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翌日、トウコが朝からそわそわしていた。
珍しいこともあるものだなと思ったが、いつも通りきっちり仕事はしていたので、特にミツルは何も言わなかった。
そしてまた、ミツルも朝から少し緊張していた。
トウコを守りたい。
色無しのことは分かっていたつもりだった。
しかし、トウコのような小さな女の子に、背中の大きな傷はお守りだと言われたことは、色無しの置かれた現状を改めてミツルに突き付けた。
だからミツルは決意した。
トウコを守れるように強くなろうと。
午後、いつものように鍛錬を見るために中庭に出ようとしているところに、同じく中庭に出ようとしていた団長と行き会った。
「やあ。中庭に行くのかい?」
トウコを見て、何故だか少し苦笑を浮かべてそう言った団長を見上げて、ミツルは緊張しながら言った。
「…あ、あの。少し話があるんです」
ミツルから話し掛けてきたことが珍しかったのか、眉を少し上げた団長を見上げながらミツルは続けた。
「トウコ、俺は団長と話しがあるから…先に中庭に行っててくれ」
そう言われたトウコはこっくり頷くと、中庭に出て行った。
それを見送ったミツルはおずおずと口を開いた。
「俺、強くなりたいんです。魔力は少ないけど…でも少しでも強くなりたくて。だから、俺も鍛錬に参加させてください」
昨日からずっと、何度も何度も頭の中で繰り返した言葉。
緊張し、声を震わせながら言いきった自分の決意。
団長は驚いたように少し目を瞠ったが、すぐに苦笑を浮かべ、腰に手を当てて言った。
「お前の魔力じゃ無理だよ、ミツル。強くはなれない。荷物持ちが精いっぱいってところかな。諦めなさい」
団長はそれだけ言うと、中庭へと出て行った。
初めて出した勇気。
初めての決意。
あっさりと砕かれたそれら。
俯いて、とぼとぼと部屋へミツルは戻った。
抱えた膝に顔を押し付け、声を殺して泣いた。
しばらくそうして膝を抱えて座り込んでいたミツルの耳に、トウコの楽しそうな笑い声が微かに聞こえてきた。
中庭で1人、鍛錬を見ているはずのトウコの笑い声に、顔を上げたミツルは乱暴に目元を拭って部屋を出た。
団長に会うのも気まずく、赤く腫れているであろう目元をトウコに見られるのも嫌で、いつもより顔を俯かせてミツルは中庭に出た。
太陽の光に煌めく中庭に、数名の団員が座り込んでいた。
楽しそうな表情を浮かべている者、驚いた顔をしている者、呆然としている者と様々だったが、彼らは皆一様に同じところを見ていた。
団員の側には団長が腕を組んで立っており、少し真剣な表情で団員たちと同じ方向を見ていた。
彼らの視線の先には、足を肩幅に開き、腰を少し落として胸の前で腕を構えて立っているクリフ。
「もう1本やるか?」
クリフが愉快そうにそう声を掛けると、声を掛けられた人物はこっくりと頷くと好戦的な笑みを浮かべて駆け出した。
その年頃の子供よりも小さな体で、大人と同じかもしくはそれ以上の速さでクリフの眼前まで駆け寄ると、その人物はズボンに包まれた細い右足を大きく蹴り上げた。
クリフがそれを左腕で軽々と防ぐと、今度は左腕を曲げたままクリフの腹を横から打ち抜こうとしたが、それもまたクリフに防がれた。
ちょこまかとクリフの周りを移動しながら攻撃を続け、楽しそうな顔をしたクリフがその全てを防いでいく。
クリフの背後に小さな体が回り込み、ぐっと深く膝を曲げたかと思うと、ぴょんと飛び上がった。
振り向こうとしていたクリフの肩に小さな体が飛び乗る。
「うおっ」
驚いたように声を上げたクリフの首に細い腕が巻き付き、ぎりぎりと締め上げ始める。
咄嗟にクリフがその細い腕を取った。
小さな体が、腕を取られたままクリフの背中の上で宙を舞う。
