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第4話 勇者の一行
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「我が名はアーデルハイト! 勇者の血族として生まれ、戦士ガイラと魔導師リイナと共に魔王を倒すものなり」
名乗りをあげるアーデルハイトの横で、戦士ガイラが斧を下ろして、腕を組む。
「ねぇ。あれって? 儀礼中央協会で、騒ぎを起こしていた猟師じゃない?」
アーデルハイトの後方から顔を出した女性が怪訝そうに言った。彼女が勇者の言ったリイナであるだろうと僕は思う。ガイラが屈強な肉体を震わせ、盛大に笑った。
「そうだそうだ。勇者一行にもなれないただの平民。そして汚れた猟師だったな。俺の弟子が協会から投げ出したはずだが、まだこんなところにいたのだな」
僕は彼と同じ出で立ちの戦士を思い出す。アーデルハイトはガイラに一度頷くと、地面に剣を突き立てた。
「猟師さん。その少女を俺たちに引き渡してくれ。そいつは魔族だ」
僕は抱える少女を見る。魔族の中でも人の形をとるものがいると聞いたことがある。そして魔王に連なる者として勇者の討伐対象になる。
手にかける少女が僕の裾をぎゅっと握った。そして僕を見上げて、じっと見つめている。その手が震えていた。口はしっかりと閉じられていて、言葉を選んでいるようにも見える。
「魔族といっても少女だろう。どうするんだ?」
僕が言うと、一行は互いに視線を交わした後、笑い出した。
「もちろん殺す。魔族を討伐し、いずれは魔王も打ち倒す。それが勇者と、勇者一行の使命だからな!」
「殺すというのか?」
僕が言うと、リイナが僕を睨みつける。
「当たり前でしょう? 勇者になれなかったんだから、せめて役割くらいはこなしてくれない? それが平民の使命でしょう? 魔族に加担するならば、あなたも討伐対象になる。それだけ罪は重い」
リイナが言い終わると、アーデルハイトが剣を構える。そしてガイラもまた斧を携え、勇者に並ぶ。
離してなるものかと僕は強く思った。少女は僕に助けを求めている。彼女の細い腕が、必死に僕へすがりつき、力強く握っている。
勇者でなくても頼られたのなら助けなければならない。それに僕はもう勇者にはなれない。彼女を討伐する理由もないのだ。
「ねぇ。ちょっとだけ待っていて。すぐに終わるから」
僕は少女を地面に降ろす。少女は僕を見上げて口を開く。
「いいのか? 相手は勇者だぞ? それに妾は、魔族だ」
僕は両手を握り、構えを取る。笑みを浮かべる三人を正面に取り、足先へと力を込める。
「僕は猟師だ。そして僕たちは同じ人だろう」
「お主はバカなのか?」
「あぁよく言われる」
少女が笑うのが見えた。口元には微かな笑みが浮かんでいるが、瞳は今にも泣き出しそうに潤んでいた。僕が戦う理由は、もう十分だった。
「愚か者め! せめて抵抗してみせろ。俺たちを楽しませるんだ!」
ガイラは斧を振り上げて、僕に突進してきた。両腕を大きく振り上げているため、甲冑に隙間ができている。
僕を両断しようと、ガイラが斧を振り下ろす。僕は跳び、己が速度を増す前に手元を握る。ガイラは目を見開いていた。
名乗りをあげるアーデルハイトの横で、戦士ガイラが斧を下ろして、腕を組む。
「ねぇ。あれって? 儀礼中央協会で、騒ぎを起こしていた猟師じゃない?」
アーデルハイトの後方から顔を出した女性が怪訝そうに言った。彼女が勇者の言ったリイナであるだろうと僕は思う。ガイラが屈強な肉体を震わせ、盛大に笑った。
「そうだそうだ。勇者一行にもなれないただの平民。そして汚れた猟師だったな。俺の弟子が協会から投げ出したはずだが、まだこんなところにいたのだな」
僕は彼と同じ出で立ちの戦士を思い出す。アーデルハイトはガイラに一度頷くと、地面に剣を突き立てた。
「猟師さん。その少女を俺たちに引き渡してくれ。そいつは魔族だ」
僕は抱える少女を見る。魔族の中でも人の形をとるものがいると聞いたことがある。そして魔王に連なる者として勇者の討伐対象になる。
手にかける少女が僕の裾をぎゅっと握った。そして僕を見上げて、じっと見つめている。その手が震えていた。口はしっかりと閉じられていて、言葉を選んでいるようにも見える。
「魔族といっても少女だろう。どうするんだ?」
僕が言うと、一行は互いに視線を交わした後、笑い出した。
「もちろん殺す。魔族を討伐し、いずれは魔王も打ち倒す。それが勇者と、勇者一行の使命だからな!」
「殺すというのか?」
僕が言うと、リイナが僕を睨みつける。
「当たり前でしょう? 勇者になれなかったんだから、せめて役割くらいはこなしてくれない? それが平民の使命でしょう? 魔族に加担するならば、あなたも討伐対象になる。それだけ罪は重い」
リイナが言い終わると、アーデルハイトが剣を構える。そしてガイラもまた斧を携え、勇者に並ぶ。
離してなるものかと僕は強く思った。少女は僕に助けを求めている。彼女の細い腕が、必死に僕へすがりつき、力強く握っている。
勇者でなくても頼られたのなら助けなければならない。それに僕はもう勇者にはなれない。彼女を討伐する理由もないのだ。
「ねぇ。ちょっとだけ待っていて。すぐに終わるから」
僕は少女を地面に降ろす。少女は僕を見上げて口を開く。
「いいのか? 相手は勇者だぞ? それに妾は、魔族だ」
僕は両手を握り、構えを取る。笑みを浮かべる三人を正面に取り、足先へと力を込める。
「僕は猟師だ。そして僕たちは同じ人だろう」
「お主はバカなのか?」
「あぁよく言われる」
少女が笑うのが見えた。口元には微かな笑みが浮かんでいるが、瞳は今にも泣き出しそうに潤んでいた。僕が戦う理由は、もう十分だった。
「愚か者め! せめて抵抗してみせろ。俺たちを楽しませるんだ!」
ガイラは斧を振り上げて、僕に突進してきた。両腕を大きく振り上げているため、甲冑に隙間ができている。
僕を両断しようと、ガイラが斧を振り下ろす。僕は跳び、己が速度を増す前に手元を握る。ガイラは目を見開いていた。
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