13 / 20
第13話 スパイの侵入
しおりを挟む
帝国の夜は、今日も静寂に包まれていた。 皇城の廊下に敷かれた分厚い絨毯は足音を吸い込み、等間隔に配置された魔導ランプだけが、青白い光を投げかけている。 一見すると平和そのものの夜だ。 しかし、その静けさの裏側で、目に見えない「糸」が張り巡らされていることを知っている者は少ない。
私は自室のベッドに横たわりながら、天井を見上げていた。 呼吸を整え、意識を拡大させる。 視覚ではなく、魔力感知による「視界」が、皇城全体を覆う結界とリンクしていく感覚。
(……来たわね)
私の脳内マップに、微かなノイズが走った。 場所は北棟の三階。外壁の結界に、針の穴を通すような極小の綻びが生じている。 そこから、水滴が染み込むように、三つの影が侵入したのが分かった。
プロだ。 彼らは自身の魔力を極限まで抑制し、城内の警備システムをすり抜けている。 通常の警備兵や、既存の探知魔導具では、彼らの存在に気づくことさえできないだろう。 でも、残念だったわね。 今の皇城のセキュリティシステムを管理しているのは、この私、リーゼロッテ・フォン・エーデルよ。
私はベッドから起き上がり、ガウンを羽織った。 恐怖はない。あるのは、テスト勉強をした翌日の試験のような、静かな高揚感と確信だけだった。
「さて、私の『実験』に付き合ってもらいましょうか」
私はサイドテーブルに置かれた通信機を手に取り、無音モードでフランツ宰相に信号を送った。 『ネズミ捕獲作戦、開始』。 ジークハルトはまだ執務中だ。彼に気づかれる前に、手早く片付けてしまおう。
◇
侵入者たちは、驚くべき速度と隠密性で移動していた。 彼らの目的地は明白だ。この部屋、つまり私の寝室である。 私は部屋の照明を落とし、椅子に座って彼らを待ち受けた。 手には武器も杖も持っていない。ただ、優雅に紅茶のカップを持っているだけだ(中身はもう冷めているけれど)。
カチャリ。 ドアの鍵が、音もなく開錠された。 物理的なピッキングではない。魔力干渉による解除だ。それも、かなりの高レベルな術式解析能力を持っている。 ドアがわずかに開き、闇色の装束に身を包んだ男たちが滑り込んできた。 三人。 手には短剣と、何やら怪しげな魔導具を持っている。 彼らはベッドの膨らみ(枕で作ったダミーだ)を確認すると、一斉に襲いかかった。
ザシュッ!! 短剣が布団を切り裂く。 しかし、手応えがないことに気づいた彼らが、「チッ」と舌打ちをした瞬間。
「……こんばんは。夜分に随分と乱暴な訪問者ですね」
私は指を鳴らした。 パチンッ! 部屋中の魔導ランプが一斉に最大光量で点灯した。 目が眩むほどの白い光が、闇に慣れた彼らの視界を奪う。
「ぐっ……!?」 「罠か!」
男たちが体勢を立て直そうとする。 しかし、彼らの足は床に縫い付けられたように動かなかった。
「な、なんだこれは!? 足が……!」
彼らの足元には、幾何学模様の光の円陣が浮かび上がっていた。 それは私が事前に床下に仕込んでおいた、『重力制御』と『粘着質変化』を組み合わせた複合トラップだ。
「ようこそ、私の部屋へ。……靴を脱いで上がっていただきたかったのですが、まあいいでしょう」
私は椅子に座ったまま、冷めた紅茶を一口飲んだ。
「貴方たちの目的は私ですね? 誰に雇われましたか?」
リーダー格と思われる男が、目元だけを出した覆面越しに私を睨んだ。
「……生意気な小娘だ。こんな子供騙しの罠で、我々『黒蛇』を止められると思うな!」
男が懐から黒い水晶を取り出した。 途端に、不気味な赤黒い波動が部屋中に広がる。 私の仕掛けた光の円陣が、ガラスのようにヒビ割れ始めた。
「魔力解呪(アンチ・マジック)か。……良い道具を持っていますね」
私は感心した。 あれは軍事用でも最上位クラスの魔導具だ。やはり、ただの盗賊ではない。 罠を破った男たちは、殺気を剥き出しにして私に迫る。
「死ね!」
先頭の男が短剣を突き出してきた。 切っ先まであと数センチ。 普通の令嬢なら悲鳴を上げて気絶する場面だろう。 けれど、私は眉一つ動かさなかった。
キィィィィン……!
