最後の手紙

伊能こし餡

文字の大きさ
1 / 1

独白

しおりを挟む
きっと私は最低な彼女だっただろう。
今までもきっと色んな人から好かれてきたあなたからすれば私の隣というのは退屈すぎたのだろう。

いつからだろう、あなたが私に冷たくなってしまったのは。
いつからだろう、あなたが私に笑いかけなくなったのは。
いつからだろう、あなたが私を好きと言ってくれなくなったのは。
いつからだろう、私があなたと付き合えたことが奇跡だなんて思えなくなってしまったのは。

そんなことばかり考えていたら気付いた時にはもう手遅れでした。
あなたへの気持ちが溢れて止まらないんです。
この気持ちを捨てることが出来ません。
こんなにもあなたが好きなのに。
でもあなたの隣にいることは出来そうにありません。
だから別れてください。
お願いします。
あなたへ

「……これでいいのかしら」
手紙を書き終えると私は部屋を見渡してみる。そこは綺麗さっぱり片付いていて私の荷物はほとんどなくなっていた。
机の上に置いてある写真立てには楽しそうな笑顔を浮かべた私たちの写真が入っていた。

私の隣には優しく微笑む彼がいた。
彼の隣には幸せそうに笑う私がいる。

どうしてこうなったんだろうか、何が原因なのか分からない。
でも、だけど、だからこそ原因ははっきりしている。全部私のせいなのだ。
彼は優しい人だった。誰に対しても平等に接してくれる人だ。だから私の告白を受け入れてくれたのだ。
そして彼も私のことを愛してくれた。
しかし私はそれに応えることが出来なかった。

その優しさが嬉しかったけど同時に辛かった。
だってあなたは私のことが好きじゃないから。
私を愛そうとしてくれているあなたを見ていると心が痛くなった。

でもそれを言えなかった。言ったらあなたが傷ついてしまうと思ったから。
最後まであなたは優しいままでいてくれた。
本当にごめんなさい。
それでも私はあなたが大切だったから。
本当はあなたの隣にいたかった。
あなたとずっと一緒にいたかった。
だけどそれも叶わない願いだと気付いてしまった。

私はこれからどうなるのかな。
このまま誰にも知られずひっそりと生きていくのか。
それとも誰かに見つかって殺されてしまうのか。そんなことを考えながら筆を置く。
「・・・・・・ごめんなさい」
その言葉は誰にも聞かれることなく虚空へと吸い込まれていった。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

私が彼から離れた七つの理由・完結

まほりろ
恋愛
私とコニーの両親は仲良しで、コニーとは赤ちゃんの時から縁。 初めて読んだ絵本も、初めて乗った馬も、初めてお絵描きを習った先生も、初めてピアノを習った先生も、一緒。 コニーは一番のお友達で、大人になっても一緒だと思っていた。 だけど学園に入学してからコニーの様子がおかしくて……。 ※初恋、失恋、ライバル、片思い、切ない、自分磨きの旅、地味→美少女、上位互換ゲット、ざまぁ。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します。 ※他サイトにも投稿しています。 ※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」 ※小説家になろうで2022年11月19日昼日間ランキング総合7位まで上がった作品です!

幸せになれると思っていた

里見知美
恋愛
18歳になったら結婚しよう、と約束をしていたのに。 ある事故から目を覚ますと、誰もが私をいないものとして扱った。

降っても晴れても

凛子
恋愛
もう、限界なんです……

嘘をつく唇に優しいキスを

松本ユミ
恋愛
いつだって私は本音を隠して嘘をつくーーー。 桜井麻里奈は優しい同期の新庄湊に恋をした。 だけど、湊には学生時代から付き合っている彼女がいることを知りショックを受ける。 麻里奈はこの恋心が叶わないなら自分の気持ちに嘘をつくからせめて同期として隣で笑い合うことだけは許してほしいと密かに思っていた。 そんなある日、湊が『結婚する』という話を聞いてしまい……。

愛のバランス

凛子
恋愛
愛情は注ぎっぱなしだと無くなっちゃうんだよ。

すれ違ってしまった恋

秋風 爽籟
恋愛
別れてから何年も経って大切だと気が付いた… それでも、いつか戻れると思っていた… でも現実は厳しく、すれ違ってばかり…

奪った代償は大きい

みりぐらむ
恋愛
サーシャは、生まれつき魔力を吸収する能力が低かった。 そんなサーシャに王宮魔法使いの婚約者ができて……? 小説家になろうに投稿していたものです

犠牲の恋

詩織
恋愛
私を大事にすると言ってくれた人は…、ずっと信じて待ってたのに… しかも私は悪女と噂されるように…

処理中です...