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第78話.私の体
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ドアが開く音がした。それが閉まって家の中が足音でうるさくなる。私の部屋を通り過ぎてリビングの方へと向かう。足音の数からしてあの人の他にもう1人か2人くらいは居る感じがする。
なにか話し声が聞こえる。壁を挟んでいるため言葉は伝わってこないが、口調の柔らかさからなんとなく楽しそうな雰囲気が分かる。
しばらく話した後に人の気配がお風呂場の方に移動していく。その時の足音と、リビングの方から人の気配が消えたことで今家の中に居るのは”あの人”ともう1人だということが分かった。
どうせお風呂場の方で、イヤラシイことでもやってるに決まってる。
“どこにも行くなよ”
元から分かっていたことだが、その言葉が良い意味を持たないことを改めて自覚させられた。でも詳しくどういう意味なのかはまだ分からない。
新しいお父さんとか? いやでもあの人がそんなものを今更私に紹介するとも思えない。というか、そんなことだったら勝手にしてくれって思う。
今更私の中の小さな世界を壊さないでほしい。壊れそうなほど不安定だけど、私が今まで頑張って均衡を保ってきたこの小さな世界に、“あの人”だろうが誰だろうが入って来ないでほしい。
今のうちに逃げ出そうか・・・・・・?
大丈夫。簡単だ。ベッドから体を起こして物音を立てないように家の外に出て、後はどこへでも足の向くままに歩けばいい。一旦逃げ出してしまえばきっとあの人も私を追いかけては来ない。むしろ、居なくなって喜ぶんじゃないか。私みたいな邪魔な存在がいなくなったことを心から祝福してるところが眼に浮かぶ。
”どこにも行くなよ”
っ!
ダメだ。動けない。どうして? どうして動けなくなるの? 足が重い、腕に力が入らない。お願いだから私の言うことを聞いて! 今日だけ! 今日だけでいいから! なんで動かないの? 私の体なのに。
私の、体、なのに・・・・・・。
そうこうしてる間に今度は脱衣所から声が聞こえる。早い、早いよ、早すぎるよ。
まだ今なら、ギリギリバレずに抜け出せるはず。
ほら、動いて、動いてよ! 動けってこの足! お願い・・・・・・お願いだから・・・・・・。
どうして・・・・・・動いてくれないの?
ああ、足音が聞こえる。あの人たちが出てきてしまった。もう逃げられない。
私の部屋のドアが開く。閉ざされていた視界が明るくなる。
え?
なにか話し声が聞こえる。壁を挟んでいるため言葉は伝わってこないが、口調の柔らかさからなんとなく楽しそうな雰囲気が分かる。
しばらく話した後に人の気配がお風呂場の方に移動していく。その時の足音と、リビングの方から人の気配が消えたことで今家の中に居るのは”あの人”ともう1人だということが分かった。
どうせお風呂場の方で、イヤラシイことでもやってるに決まってる。
“どこにも行くなよ”
元から分かっていたことだが、その言葉が良い意味を持たないことを改めて自覚させられた。でも詳しくどういう意味なのかはまだ分からない。
新しいお父さんとか? いやでもあの人がそんなものを今更私に紹介するとも思えない。というか、そんなことだったら勝手にしてくれって思う。
今更私の中の小さな世界を壊さないでほしい。壊れそうなほど不安定だけど、私が今まで頑張って均衡を保ってきたこの小さな世界に、“あの人”だろうが誰だろうが入って来ないでほしい。
今のうちに逃げ出そうか・・・・・・?
大丈夫。簡単だ。ベッドから体を起こして物音を立てないように家の外に出て、後はどこへでも足の向くままに歩けばいい。一旦逃げ出してしまえばきっとあの人も私を追いかけては来ない。むしろ、居なくなって喜ぶんじゃないか。私みたいな邪魔な存在がいなくなったことを心から祝福してるところが眼に浮かぶ。
”どこにも行くなよ”
っ!
ダメだ。動けない。どうして? どうして動けなくなるの? 足が重い、腕に力が入らない。お願いだから私の言うことを聞いて! 今日だけ! 今日だけでいいから! なんで動かないの? 私の体なのに。
私の、体、なのに・・・・・・。
そうこうしてる間に今度は脱衣所から声が聞こえる。早い、早いよ、早すぎるよ。
まだ今なら、ギリギリバレずに抜け出せるはず。
ほら、動いて、動いてよ! 動けってこの足! お願い・・・・・・お願いだから・・・・・・。
どうして・・・・・・動いてくれないの?
ああ、足音が聞こえる。あの人たちが出てきてしまった。もう逃げられない。
私の部屋のドアが開く。閉ざされていた視界が明るくなる。
え?
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