甲高い金属音が響き、短剣が空中で静止した。 見えない壁に阻まれたのではない。 男の腕そのものが、ピクリとも動かなくなったのだ。
「な、なんだ!? 体が動かん!?」 「あ、熱い! 体が焼けるようだ!」
男たちが悲鳴を上げ始めた。 彼らの体内で、魔力が暴走を始めていたのだ。
「貴方たち、侵入する際に『透明化』の魔法を使っていましたね? さらに足音を消す『消音魔法』、気配を消す『認識阻害魔法』……」 「それがどうした!」 「使いすぎです。……それらの魔法を維持するために、貴方たちは体内で常に魔力を循環させている。私はその『循環』に、ほんの少しだけ干渉させてもらいました」
私は空中に指で数式を描いた。
「貴方たちの魔力循環の効率を、極限まで『悪化』させたのです。……血流で言えば、血管をわざと詰まらせたようなもの。今、貴方たちの体内で魔力が行き場を失って、筋肉や神経を圧迫しているはずですよ」
これが私の能力の、攻撃的な応用だ。 通常は効率を良くするために使う「最適化」を、逆に「非効率化」に使えば、相手は自滅する。 敵の魔力を利用して敵を倒す、究極の省エネ戦法だ。
「が、あ、あああ……ッ!」
男たちは短剣を取り落とし、床をのた打ち回り始めた。 全身を走る激痛と麻痺。 それは、かつてジークハルトが苦しんでいた魔力過多症の痛みに近いかもしれない。
「痛いでしょう? でも死にはしません。……さあ、教えてください。依頼主は誰?」
私は冷徹に尋問を開始した。 リーダー格の男が、苦悶の表情で喘ぎながら口を開いた。
「い、言うものか……。我々はプロだ……顧客の情報は……ぐああああッ!」
私が指先をクイクイと動かすと、痛みのレベルが一段階上がった。
「プロ意識は立派ですが、命あっての物種ですよ。……それに、このまま魔力が滞留し続ければ、一時間後には内側から爆発して肉片になりますけど?」 「ひ、ひぃぃぃッ! い、言う! 言うから止めてくれ!」
あっさりと落ちた。 所詮は金で動く傭兵だ。忠誠心など期待する方が間違いだった。
「い、依頼主は……王国の、アルフォンス王子だ!」
予想通りの名前に、私はため息をついた。 まだ諦めていなかったのか。国を追われ、囚われの身になってもなお、私への執着を捨てられないとは。 いや、捕まったからこそ、最後の悪あがきとして私を道連れにしようとしたのかもしれない。
「……報酬は?」 「『王家の隠し財産』のありかだ! 成功すれば、それを全てやると……!」
なるほど。自分にはもう払う金がないから、架空の財産を餌にしてプロを雇ったわけか。 どこまでも愚かで、救いようのない男だ。
「情報は分かりました。……では、おやすみなさい」
私が指を鳴らすと、男たちは糸が切れた操り人形のように気絶した。 魔力の流れを遮断し、強制的にシャットダウンさせたのだ。 部屋に静寂が戻る。 これで一件落着――と思った、その時だった。
ドォンッ!!
