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球技大会
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勉強会ではなっちゃんとナルシストくん(田嶋くん)の仲が悪いことがよくわかった。あの2人が一緒にいるとなんだか空気が重くなってしまうからもう無理に合わせるのはやめておこうと思った。ナルシストくんとは席が隣なのでたまに話しかけてくる程度。休み時間なんかはずっとなっちゃんが近くにいてくれている。クラスに馴染むまではいかないけれど、変に浮くこともなくて少し安心していた。
なんでこんなに生徒が集まってるの⁉︎
今から僕のバスケットボールの試合なのだけれど、体育館の二階は生徒たちで埋め尽くされていた。あの人だかりの真ん中のコートで試合をすると思うと、息が詰まった。
この時間は確か男子卓球の決勝があったはず。みんなそっちに行ってよ!心臓もたないから!
「みさちゃん頑張ってね。」
肩を軽く叩かれた。振り返ると体操服姿も可愛いなっちゃんが立っていた。その隣には体操服姿がより迫力を増した赤髪くんもいる。
「大丈夫?」
小さくうなづく。正直すでに怖いけど心配はかけたくなかった。
「あんまり緊張しないでよ。女子はクラス対抗とかじゃ無いし、気楽にやればいいよ。」
「ありがとう。」
「無理はするんじゃねぇぞ。」
なっちゃんも赤髪くんも放課後の練習に何度か付き合ってくれた。それに今も応援に来てくれている。少しくらいできるようになったところを見せたいな。
「それじゃ、上で見てるから。」
手を振って2人を見送ると、ナルシストくんが近づいてくるのが見えて顔を伏せてしまった。
「城山さん、頑張ってね。」
「う,うん。」
声をかけられてもなんて返していいかわからない。ナルシストくんの方はそれだけ言うことが目的だったみたいで、それだけ言って体育館の2階の方へ行ってしまった。
みんなの視線を集めているだけでも緊張して仕方がないのに、無様なところを見せてしまったらどうしようかと考えてしまう。もう胃が痛い。もう集合の時間は来いる、体育館のコートの脇には何人かの女子がもう集まっていた。体育の時は女子は全員で受けるからみんな知っている人だし、少し落ち着いた。深呼吸をして息を整える。
「今日は頑張ろうね。」
声をかけてくれる人達に迷惑をかけたくは無い。
そんな中、僕にボールが回ってきた。
「みさきちゃんこっち。」
同じチームの声がふっと遠くに離れていった。視線が僕に集まっているのを感じる。人に囲まれている。遠くで声がする。誰かの応援する声、歓声。いくつもの目がこちらを見ていると思った時にはもう、足も手も動かなかった。
待って、こっちを見ないで。
心の中で叫んだ。怖い。
水の中に入ってしまったように、周りの音がこもって聞こえる。
「ごめんなさい。」
誰にも聞こえないような声はかすれていた。早くここから逃げ出したい。誰かの声がした。心配するような声だった。
誰?
僕の名前を読んでいる声は安心できるような声だった。
なんでこんなに生徒が集まってるの⁉︎
今から僕のバスケットボールの試合なのだけれど、体育館の二階は生徒たちで埋め尽くされていた。あの人だかりの真ん中のコートで試合をすると思うと、息が詰まった。
この時間は確か男子卓球の決勝があったはず。みんなそっちに行ってよ!心臓もたないから!
「みさちゃん頑張ってね。」
肩を軽く叩かれた。振り返ると体操服姿も可愛いなっちゃんが立っていた。その隣には体操服姿がより迫力を増した赤髪くんもいる。
「大丈夫?」
小さくうなづく。正直すでに怖いけど心配はかけたくなかった。
「あんまり緊張しないでよ。女子はクラス対抗とかじゃ無いし、気楽にやればいいよ。」
「ありがとう。」
「無理はするんじゃねぇぞ。」
なっちゃんも赤髪くんも放課後の練習に何度か付き合ってくれた。それに今も応援に来てくれている。少しくらいできるようになったところを見せたいな。
「それじゃ、上で見てるから。」
手を振って2人を見送ると、ナルシストくんが近づいてくるのが見えて顔を伏せてしまった。
「城山さん、頑張ってね。」
「う,うん。」
声をかけられてもなんて返していいかわからない。ナルシストくんの方はそれだけ言うことが目的だったみたいで、それだけ言って体育館の2階の方へ行ってしまった。
みんなの視線を集めているだけでも緊張して仕方がないのに、無様なところを見せてしまったらどうしようかと考えてしまう。もう胃が痛い。もう集合の時間は来いる、体育館のコートの脇には何人かの女子がもう集まっていた。体育の時は女子は全員で受けるからみんな知っている人だし、少し落ち着いた。深呼吸をして息を整える。
「今日は頑張ろうね。」
声をかけてくれる人達に迷惑をかけたくは無い。
そんな中、僕にボールが回ってきた。
「みさきちゃんこっち。」
同じチームの声がふっと遠くに離れていった。視線が僕に集まっているのを感じる。人に囲まれている。遠くで声がする。誰かの応援する声、歓声。いくつもの目がこちらを見ていると思った時にはもう、足も手も動かなかった。
待って、こっちを見ないで。
心の中で叫んだ。怖い。
水の中に入ってしまったように、周りの音がこもって聞こえる。
「ごめんなさい。」
誰にも聞こえないような声はかすれていた。早くここから逃げ出したい。誰かの声がした。心配するような声だった。
誰?
僕の名前を読んでいる声は安心できるような声だった。
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