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第5話 治癒師のため息
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小鳥のさえずりで、アイルとチキは目を覚ました。干し草のベッドの上で、二人はぐっすり眠り、夜を明かした。起きても何もいうことなく、チキは乱れた服を元に戻している。アイルは、うんと伸びをして、駅舎の入口をじっと見つめている。
「もしかすると、チキは一時の戯言だったと思ってるかもしれないけどよ」
「えっ、何?」
急にアイルが話し出したので、チキは訊き返した。
「あの日のことだ。覚えてるだろう」
「またその話? 朝からそんな元気はないわよ? もういかないといけないし」
「違うよ。あのとき、旅を終えた後の話をしたじゃないか。で、きみはこの王都で薬草や治癒薬を売る店を開くといった」
「昨日酒場でもいったでしょう。 それが何?」
「どうしてもこの王都じゃないと駄目か?」
「どういう意味かしら」
アイルは、チキに向き直った。
「俺と一緒にこないか。そして、いい土地を見つけてそこで店を開けばいい」
チキはそれを聞いて、戸惑いの表情を隠せなかった。
「アイル。あなた本当にどうかしちゃったんじゃないの? それってつまり……」
「俺と、結婚しないか」
アイルがいうと、チキはすぐに首を振った。
「勇者様は、面白い冗談しかいわないんじゃないの?」
「これは冗談じゃなく真面目な話だ。俺だっていつもふざけてるわけじゃない」
「はぁ」
チキはため息を吐いた。
「……旅の途中で、あなたと関係を持ったことは、後悔はしていないわ。昨晩のことも……でも、あなたと一緒に暮らすのは、想像できない」
「なぜだ? 俺と一緒になるのは嫌か?」
「違うのよアイル、違うの。何ていうかな……あなたは、近すぎるのよ。恋人として見れないの。あなたはそうじゃないかもだけど、わたしは違うのよ」
「全然わからない。近すぎる? 俺とお前はもうとっくにそういう仲じゃないか」
「わたしとセックスしたことをいってるんだとしたら、それは違うわよ。それに……こんなこというつもりなかったけど……わたしはあなたが初めてじゃない」
アイルは黙ってしまった。
「もし……あなたの繊細な部分を傷つけてしまったらごめんなさい。でも、わたしはあなたとは一緒にはなれない。ごめんなさい」
干し草の上からチキは立ち上がり、尻を軽く払った。
「アイル。道中気をつけてね。また会いましょう。さよなら」
そういい残し、チキは駅舎から出ていった。
アイルはしばらく、動くこともできなかった。
「もしかすると、チキは一時の戯言だったと思ってるかもしれないけどよ」
「えっ、何?」
急にアイルが話し出したので、チキは訊き返した。
「あの日のことだ。覚えてるだろう」
「またその話? 朝からそんな元気はないわよ? もういかないといけないし」
「違うよ。あのとき、旅を終えた後の話をしたじゃないか。で、きみはこの王都で薬草や治癒薬を売る店を開くといった」
「昨日酒場でもいったでしょう。 それが何?」
「どうしてもこの王都じゃないと駄目か?」
「どういう意味かしら」
アイルは、チキに向き直った。
「俺と一緒にこないか。そして、いい土地を見つけてそこで店を開けばいい」
チキはそれを聞いて、戸惑いの表情を隠せなかった。
「アイル。あなた本当にどうかしちゃったんじゃないの? それってつまり……」
「俺と、結婚しないか」
アイルがいうと、チキはすぐに首を振った。
「勇者様は、面白い冗談しかいわないんじゃないの?」
「これは冗談じゃなく真面目な話だ。俺だっていつもふざけてるわけじゃない」
「はぁ」
チキはため息を吐いた。
「……旅の途中で、あなたと関係を持ったことは、後悔はしていないわ。昨晩のことも……でも、あなたと一緒に暮らすのは、想像できない」
「なぜだ? 俺と一緒になるのは嫌か?」
「違うのよアイル、違うの。何ていうかな……あなたは、近すぎるのよ。恋人として見れないの。あなたはそうじゃないかもだけど、わたしは違うのよ」
「全然わからない。近すぎる? 俺とお前はもうとっくにそういう仲じゃないか」
「わたしとセックスしたことをいってるんだとしたら、それは違うわよ。それに……こんなこというつもりなかったけど……わたしはあなたが初めてじゃない」
アイルは黙ってしまった。
「もし……あなたの繊細な部分を傷つけてしまったらごめんなさい。でも、わたしはあなたとは一緒にはなれない。ごめんなさい」
干し草の上からチキは立ち上がり、尻を軽く払った。
「アイル。道中気をつけてね。また会いましょう。さよなら」
そういい残し、チキは駅舎から出ていった。
アイルはしばらく、動くこともできなかった。
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