窓ガラスが粉砕され、黒い影が飛び込んできた。 四人目!? いや、この気配は――
「リーゼロッテッ!!」
悲痛な叫びと共に現れたのは、ジークハルトだった。 彼は窓から侵入するやいなや、床に転がる男たちには目もくれず、私の方へ突進してきた。 その顔色は蒼白で、普段の冷静さは微塵もない。
「ジーク? どうして窓から……」 「無事か!? 怪我はないか!?」
彼は私の肩を掴み、乱暴なまでに全身を確認した。 血は出ていないか。服は破れていないか。 その必死な様子に、私は驚いて目を丸くした。
「だ、大丈夫です。指一本触れさせていません」 「……本当か? 嘘をついていないな?」 「はい。見ての通り、彼らは夢の中です」
私が床の男たちを指差すと、ジークハルトはようやく状況を理解したようだった。 彼は大きく息を吐き、へなへなと膝をついた。
「……心臓が止まるかと思った」
彼は額に手を当て、呻くように言った。
「フランツから報告を聞いた瞬間、目の前が真っ暗になった。……貴様が襲われているかもしれない。連れ去られたかもしれない。そう考えただけで、気が狂いそうだった」 「ごめんなさい。……心配かけまいと思って、事後報告にするつもりでした」 「馬鹿者がッ!」
彼は私を抱きしめた。 強い力だ。痛いくらいに。 でも、その震えが、彼の恐怖の大きさを物語っていた。
「なぜ私を呼ばない! なぜ一人で戦う! ……私は何のためにいるのだ! 貴様を守るためだろう!」 「ジーク……」 「貴様が強かろうが、天才だろうが関係ない! 私の目の届かないところで危険に晒されること自体が、私にとっては耐え難い苦痛なんだ!」
彼の悲痛な叫びに、私は自分の浅はかさを恥じた。 私は「問題を効率的に解決すること」ばかりを考えていた。 でも、彼にとっては「私が無事であること」だけでなく、「私が彼を頼ること」も重要だったのだ。 一人で平気な顔をして戦うことは、彼の「守りたい」という想いを否定することにもなる。
「……ごめんなさい。私が間違っていました」
私は彼の背中に手を回し、謝った。
「次からは、すぐに呼びます。……貴方に助けてもらいます」 「……約束だぞ」
彼は私の首筋に顔を埋め、深く呼吸をした。 しばらくして、彼はようやく落ち着きを取り戻し、床に転がる男たちに冷ややかな視線を向けた。
「……で、このゴミどもはどうする? 消すか?」 「いえ、証人として生かしておきましょう。フランツ宰相に引き渡して、国際法廷で王子の罪を問う材料にします」 「……ふん。貴様は甘いな。私なら、生きたまま氷漬けにして王国の広場に展示してやるところだが」
彼は冗談とも本気ともつかないことを言いながら、衛兵たちを呼んだ。 駆けつけた衛兵たちが、白目を剥いて倒れている暗殺者たちを見て、「また陛下がやったのか」と勘違いしているのが少しおかしかった(訂正はしなかったけれど)。
◇
騒動が収束した後、私たちは場所を変え、私の執務室でコーヒーを飲んでいた。 時刻は深夜二時を回っている。 スパイの尋問結果を聞いたジークハルトは、不快そうに顔をしかめた。
「アルフォンス……。まだ生きていたのか、あの害虫は」 「暴徒に捕まった後、地下牢に幽閉されているそうです。そこから外部と連絡を取ったのでしょう」 「しぶといな。……だが、これが最後だ」
ジークハルトはカップを置き、決断を下した顔をした。
「明日、私が直接ルミナスへ行く」 「えっ、ジークが?」 「ああ。国境付近に軍を展開し、王国暫定政府――今は革命軍のリーダーか――と交渉を行う。……王子の身柄引き渡しと、我が国への不可侵条約を結ぶためにな」
それは事実上の「最終通告」であり、帝国の圧倒的な武力を背景にした「保護国化」の宣言でもあった。 ルミナス王国は形の上では存続するかもしれないが、実質的には帝国の管理下に置かれることになるだろう。 でも、それが民衆にとっても一番幸せな結末なのかもしれない。帝国の支援があれば、インフラは復旧し、飢えも解消されるのだから。
「貴様も来るか?」
