
「お前が色無しのトウコだな。お前には一連の爆破テロの嫌疑が掛けられている。一緒に来てもらおう。」
ソウマもまた一歩前に出て口を開いた。
「私は第16都市軍第2旅団第9連隊所属のソウマ軍曹です。彼女たちは今日、我々とずっと一緒にいた。彼女が爆破テロを起こすのは不可能です。」
「それを今から取り調べるのが我々の役目だ。部外者が出しゃばらないでいただきたい。」
「彼女は第16都市軍から仕事の依頼を受けてここに来たのです。我々は彼女を保護する義務があります。」
「保護するというのであれば、正式な命令書を見せていただこうか。我々はその女を連行せよという正式な命令を受けている。」
ソウマが奥歯を噛みしめて黙ると、指揮官の男はせせら笑うように言った。
「軍からの命令を受けた我々を邪魔するのであれば、貴様たちは軍規違反で罰せられる。そもそも我々は、邪魔するものがいた場合はいかなるものであっても排除していいと言われている。」
指揮官の言葉で、トウコたちを取り囲んでいる兵士たちが一斉に機関銃の銃口をソウマに向ける。
その時、1台の魔導車がやってきて中から南0都市の組合長―レックスが慌てたように降りて来た。
「これはどういうことかな!?この3人は第16都市の組合員でこの街には仕事で来ているんだよ!?おまけに街に入ったのは爆破テロが起きる前だと連絡していただろう!?」
指揮官はレックスを冷たく見やると、腰のホルスターから魔導式の拳銃を抜くとレックスに突き付けた。
「私はそこの女を連行せよとの命令を受けている。それを邪魔する人間を排除するのも辞さない。」
じりじりとした空気が流れる中、トウコが静かに口を開いた。
「ソウマさん、もういい。」
その声にソウマが慌てたように振り向き、マリーとリョウもトウコを見る。
「トウコ、駄目だ。行くな。」
リョウがトウコの腕を強く掴んで更に言い募る。
「行ったらどんな目に合うか分かってるだろ。絶対に行かせないぞ。」
「そうよトウコ!行っちゃだめよ!」
リョウとマリーの言葉にトウコは首を振った。
「ここで軍と争うのはよくない。最悪、みんな殺される。私は、リョウもマリーもソウマさんたちにも死んでほしくない。」
そこで言葉を切ったトウコはリョウとマリーを見て言葉を続けた。
「だから、お願いがある。」
壮絶な笑みを浮かべたトウコが言った。
「血の雨を降らせろ。誰に手を出したか思い知らせてやれ。」
その言葉にリョウが頭を抱え、マリーが両手で顔を覆ったがすぐに手を降ろすとトウコを見て唸るように言った。
「任せとけ。生きてることを後悔させてやる。」
マリーを横目で窺いながらリョウが呆れたように呟く。
「トウコ、お前な…。」
しかし、リョウもまた小さく息を吐くと昏い目をして言った。
「分かった。そのくらいお安い御用だ。すぐに助けてやるからお前は大人しくしとけよ。」
リョウの言葉にトウコが満面の笑みで応える。
「血まみれの王子様が助けにくるのか。最高だな、ぞくぞくする。楽しみに待ってるから早く助けに来いよ。」
唇を笑みの形に歪めたトウコは、両手を上げて軍に投降した。
魔力を封じられる手錠を掛けられ、軍の車両に乱暴に押し込まれるトウコをマリーは射殺すような目で、リョウは昏い目で見ていた。
トウコが乗せられた車両が道の向こうへ消えると、リョウがレックスの胸ぐらをつかんで短剣を喉元につきつける。
障壁が割れて、レックスの喉に短剣の切っ先が少し沈む。
「ちょ、ちょっと!?」
リョウが短剣を付き付けたまま低い声で唸るように言った。
「お前、何してたんだ。軍には話を付けてるって言ってただろうが。」
「さすがにトウコちゃんの名前で犯行声明が出ちゃったら抑えるのは無理だよ!これでも助けようと来たんだ!」
「この役立たずが!」
リョウがレックスを突き倒すと、ソウマに鋭い目を向けて言った。
「お前の上官は俺のことを分かっているな。アーチボルト中将の名前だけでだめならキサラギの名前を出してもいい。どんな手段を使ってでもトウコの身の安全を確保しろ。」
リョウとマリーの殺気に固まっていたソウマが、リョウの言葉に我に返ったように頷く。
「は、はい。すぐに我々第16都市軍から抗議して、トウコさんをこちらで保護するよう動きます!」
次いで、尻餅を付き血が滲んだ喉を押さえてこちらを見上げているレックスを見下ろしたリョウは、タクティカルベストからアーチボルト中将の私信を取り出すとレックスに投げつけた。
「お前も軍のパイプを使え。その手紙もくれてやるから組合からも軍に抗議しろ。いいな?トウコの身に何かあったらお前の命はないからな。」
