『完結』夜の姫君 シャノン

マイマイン

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2章 ドラクル伯爵の野望

公爵家と伯爵家

 レッドカーペットがかれたホールの中は、シャノンたちだけでなく、スーツを着こなした人間の男性や、ドレスを着込んだエルフの女性と言った人々が集まっていました。間もなく、奥のステージのレッドカーテンが開き、中にスーツを着こなした七三分けの金髪の男性が立っています。

「皆さん、ようこそおいで下さいました。わたくし、ワラキア公国公爵こうしゃくの『ネルソン・ノーブル』と申します。さて、本日は日本との国交樹立5年目を記念しまして、現、ワラキア公国女王にして、私の妻『アカーシャ・ノーブル』の来日です!」

 会場から拍手はくしゅが巻き起こり、間もなく、黒いドレスに身を包んだ、赤い両のひとみに長い金髪の女性がステージの左側から現れました。

「本日で我が国ワラキア公国と日本が国交を結んで5年!これまでに様々な衝突しょうとつ葛藤かっとうがありましたが、共にそれらを乗り越え、今日に至りました。我が国ワラキア公国は、これから先も隣人である日本と共に未来を共有していく所存で・・・!」その瞬間しゅんかん、会場に不気味な笑い声がこだまします。

「フハハハハハ!こうも堂々と姿を現すとはな!」会場が明るくなると、ステージの右側の方に、黒マントとスーツを着込んだ金髪の男性が立っています。

「お前は!ドラクル伯爵はくしゃく!?」ノーブル公爵が叫びます。

「そうだ!お前たち公爵家に王座を追われた悲運ひうんの男だ!」これに、アカーシャは反論はんろんします。

「私が王座に就いたのは、国民たちの意思です!」これにドラクル伯爵は言い返しました。

「いいや!我らの種族のほこりを捨て、弱く、いやしい人間と交わる公爵家が王座に就くなど、私は絶対に認めない!この場で貴様を亡き者にし、人間に殺されたと宣言すれば、我が国ワラキア公国は、人間排斥はいせきに動くはずだ!覚悟!」ドラクルが鋭い爪を伸ばして、アカーシャに迫ってくると、シャノンがおどり出て、鋭い爪でドラクルの爪を防ぎました。

「あなたの思い通りにはさせないっ!」
「貴様は・・・!公爵家の姫君シャノン・・・!?まぁいい!今回は引いてやろう!だが、これで勝ったと思うなよ!」ドラクルはその場から去りました。

 ホテルのロビーにあるテーブルに、シャノン、麻里子、まさる、剛の4人が集まっています。

「シャノン、あの男は一体、何者なの!?」麻里子がたずねます。

「あの男はワラキア公国の伯爵家『ドラクル』一族の当主で、通称『ドラキュラ13世』!」それを聞いたまさるはハッとします。

「ドラキュラだって!?まさか、あの有名な『吸血鬼ドラキュラ』の・・・!?」

「そう、直系の子孫に当たる存在、あのバーナバスの父親よ!私たち公爵家『ノーブル』一族と、伯爵家『ドラクル』一族は、数百年前から対立していて、衝突しょうとつが絶えなかったの・・・!おそらく、ドラクル伯爵は、私たち公爵家を皆殺しにして、自分がワラキア公国の王に即位する気よ」これに、麻里子は不安な表情を浮かべます。

「旅行初日早々、あんなヤツが現れるなんて・・・!あなたやご両親は大丈夫かしら?」

「私のお父様とお母さまは、しばらくは安全な場所に避難ひなんすることにしたの。私は、あえてこの場に残ることにしたの。そうすれば、両親をヤツの目からそらせるし、周りの人間に危害きがいが及んだときは、私がかけ付けることができる・・・!」

「それは、ちょっと危険すぎると思うわ!同じく公爵家のあなたも避難した方が・・・!」これにシャノンは首を横に振ります。

「確かに、そうかもしれない、でも、目的のためなら手段を選ばないアイツの性格を考えると、おそらく、子供たちにも被害が及ぶかもしれない。曲がりなりにもアイツに対抗できるのは、同じく、『バンパイア』である私しかいないし・・・!」
これに、麻里子は首を縦に振りました。

「そういう事なら分かった、でも、あなたは一人で何でも背負いすぎるきらいがあるから・・・!私もあなたに協力するわ、あなたと私は出会った時からの親友でしょ?!」

「それなら、ぼくだってシャノンさんとは長い付き合いだもん、ぼくもいるよ!」
まさるも言います。

「おれも・・・いるぞ・・・!」
剛も胸に手を当てて言いました。

「みんな・・・ありがとう・・・!」
シャノンの顔から緊張が解けます。

「今日はもう遅いから、もう寝ましょう。明日は海水浴場へ子供たちの付き添いをするんでしょう?」

「そうね、じゃあみんな、おやすみなさい」みんなそれぞれの部屋へと戻っていきました。
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