彼が尋ねた。 私は少し迷った。 あの国には、もう未練はない。見たくもない風景がたくさんある。 でも、ケジメをつけるためには、避けて通れない道だとも思った。
「……はい。行きます」 「そうか。……安心しろ。今度は絶対に離れない。一秒たりともな」
彼は私の手を握り、キスをした。 その瞳には、揺るぎない決意と愛が宿っていた。
◇
翌日、帝国の飛竜艦隊が空を覆った。 旗艦である超弩級戦艦『ドラグーン』の甲板に、私は立っていた。 隣にはジークハルト。 風が強く吹き荒れる中、眼下にはかつての祖国、ルミナスの大地が広がっている。
かつては緑豊かだった大地は、今は茶色く荒れ果てていた。 王都からは黒い煙が上がっている。 これが、為政者の無能が招いた末路。 心が痛む光景だった。
「……見えるか、リーゼロッテ」
ジークハルトが指差した先。 王城のテラスに、白い旗が掲げられているのが見えた。 降伏の合図だ。 圧倒的な帝国の軍事力を前に、革命軍も、そして残った貴族たちも、戦う意思を喪失したのだ。
戦艦がゆっくりと高度を下げる。 王城の前広場に着陸すると、そこには数千の民衆と、武装解除した兵士たちが集まっていた。 彼らの表情は怯えに満ちていた。 「氷の皇帝」が、皆殺しにしに来たのではないかと恐れているのだ。
タラップが下りる。 ジークハルトが先に降り立ち、私に手を差し伸べた。 私はその手を取り、一歩踏み出した。
その瞬間。 広場の空気が変わった。
「あ……あれは……」 「リーゼロッテ様だ!」 「光の魔術師様が帰ってきてくださった!」
誰かが叫んだ。 それは波紋のように広がり、瞬く間に大歓声へと変わった。 「リーゼロッテ様万歳!」「女神様万歳!」 彼らは皇帝を恐れるどころか、私という「救世主」を連れてきてくれた英雄として、ジークハルトをも歓迎したのだ。
「……人気者だな」
ジークハルトが苦笑する。
「貴様を連れてきて正解だった。……これなら、統治もスムーズにいきそうだ」 「計算高いですね、陛下」 「なんとでも言え。……さあ、最後の仕上げだ」
私たちは広場の中央へと進んだ。 そこには、みすぼらしい姿で縛り上げられた一人の男が転がされていた。 アルフォンス王子だ。 かつての煌びやかな衣装は泥にまみれ、髪はボサボサ。顔には殴られたような痣がある。 彼は私たちが近づくと、虚ろな目を向けた。
「……り、リーゼロッテ……?」
その声は掠れていた。
「助けてくれ……! 私が悪かった! 戻ってきてくれ! お前がいなきゃダメなんだ!」
彼は這いつくばって、私の足元にすがりつこうとした。 みっともない。あまりにも無様で、哀れな姿。 私は一歩も動かず、冷ややかに彼を見下ろした。 怒りすら湧いてこない。ただ、汚いものを見るような生理的な嫌悪感だけがあった。
ジークハルトが、無言で王子の前に立ちはだかった。 そして、一睨み。
「ひぃッ!」
王子は悲鳴を上げて後ずさった。 ジークハルトは剣を抜かず、ただ言葉だけで彼を斬り捨てた。
「貴様に彼女に触れる資格はない。……二度とその名を口にするな、汚らわしい」
そして、私を振り返り、促した。
「言ってやれ、リーゼロッテ。……貴様の言葉で、終わらせてやれ」
私は深く息を吸い込んだ。 これが最後だ。 私を縛り付けていた過去との、完全な決別。
「アルフォンス様」
私の声は、広場全体に響き渡った。
「貴方が私を必要としているのは知っています。……でも、それは私という人間ではなく、私の『機能』が必要なだけでしょう?」 「ち、違う! 愛しているんだ!」 「嘘をおっしゃい。……貴方が愛しているのは自分だけです」
私はきっぱりと告げた。
「私はもう、貴方の道具ではありません。私は帝国で、一人の人間として、そして技術者として愛され、必要とされています。……そこには、貴方がくれたことのない『敬意』と『温もり』があります」
私はジークハルトの腕に手を添えた。
「だから、私は戻りません。……二度と、この国には戻りません」
宣言。 それは、王子への死刑宣告よりも重く、深く突き刺さったようだった。 王子は「あ……あぁ……」と口を開けたまま、崩れ落ちた。 魂が抜けたようなその姿を見て、私は胸のつかえが取れたような気がした。
