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7 会合 ―公爵視点―
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私が彼女に初めて会ったのは十数年以上前のデビュタントの時だ。
その頃には多くの女性からアプローチをかけられていたこともあり、この少女も同じだろうとタカを括って接していた。……それが、悪夢の始まりとも知らずに。
「はじめまして、私の名前はロゼッタ・クルシュと申します。以後お見知り置きを」
ふわふわとまるで羽のように柔らかく広がる髪が印象的な少女だった。ふわりと浮かべる笑顔が彼女の魅力を引き立てている。きっと、自分の魅せ方を分かっているのだろう。
そこいらにいる男ならば誰もが振り返るほどの美人…いや、美少女が正しいか。彼女は私が自分に惹かれるとでも思っているのかもしれない。
まぁ、この美貌ならば納得もしよう。しかし、それだけだ。彼女に対する男としての感情は全くと言ってもいいほど湧かない。
「このような美しい星空の下、私のようなものに声をかけて下さり光栄のいたりでございます。私の名前はジャスパー・ワーズナーと申します。こちらこそお見知り置きを」
サラリと口上を述べ、彼女に礼をとる。
「…」
はははっ、面白い具合に動揺した顔をしている。そんなに私の反応がおかしかったのかな?確かに、頬を染め照れながら…なんて芸当も出来ないわけではないのだが、ほら、それだと…なんといえばいいのかわからないが癪だろ?相手の思う通りってのは。
挨拶を交わしてから一歩も動かない彼女に「では…素敵なパーティーになりますように」と声をかけ、友人のもとへと向かった。
女性の集団に囲まれる友人を見つけると、相手も俺に気づいたのかほっとしたような表情を顔に浮かべた。
「すみません、先約があったので…」
女性が好みそうな整った顔立ちに高い身長、スラリと伸びる手足は程よく筋肉がついており男の魅力も兼ね備えている。が、本人は女遊びなど真っ平御免とでも思っているのか、私の母と既に既婚している女性としか話しているのを見たことがない。別に、他人の女と遊ぶのを楽しむというような性格も持ち合わせてもいなかった。
「よかったのか?」
俺が意地悪でそう言うと、軽く頬をふくらませたあと澄ましたような顔をして俺をちらりと横目で見て腹の立つような言葉をなげかけてきた。
「別に?君こそ女性に声をかけられたのではないのかい?僕に構わずに、行ってきたらよかったじゃないか」
「は?なんでそんなことお前に言われなきゃいけないんだよ」
少し意地の悪いことを言ったらすぐに噛み付いてくる友人に、憎たらしいやつ…と思いながらテラスへと移動した。
「あー、本当に疲れるよ。女の子ってなんであんなに積極的なんだろうね?」
テラスに置いてある二人掛けのベンチに腰掛け彼は愚痴をこぼす。
彼の言いたいことは分かる。私だって常々思っているのだ。もう少しお淑やかな女性はいないのかと。
もうそろそろ、家紋を継ぐために婚約者を見つけなければならないが、私は別段焦ってはいなかった。
両親は政略結婚だったが、恋愛結婚ではないのかと思うほど仲睦まじい。
だから、己も政略結婚でいいと父親には話している。息子である私を大切にしてくれている父だ。きっと、素敵な人を選んでくれるに違いないと思っている。
しかし、俺のこの期待はすぐに打ち砕かれることとなった。
その頃には多くの女性からアプローチをかけられていたこともあり、この少女も同じだろうとタカを括って接していた。……それが、悪夢の始まりとも知らずに。
「はじめまして、私の名前はロゼッタ・クルシュと申します。以後お見知り置きを」
ふわふわとまるで羽のように柔らかく広がる髪が印象的な少女だった。ふわりと浮かべる笑顔が彼女の魅力を引き立てている。きっと、自分の魅せ方を分かっているのだろう。
そこいらにいる男ならば誰もが振り返るほどの美人…いや、美少女が正しいか。彼女は私が自分に惹かれるとでも思っているのかもしれない。
まぁ、この美貌ならば納得もしよう。しかし、それだけだ。彼女に対する男としての感情は全くと言ってもいいほど湧かない。
「このような美しい星空の下、私のようなものに声をかけて下さり光栄のいたりでございます。私の名前はジャスパー・ワーズナーと申します。こちらこそお見知り置きを」
サラリと口上を述べ、彼女に礼をとる。
「…」
はははっ、面白い具合に動揺した顔をしている。そんなに私の反応がおかしかったのかな?確かに、頬を染め照れながら…なんて芸当も出来ないわけではないのだが、ほら、それだと…なんといえばいいのかわからないが癪だろ?相手の思う通りってのは。
挨拶を交わしてから一歩も動かない彼女に「では…素敵なパーティーになりますように」と声をかけ、友人のもとへと向かった。
女性の集団に囲まれる友人を見つけると、相手も俺に気づいたのかほっとしたような表情を顔に浮かべた。
「すみません、先約があったので…」
女性が好みそうな整った顔立ちに高い身長、スラリと伸びる手足は程よく筋肉がついており男の魅力も兼ね備えている。が、本人は女遊びなど真っ平御免とでも思っているのか、私の母と既に既婚している女性としか話しているのを見たことがない。別に、他人の女と遊ぶのを楽しむというような性格も持ち合わせてもいなかった。
「よかったのか?」
俺が意地悪でそう言うと、軽く頬をふくらませたあと澄ましたような顔をして俺をちらりと横目で見て腹の立つような言葉をなげかけてきた。
「別に?君こそ女性に声をかけられたのではないのかい?僕に構わずに、行ってきたらよかったじゃないか」
「は?なんでそんなことお前に言われなきゃいけないんだよ」
少し意地の悪いことを言ったらすぐに噛み付いてくる友人に、憎たらしいやつ…と思いながらテラスへと移動した。
「あー、本当に疲れるよ。女の子ってなんであんなに積極的なんだろうね?」
テラスに置いてある二人掛けのベンチに腰掛け彼は愚痴をこぼす。
彼の言いたいことは分かる。私だって常々思っているのだ。もう少しお淑やかな女性はいないのかと。
もうそろそろ、家紋を継ぐために婚約者を見つけなければならないが、私は別段焦ってはいなかった。
両親は政略結婚だったが、恋愛結婚ではないのかと思うほど仲睦まじい。
だから、己も政略結婚でいいと父親には話している。息子である私を大切にしてくれている父だ。きっと、素敵な人を選んでくれるに違いないと思っている。
しかし、俺のこの期待はすぐに打ち砕かれることとなった。
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