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未来の話 転生n回目のロイとノクス* 後
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やがて明るい平野に出て、小高い丘を登ったところに古びた小屋が見えた。
小屋の手前には大きな切り株があり、そこまで連れていかれて切り株の上に寝かされた。
「怪物さん、はやく」
肩に腕を回したままとろんと見上げると、彼は細長い指を使って器用にロイの服を脱がしてくる。
ロイが発情していることがわかっているのか、脱がせた側から胸の尖りを押し潰すように丸めた指先で弄ってきた。
「んっあっ、そう、それ。怪物さんもっと」
欲しいものはこれなの。
身体をくねらせて強請ると、怪物は指を離して自分の鎧をトントンと叩いた。
「ん、……鎧を外すってこと?」
もう一度トントンと叩く鎧の表面を見つめると、微かに文字が彫られている。
「ノ、ク、ス……? もしかして、名前のなの? ノクスっていう」
そう聞くと、黒い霧がくるくると勢いよく回る。
その様子を見て満面の笑みで頷いた。
「ノクス、僕はロイ。君に会えるのをずっと待っていた気がする。会えて嬉しいよ。僕をお嫁さんにしてくれる?」
くる……くるくる
霧は一瞬戸惑ったが、しかし把握した、というように回転した。後ろの尾がふさふさと揺れている。
「ほんと?」
くるくる!
ぶんぶんとノクスの尾が揺れる。
「嬉しい。じゃあ続きして。僕もう我慢できない。ノクス、お願い」
自分で残りの服を脱いでノクスの上に乗り上げる。切り株にノクスを座らせて、その上に跨った。
「はぁ……すき。どうして? ノクスを見てると欲しくて仕方ないんだ。今まで自分は不能だと思ってたのに」
すでに自分の性器は硬く立ち上がっていた。
ノクスの逞しい身体をうっとりと見つめて呟くと、黒い被毛の生えた腕が伸びてきて、節の立つ平たい手のひらに身体を撫でられる。
「んっ……あ」
長い指が性器に絡んできて、心得たように動き出す。まるでどうすればロイが気持ちいいのか、把握しているというようなスムーズな動きで上下に扱かれた。
「あっ、あっ、気持ちい……ノクス」
ノクスの膝の上で悶えていると、もう一方の手が腰に回り、そのうち背後から指が伸びてきて後ろの窄まりに触れた。
「んっ、あっ……そこ、いれて」
この年まで人間相手に興奮しなかったものの、過去に色々と調べたから同性同士のやり方は知っている。誘われても毛の一本ほども心は動かなかったが、ノクスとそこを使って一つになることを考えたら大変興奮した。
「あっ、ほし……ノクス、ほしい」
ぎゅっと抱きついて腰を振ると、ノクスは後ろに指を埋め込んできた。
そこでも中の様子を把握しているという動きで、ほとんど痛みを感じさせずに長い指を中に差し入れた。中は濡れないはずなのに、ノクスの指先から何かが出ている気がする。少し湿ったような、中で粘膜と馴染むとびりびりするような快感を生み出す何か。
「あっ、ん……っ、んぁっすご……きもち、ぁああっ」
ぐちゅぐちゅと中を擦られるともう何も考えられなくなった。
「あっ、ダメ、でちゃ……っ、ひぁあっ」
前を扱かれながら奥を擦られて、初めて自分の妄想以外の刺激で達した。
頭の中が痺れるような快感に一瞬気が遠くなったが、自分の身体の奥はもっと強い快楽を求めてノクスの指を強く締め付ける。その動きに応えるようにノクスの指が太くなり、奥まで拡げるようにピストンされた。
「アッ、んっ……ぁあっ、は、アッ」
続け様に与えられる快感に背中を逸らして喘ぐ。
足を広げて中をいじめられながら、目はノクスの下半身に釘付けになっていた。
