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16、インテリと子犬 その3
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「おいっ!ロート!」
「おぉっ?何だ、どうしたチェイス」
バタバタと走って向かった先は、訓練場。前回はむさくるしさしか感じませんでしたが、ロートさんが居ると清々しさを感じます。……私、おかしいんでしょうか?
そんなことを考えていると、チェイスさんが私をロートさんに向かって突き出しながら叫びました。
「ブラッドの事なんだが…魔獣ハンターに襲われたそうだ!」
「はぁっ!?」
(うん、その反応正しいよ)
「何言ってんだこいつ?」って顔をしてチェイスさんと私を交互に見るロートさん。
私も、今のは言葉足らずだと思います。
その事にチェイスさんも気づいたのか、コホンッと咳払いをして付け足しました。
「ブラッドは、フェンリルの赤子らしい。意思疎通が可能だったので間違いないだろう。産まれてすぐに違法魔獣ハンターによって連れ去られ、自力で抜け出してきたそうだ」
チェイスさんが先程叫んだことによって、訓練場に居たほとんどの人のこちらに視線が集中していました。
目の前ではチェイスさんの言葉を聞いたロートさんが唸っています。
(うーん…)
『ちぇいすさん、魔獣って狩っちゃだめなんですか?』
全員が全員目をギラギラと輝かせるのを見て、感じた疑問を尋ねました。
「あぁ。魔物と魔獣は根本的に違ってな。魔物は自我がなく意思疎通も不可能。人間や家畜を襲うことしか頭にない生物だ。反対に、魔獣はお前のように自我があり、こちらから危害を加えない限りは無闇矢鱈に攻撃するような生き物ではない。まぁ、たまに例外もいるが基本的には無害なんだ」
『でも、ふぇんりるって凶悪じゃないの?』
確か、前世に読んだ物語ではそうだったはずです。
うるうるっと瞳を潤ませ見上げると、虚をつかれたようにさっきまでの剣幕が消えたチェイスさん。
(変なことだったかな?)
「フェンリルは、凶悪なんかじゃない。場所によっては神聖視されるほど気高い生き物だ。お前も、今はコロコロとしてるが将来的には凛々しくなるんじゃないか?」
『えー、それはちょっと……』
私、女の子なので。
「まぁ、とりあえずお前が来てから何日もたってるんだ。その違法魔獣ハンターたちは逃げただろう。だから、捕まえたりはできない。その代わりに警備を厳しくすることにした」
『なんで?』
逃げたなら心配はないんじゃないですか?
そんな気持ちを込めてチェイスさんを見つめます。
「いいか、フェンリルは希少なんだ。存在する個数自体が少なく、人間に確認されたのだって五頭しかいない。さらに言えば、フェンリルの血や肉、特に心臓からは妙薬が取れるという。それこそ、不老不死だったり、どんな病や怪我でもたちまち治すものだったり……な。何が言いたいかわかるな?」
『ワタシ、カモネギ。タイキンタンマリ、アリガトウ』
「……言いたいことはいっぱいあるが、概ねあっている。だから、お前の保護を厳重にしたいんだ。……国王にでも目をつけられたら最悪だしな」
最後の方にボソッと呟くように、「国王に…」と言ったチェイスさん。……知ってますか?それ、フラグっていうんですよ?
嫌な予感しかしない中、「ウォー!やってやるぞ!」と盛り上がる訓練場。…すいません、「やってやるぞ!」が「殺ってやるぞ!」に聞こえたの、私だけですか?
もう何も聞く気にならなくて、そのまま私はぽけーっとしているのでした。
「おぉっ?何だ、どうしたチェイス」
バタバタと走って向かった先は、訓練場。前回はむさくるしさしか感じませんでしたが、ロートさんが居ると清々しさを感じます。……私、おかしいんでしょうか?
そんなことを考えていると、チェイスさんが私をロートさんに向かって突き出しながら叫びました。
「ブラッドの事なんだが…魔獣ハンターに襲われたそうだ!」
「はぁっ!?」
(うん、その反応正しいよ)
「何言ってんだこいつ?」って顔をしてチェイスさんと私を交互に見るロートさん。
私も、今のは言葉足らずだと思います。
その事にチェイスさんも気づいたのか、コホンッと咳払いをして付け足しました。
「ブラッドは、フェンリルの赤子らしい。意思疎通が可能だったので間違いないだろう。産まれてすぐに違法魔獣ハンターによって連れ去られ、自力で抜け出してきたそうだ」
チェイスさんが先程叫んだことによって、訓練場に居たほとんどの人のこちらに視線が集中していました。
目の前ではチェイスさんの言葉を聞いたロートさんが唸っています。
(うーん…)
『ちぇいすさん、魔獣って狩っちゃだめなんですか?』
全員が全員目をギラギラと輝かせるのを見て、感じた疑問を尋ねました。
「あぁ。魔物と魔獣は根本的に違ってな。魔物は自我がなく意思疎通も不可能。人間や家畜を襲うことしか頭にない生物だ。反対に、魔獣はお前のように自我があり、こちらから危害を加えない限りは無闇矢鱈に攻撃するような生き物ではない。まぁ、たまに例外もいるが基本的には無害なんだ」
『でも、ふぇんりるって凶悪じゃないの?』
確か、前世に読んだ物語ではそうだったはずです。
うるうるっと瞳を潤ませ見上げると、虚をつかれたようにさっきまでの剣幕が消えたチェイスさん。
(変なことだったかな?)
「フェンリルは、凶悪なんかじゃない。場所によっては神聖視されるほど気高い生き物だ。お前も、今はコロコロとしてるが将来的には凛々しくなるんじゃないか?」
『えー、それはちょっと……』
私、女の子なので。
「まぁ、とりあえずお前が来てから何日もたってるんだ。その違法魔獣ハンターたちは逃げただろう。だから、捕まえたりはできない。その代わりに警備を厳しくすることにした」
『なんで?』
逃げたなら心配はないんじゃないですか?
そんな気持ちを込めてチェイスさんを見つめます。
「いいか、フェンリルは希少なんだ。存在する個数自体が少なく、人間に確認されたのだって五頭しかいない。さらに言えば、フェンリルの血や肉、特に心臓からは妙薬が取れるという。それこそ、不老不死だったり、どんな病や怪我でもたちまち治すものだったり……な。何が言いたいかわかるな?」
『ワタシ、カモネギ。タイキンタンマリ、アリガトウ』
「……言いたいことはいっぱいあるが、概ねあっている。だから、お前の保護を厳重にしたいんだ。……国王にでも目をつけられたら最悪だしな」
最後の方にボソッと呟くように、「国王に…」と言ったチェイスさん。……知ってますか?それ、フラグっていうんですよ?
嫌な予感しかしない中、「ウォー!やってやるぞ!」と盛り上がる訓練場。…すいません、「やってやるぞ!」が「殺ってやるぞ!」に聞こえたの、私だけですか?
もう何も聞く気にならなくて、そのまま私はぽけーっとしているのでした。
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