終わった。 本当に、終わったのだ。
広場からは、割れんばかりの拍手喝采が巻き起こった。 それは、悪役令嬢と呼ばれた私が、真のヒロインとして生まれ変わった瞬間だった。 隣にいるジークハルトが、誇らしげに私の肩を抱く。 その温かさを感じながら、私は初めて、心からの自由を噛み締めていた。
私は自室のベッドに横たわりながら、天井を見上げていた。 呼吸を整え、意識を拡大させる。 視覚ではなく、魔力感知による「視界」が、皇城全体を覆う結界とリンクしていく感覚。
(……来たわね)
私の脳内マップに、微かなノイズが走った。 場所は北棟の三階。外壁の結界に、針の穴を通すような極小の綻びが生じている。 そこから、水滴が染み込むように、三つの影が侵入したのが分かった。
プロだ。 彼らは自身の魔力を極限まで抑制し、城内の警備システムをすり抜けている。 通常の警備兵や、既存の探知魔導具では、彼らの存在に気づくことさえできないだろう。 でも、残念だったわね。 今の皇城のセキュリティシステムを管理しているのは、この私、リーゼロッテ・フォン・エーデルよ。
私はベッドから起き上がり、ガウンを羽織った。 恐怖はない。あるのは、テスト勉強をした翌日の試験のような、静かな高揚感と確信だけだった。
「さて、私の『実験』に付き合ってもらいましょうか」
私はサイドテーブルに置かれた通信機を手に取り、無音モードでフランツ宰相に信号を送った。 『ネズミ捕獲作戦、開始』。 ジークハルトはまだ執務中だ。彼に気づかれる前に、手早く片付けてしまおう。
◇
侵入者たちは、驚くべき速度と隠密性で移動していた。 彼らの目的地は明白だ。この部屋、つまり私の寝室である。 私は部屋の照明を落とし、椅子に座って彼らを待ち受けた。 手には武器も杖も持っていない。ただ、優雅に紅茶のカップを持っているだけだ(中身はもう冷めているけれど)。
カチャリ。 ドアの鍵が、音もなく開錠された。 物理的なピッキングではない。魔力干渉による解除だ。それも、かなりの高レベルな術式解析能力を持っている。 ドアがわずかに開き、闇色の装束に身を包んだ男たちが滑り込んできた。 三人。 手には短剣と、何やら怪しげな魔導具を持っている。 彼らはベッドの膨らみ(枕で作ったダミーだ)を確認すると、一斉に襲いかかった。
ザシュッ!! 短剣が布団を切り裂く。 しかし、手応えがないことに気づいた彼らが、「チッ」と舌打ちをした瞬間。
「……こんばんは。夜分に随分と乱暴な訪問者ですね」
私は指を鳴らした。 パチンッ! 部屋中の魔導ランプが一斉に最大光量で点灯した。 目が眩むほどの白い光が、闇に慣れた彼らの視界を奪う。
「ぐっ……!?」 「罠か!」
男たちが体勢を立て直そうとする。 しかし、彼らの足は床に縫い付けられたように動かなかった。
「な、なんだこれは!? 足が……!」
彼らの足元には、幾何学模様の光の円陣が浮かび上がっていた。 それは私が事前に床下に仕込んでおいた、『重力制御』と『粘着質変化』を組み合わせた複合トラップだ。
「ようこそ、私の部屋へ。……靴を脱いで上がっていただきたかったのですが、まあいいでしょう」
私は椅子に座ったまま、冷めた紅茶を一口飲んだ。
「貴方たちの目的は私ですね? 誰に雇われましたか?」
リーダー格と思われる男が、目元だけを出した覆面越しに私を睨んだ。
「……生意気な小娘だ。こんな子供騙しの罠で、我々『黒蛇』を止められると思うな!」
男が懐から黒い水晶を取り出した。 途端に、不気味な赤黒い波動が部屋中に広がる。 私の仕掛けた光の円陣が、ガラスのようにヒビ割れ始めた。
「魔力解呪(アンチ・マジック)か。……良い道具を持っていますね」
私は感心した。 あれは軍事用でも最上位クラスの魔導具だ。やはり、ただの盗賊ではない。 罠を破った男たちは、殺気を剥き出しにして私に迫る。
「死ね!」
先頭の男が短剣を突き出してきた。 切っ先まであと数センチ。 普通の令嬢なら悲鳴を上げて気絶する場面だろう。 けれど、私は眉一つ動かさなかった。
キィィィィン……!