ズボンを押し上げている、巨大な膨らみを見て、喉が鳴る。
「ノクス、あっ、それ……ほし」
鎧を掴んだ手が滑り、ずるっと身体が下がると背中を黒い鋏が支えてくれる。
背もたれができて楽になったので、鋏に寄りかかりながら足を大きく開いた。
「ちょうだい、ノクス。んっ、はぁ……ぼくのなか、いれてっ……」
中の指を締め付けながら言うと、ノクスは性器を包んでいた手を離して自分のズボンの中から己の雄を取り出した。
形は人に似ている。
でも、獣のようにも見える。
黒い地肌と同じ色で、ロイのものと比べてもかなり長くて太い。根本に膨らみが見えるから、狼にも似ている。
ごくりと唾を飲み込んで、聳り立つノクスの性器を見つめた。
勃っているということは、ノクスもロイを見て興奮しているということだ。
それを嬉しいと感じ、彼も一緒に気持ちよくなれるとわかってほっとした。
後ろから指を抜かれて、膝裏を掴まれて足を広げられる。ノクスの熱い切っ先が触れたとき、待ち焦がれたものに出会えたような幸福を感じた。
「ノクス、いっぱいぐちゅぐちゅして」
そう言った瞬間、ずぶりと中を貫かれた。
「アッ、んんっ……ん、ぁ……っ」
入っただけで意識が白むような、壮絶な快感があった。
裂ける限界まで拡がった内壁に巨大な重量の熱杭が埋め込まれていく。ずぶずぶと入ってくる異形の雄を受け入れ、痛みどころか待ち望んでいたものを手に入れた興奮で絶頂していた。
「あっ、あっ、気持ちい……っ! んんっ、ノクス、もっと奥」
苦しいはずなのに、口からはもっとという言葉が漏れる。
「んぁああッ!!」
ぐっと奥を突かれた瞬間、また少量の白濁が散った。
目の前に星が散るような衝撃で放心すると、ノクスが頭を撫でてくれ、そのうちゆるゆると動き始めた。
優しく揺らされるように足を抱えられて揺さぶられる。内壁全部をノクスの性器に擦られて、びくびく震えながら自分でも信じられないような甘い声で、誘うように喘いだ。
「あっ、アッ、んぁっ……、あ、やぁ、あ、ぁあっ」
ロイが喘ぐたびに、ノクスの興奮が大きく膨らんでいくのがわかる。
ノクスの霧を見つめながら、中をキツく締めて自分からも腰を振った。
「出して、ノクス、ぜんぶ……っ、あっ、中ちょうだい……ッ、ほし、ぁあああッ」
全部言う前に一気に奥まで貫かれた。
奥の奥まで埋め込まれた屹立から、何かが弾けるのを感じる。液体ではないそれは、もしかしたら霧の粒かもしれない。口で飲み込んだときと同じような、身体の奥で痺れる深い快感を覚える。
「あっ……あ、……」
ノクスが出したと同時に自分も果てていたのか、ノクスの鎧と自分のお腹はベタベタだった。
脱力する前に、長い腕が腰に巻きついてきてくるんと身体を反転させられた。
「あっ、ふぁッ」
中に入ったままのものが勢いよく中を擦ってびくんと震える。
背後にあった大きな黒い鋏に上半身を伏せて、しがみつくような体勢にさせられた。
と思ったら、ノクスが勢いよく腰を打ちつけてきた。
「ンンッ! アッ、ア、ぁっ……ッ!!」
腰に巻きついた腕はそのままに、下から突き上げるようにして犯される。
強すぎる快感に身を捩ってバランスを崩しそうになると、ノクスが屈んで地面に鋏を置き、その上に乗り上がった身体を背後から貫かれた。
「ひァッ、ア、ア、ぁあッ!」
伸びてきた腕が足に巻きついてきて、閉じないように固定される。
中の敏感な部分を擦るように強く穿たれて、ガクガク震えながらまた達した。
それでもノクスは止まらない。根本のこぶになった部分が浅いところで引っかかって擦れ、何度も強い快感に侵される。ずっと達しているような絶頂感に涙が溢れた。
「やら、あっ……もう、出せな……ッ、んぁあアッ」
