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第60話(最終話):断罪されない悪役令嬢の、最高のハッピーエンド
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目が、覚めると、そこは、見慣れた、自室の、天蓋付きのベッドの、上だった。
窓から、差し込む、柔らかな、陽の光。
小鳥のさえずり。
『…夢…?』
すべては、長い、長い、夢だったのだろうか。
私が、ゆっくりと、身体を、起こすと、ベッドの脇で、うたた寝をしていた、一人の、男性が、ハッと、顔を上げた。
銀色の、髪。
彫刻のように、美しい、顔立ち。
「…ゼノン様…」
「イザベラ! 気が、ついたか!」
彼は、私の手を、強く、強く、握りしめた。
その、アイスブルーの瞳には、安堵の色と、そして、涙が、浮かんでいた。
「よかった…本当によかった…! もう、二度と、目覚めないかと…!」
彼の、その、取り乱した様子を見て、私は、すべてが、現実だったのだと、悟った。
「わたくし…どれくらい、眠って…?」
「三日だ。お前は、三日三晩、眠り続けていた」
三日も。
私は、世界の理に、干渉した、代償として、魂が、消えかけていたらしい。
それを、ゼノン様が、付きっきりで、自らの、魔力を、注ぎ続け、私の魂を、この世界に、繋ぎ止めてくれていたのだという。
「…ありがとう、ございます。また、あなたに、助けられてしまいましたわね」
「馬鹿を言え。俺の方こそ、お前に、救われてばかりだ」
私たちは、見つめ合い、そして、どちらからともなく、ふっと、笑い合った。
その後の、後始末は、アラン殿下が、見事に、やってのけてくれたらしい。
邪神が、消えたことで、洗脳されていた、国王陛下と、王妃殿下は、正気に戻った。
そして、私が、命がけで、手に入れた、宰相の、証拠を、元に、王宮内の、宰相派の残党は、一掃された。
ロシュフォール宰相と、リリアナについては、邪神の、脅威から、国を、救った、英雄として、その罪は、すべて、不問に付され、歴史の闇に、葬られることになった。
それが、彼らへの、最大限の、手向けだった。
そして、数ヶ月後。
季節は、巡り、王立学園の、卒業記念パーティーの日が、やってきた。
私が、かつて、あれほど、恐れていた、**“断罪イベント”**の、日だ。
豪華絢爛な、パーティー会場。
きらびやかな、ドレスに、身を包んだ、貴族たち。
その、喧騒の中で、私は、少しだけ、緊張していた。
「どうした? イザベラ」
隣に立つ、ゼノン様が、私の顔を、覗き込む。
「いえ、何でも、ありませんわ」
そう、もう、何も、心配することは、ないのだ。
この世界は、もう、ゲームの、シナリオ通りには、動かないのだから。
すべての、プログラムが、終わり、会場の、照明が、ふっと、落とされた。
そして、スポットライトが、壇上の、ゼノン様と、私を、照らし出す。
ああ、この、演出は、知っている。
断罪イベントの、始まりの、合図だ。
しかし。
ゼノン様は、私の手を、取ると、その場で、ゆっくりと、跪いた。
そして、集まった、すべての、貴族たちの前で、高らかに、宣言したのだ。
「――ここに、宣言する!」
彼の、声が、会場に、響き渡る。
「私、ゼノン・フォン・シルヴァーグは、我が、生涯の、ただ一人の、伴侶として、イザベラ・フォン・ヴァレンシュタイン嬢を、心から、愛し、未来を、誓うものである!」
「……え?」
「イザベラ」
彼は、私を、見上げ、最高の、笑顔で、言った。
それは、私が、今まで、見た、どの彼の笑顔よりも、輝いていた。
「俺と、結婚してくれ」
断罪の、言葉では、なかった。
それは、最高の、愛の、言葉。
「今度こそ、誰にも、邪魔されない、俺たちの、本当の、物語を、ここから、始めよう」
私の、瞳から、大粒の、涙が、溢れ出した。
嬉しくて、幸せで、胸が、いっぱいになる。
私は、涙で、濡れた、笑顔で、彼に、答えた。
「――はい、喜んで、お受けいたしますわ。わたくしの、愛しい、あなた」
会場は、割れんばかりの、拍手と、祝福に、包まれた。
その中で、私たちは、誓いの、口づけを、交わす。