「やべっ…!」
クリフが焦った顔で呻き、周りで見ていた団長も顔色を変えて駆け寄ろうとし、団員たちも腰を浮かせた。
クリフが慌てて腕を引こうとしたが、間に合わず、小さな体が地面に叩きつけられた。
青い光の欠片が舞ったかと思うと、地面に背中から叩きつけられたその人物は、何事もなかったかのようにそのまま跳ね起きると、クリフの左頬に右の拳を叩きつけた。
「いてえ!」
「やった!」
殴られた左頬を苦笑しながら押さえるクリフの前で、嬉しそうな声を上げて小柄な人物がぴょこぴょこと飛び跳ねる。
その様子を見て、団長と団員がほっとしたように息を吐いた。
「お前障壁も張れたのか」
「はれるよ」
当たり前のようにそう答えられたクリフが、苦笑しながらその小さな頭に手を置くと乱暴に撫でた。
2人の側に歩み寄った団長が言った。
「トウコ、僕ともやってみようか」
小柄な人物―トウコは嬉しそうに大きく頷いた。
自分は何を見ているのだろう。
なぜトウコがクリフと組み合っていたのか。
なぜトウコが団長と組み合っているのか。
トウコの動きは一体何なのか。
トウコは色無しなのに。
だから魔力がないはずなのに。
トウコの周りで舞った青い光の欠片は。
障壁が張れるとはいったいどういうことなのか。
魔力障壁なんて、とても自分には張れない。
呆然とミツルが佇んでいると、クリフが気づいて近づいて来た。
顔を俯かせることも忘れ、ミツルがクリフを見上げる。
「…あれ…どういうこと。トウコがなんで…」
「昨日、団長に連れられて行っただろう?団長は説教するつもりだったのに、結局トウコに説得されちまったらしいんだよ。」
苦笑しながらクリフが続ける。
「本当はトウコがもうちっと大きくなってから鍛錬するはずだったんだけどなあ。あいつは9歳って言ってるけど、7,8歳くらいの大きさしかないだろ?でも、今すぐやらせろって言うこと聞かなかったらしい。強くなれば外に出ても平気だろうってな。本当に気が強い」
困ったような口調とは裏腹に、楽しそうな表情でそう言ったクリフの言葉がミツルには理解できなかった。
「…トウコに鍛錬って…。トウコは色無しで…だから魔力が…」
その言葉にクリフが「おや」という表情を浮かべた。
「ああ、お前知らなかったのか?トウコのやつ、色無しだけど何故だか魔力があるんだよ。しかも結構高くてな。ありゃまだまだ高くなるぞ」
クリフが、団長と組み合っているトウコを見やる。
「…魔物に襲われてるところを助けたって言っただろう?その時、俺もいたんだよ。狼型の魔物の群れに襲われてたんだが、トウコは1匹倒してるんだよ。驚いたってもんじゃなかったぞ」
色無しだから魔力がない。
だからトウコは自分よりも弱い。
「養親が組合員だったらしくてな。身体強化と戦い方を教えて貰ってたらしい」
だから守ってやりたいと思った。
「まさか障壁まで使えるとは思わなかった。…9歳であの魔力と動き。末恐ろしいよ本当に。あいつ、これから強く…おい、嘘だろ」
団長と組み合っていたトウコを見ながら話していたクリフが、愕然とした表情を浮かべた。
呆然とクリフの言葉を聞いていたミツルも、半ば無意識にそちらに視線をやった。
魔力障壁の成れの果て。
障壁が砕かれた時に散る青い光の欠片が、驚いたように目を見開いた団長の周りに舞っていた。
団長の顔の前まで飛び上がっていたトウコの細い右腕が、団長の頬に当たってぺちんと気の抜けた音を出す。
着地したトウコがふにゃりと地面に座り込み、嬉しそうな笑顔を浮かべた。
「ざんねん。魔力、使いすぎちゃった。でも、団長のしょうへき割った」
守ってやりたいと願った、か弱い小さな色無しの女の子は。
存在しなかった。
この日、願いを砕かれた少年は、小さな色無しの少女が、自分よりも強いことを知った。