腰を打ちつけてくるノクスは、甘く啼いているロイを愛しむように全身を大きな手でくまなく愛撫してくる。
帯状になった黒い霧が口に入ると、頭の中までくらくらした法悦に酔わされ、もう自分がどうなっているのかわからなくなった。
「アッ、ぁあっ、ノクス……っあっ、アアアアッ!」
奥深く突き上げられて、びくんと背中を逸らして何度目かの絶頂を味わった。
中で弾けるノクスの興奮を感じながら、急速に視界が暗くなっていく。脱力感と疲労が頭を巡り、ぐったりとノクスの鋏に寄りかかった。
「ノクス、これでぼく、きみのおよめさんだよね……」
上手く回らない舌でそう呟きながら、身体の内から沸き上がってくる幸福と満足感に身を任せて、ゆっくりと意識を飛ばしたのだった。
◇
ロイが意識を飛ばして眠ってしまった後、ノクスはどこからか持ち出してきた柔らかい布でロイの身体をくるみ、膝の上に横抱きにして抱きしめていた。
沢の傍は日当たりのいいので、日向ぼっこしながら最愛の主が目を覚ますのを待つ。
『もう、坊やったら私のことをすっかり忘れてたわね』
シルフが飛んできて、河原の石の上に留まった。
黒い霧がぐるんと渦を巻いて、
ロイを抱えた腕から指が一本だけ伸び、尖った爪が地面を掻いた。
──オマエ、キライ
『あら。ノクスったらいつの間に字なんか覚えたの?』
──ロイノホン、マツアイダ、ヒマダカラ
『そう。すっかり人間らしくなってきたのね。この調子なら、いつか顔も取り戻すのかしら。まぁいいわ。ちゃんと連れてきてあげたでしょ。いつかの仕返しよ』
──ツギハナイ、ヤキトリ
『うるさいわね、やれるものならやってみなさいな』
バサっと翼を広げたシルフに、ノクスが指一本で弾いて飛ばした石が目にも止まらぬ速さで襲いかかる。
それを全てかわして旋回したシルフは、楽しそうに笑う。
『坊やったら、すっかりあなたに毒されちゃって。もう人間相手じゃ発情しないのよ。可哀想に』
──ロイハノクスノモノ
『そうね、いいわ。坊やがそれを望むなら』
ロイの安心しきった寝顔を見つめ、シルフはふわりと高度を上げた。
『しばらく二人にしてあげる。森に侵入者が来たら教えてあげるから、ロイを可愛がってあげるのよ。呪われた獣さん』
その声にノクスはもう文字では答えず、くるりと霧を回転させてロイを抱え直した。
その後、ロイはようやく出会えた愛しい怪物と末長く幸せに暮らしました。
失踪したロイを心配して、都心から幼馴染のアムが追いかけてきたものの、すったもんだの末に森の傍にある町で一緒にパン屋を開くことになったとかならなかったとか。
しかしそれはまた別の話……
お付き合い、ありがとうございました!!
小屋の手前には大きな切り株があり、そこまで連れていかれて切り株の上に寝かされた。
「怪物さん、はやく」
肩に腕を回したままとろんと見上げると、彼は細長い指を使って器用にロイの服を脱がしてくる。
ロイが発情していることがわかっているのか、脱がせた側から胸の尖りを押し潰すように丸めた指先で弄ってきた。
「んっあっ、そう、それ。怪物さんもっと」
欲しいものはこれなの。
身体をくねらせて強請ると、怪物は指を離して自分の鎧をトントンと叩いた。
「ん、……鎧を外すってこと?」
もう一度トントンと叩く鎧の表面を見つめると、微かに文字が彫られている。
「ノ、ク、ス……? もしかして、名前のなの? ノクスっていう」
そう聞くと、黒い霧がくるくると勢いよく回る。
その様子を見て満面の笑みで頷いた。
「ノクス、僕はロイ。君に会えるのをずっと待っていた気がする。会えて嬉しいよ。僕をお嫁さんにしてくれる?」
くる……くるくる
霧は一瞬戸惑ったが、しかし把握した、というように回転した。後ろの尾がふさふさと揺れている。
「ほんと?」
くるくる!
