常世の彼方

ひろせこ

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金の章

02.悪評

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 第16都市を出発した一行は、ピックアップトラック式魔道車の荷台に乗って進んでいた。大所帯になったため、前回までの魔道車よりも少し大きめの魔道車に変わっている。
その荷台の一番奥、運転席側にヨシザキとハナが向かい合って座り、ヨシザキの隣にマリーが、ハナの隣にデニス、そしてマリーの隣にトウコとリョウが座っていた。
デニスの仲間の2人は見張りのために、荷台の開口部に座っている。
今回ヨシは運転するリカの隣、助手席に座っていた。

いつも通りトウコの腰を抱くようにしてぴったりとくっついて座っているリョウを見て、ヨシザキがにこにこしながら声を掛けた。
「相変わらず仲が良くていいですねぇ。」
ヨシザキの言葉にリョウがニヤニヤしながら、見せつけるようにトウコの耳を噛んで舌を這わせると、それを見ていたハナが顔を赤くして俯いた。
トウコが顔を顰めて鬱陶しそうにリョウを押しのける。マリーが「仕事中にいちゃつくんじゃないわよ。」と叱責すると、リョウは鼻で笑ってトウコの耳から口を離した。
その様子を呆れたように見ていたデニスが「そういえば。」と切り出した。

「お前ら、夫婦喧嘩は終わったのかよ。」
その言葉にリョウが眉を上げ、トウコが小首を傾げた。
「俺とトウコが喧嘩したのっていつだ?」
「最近だとあれじゃないか。お前が私の左肩に投げナイフを刺したやつ。」
「お前まだ根に持ってんのかよ…。んなこと言ったら、俺はあの時、お前に顔を潰されるとこだったぞ。」
リョウがトウコの言葉にげんなりとした顔をし、ヨシザキとハナが目を丸くする。
「だからなんでお前らの喧嘩は命がけなんだよ…。」
リョウ以上にげんなりとした顔をしたデニスがそう呟き、マリーが手を振りながらぞんざいに言った。
「馬鹿だからよ。因みにデニスが言ってる夫婦喧嘩はこの通り無事に仲直りしてるわよ。」
「へーへー。そうですか。そりゃよかった。…つーかよ。お前ら元から悪かった評判が更に悪くなってねーか?黒い噂しか聞かねーぞ。」
マリーが疲れた顔をして、「因みにどんな噂かしら?」と問うと、デニスは何かを思い出すかのように空中を見ながら話し出した。
「色々聞いたけどよぉ…つい最近だと、あれだな。同じ日にスラム街の闇闘技場とストリップバーでトウコとリョウが暴れた件。」
「あんたたち何してんのよ!聞いてないわよ!」
マリーが叫ぶように言うと、トウコとリョウは心外だとばかりに言い返した。

「私もリョウも別に暴れてないぞ。闇闘技場には客とした行ったのに、あそこの支配人が私が来ていることに気付いて、挑戦者として出てくれって頼まれたんだ。」
「そうそう。トウコは正式に試合に出ただけだぞ。」
2人の言葉にマリーが頭を抱える。
「なんとなく話のオチが見えてきたわ…。」
「俺が言ってるのはそんなことじゃねーよ!お前が順調に勝ち抜いた後の話だよ!」
デニスの言葉にトウコがせせら笑いながら言った。
「順調に勝ち抜いてチャンピオンだった男を私がボコボコにしただけだろう?」
「それで大損した奴が八百長だのなんだの言いがかりをお前につけた件だよ!」
「ああ…やっぱり。」
マリーが遠い目をして呟き、リョウがトウコの肩を抱きながら言った。
「お前は実力で優勝したのに八百長だなんて酷いやつだったよな。」
「まったくだ。」
リョウの言葉にトウコが深く頷き、デニスが叫ぶ。
「そいつがぼろ雑巾みたいな姿でスラム街に全裸で捨てられてるのが翌朝発見されたんだよ!」
「んなこと、スラム街じゃ良くある話だろ。」
馬鹿にするような口調でリョウが言い、マリーが疲れたように「で、その言いがかりをつけたバカは死んでたの?」と聞いた。
「いや、死んでねえ。散々切り刻まれて血まみれだったたらしいが、生きてたらしいぞ。」
「生きてるならいいわ。…2人ともいい加減にしなさいよね。」
「スラム街に捨てられて生きてるなんて運がいい奴だな、そいつ。」
ゲラゲラ笑いながら言ったリョウをマリーが横目で睨みながら、「ストリップバーはどうなのよ。」と問うた。

その問いに、トウコとリョウは顔を見合わせると首を傾げた。
「普通に飲んでただけだ。」
「闇闘技場で儲けた金で飲んでただけだよなあ?マジで身に覚えがねえ。」
「嘘つくなよ!乱闘騒ぎがあっただろ!」
叫ぶように言ったデニスに2人は顔を顰めて反論を始めた。
「マジで俺たちは普通に飲んでただけだっつーの。そしたら隣のテーブルで喧嘩が始まったんだよ。」
「最初は怒鳴り合いだったのが、複数テーブル巻き込んだ乱闘になって。」
「それで、殴り飛ばされた男の1人がこっちのテーブルに飛んできやがったんだ。」
「鬱陶しいから私がそいつを投げ返した。そうこうしているうちに、私たちのすぐ隣で殴り合いが始まってな。殴られた男が私の足元に倒れ込んだんだ。」
「そいつ、起き上がる時にトウコの太ももと胸を掴もうとしやがったんだよ。」
「だから、私がそいつの顎を蹴り上げた。」
「で、俺が酒瓶で頭を殴った。」
「あの酒、高かったのに…。」
最後はトウコが恨めしそうにリョウを見て言うと、デニスがまた叫んだ。
「暴れてんじゃねーかよ!」
「何でだよ。俺たち発端の乱闘じゃねーし。」
「騒ぎの間、私たちはソファから立ち上がってすらいないぞ。」
マリーが頭を抱えて言った。
「もういいわ…。ストリップバーは巻き込まれたってことにしてあげるけど、そういう時は店を出なさいよ!余計なことするから、あんたたちが暴れたって話になるんでしょう!だから破壊屋だのイカれ屋なんて言われるのよ!このおバカ!」
トウコとリョウが不服そうな顔をし、それをマリーが睨み付けるのを見たデニスが口を挟む。
「お前は関係ないみたいな言い方してるけどよ、その破壊屋自体の真っ黒な噂も流れまくってるぞ。」
「何よ!?」
「何よじゃねーよ。南0都市の件だよ。あれはマリー、絶対お前も関わってるだろ。」
マリーが鼻で笑うと馬鹿にしたように言い返した。
「何の話よ。あそこでは仕事すらしてないわよ。」
「お前らが南0都市に行ってる間に、あそこで民間人の大量虐殺事件が起こっただの、犯罪奴隷が沢山殺されたって話だよ。」
「なんでそれが私たちのせいになるのよ。」
「お前らが行ってる間だからだよ!絶対関与してるだろ!」
「滞在していただけで犯人扱いだなんて酷い話だ。」
トウコがそう言うと、「それだけお前らの評判が悪いんだよ!」とデニスが叫んだ。
デニスの様子を見てリョウが鼻で笑う。
「そもそもだな。いちいち俺たち―トウコに突っかかってくる奴が多すぎんだよ。俺たちだって手を出されなかったら何もしねーんだ。手を出されたらお前だってやり返すだろ?それと同じだ。だが、南0都市の件は知らねー。」
「絶対嘘だ!手出されたからやり返したっていう風にしか聞こえねーぞ!」

そんなデニスに向かって、トウコが微笑みながら言った。
「…お前、偉そうなこと言ってるが、確かお前も私に突っかかってきたんじゃなかったか?何だったかな…。そうそう。色無しがこんなところで飲むな、だったか?」
トウコの腰を抱くリョウも、口の端を上げて冷たい笑みを浮かべる。
空気の変わった2人にヨシザキとハナが硬直し、デニスが顔を強張らせて喉を鳴らした。
「未だに五体満足で良かったな?」
微笑みながら言ったトウコに、マリーが鋭く言った。
「トウコ、リョウやめなさい。その件はもう水に流すってことで片が付いたはずよ。」
マリーを一瞥したトウコが空気を緩める。
次いで苦笑を浮かべてデニスを見ると、顔の前で手を振りながら言った。
「悪い。冗談だ。お前のことはちゃんと仕事仲間だと思っているさ。」
トウコはそう言ったがリョウは未だに冷たい笑みを浮かべてデニスを見たままだった。そんなリョウを見たトウコが「リョウ、やめろ。」と言うと、リョウは鼻を鳴らしてデニスから視線を外した。
デニスは額に浮かんだ汗をぬぐいながら、「悪かった。もうこの話はしねえ。」と呻くように言った。

