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第3話 王の大笑い
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王都に入ると、凱旋の馬車は歓声に迎えられ、王城に入れば花吹雪が舞った。荷台に乗った勇者アイル、戦士イッチ、魔術師リック、治癒師チキらは、出迎えた大勢の人々に応えて手を振った。
「きゃあああっっっ!! アイル様ぁあああああっっっ!!」
荷台から降り立つと、アイルは若い娘たちの黄色い声に応えて手を振り、得意の笑顔を振りまいた。門が開き、四人は王のいる玉座の間へと進んでいった。
「勇者アイル殿! 戦士イッチ殿! 魔術師リック殿! 治癒師チキ殿! 魔王討伐を果たし、ここに帰還されました!」
衛兵の報告とともに、王の御前に進み出る四人。
「よう無事に戻られた! 首を長くして待っておったぞ! さあさあ、旅の疲れもあるだろうが、ぜひ話を聞かせてくれい!」
王は玉座から身を乗り出し、満面の笑みでもって四人に話を促した。
「まずは私から陛下にご報告いたします」
アイルがうやうやしく述べたところは、王都出立から旅先で遭遇した魔物たちや賊どもに関してだった。王国軍が駐屯する地域は比較的平和が維持されていた一方、ひとたびそこを出ると悪が跋扈しているといった話を、アイルは面白い冗談も交えて伝えた。
次にリックが慎んで述べたところは、各地を遍歴する中で見つけた新たな魔法の数々と、魔物たちから抽出し、錬金術に利用される有効なエキスなどについてだった。これらによりますます王国は発展することでしょうと、リックは微笑んで伝えた。
次にチキが緊張した面持ちで述べたところは、旅の途中で新たに発見した薬草の数々と、それらを用いた治癒薬の調合についてだった。これらにより数多くのレシピが作られ、病で苦しむ民たちが大勢救われることとなりましょうと、チキは喜んで伝えた。
「おお……誠にそなたたちは、予の期待と想像を凌駕する見事な成果を上げてくれたのだな……予は満足だ。実に満足であるぞ……」
王は玉座にもたれてほっと息を吐いた。
「して、いよいよ魔王の最期であるが……」
王はアイルを見た。が……
「陛下! 魔王の最期は、オイラからご報告させていただきますだよ!!」
「おっ? おお、よいぞよいぞ」
突然声を上げたイッチを、王は楽しげに振り向いた。
イッチは得意げに話し始めた。
「魔王城に着いたオイラたちは、『魔王出てこい!』といったでよ。そしたら魔王の奴びっくりして出てきましただ! そこをオラがよ、この斧でバーンと一発かましましただ! そんしたらまあ奴の急所に上手いこと当たったでよ! 奴がウ~ン、ウ~ンちゅうところを、オイラも一つバーンとかましたです! そしたら今度も上手いこと、奴の首根っこのここんところにこうドッカ~ンと当たって、首がポロッと落ちましただ!!」
喜色満面の笑みで報告し終えたイッチ。
王は、初めぽかんと口を開けていたが、
「……ふふっ……ぶはぁあああははははははははははははははは!!!!!」
足をばたばたさせながら大笑いしたので、アイルは同じように笑い、リックとチキは噴き出していた。
「あはっ、あはっ、ああ可笑しい。イッチ。おぬしは王になれるぞ? その名も喜劇王だ! ははははははははは!!!」
ひとしきり笑った後、王はいった。
「よし、よし、イッチの所感はようわかった。詳しい最期については、また後日聞くとしよう。皆もそれでよいな?」
「はい! そのようにいたします!」
何かいおうとしたイッチを遮るように、アイルは声を張り上げた。
「予は少し疲れた。笑い疲れだ! まったくしかし、楽しく愉快な者どもよ。そちらの話を聞いていたら、予も久方ぶりに旅に出かけたくなった……。ああ、これからもこの王に尽くせよ? 予はそちたちに心から期待しておる。よいな? よし。下がってよいぞ」