ぶんぶんとノクスの尾が揺れる。
「嬉しい。じゃあ続きして。僕もう我慢できない。ノクス、お願い」
自分で残りの服を脱いでノクスの上に乗り上げる。切り株にノクスを座らせて、その上に跨った。
「はぁ……すき。どうして? ノクスを見てると欲しくて仕方ないんだ。今まで自分は不能だと思ってたのに」
すでに自分の性器は硬く立ち上がっていた。
ノクスの逞しい身体をうっとりと見つめて呟くと、黒い被毛の生えた腕が伸びてきて、節の立つ平たい手のひらに身体を撫でられる。
「んっ……あ」
長い指が性器に絡んできて、心得たように動き出す。まるでどうすればロイが気持ちいいのか、把握しているというようなスムーズな動きで上下に扱かれた。
「あっ、あっ、気持ちい……ノクス」
ノクスの膝の上で悶えていると、もう一方の手が腰に回り、そのうち背後から指が伸びてきて後ろの窄まりに触れた。
「んっ、あっ……そこ、いれて」
この年まで人間相手に興奮しなかったものの、過去に色々と調べたから同性同士のやり方は知っている。誘われても毛の一本ほども心は動かなかったが、ノクスとそこを使って一つになることを考えたら大変興奮した。
「あっ、ほし……ノクス、ほしい」
ぎゅっと抱きついて腰を振ると、ノクスは後ろに指を埋め込んできた。
そこでも中の様子を把握しているという動きで、ほとんど痛みを感じさせずに長い指を中に差し入れた。中は濡れないはずなのに、ノクスの指先から何かが出ている気がする。少し湿ったような、中で粘膜と馴染むとびりびりするような快感を生み出す何か。
「あっ、ん……っ、んぁっすご……きもち、ぁああっ」
ぐちゅぐちゅと中を擦られるともう何も考えられなくなった。
「あっ、ダメ、でちゃ……っ、ひぁあっ」
前を扱かれながら奥を擦られて、初めて自分の妄想以外の刺激で達した。
頭の中が痺れるような快感に一瞬気が遠くなったが、自分の身体の奥はもっと強い快楽を求めてノクスの指を強く締め付ける。その動きに応えるようにノクスの指が太くなり、奥まで拡げるようにピストンされた。
「アッ、んっ……ぁあっ、は、アッ」
続け様に与えられる快感に背中を逸らして喘ぐ。
足を広げて中をいじめられながら、目はノクスの下半身に釘付けになっていた。
ズボンを押し上げている、巨大な膨らみを見て、喉が鳴る。
「ノクス、あっ、それ……ほし」
鎧を掴んだ手が滑り、ずるっと身体が下がると背中を黒い鋏が支えてくれる。
背もたれができて楽になったので、鋏に寄りかかりながら足を大きく開いた。
「ちょうだい、ノクス。んっ、はぁ……ぼくのなか、いれてっ……」
中の指を締め付けながら言うと、ノクスは性器を包んでいた手を離して自分のズボンの中から己の雄を取り出した。
形は人に似ている。
でも、獣のようにも見える。
黒い地肌と同じ色で、ロイのものと比べてもかなり長くて太い。根本に膨らみが見えるから、狼にも似ている。
ごくりと唾を飲み込んで、聳り立つノクスの性器を見つめた。
勃っているということは、ノクスもロイを見て興奮しているということだ。
それを嬉しいと感じ、彼も一緒に気持ちよくなれるとわかってほっとした。
後ろから指を抜かれて、膝裏を掴まれて足を広げられる。ノクスの熱い切っ先が触れたとき、待ち焦がれたものに出会えたような幸福を感じた。
「ノクス、いっぱいぐちゅぐちゅして」
そう言った瞬間、ずぶりと中を貫かれた。
「アッ、んんっ……ん、ぁ……っ」
入っただけで意識が白むような、壮絶な快感があった。