それだけ言うと、リョウとマリーは歩き出した。
その背にレックスが慌てたように声をかける。
「ちょ、ちょっと!2人はどうするの!?」
レックスの言葉に歩みを止めることなくリョウが言う。
「トウコのおねだりを叶えに行くんだよ。」
「は!?おねだり!?何言ってんの!?」
これまで黙っていたマリーが唸るような声で応える。
「血の雨を降らせろって言ってただろうが。」
「なんなの!?キャラ変わってない!?怖いんだけど!いや、ちょっと待って!この街で暴れるのはやめてよ!?」
レックスの慌てたような声にリョウが地を這うような低い声で言い返す。
「お前まだ分かってないな?」
「なにが!?」
「お前の仕事は俺たちを止めることなのか?俺たちに暴れて欲しくなかったらとっととトウコを俺たちのところに連れてこい。」
ソウマとレックスは転げるように魔導車に乗り込み、自分たちがすべきことをするために動き出した。
そして、リョウとマリーは日が沈んだ街に消えた。
何が起こったか一瞬分からずトウコは焦点の合わない目を瞬かせた。
頬の下に硬く冷たい床の感触。
後ろ手に回された両腕に何かがはめられ、片頬を床に付けて倒れていることを認識した。
自分が南0都市の軍に連行されたことを思い出した途端、全身が軋むように痛み、トウコは少し顔を歪めて小さく呻いた。
南0都市の軍の制服を着た男がトウコの側にしゃがみ込み、トウコの髪を掴んで顔を上げさせる。
「吐け!お前たちの潜伏場所はどこだ!」
トウコは切れて血が滲む唇を不敵に歪ませ、無言で男を見上げた。
男がトウコの髪から手を離す。トウコの頭が床にぶつかるが、男は構わずトウコの腹を蹴った。
トウコが堪らず呻いて嘔吐し、吐しゃ物が男の靴にかかる。男はそれを忌々しげにトウコのシャツで拭うと側にいたもう一人の男に声をかける。
「死なない程度に治癒しておけ。寝させるなよ。」
男はそれだけ言うと、苛立たしげに部屋を出て行った。
残った男がぞんざいにトウコに治癒をかけるソウマた水をトウコにかける。
治癒のおかげで多少体の痛みが引いたトウコは、体を丸めるとリョウとマリーを思いながら唇を笑みの形に歪ませた。
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ソウマたちと共に3人が歓楽街の宿に戻った時、2区の方角から黒煙が上がった。
即座にソウマが部下の1人に何が起こったか調べるよう命じ、残りの部下と自分はここで待機して何が起こったか分かったらすぐに連絡するので、3人には部屋から出ないように言った。
言われた通り3人がマリーの部屋で大人しくしていること30分ほどが経った時、ソウマが血相を変えて部屋に飛び込んできた。
「2区で5度目のテロです!犯行声明がトウコさんの名前で出されました!今すぐ我々で皆さんを保護します!」
ソウマを先頭に宿の階段を駆け下りながらトウコが冷笑を浮かべながら呟いた。
「あいつら私を売ったな。」
「やっぱりあいつら殺しときゃよかった。」
リョウが低い声で言い、マリーは何も言わなかったがその顔は怒りに染まっていた。
宿の外に飛び出した時、南0都市の軍の車両が土煙を上げてやってきて、トウコたちを囲むように停まると、中からBDUを着た多数の兵士が魔導式の機関銃を構えて降り、トウコたちを取り囲んだ。
リョウとマリー、それにソウマたちがトウコを守るように立つと、兵士の中から指揮官らしき男が一歩前に出て、トウコを睨み付けながら言った。
「お前が色無しのトウコだな。お前には一連の爆破テロの嫌疑が掛けられている。一緒に来てもらおう。」
ソウマもまた一歩前に出て口を開いた。
「私は第16都市軍第2旅団第9連隊所属のソウマ軍曹です。彼女たちは今日、我々とずっと一緒にいた。彼女が爆破テロを起こすのは不可能です。」
「それを今から取り調べるのが我々の役目だ。部外者が出しゃばらないでいただきたい。」
「彼女は第16都市軍から仕事の依頼を受けてここに来たのです。我々は彼女を保護する義務があります。」
「保護するというのであれば、正式な命令書を見せていただこうか。我々はその女を連行せよという正式な命令を受けている。」
ソウマが奥歯を噛みしめて黙ると、指揮官の男はせせら笑うように言った。
「軍からの命令を受けた我々を邪魔するのであれば、貴様たちは軍規違反で罰せられる。そもそも我々は、邪魔するものがいた場合はいかなるものであっても排除していいと言われている。」
指揮官の言葉で、トウコたちを取り囲んでいる兵士たちが一斉に機関銃の銃口をソウマに向ける。
その時、1台の魔導車がやってきて中から南0都市の組合長―レックスが慌てたように降りて来た。
「これはどういうことかな!?この3人は第16都市の組合員でこの街には仕事で来ているんだよ!?おまけに街に入ったのは爆破テロが起きる前だと連絡していただろう!?」
指揮官はレックスを冷たく見やると、腰のホルスターから魔導式の拳銃を抜くとレックスに突き付けた。
「私はそこの女を連行せよとの命令を受けている。それを邪魔する人間を排除するのも辞さない。」
じりじりとした空気が流れる中、トウコが静かに口を開いた。
「ソウマさん、もういい。」
その声にソウマが慌てたように振り向き、マリーとリョウもトウコを見る。
「トウコ、駄目だ。行くな。」
リョウがトウコの腕を強く掴んで更に言い募る。
「行ったらどんな目に合うか分かってるだろ。絶対に行かせないぞ。」
「そうよトウコ!行っちゃだめよ!」
リョウとマリーの言葉にトウコは首を振った。
「ここで軍と争うのはよくない。最悪、みんな殺される。私は、リョウもマリーもソウマさんたちにも死んでほしくない。」
そこで言葉を切ったトウコはリョウとマリーを見て言葉を続けた。
「だから、お願いがある。」
壮絶な笑みを浮かべたトウコが言った。
「血の雨を降らせろ。誰に手を出したか思い知らせてやれ。」
その言葉にリョウが頭を抱え、マリーが両手で顔を覆ったがすぐに手を降ろすとトウコを見て唸るように言った。
「任せとけ。生きてることを後悔させてやる。」
マリーを横目で窺いながらリョウが呆れたように呟く。
「トウコ、お前な…。」
しかし、リョウもまた小さく息を吐くと昏い目をして言った。
「分かった。そのくらいお安い御用だ。すぐに助けてやるからお前は大人しくしとけよ。」
リョウの言葉にトウコが満面の笑みで応える。
「血まみれの王子様が助けにくるのか。最高だな、ぞくぞくする。楽しみに待ってるから早く助けに来いよ。」
唇を笑みの形に歪めたトウコは、両手を上げて軍に投降した。
魔力を封じられる手錠を掛けられ、軍の車両に乱暴に押し込まれるトウコをマリーは射殺すような目で、リョウは昏い目で見ていた。
トウコが乗せられた車両が道の向こうへ消えると、リョウがレックスの胸ぐらをつかんで短剣を喉元につきつける。
障壁が割れて、レックスの喉に短剣の切っ先が少し沈む。
「ちょ、ちょっと!?」
リョウが短剣を付き付けたまま低い声で唸るように言った。
「お前、何してたんだ。軍には話を付けてるって言ってただろうが。」
「さすがにトウコちゃんの名前で犯行声明が出ちゃったら抑えるのは無理だよ!これでも助けようと来たんだ!」
「この役立たずが!」
リョウがレックスを突き倒すと、ソウマに鋭い目を向けて言った。
「お前の上官は俺のことを分かっているな。アーチボルト中将の名前だけでだめならキサラギの名前を出してもいい。どんな手段を使ってでもトウコの身の安全を確保しろ。」
リョウとマリーの殺気に固まっていたソウマが、リョウの言葉に我に返ったように頷く。
「は、はい。すぐに我々第16都市軍から抗議して、トウコさんをこちらで保護するよう動きます!」
次いで、尻餅を付き血が滲んだ喉を押さえてこちらを見上げているレックスを見下ろしたリョウは、タクティカルベストからアーチボルト中将の私信を取り出すとレックスに投げつけた。
「お前も軍のパイプを使え。その手紙もくれてやるから組合からも軍に抗議しろ。いいな?トウコの身に何かあったらお前の命はないからな。」
それだけ言うと、リョウとマリーは歩き出した。
その背にレックスが慌てたように声をかける。
「ちょ、ちょっと!2人はどうするの!?」
レックスの言葉に歩みを止めることなくリョウが言う。
「トウコのおねだりを叶えに行くんだよ。」
「は!?おねだり!?何言ってんの!?」
これまで黙っていたマリーが唸るような声で応える。
「血の雨を降らせろって言ってただろうが。」
「なんなの!?キャラ変わってない!?怖いんだけど!いや、ちょっと待って!この街で暴れるのはやめてよ!?」
レックスの慌てたような声にリョウが地を這うような低い声で言い返す。
「お前まだ分かってないな?」
「なにが!?」
「お前の仕事は俺たちを止めることなのか?俺たちに暴れて欲しくなかったらとっととトウコを俺たちのところに連れてこい。」
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