珍しいこともあるものだなと思ったが、いつも通りきっちり仕事はしていたので、特にミツルは何も言わなかった。
そしてまた、ミツルも朝から少し緊張していた。
トウコを守りたい。
色無しのことは分かっていたつもりだった。
しかし、トウコのような小さな女の子に、背中の大きな傷はお守りだと言われたことは、色無しの置かれた現状を改めてミツルに突き付けた。
だからミツルは決意した。
トウコを守れるように強くなろうと。
午後、いつものように鍛錬を見るために中庭に出ようとしているところに、同じく中庭に出ようとしていた団長と行き会った。
「やあ。中庭に行くのかい?」
トウコを見て、何故だか少し苦笑を浮かべてそう言った団長を見上げて、ミツルは緊張しながら言った。
「…あ、あの。少し話があるんです」
ミツルから話し掛けてきたことが珍しかったのか、眉を少し上げた団長を見上げながらミツルは続けた。
「トウコ、俺は団長と話しがあるから…先に中庭に行っててくれ」
そう言われたトウコはこっくり頷くと、中庭に出て行った。
それを見送ったミツルはおずおずと口を開いた。
「俺、強くなりたいんです。魔力は少ないけど…でも少しでも強くなりたくて。だから、俺も鍛錬に参加させてください」
昨日からずっと、何度も何度も頭の中で繰り返した言葉。
緊張し、声を震わせながら言いきった自分の決意。
団長は驚いたように少し目を瞠ったが、すぐに苦笑を浮かべ、腰に手を当てて言った。
「お前の魔力じゃ無理だよ、ミツル。強くはなれない。荷物持ちが精いっぱいってところかな。諦めなさい」
団長はそれだけ言うと、中庭へと出て行った。
初めて出した勇気。
初めての決意。
あっさりと砕かれたそれら。
俯いて、とぼとぼと部屋へミツルは戻った。
抱えた膝に顔を押し付け、声を殺して泣いた。
しばらくそうして膝を抱えて座り込んでいたミツルの耳に、トウコの楽しそうな笑い声が微かに聞こえてきた。
中庭で1人、鍛錬を見ているはずのトウコの笑い声に、顔を上げたミツルは乱暴に目元を拭って部屋を出た。
団長に会うのも気まずく、赤く腫れているであろう目元をトウコに見られるのも嫌で、いつもより顔を俯かせてミツルは中庭に出た。
太陽の光に煌めく中庭に、数名の団員が座り込んでいた。
楽しそうな表情を浮かべている者、驚いた顔をしている者、呆然としている者と様々だったが、彼らは皆一様に同じところを見ていた。
団員の側には団長が腕を組んで立っており、少し真剣な表情で団員たちと同じ方向を見ていた。
彼らの視線の先には、足を肩幅に開き、腰を少し落として胸の前で腕を構えて立っているクリフ。
「もう1本やるか?」
クリフが愉快そうにそう声を掛けると、声を掛けられた人物はこっくりと頷くと好戦的な笑みを浮かべて駆け出した。
その年頃の子供よりも小さな体で、大人と同じかもしくはそれ以上の速さでクリフの眼前まで駆け寄ると、その人物はズボンに包まれた細い右足を大きく蹴り上げた。
クリフがそれを左腕で軽々と防ぐと、今度は左腕を曲げたままクリフの腹を横から打ち抜こうとしたが、それもまたクリフに防がれた。
ちょこまかとクリフの周りを移動しながら攻撃を続け、楽しそうな顔をしたクリフがその全てを防いでいく。
クリフの背後に小さな体が回り込み、ぐっと深く膝を曲げたかと思うと、ぴょんと飛び上がった。
振り向こうとしていたクリフの肩に小さな体が飛び乗る。
「うおっ」
驚いたように声を上げたクリフの首に細い腕が巻き付き、ぎりぎりと締め上げ始める。
咄嗟にクリフがその細い腕を取った。
小さな体が、腕を取られたままクリフの背中の上で宙を舞う。
「やべっ…!」
クリフが焦った顔で呻き、周りで見ていた団長も顔色を変えて駆け寄ろうとし、団員たちも腰を浮かせた。