四人は頭を垂れ、下賜された金一封を懐に玉座の間を後にした。
「きゃあああっっっ!! アイル様ぁあああああっっっ!!」
荷台から降り立つと、アイルは若い娘たちの黄色い声に応えて手を振り、得意の笑顔を振りまいた。門が開き、四人は王のいる玉座の間へと進んでいった。
「勇者アイル殿! 戦士イッチ殿! 魔術師リック殿! 治癒師チキ殿! 魔王討伐を果たし、ここに帰還されました!」
衛兵の報告とともに、王の御前に進み出る四人。
「よう無事に戻られた! 首を長くして待っておったぞ! さあさあ、旅の疲れもあるだろうが、ぜひ話を聞かせてくれい!」
王は玉座から身を乗り出し、満面の笑みでもって四人に話を促した。
「まずは私から陛下にご報告いたします」
アイルがうやうやしく述べたところは、王都出立から旅先で遭遇した魔物たちや賊どもに関してだった。王国軍が駐屯する地域は比較的平和が維持されていた一方、ひとたびそこを出ると悪が跋扈しているといった話を、アイルは面白い冗談も交えて伝えた。
次にリックが慎んで述べたところは、各地を遍歴する中で見つけた新たな魔法の数々と、魔物たちから抽出し、錬金術に利用される有効なエキスなどについてだった。これらによりますます王国は発展することでしょうと、リックは微笑んで伝えた。
次にチキが緊張した面持ちで述べたところは、旅の途中で新たに発見した薬草の数々と、それらを用いた治癒薬の調合についてだった。これらにより数多くのレシピが作られ、病で苦しむ民たちが大勢救われることとなりましょうと、チキは喜んで伝えた。
「おお……誠にそなたたちは、予の期待と想像を凌駕する見事な成果を上げてくれたのだな……予は満足だ。実に満足であるぞ……」
王は玉座にもたれてほっと息を吐いた。
「して、いよいよ魔王の最期であるが……」
王はアイルを見た。が……
「陛下! 魔王の最期は、オイラからご報告させていただきますだよ!!」
「おっ? おお、よいぞよいぞ」
突然声を上げたイッチを、王は楽しげに振り向いた。
イッチは得意げに話し始めた。
「魔王城に着いたオイラたちは、『魔王出てこい!』といったでよ。そしたら魔王の奴びっくりして出てきましただ! そこをオラがよ、この斧でバーンと一発かましましただ! そんしたらまあ奴の急所に上手いこと当たったでよ! 奴がウ~ン、ウ~ンちゅうところを、オイラも一つバーンとかましたです! そしたら今度も上手いこと、奴の首根っこのここんところにこうドッカ~ンと当たって、首がポロッと落ちましただ!!」
喜色満面の笑みで報告し終えたイッチ。
王は、初めぽかんと口を開けていたが、
「……ふふっ……ぶはぁあああははははははははははははははは!!!!!」
足をばたばたさせながら大笑いしたので、アイルは同じように笑い、リックとチキは噴き出していた。
「あはっ、あはっ、ああ可笑しい。イッチ。おぬしは王になれるぞ? その名も喜劇王だ! ははははははははは!!!」
ひとしきり笑った後、王はいった。
「よし、よし、イッチの所感はようわかった。詳しい最期については、また後日聞くとしよう。皆もそれでよいな?」
「はい! そのようにいたします!」
何かいおうとしたイッチを遮るように、アイルは声を張り上げた。
「予は少し疲れた。笑い疲れだ! まったくしかし、楽しく愉快な者どもよ。そちらの話を聞いていたら、予も久方ぶりに旅に出かけたくなった……。ああ、これからもこの王に尽くせよ? 予はそちたちに心から期待しておる。よいな? よし。下がってよいぞ」
四人は頭を垂れ、下賜された金一封を懐に玉座の間を後にした。
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