甲高い金属音が響き、短剣が空中で静止した。 見えない壁に阻まれたのではない。 男の腕そのものが、ピクリとも動かなくなったのだ。
「な、なんだ!? 体が動かん!?」 「あ、熱い! 体が焼けるようだ!」
男たちが悲鳴を上げ始めた。 彼らの体内で、魔力が暴走を始めていたのだ。
「貴方たち、侵入する際に『透明化』の魔法を使っていましたね? さらに足音を消す『消音魔法』、気配を消す『認識阻害魔法』……」 「それがどうした!」 「使いすぎです。……それらの魔法を維持するために、貴方たちは体内で常に魔力を循環させている。私はその『循環』に、ほんの少しだけ干渉させてもらいました」
私は空中に指で数式を描いた。
「貴方たちの魔力循環の効率を、極限まで『悪化』させたのです。……血流で言えば、血管をわざと詰まらせたようなもの。今、貴方たちの体内で魔力が行き場を失って、筋肉や神経を圧迫しているはずですよ」
これが私の能力の、攻撃的な応用だ。 通常は効率を良くするために使う「最適化」を、逆に「非効率化」に使えば、相手は自滅する。 敵の魔力を利用して敵を倒す、究極の省エネ戦法だ。
「が、あ、あああ……ッ!」
男たちは短剣を取り落とし、床をのた打ち回り始めた。 全身を走る激痛と麻痺。 それは、かつてジークハルトが苦しんでいた魔力過多症の痛みに近いかもしれない。
「痛いでしょう? でも死にはしません。……さあ、教えてください。依頼主は誰?」
私は冷徹に尋問を開始した。 リーダー格の男が、苦悶の表情で喘ぎながら口を開いた。
「い、言うものか……。我々はプロだ……顧客の情報は……ぐああああッ!」
私が指先をクイクイと動かすと、痛みのレベルが一段階上がった。
「プロ意識は立派ですが、命あっての物種ですよ。……それに、このまま魔力が滞留し続ければ、一時間後には内側から爆発して肉片になりますけど?」 「ひ、ひぃぃぃッ! い、言う! 言うから止めてくれ!」
あっさりと落ちた。 所詮は金で動く傭兵だ。忠誠心など期待する方が間違いだった。
「い、依頼主は……王国の、アルフォンス王子だ!」
予想通りの名前に、私はため息をついた。 まだ諦めていなかったのか。国を追われ、囚われの身になってもなお、私への執着を捨てられないとは。 いや、捕まったからこそ、最後の悪あがきとして私を道連れにしようとしたのかもしれない。
「……報酬は?」 「『王家の隠し財産』のありかだ! 成功すれば、それを全てやると……!」
なるほど。自分にはもう払う金がないから、架空の財産を餌にしてプロを雇ったわけか。 どこまでも愚かで、救いようのない男だ。
「情報は分かりました。……では、おやすみなさい」
私が指を鳴らすと、男たちは糸が切れた操り人形のように気絶した。 魔力の流れを遮断し、強制的にシャットダウンさせたのだ。 部屋に静寂が戻る。 これで一件落着――と思った、その時だった。
ドォンッ!!
窓ガラスが粉砕され、黒い影が飛び込んできた。 四人目!? いや、この気配は――
「リーゼロッテッ!!」
悲痛な叫びと共に現れたのは、ジークハルトだった。 彼は窓から侵入するやいなや、床に転がる男たちには目もくれず、私の方へ突進してきた。 その顔色は蒼白で、普段の冷静さは微塵もない。
「ジーク? どうして窓から……」 「無事か!? 怪我はないか!?」
彼は私の肩を掴み、乱暴なまでに全身を確認した。 血は出ていないか。服は破れていないか。 その必死な様子に、私は驚いて目を丸くした。
「だ、大丈夫です。指一本触れさせていません」 「……本当か? 嘘をついていないな?」 「はい。見ての通り、彼らは夢の中です」
私が床の男たちを指差すと、ジークハルトはようやく状況を理解したようだった。 彼は大きく息を吐き、へなへなと膝をついた。
「……心臓が止まるかと思った」
彼は額に手を当て、呻くように言った。
「フランツから報告を聞いた瞬間、目の前が真っ暗になった。……貴様が襲われているかもしれない。連れ去られたかもしれない。そう考えただけで、気が狂いそうだった」 「ごめんなさい。……心配かけまいと思って、事後報告にするつもりでした」 「馬鹿者がッ!」
彼は私を抱きしめた。 強い力だ。痛いくらいに。 でも、その震えが、彼の恐怖の大きさを物語っていた。
「なぜ私を呼ばない! なぜ一人で戦う! ……私は何のためにいるのだ! 貴様を守るためだろう!」 「ジーク……」 「貴様が強かろうが、天才だろうが関係ない! 私の目の届かないところで危険に晒されること自体が、私にとっては耐え難い苦痛なんだ!」