クリフが慌てて腕を引こうとしたが、間に合わず、小さな体が地面に叩きつけられた。
青い光の欠片が舞ったかと思うと、地面に背中から叩きつけられたその人物は、何事もなかったかのようにそのまま跳ね起きると、クリフの左頬に右の拳を叩きつけた。
「いてえ!」
「やった!」
殴られた左頬を苦笑しながら押さえるクリフの前で、嬉しそうな声を上げて小柄な人物がぴょこぴょこと飛び跳ねる。
その様子を見て、団長と団員がほっとしたように息を吐いた。
「お前障壁も張れたのか」
「はれるよ」
当たり前のようにそう答えられたクリフが、苦笑しながらその小さな頭に手を置くと乱暴に撫でた。
2人の側に歩み寄った団長が言った。
「トウコ、僕ともやってみようか」
小柄な人物―トウコは嬉しそうに大きく頷いた。
自分は何を見ているのだろう。
なぜトウコがクリフと組み合っていたのか。
なぜトウコが団長と組み合っているのか。
トウコの動きは一体何なのか。
トウコは色無しなのに。
だから魔力がないはずなのに。
トウコの周りで舞った青い光の欠片は。
障壁が張れるとはいったいどういうことなのか。
魔力障壁なんて、とても自分には張れない。
呆然とミツルが佇んでいると、クリフが気づいて近づいて来た。
顔を俯かせることも忘れ、ミツルがクリフを見上げる。
「…あれ…どういうこと。トウコがなんで…」
「昨日、団長に連れられて行っただろう?団長は説教するつもりだったのに、結局トウコに説得されちまったらしいんだよ。」
苦笑しながらクリフが続ける。
「本当はトウコがもうちっと大きくなってから鍛錬するはずだったんだけどなあ。あいつは9歳って言ってるけど、7,8歳くらいの大きさしかないだろ?でも、今すぐやらせろって言うこと聞かなかったらしい。強くなれば外に出ても平気だろうってな。本当に気が強い」
困ったような口調とは裏腹に、楽しそうな表情でそう言ったクリフの言葉がミツルには理解できなかった。
「…トウコに鍛錬って…。トウコは色無しで…だから魔力が…」
その言葉にクリフが「おや」という表情を浮かべた。
「ああ、お前知らなかったのか?トウコのやつ、色無しだけど何故だか魔力があるんだよ。しかも結構高くてな。ありゃまだまだ高くなるぞ」
クリフが、団長と組み合っているトウコを見やる。
「…魔物に襲われてるところを助けたって言っただろう?その時、俺もいたんだよ。狼型の魔物の群れに襲われてたんだが、トウコは1匹倒してるんだよ。驚いたってもんじゃなかったぞ」
色無しだから魔力がない。
だからトウコは自分よりも弱い。
「養親が組合員だったらしくてな。身体強化と戦い方を教えて貰ってたらしい」
だから守ってやりたいと思った。
「まさか障壁まで使えるとは思わなかった。…9歳であの魔力と動き。末恐ろしいよ本当に。あいつ、これから強く…おい、嘘だろ」
団長と組み合っていたトウコを見ながら話していたクリフが、愕然とした表情を浮かべた。
呆然とクリフの言葉を聞いていたミツルも、半ば無意識にそちらに視線をやった。
魔力障壁の成れの果て。
障壁が砕かれた時に散る青い光の欠片が、驚いたように目を見開いた団長の周りに舞っていた。
団長の顔の前まで飛び上がっていたトウコの細い右腕が、団長の頬に当たってぺちんと気の抜けた音を出す。
着地したトウコがふにゃりと地面に座り込み、嬉しそうな笑顔を浮かべた。
「ざんねん。魔力、使いすぎちゃった。でも、団長のしょうへき割った」
守ってやりたいと願った、か弱い小さな色無しの女の子は。
存在しなかった。
この日、願いを砕かれた少年は、小さな色無しの少女が、自分よりも強いことを知った。
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