ダークイースター

雨川 海(旧 つくね)

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仲神舜一の場合

☆20

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 僕が黙ってしまうと、亮太氏は持論を続けた。

「舜一くんの話を聞いて、ハルマゲドンは来ると確信した。俺は、以前から生き残る為に、水や食糧や武器を備えている。ここは二階だが、地下に直通するエレベーターがあるし、地下は防災シェルターになっている。武器は、バズーカーは無理だったが、四十口径のライフルは用意した。やはり日本では、武器に限界があるな」

 僕は、亮太氏の備えが過剰に思えた。ライフルは、おそらく象とかを仕留める用途の物だろう。

「あの、闇復活祭ダークイースターをご存知でしょうか?」

 僕の質問に、亮太氏が答える。

「それは、ハルマゲドンの事を、闇バテレンがそう説明していたんだ」



 僕と綾香は、亮太氏から話を聞くと、今日の調査はここで切り上げる事にした。
 伯父が予約してくれたホテルは、杉川町唯一の観光ホテルで、場所を調べると、バスに乗る必要があった。
 僕たちはバスで移動し、湖の畔に建つ五階建てのレイクホテルに着いた。

 ロビーで尋ねると、伯父は先にチェックインを済ませ、部屋は取ってあった。
 305号室と、306号室になる。
 ただ、伯父は出掛けていて居ない。との事だった。
 僕が305号室に案内されると、伯父の荷物が置いて在った。テーブルの上には、伯父の携帯が有る。
 置き忘れて行ったのだろうか? これでは連絡が付かない。

 僕は、伯父の二つ折の携帯に注目する。それは、紙が挟まっていたからで、紙の正体は、杉川町郷土資料館の当日チケットで、15:10の刻印が有った。
 どうやら、伯父も澤地豊雄の蝋人形がある施設を訪ねたようで、時間的には僕らが去った後になる。
 その時、部屋のドアがノックされ、綾香が入って来た。
 いや、ノックから入るまでが早い。年頃の男子としては、せめて声を掛けてくれないと困る。
 それはさておき、綾香の用件を聞く。

「蟹江おじ様は何処へ行ったの?」

「さぁ、携帯を置いて行ったから、連絡を待つしかないね」

「そっか、どうしよう?」

「そうだな、温泉に入って飯を食うしかないだろうな。刑事さんの捜索願を警察に出すのは、まだ早いだろ。もっと様子を見ないと」

 僕は、綾香の同意を得ると、タオルと浴衣を持って温泉へ行く。彼女も同じ行動を取る。
 ちなみに、館内の大浴場は男女別になっている。

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