彼の悲痛な叫びに、私は自分の浅はかさを恥じた。 私は「問題を効率的に解決すること」ばかりを考えていた。 でも、彼にとっては「私が無事であること」だけでなく、「私が彼を頼ること」も重要だったのだ。 一人で平気な顔をして戦うことは、彼の「守りたい」という想いを否定することにもなる。
「……ごめんなさい。私が間違っていました」
私は彼の背中に手を回し、謝った。
「次からは、すぐに呼びます。……貴方に助けてもらいます」 「……約束だぞ」
彼は私の首筋に顔を埋め、深く呼吸をした。 しばらくして、彼はようやく落ち着きを取り戻し、床に転がる男たちに冷ややかな視線を向けた。
「……で、このゴミどもはどうする? 消すか?」 「いえ、証人として生かしておきましょう。フランツ宰相に引き渡して、国際法廷で王子の罪を問う材料にします」 「……ふん。貴様は甘いな。私なら、生きたまま氷漬けにして王国の広場に展示してやるところだが」
彼は冗談とも本気ともつかないことを言いながら、衛兵たちを呼んだ。 駆けつけた衛兵たちが、白目を剥いて倒れている暗殺者たちを見て、「また陛下がやったのか」と勘違いしているのが少しおかしかった(訂正はしなかったけれど)。
◇
騒動が収束した後、私たちは場所を変え、私の執務室でコーヒーを飲んでいた。 時刻は深夜二時を回っている。 スパイの尋問結果を聞いたジークハルトは、不快そうに顔をしかめた。
「アルフォンス……。まだ生きていたのか、あの害虫は」 「暴徒に捕まった後、地下牢に幽閉されているそうです。そこから外部と連絡を取ったのでしょう」 「しぶといな。……だが、これが最後だ」
ジークハルトはカップを置き、決断を下した顔をした。
「明日、私が直接ルミナスへ行く」 「えっ、ジークが?」 「ああ。国境付近に軍を展開し、王国暫定政府――今は革命軍のリーダーか――と交渉を行う。……王子の身柄引き渡しと、我が国への不可侵条約を結ぶためにな」
それは事実上の「最終通告」であり、帝国の圧倒的な武力を背景にした「保護国化」の宣言でもあった。 ルミナス王国は形の上では存続するかもしれないが、実質的には帝国の管理下に置かれることになるだろう。 でも、それが民衆にとっても一番幸せな結末なのかもしれない。帝国の支援があれば、インフラは復旧し、飢えも解消されるのだから。
「貴様も来るか?」
彼が尋ねた。 私は少し迷った。 あの国には、もう未練はない。見たくもない風景がたくさんある。 でも、ケジメをつけるためには、避けて通れない道だとも思った。
「……はい。行きます」 「そうか。……安心しろ。今度は絶対に離れない。一秒たりともな」
彼は私の手を握り、キスをした。 その瞳には、揺るぎない決意と愛が宿っていた。
◇
翌日、帝国の飛竜艦隊が空を覆った。 旗艦である超弩級戦艦『ドラグーン』の甲板に、私は立っていた。 隣にはジークハルト。 風が強く吹き荒れる中、眼下にはかつての祖国、ルミナスの大地が広がっている。
かつては緑豊かだった大地は、今は茶色く荒れ果てていた。 王都からは黒い煙が上がっている。 これが、為政者の無能が招いた末路。 心が痛む光景だった。
「……見えるか、リーゼロッテ」
ジークハルトが指差した先。 王城のテラスに、白い旗が掲げられているのが見えた。 降伏の合図だ。 圧倒的な帝国の軍事力を前に、革命軍も、そして残った貴族たちも、戦う意思を喪失したのだ。
戦艦がゆっくりと高度を下げる。 王城の前広場に着陸すると、そこには数千の民衆と、武装解除した兵士たちが集まっていた。 彼らの表情は怯えに満ちていた。 「氷の皇帝」が、皆殺しにしに来たのではないかと恐れているのだ。
タラップが下りる。 ジークハルトが先に降り立ち、私に手を差し伸べた。 私はその手を取り、一歩踏み出した。
その瞬間。 広場の空気が変わった。
「あ……あれは……」 「リーゼロッテ様だ!」 「光の魔術師様が帰ってきてくださった!」
誰かが叫んだ。 それは波紋のように広がり、瞬く間に大歓声へと変わった。 「リーゼロッテ様万歳!」「女神様万歳!」 彼らは皇帝を恐れるどころか、私という「救世主」を連れてきてくれた英雄として、ジークハルトをも歓迎したのだ。
「……人気者だな」
ジークハルトが苦笑する。
「貴様を連れてきて正解だった。……これなら、統治もスムーズにいきそうだ」 「計算高いですね、陛下」 「なんとでも言え。……さあ、最後の仕上げだ」