裂ける限界まで拡がった内壁に巨大な重量の熱杭が埋め込まれていく。ずぶずぶと入ってくる異形の雄を受け入れ、痛みどころか待ち望んでいたものを手に入れた興奮で絶頂していた。
「あっ、あっ、気持ちい……っ! んんっ、ノクス、もっと奥」
苦しいはずなのに、口からはもっとという言葉が漏れる。
「んぁああッ!!」
ぐっと奥を突かれた瞬間、また少量の白濁が散った。
目の前に星が散るような衝撃で放心すると、ノクスが頭を撫でてくれ、そのうちゆるゆると動き始めた。
優しく揺らされるように足を抱えられて揺さぶられる。内壁全部をノクスの性器に擦られて、びくびく震えながら自分でも信じられないような甘い声で、誘うように喘いだ。
「あっ、アッ、んぁっ……、あ、やぁ、あ、ぁあっ」
ロイが喘ぐたびに、ノクスの興奮が大きく膨らんでいくのがわかる。
ノクスの霧を見つめながら、中をキツく締めて自分からも腰を振った。
「出して、ノクス、ぜんぶ……っ、あっ、中ちょうだい……ッ、ほし、ぁあああッ」
全部言う前に一気に奥まで貫かれた。
奥の奥まで埋め込まれた屹立から、何かが弾けるのを感じる。液体ではないそれは、もしかしたら霧の粒かもしれない。口で飲み込んだときと同じような、身体の奥で痺れる深い快感を覚える。
「あっ……あ、……」
ノクスが出したと同時に自分も果てていたのか、ノクスの鎧と自分のお腹はベタベタだった。
脱力する前に、長い腕が腰に巻きついてきてくるんと身体を反転させられた。
「あっ、ふぁッ」
中に入ったままのものが勢いよく中を擦ってびくんと震える。
背後にあった大きな黒い鋏に上半身を伏せて、しがみつくような体勢にさせられた。
と思ったら、ノクスが勢いよく腰を打ちつけてきた。
「ンンッ! アッ、ア、ぁっ……ッ!!」
腰に巻きついた腕はそのままに、下から突き上げるようにして犯される。
強すぎる快感に身を捩ってバランスを崩しそうになると、ノクスが屈んで地面に鋏を置き、その上に乗り上がった身体を背後から貫かれた。
「ひァッ、ア、ア、ぁあッ!」
伸びてきた腕が足に巻きついてきて、閉じないように固定される。
中の敏感な部分を擦るように強く穿たれて、ガクガク震えながらまた達した。
それでもノクスは止まらない。根本のこぶになった部分が浅いところで引っかかって擦れ、何度も強い快感に侵される。ずっと達しているような絶頂感に涙が溢れた。
「やら、あっ……もう、出せな……ッ、んぁあアッ」
腰を打ちつけてくるノクスは、甘く啼いているロイを愛しむように全身を大きな手でくまなく愛撫してくる。
帯状になった黒い霧が口に入ると、頭の中までくらくらした法悦に酔わされ、もう自分がどうなっているのかわからなくなった。
「アッ、ぁあっ、ノクス……っあっ、アアアアッ!」
奥深く突き上げられて、びくんと背中を逸らして何度目かの絶頂を味わった。
中で弾けるノクスの興奮を感じながら、急速に視界が暗くなっていく。脱力感と疲労が頭を巡り、ぐったりとノクスの鋏に寄りかかった。
「ノクス、これでぼく、きみのおよめさんだよね……」
上手く回らない舌でそう呟きながら、身体の内から沸き上がってくる幸福と満足感に身を任せて、ゆっくりと意識を飛ばしたのだった。
◇
ロイが意識を飛ばして眠ってしまった後、ノクスはどこからか持ち出してきた柔らかい布でロイの身体をくるみ、膝の上に横抱きにして抱きしめていた。
沢の傍は日当たりのいいので、日向ぼっこしながら最愛の主が目を覚ますのを待つ。
『もう、坊やったら私のことをすっかり忘れてたわね』
シルフが飛んできて、河原の石の上に留まった。