誰も口をきかず、車内に気まずい空気が流れてしばらく経った頃、トウコが1つ息を吐くと立ち上がり、強張った表情で見張りを続けていたデニスの仲間2人に声をかけた。
「見張りを代わる。」
リョウも立ち上がると、トウコと2人で開口部へと向かった。
デニスの仲間2人と入れ違う際に、トウコが1人の肩を叩き苦笑しながら言った。
「悪かったね。気にしないでくれると嬉しい。」
言われた男は、少し硬い顔をしていたがそれでも小さく笑みを浮かべて、「いや、うちのリーダーが悪かった。」と返した。
リョウももう1人の男に小さく手を上げると、その男も手を上げ返して来た。
トウコとリョウが外に向かって開口部に座るのを見たマリーが、戻って来たデニスの2人に話し掛け、ぎこちないながらも雑談が始まり、車内の空気が少し緩んだ。

トウコとリョウが雑談を背中で聞きながら煙草に火を付け、外に流れていく紫煙をぼんやり目で追っていると、硬い表情で黙り込んでいたハナが唐突に口を開いた。
「な、何でも暴力で解決するのはよくないと思います。」
車内の空気が凍り付き、ヨシザキがぎょっとした顔でハナを見て、「ハ、ハナ!」と止めようとしたが、ハナは灰青の瞳を少しおどおどさせながら、しかしトウコとリョウの背中を見ながら言葉を続けた。
「暴力は…よくありません。」
マリー、ヨシザキ、デニスたちが恐る恐るトウコとリョウを見た。
トウコは皆に背中を向けて煙草をふかしていたが、リョウは冷たい笑みを浮かべてハナを見ていた。
マリーが制止するように、睨みながらリョウの名を呼んだが、リョウはハナを見据えたまま視線を離さなかった。
ハナもまたリョウから視線を外さなかったが、膝の上で握りしめた手は少し震えていた。
少し青い顔をしたヨシザキがハナに声を掛けようと口を開こうとした時、先にリョウが冷たい笑みを浮かべたまま言った。
「その暴力に守られて仕事をしようとしているのは誰だ?」
「私です。で、でも無意味な暴力は駄目だと思います。」
「反吐が出る。ガキはすっこんでろ。」
吐き捨てるように言ったリョウに、ハナが少しむっとしたように言い返す。
「ガキじゃありません!私はこれでも25です!」

ハナの言葉にヨシザキ以外の全員がハナを見た。助手席のヨシも驚いた顔で振り返り、リカはきちんと前を見ていたが、「同じ年頃だと思ってた…。」と呟いている。
我関せずの姿勢を取っていたトウコですら振り返り、驚いた顔でハナを見ていた。
全員の注目を集めたハナが、皆からの視線から逃げるように顔を伏せた。
ヨシザキが苦笑しながら、「ハナは幼く…10代に見えますが、本当に25歳なんです。そもそも、旧跡研究団体に10代は入れません。」と言うと、マリーが「リョウと同じ年でトウコより下…?詐欺でしょ…。」と呟いた。
毒気を抜かれたリョウが面白くなさそうに鼻を鳴らすと、ハナに背を向けて外を見た。
それを少し苦笑しながら見たトウコもまた、外に向き直ると煙草を吸い、目を細めて煙を吐き出すと、振り返ることなく言った。

「ハナさんの言うことは正しい。そして私たちも正しい。」
俯いていたハナが顔を上げ、口を開こうとしたが、ヨシザキがハナの肩に手を置いてそれを止めた。
トウコはそのまま黙って煙草を吸っていた。
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