私たちは広場の中央へと進んだ。 そこには、みすぼらしい姿で縛り上げられた一人の男が転がされていた。 アルフォンス王子だ。 かつての煌びやかな衣装は泥にまみれ、髪はボサボサ。顔には殴られたような痣がある。 彼は私たちが近づくと、虚ろな目を向けた。
「……り、リーゼロッテ……?」
その声は掠れていた。
「助けてくれ……! 私が悪かった! 戻ってきてくれ! お前がいなきゃダメなんだ!」
彼は這いつくばって、私の足元にすがりつこうとした。 みっともない。あまりにも無様で、哀れな姿。 私は一歩も動かず、冷ややかに彼を見下ろした。 怒りすら湧いてこない。ただ、汚いものを見るような生理的な嫌悪感だけがあった。
ジークハルトが、無言で王子の前に立ちはだかった。 そして、一睨み。
「ひぃッ!」
王子は悲鳴を上げて後ずさった。 ジークハルトは剣を抜かず、ただ言葉だけで彼を斬り捨てた。
「貴様に彼女に触れる資格はない。……二度とその名を口にするな、汚らわしい」
そして、私を振り返り、促した。
「言ってやれ、リーゼロッテ。……貴様の言葉で、終わらせてやれ」
私は深く息を吸い込んだ。 これが最後だ。 私を縛り付けていた過去との、完全な決別。
「アルフォンス様」
私の声は、広場全体に響き渡った。
「貴方が私を必要としているのは知っています。……でも、それは私という人間ではなく、私の『機能』が必要なだけでしょう?」 「ち、違う! 愛しているんだ!」 「嘘をおっしゃい。……貴方が愛しているのは自分だけです」
私はきっぱりと告げた。
「私はもう、貴方の道具ではありません。私は帝国で、一人の人間として、そして技術者として愛され、必要とされています。……そこには、貴方がくれたことのない『敬意』と『温もり』があります」
私はジークハルトの腕に手を添えた。
「だから、私は戻りません。……二度と、この国には戻りません」
宣言。 それは、王子への死刑宣告よりも重く、深く突き刺さったようだった。 王子は「あ……あぁ……」と口を開けたまま、崩れ落ちた。 魂が抜けたようなその姿を見て、私は胸のつかえが取れたような気がした。
終わった。 本当に、終わったのだ。
広場からは、割れんばかりの拍手喝采が巻き起こった。 それは、悪役令嬢と呼ばれた私が、真のヒロインとして生まれ変わった瞬間だった。 隣にいるジークハルトが、誇らしげに私の肩を抱く。 その温かさを感じながら、私は初めて、心からの自由を噛み締めていた。
12
あなたにおすすめの小説
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
お兄様の指輪が壊れたら、溺愛が始まりまして
みこと。
恋愛
お兄様は女王陛下からいただいた指輪を、ずっと大切にしている。
きっと苦しい片恋をなさっているお兄様。
私はただ、お兄様の家に引き取られただけの存在。血の繋がってない妹。
だから、早々に屋敷を出なくては。私がお兄様の恋路を邪魔するわけにはいかないの。私の想いは、ずっと秘めて生きていく──。
なのに、ある日、お兄様の指輪が壊れて?
全7話、ご都合主義のハピエンです! 楽しんでいただけると嬉しいです!
※「小説家になろう」様にも掲載しています。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~
香木陽灯
恋愛
「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」
実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。
「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」
「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」
二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。
※ふんわり設定です。
※他サイトにも掲載中です。
だってお義姉様が
砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。
ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると……
他サイトでも掲載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる