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金の章
28.旅路の果て
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「投げるな。死ぬぞ。」
腕の中に抱え込んでいた重みがふっと消えた。
視界いっぱいに黒髪が広がる。
頭の後ろで乱雑に結ばれた1房がリョウの頬をふわりと撫でた。
絹のような手触りのあの髪に指を絡ませたいと、場違いなことをリョウがぼんやり思った時には、マリーを貫こうとしていた黒い澱の槍をトウコが蹴り砕いていた。
「トウコ!」
「マリー悪い。助かった。」
叫んだマリーの体を押しながら、トウコがマリーの前に出る。
「おせえんだよ。いつまで寝てんだ、このクソ女。」
笑みを浮かべたトウコが振り返る。
「まだ死んでなかったな。クソ女は私じゃない。あっちだ。」
リョウとマリーが、トウコが指さした先を見る。
カインの側に1人の女が立っていた。
槍に貫かれ、膝を付いていたカインが傍らに立つ女を呆然と見上げる。
目を血走らせ、怒りに体を震わせた金の巫女が、カインの傍らに立つ女を睨み付ける。
艶やかな真っ直ぐな黒髪。大きな紫の瞳。優美に弧を描く繭に、すっと通った鼻筋。
薄く色づいた桃色の艶やかな唇。
きめの細かいしっとりとした象牙色の肌。
足首までの真っ白なワンピースを着た肢体は儚げだが、匂い立つようだった。
女は金の巫女と同じ顔をしていたが、しかし、真逆だった。
金の巫女を陽とするならば、女は陰。
太陽のように眩い外見と、全てを燃やし尽くす激情を抱える金の巫女に対して、女は全てを包み込む柔らかな月光のような、しかし凛とした佇まいをしていた。
「…あれが?」
似ていないのに似ているのは何故だろう。常に前を見ている凛とした眼差しか、それとも己の腕の中で見せる柔らかな微笑みがそう思わせるのか。
呟いたリョウにトウコが頷く。
「ああ。あれがクソ女…黒の巫女だ。」
「カイン、本当にごめんなさい。」
黒の巫女が静かな湖面のような瞳で金の巫女を見つめたまま、呆然と自分を見上げるカインに言葉と落とした。
その声は鈴を転がしたように涼やかだったが、深い悔恨が込められていた。
「あなたにも本当に悪いことをしたわ。」
黒の巫女がほっそりとした指を金の巫女に差し出す。
「…どうして出てきたの!?出てきてはいけないのに!私たちはずっと一緒なのに!」
「もう十分でしょう。全て終わりにしましょう。」
「嫌よ…!」
金の巫女が黒い澱の槍を生み出す。
一斉に黒い槍が黒の巫女の体を貫こうと襲い掛かった。
黒の巫女の体から真っ白な光が立ち上り、幾本もの鎖へと変化していく。
光り輝く鎖が、黒い槍を打ち砕きながら金の巫女へと向かう。
金の巫女の体に光り輝く鎖が絡みつく。
最後に、黒の巫女の体から伸びた鎖が金の巫女の体を貫いた。
己の体を貫いた鎖を呆然と見下ろしている金の巫女に、黒の巫女が静かに近づくと、そっとのその体を抱き締めた。
さらさらと、金の巫女の体が黒い粒子へと変わっていく。
「…本当はあなたに止めて欲しかったのかもしれない。」
黒の巫女が金の巫女の頭を撫でる。
「永い間、ごめんなさいね。」
「…私どこで間違えたのかしら。」
「お互い、間違いだらけだったわね。」
「ごめんね。」と呟きを残し、黒い粒子が宙に溶けた。
「おやすみなさい…ナディア。」
小さく息を吐いたトウコが、膝を付いたままのリョウの隣に腰を下ろすと、リョウもまた後ろに手をついて、疲れたように地面に座り込んだ。
「くっだらねえ。」
「本当にな。」
「こんなにバカバカしい姉妹喧嘩もないわね。」