黒い霧がぐるんと渦を巻いて、
ロイを抱えた腕から指が一本だけ伸び、尖った爪が地面を掻いた。
──オマエ、キライ
『あら。ノクスったらいつの間に字なんか覚えたの?』
──ロイノホン、マツアイダ、ヒマダカラ
『そう。すっかり人間らしくなってきたのね。この調子なら、いつか顔も取り戻すのかしら。まぁいいわ。ちゃんと連れてきてあげたでしょ。いつかの仕返しよ』
──ツギハナイ、ヤキトリ
『うるさいわね、やれるものならやってみなさいな』
バサっと翼を広げたシルフに、ノクスが指一本で弾いて飛ばした石が目にも止まらぬ速さで襲いかかる。
それを全てかわして旋回したシルフは、楽しそうに笑う。
『坊やったら、すっかりあなたに毒されちゃって。もう人間相手じゃ発情しないのよ。可哀想に』
──ロイハノクスノモノ
『そうね、いいわ。坊やがそれを望むなら』
ロイの安心しきった寝顔を見つめ、シルフはふわりと高度を上げた。
『しばらく二人にしてあげる。森に侵入者が来たら教えてあげるから、ロイを可愛がってあげるのよ。呪われた獣さん』
その声にノクスはもう文字では答えず、くるりと霧を回転させてロイを抱え直した。
その後、ロイはようやく出会えた愛しい怪物と末長く幸せに暮らしました。
失踪したロイを心配して、都心から幼馴染のアムが追いかけてきたものの、すったもんだの末に森の傍にある町で一緒にパン屋を開くことになったとかならなかったとか。
しかしそれはまた別の話……
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ご感想ありがとうございました🙏
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私にしか需要がないと思っていたので、読んでいただけて嬉しいです!
イケメンノクスに驚くロイ、いいですね!!
多分そのうちぼやっと自分の昔の顔を思い出して見せてくれるようになるのでは…?と思っています。そして戸惑うロイとベッドインしてくれるはずです()
楽しく読んでいただけて嬉しかったです。ありがとうございました🫶
お疲れ様でした、そしてありがとうございました。
ノクスいいですねー。ちゃっかり生まれ直してもアムいるあたり良き❤️
おじさんロイも会いたかったよーむーです。
よーむーさん、コメントありがとうございました!
最後までお付き合いいただけて感謝です💓
アムは友人枠として、ロイの転生の呪いに引っかかってついてきてます笑
みんな幸せにやってるそうなので、よかったな、と思いました😊
おじさんロイとノクスの合体を書こうとして途中でやめてるので、またそのうち思い出したように書くと思います。温かく見守ってくださり、ありがとうございました。ばあばさま、今後ともよろしくお願いします!
もくれんさん、フィナーレお祝いありがとうございました✨✨わ~嬉しい😊
基本的に登場人物達にはわいわいやっててほしい人間なので、話が終わってからも楽しく暮らしてる感をつい出してしまいます笑
エロに積極的な受けは初めて書いたのですが、楽しかったです、向いてるかもしれません()
これはロイの話というよりは、ノクスの話だったのかな、と今になって思っております。いつか霧が輪郭を結ぶようになるのだと思います…妄想がはかどりますね💓
こちらこそ、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
たくさん励ましていただいて感謝です🙏ビックラブ💓
今後ともよろしくお願いいたします。