呆れたように言ったマリーも、トウコとリョウの隣に腰を下ろした。
トウコたち3人の視界の先で、黒の巫女がカインを振り返った。
未だ呆然としているカインがよろけながら立ち上がり、震える足で黒の巫女へ一歩踏み出す。
ゆっくりと歩みを進めていたカインが徐々に走り出し、黒の巫女の目の前で足を止めた。
恐る恐る黒の巫女に手を伸ばしたカインの手が、黒の巫女の頬に触れる。
「…本当に、本当に君なのか。」
カインが黒の巫女の顔を両手で包み込み、まじまじと黒の巫女の顔を見下ろす。
優しく微笑んだ黒の巫女がそっとカインの背中に腕を回した。
「カイン、会いたかったわ。あなたを置いて行ってごめんなさい。」
嗚咽を漏らしたカインが、黒の巫女の体を掻き抱く。
愛おしそうに黒の巫女がカインの胸に顔を押し付けた。
その黒の巫女の体がうっすらと透けていく。
カインがはっとしたように黒の巫女の体を見下ろすと、黒の巫女は困ったように微笑んだ。
「力を使いすぎちゃったの。」
「僕も一緒に行く。もう君の我儘は聞かない。」
「ええ。これからは一緒よ、カイン。」
「リディア、愛してる。」
「私もよ、カイン。」
黒の巫女―リディアがトウコを見た。
「ごめんなさい、本当に。そして、目を覚まさせてくれてありがとう。」
「2度と私の前に現れるなよ。次に会ったら今度こそ殺すからな。」
トウコの言葉にリディアが小さく笑う。
「これから僕が嫌ってほどお説教するから、殺すのは勘弁してほしいかな。」
そう言ったカインに、リョウがすかさず言い放つ。
「てめえも、もうそのツラ見せんなよ。」
「ろくでなしの君たちの餌になるのはこりごりだよ。…本当に世話になった。ありがとう。」
「お幸せにね。」
マリーが最後にそう言うと、カインが幸せそうな笑みを浮かべてリディアを抱き寄せ、小さく手を振った。
微笑んだトウコとマリーが手をあげ、リョウが早く行けと言わんばかりに鬱陶しそうに手を振った。
トウコたち3人の視界が真っ白に染まる。
瞼の裏の光が収まった頃、3人が目を開けるとそこは神殿の中だった。
辺りを見渡した3人は、大きく息を吐き出して同時に仰向けに倒れ込んだ。
「あー疲れた。マジで疲れた。」
「呆気なく終わったわねぇ。」
「呆気なさすぎて腹が立つぐらいだな。」
そのまま3人は何も言わず、ぼんやりと神殿の天井を見上げていた。
天井を見上げなら、もう色無しは生まれて来ないのだろうかとトウコは思った。
カインの言う通りであれば色無しはもう生まれて来ないはずだが、それは今すぐには分からない。
そして、本当に色無しが生まれて来ないのであれば、今いる色無しはこれまで以上に辛苦を舐めることになるかもしれないし、その良し悪しは別として貴重な存在として手厚く保護されるかもしれない。何も変わらないままひっそりと消えていくだけかもしれない。
それも今すぐに分かる事ではなく、何十年も経なければ分からないことだった。
分かることは今すぐには何も変わらず、今まで通り自分は好きに生きていけばいいだけだと思ったが、「これからどうなるんだろう。」自分でも意識せず言葉がついて出た。
「さあな。どっちにしろ俺たちには関係ない。これまで通りだ。」
「…分かることはトウコがもう命を狙われないってことだけかしらね。」
きっと2人も自分と同じことを考えていたのだろうと思い、トウコは小さく微笑んだ。
その後、マリーがトウコとリョウに治癒を掛け、今日は神殿で夜を明かして翌朝都市に戻ることに3人は決めた。
携帯食料で腹を満たし、もう限界だと呟いたリョウがごろりと横になって目を閉じたと思った瞬間、「あ。」と声を上げた。
「トウコ、そういえばお前、どうやって黒の巫女を起こしたんだ?」
ぎくりという音が聞こえてきそうなほどトウコが肩を震わせ、リョウから目を逸らす。
目を逸らせた先で半目のマリーと目が合い、更に目を逸らせたトウコに、リョウが体を越してにじり寄る。
「おい…。お前何した。」
「リョウ、お前は魔力枯渇してるんだから、早く寝ろ。」
「だったら早く言って俺を寝させろ。」
「吐きなさい。何したの。」
しばらく目を泳がせていたトウコだったが、やがて観念したように「殴った。」と小さく呟いた。
リョウが脱力したように床に倒れ込むと、「物理的に起こしてやがった…。」と呟き、マリーが目を剥いて叫んだ。
「あんたね!何やってんのよ!それで黒の巫女が死んでたらどうするつもりだったのよ!」
口を尖らせたトウコが、いつまでもうじうじと嘆いてばかりで、全く現実を見ようとしない黒の巫女が悪い。
リョウは魔力が枯渇しかけていたし、そんなリョウを守るためにマリーが出てくることも分かっていた。時間がないのに起きようとしないから…と、そこまでトウコが言った時、呆れたようにリョウが口を挟んだ。
「つまりキレて殴っただけじゃねーかよ!お前、絶対マジで黒の巫女のこと殺そうと思って殴っただろ!」
「…そんなことはない。」
「嘘つけ!」
「結果起きたからよかったものの…本当にあんたって…。で、殴ったら起きたの?」
「1発思い切り殴って…気づいたら私も起きてた。」
リョウとマリーは呆れたようにトウコを見ていたが、やがて小さく笑いだし、最後には爆笑し始めた。
「そもそもここに来たトウコの目的は、あの女を1発殴る事だったしな。」
「そうだったわね。それでトウコ、目的果たしてすっきりした?」
「殴り足りない。」
仏頂面で即答したトウコが、「あんなにあっさり消えるなんて。逃げられた気分だ。」と続けると、リョウとマリーはまた声を上げて笑った。
腕の中に抱え込んでいた重みがふっと消えた。
視界いっぱいに黒髪が広がる。
頭の後ろで乱雑に結ばれた1房がリョウの頬をふわりと撫でた。
絹のような手触りのあの髪に指を絡ませたいと、場違いなことをリョウがぼんやり思った時には、マリーを貫こうとしていた黒い澱の槍をトウコが蹴り砕いていた。
「トウコ!」
「マリー悪い。助かった。」
叫んだマリーの体を押しながら、トウコがマリーの前に出る。
「おせえんだよ。いつまで寝てんだ、このクソ女。」
笑みを浮かべたトウコが振り返る。
「まだ死んでなかったな。クソ女は私じゃない。あっちだ。」
リョウとマリーが、トウコが指さした先を見る。
カインの側に1人の女が立っていた。
槍に貫かれ、膝を付いていたカインが傍らに立つ女を呆然と見上げる。
目を血走らせ、怒りに体を震わせた金の巫女が、カインの傍らに立つ女を睨み付ける。
艶やかな真っ直ぐな黒髪。大きな紫の瞳。優美に弧を描く繭に、すっと通った鼻筋。
薄く色づいた桃色の艶やかな唇。
きめの細かいしっとりとした象牙色の肌。
足首までの真っ白なワンピースを着た肢体は儚げだが、匂い立つようだった。
女は金の巫女と同じ顔をしていたが、しかし、真逆だった。
金の巫女を陽とするならば、女は陰。
太陽のように眩い外見と、全てを燃やし尽くす激情を抱える金の巫女に対して、女は全てを包み込む柔らかな月光のような、しかし凛とした佇まいをしていた。
「…あれが?」
似ていないのに似ているのは何故だろう。常に前を見ている凛とした眼差しか、それとも己の腕の中で見せる柔らかな微笑みがそう思わせるのか。
呟いたリョウにトウコが頷く。
「ああ。あれがクソ女…黒の巫女だ。」
「カイン、本当にごめんなさい。」
黒の巫女が静かな湖面のような瞳で金の巫女を見つめたまま、呆然と自分を見上げるカインに言葉と落とした。
その声は鈴を転がしたように涼やかだったが、深い悔恨が込められていた。
「あなたにも本当に悪いことをしたわ。」
黒の巫女がほっそりとした指を金の巫女に差し出す。
「…どうして出てきたの!?出てきてはいけないのに!私たちはずっと一緒なのに!」
「もう十分でしょう。全て終わりにしましょう。」
「嫌よ…!」
金の巫女が黒い澱の槍を生み出す。
一斉に黒い槍が黒の巫女の体を貫こうと襲い掛かった。
黒の巫女の体から真っ白な光が立ち上り、幾本もの鎖へと変化していく。
光り輝く鎖が、黒い槍を打ち砕きながら金の巫女へと向かう。
金の巫女の体に光り輝く鎖が絡みつく。
最後に、黒の巫女の体から伸びた鎖が金の巫女の体を貫いた。
己の体を貫いた鎖を呆然と見下ろしている金の巫女に、黒の巫女が静かに近づくと、そっとのその体を抱き締めた。
さらさらと、金の巫女の体が黒い粒子へと変わっていく。
「…本当はあなたに止めて欲しかったのかもしれない。」
黒の巫女が金の巫女の頭を撫でる。
「永い間、ごめんなさいね。」
「…私どこで間違えたのかしら。」
「お互い、間違いだらけだったわね。」
「ごめんね。」と呟きを残し、黒い粒子が宙に溶けた。
「おやすみなさい…ナディア。」
小さく息を吐いたトウコが、膝を付いたままのリョウの隣に腰を下ろすと、リョウもまた後ろに手をついて、疲れたように地面に座り込んだ。
「くっだらねえ。」
「本当にな。」
「こんなにバカバカしい姉妹喧嘩もないわね。」
呆れたように言ったマリーも、トウコとリョウの隣に腰を下ろした。
トウコたち3人の視界の先で、黒の巫女がカインを振り返った。
未だ呆然としているカインがよろけながら立ち上がり、震える足で黒の巫女へ一歩踏み出す。
ゆっくりと歩みを進めていたカインが徐々に走り出し、黒の巫女の目の前で足を止めた。
恐る恐る黒の巫女に手を伸ばしたカインの手が、黒の巫女の頬に触れる。
「…本当に、本当に君なのか。」
カインが黒の巫女の顔を両手で包み込み、まじまじと黒の巫女の顔を見下ろす。
優しく微笑んだ黒の巫女がそっとカインの背中に腕を回した。
「カイン、会いたかったわ。あなたを置いて行ってごめんなさい。」
嗚咽を漏らしたカインが、黒の巫女の体を掻き抱く。
愛おしそうに黒の巫女がカインの胸に顔を押し付けた。
その黒の巫女の体がうっすらと透けていく。
カインがはっとしたように黒の巫女の体を見下ろすと、黒の巫女は困ったように微笑んだ。
「力を使いすぎちゃったの。」
「僕も一緒に行く。もう君の我儘は聞かない。」
「ええ。これからは一緒よ、カイン。」
「リディア、愛してる。」
「私もよ、カイン。」
黒の巫女―リディアがトウコを見た。
「ごめんなさい、本当に。そして、目を覚まさせてくれてありがとう。」
「2度と私の前に現れるなよ。次に会ったら今度こそ殺すからな。」
トウコの言葉にリディアが小さく笑う。
「これから僕が嫌ってほどお説教するから、殺すのは勘弁してほしいかな。」
そう言ったカインに、リョウがすかさず言い放つ。
「てめえも、もうそのツラ見せんなよ。」
「ろくでなしの君たちの餌になるのはこりごりだよ。…本当に世話になった。ありがとう。」
「お幸せにね。」
マリーが最後にそう言うと、カインが幸せそうな笑みを浮かべてリディアを抱き寄せ、小さく手を振った。
微笑んだトウコとマリーが手をあげ、リョウが早く行けと言わんばかりに鬱陶しそうに手を振った。
トウコたち3人の視界が真っ白に染まる。
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辺りを見渡した3人は、大きく息を吐き出して同時に仰向けに倒れ込んだ。
「あー疲れた。マジで疲れた。」
「呆気なく終わったわねぇ。」
「呆気なさすぎて腹が立つぐらいだな。」
そのまま3人は何も言わず、ぼんやりと神殿の天井を見上げていた。
天井を見上げなら、もう色無しは生まれて来ないのだろうかとトウコは思った。
カインの言う通りであれば色無しはもう生まれて来ないはずだが、それは今すぐには分からない。
そして、本当に色無しが生まれて来ないのであれば、今いる色無しはこれまで以上に辛苦を舐めることになるかもしれないし、その良し悪しは別として貴重な存在として手厚く保護されるかもしれない。何も変わらないままひっそりと消えていくだけかもしれない。
それも今すぐに分かる事ではなく、何十年も経なければ分からないことだった。
分かることは今すぐには何も変わらず、今まで通り自分は好きに生きていけばいいだけだと思ったが、「これからどうなるんだろう。」自分でも意識せず言葉がついて出た。
「さあな。どっちにしろ俺たちには関係ない。これまで通りだ。」
「…分かることはトウコがもう命を狙われないってことだけかしらね。」
きっと2人も自分と同じことを考えていたのだろうと思い、トウコは小さく微笑んだ。
その後、マリーがトウコとリョウに治癒を掛け、今日は神殿で夜を明かして翌朝都市に戻ることに3人は決めた。
携帯食料で腹を満たし、もう限界だと呟いたリョウがごろりと横になって目を閉じたと思った瞬間、「あ。」と声を上げた。
「トウコ、そういえばお前、どうやって黒の巫女を起こしたんだ?」
ぎくりという音が聞こえてきそうなほどトウコが肩を震わせ、リョウから目を逸らす。
目を逸らせた先で半目のマリーと目が合い、更に目を逸らせたトウコに、リョウが体を越してにじり寄る。
「おい…。お前何した。」
「リョウ、お前は魔力枯渇してるんだから、早く寝ろ。」
「だったら早く言って俺を寝させろ。」
「吐きなさい。何したの。」
しばらく目を泳がせていたトウコだったが、やがて観念したように「殴った。」と小さく呟いた。
リョウが脱力したように床に倒れ込むと、「物理的に起こしてやがった…。」と呟き、マリーが目を剥いて叫んだ。
「あんたね!何やってんのよ!それで黒の巫女が死んでたらどうするつもりだったのよ!」
口を尖らせたトウコが、いつまでもうじうじと嘆いてばかりで、全く現実を見ようとしない黒の巫女が悪い。
リョウは魔力が枯渇しかけていたし、そんなリョウを守るためにマリーが出てくることも分かっていた。時間がないのに起きようとしないから…と、そこまでトウコが言った時、呆れたようにリョウが口を挟んだ。
「つまりキレて殴っただけじゃねーかよ!お前、絶対マジで黒の巫女のこと殺そうと思って殴っただろ!」
「…そんなことはない。」
「嘘つけ!」
「結果起きたからよかったものの…本当にあんたって…。で、殴ったら起きたの?」
「1発思い切り殴って…気づいたら私も起きてた。」
リョウとマリーは呆れたようにトウコを見ていたが、やがて小さく笑いだし、最後には爆笑し始めた。
「そもそもここに来たトウコの目的は、あの女を1発殴る事だったしな。」
「そうだったわね。それでトウコ、目的果たしてすっきりした?」
「殴り足りない。」
仏頂面で即答したトウコが、「あんなにあっさり消えるなんて。逃げられた気分だ。」と続けると、リョウとマリーはまた声を上げて笑った。
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