勘違いから、始まった、悪役令嬢の、恋物語。
それは、世界を、救い、そして、たくさんの、涙と、笑顔の末に、本物の、愛と、なった。
断罪される、未来など、もう、どこにもない。
ここにあるのは、愛する人と、共に、歩んでいく、輝かしい、未来だけ。
悪役令嬢は、こうして、誰よりも、幸せな、最高の、ハッピーエンドを、手に入れたのだった。
――完――
窓から、差し込む、柔らかな、陽の光。
小鳥のさえずり。
『…夢…?』
すべては、長い、長い、夢だったのだろうか。
私が、ゆっくりと、身体を、起こすと、ベッドの脇で、うたた寝をしていた、一人の、男性が、ハッと、顔を上げた。
銀色の、髪。
彫刻のように、美しい、顔立ち。
「…ゼノン様…」
「イザベラ! 気が、ついたか!」
彼は、私の手を、強く、強く、握りしめた。
その、アイスブルーの瞳には、安堵の色と、そして、涙が、浮かんでいた。
「よかった…本当によかった…! もう、二度と、目覚めないかと…!」
彼の、その、取り乱した様子を見て、私は、すべてが、現実だったのだと、悟った。
「わたくし…どれくらい、眠って…?」
「三日だ。お前は、三日三晩、眠り続けていた」
三日も。
私は、世界の理に、干渉した、代償として、魂が、消えかけていたらしい。
それを、ゼノン様が、付きっきりで、自らの、魔力を、注ぎ続け、私の魂を、この世界に、繋ぎ止めてくれていたのだという。
「…ありがとう、ございます。また、あなたに、助けられてしまいましたわね」
「馬鹿を言え。俺の方こそ、お前に、救われてばかりだ」
私たちは、見つめ合い、そして、どちらからともなく、ふっと、笑い合った。
その後の、後始末は、アラン殿下が、見事に、やってのけてくれたらしい。
邪神が、消えたことで、洗脳されていた、国王陛下と、王妃殿下は、正気に戻った。
そして、私が、命がけで、手に入れた、宰相の、証拠を、元に、王宮内の、宰相派の残党は、一掃された。
ロシュフォール宰相と、リリアナについては、邪神の、脅威から、国を、救った、英雄として、その罪は、すべて、不問に付され、歴史の闇に、葬られることになった。
それが、彼らへの、最大限の、手向けだった。
そして、数ヶ月後。
季節は、巡り、王立学園の、卒業記念パーティーの日が、やってきた。
私が、かつて、あれほど、恐れていた、**“断罪イベント”**の、日だ。
豪華絢爛な、パーティー会場。
きらびやかな、ドレスに、身を包んだ、貴族たち。
その、喧騒の中で、私は、少しだけ、緊張していた。
「どうした? イザベラ」
隣に立つ、ゼノン様が、私の顔を、覗き込む。
「いえ、何でも、ありませんわ」
そう、もう、何も、心配することは、ないのだ。
この世界は、もう、ゲームの、シナリオ通りには、動かないのだから。
すべての、プログラムが、終わり、会場の、照明が、ふっと、落とされた。
そして、スポットライトが、壇上の、ゼノン様と、私を、照らし出す。
ああ、この、演出は、知っている。
断罪イベントの、始まりの、合図だ。
しかし。
ゼノン様は、私の手を、取ると、その場で、ゆっくりと、跪いた。
そして、集まった、すべての、貴族たちの前で、高らかに、宣言したのだ。
「――ここに、宣言する!」
彼の、声が、会場に、響き渡る。
「私、ゼノン・フォン・シルヴァーグは、我が、生涯の、ただ一人の、伴侶として、イザベラ・フォン・ヴァレンシュタイン嬢を、心から、愛し、未来を、誓うものである!」
「……え?」
「イザベラ」
彼は、私を、見上げ、最高の、笑顔で、言った。
それは、私が、今まで、見た、どの彼の笑顔よりも、輝いていた。
「俺と、結婚してくれ」
断罪の、言葉では、なかった。
それは、最高の、愛の、言葉。
「今度こそ、誰にも、邪魔されない、俺たちの、本当の、物語を、ここから、始めよう」
私の、瞳から、大粒の、涙が、溢れ出した。
嬉しくて、幸せで、胸が、いっぱいになる。
私は、涙で、濡れた、笑顔で、彼に、答えた。
「――はい、喜んで、お受けいたしますわ。わたくしの、愛しい、あなた」
会場は、割れんばかりの、拍手と、祝福に、包まれた。
その中で、私たちは、誓いの、口づけを、交わす。
勘違いから、始まった、悪役令嬢の、恋物語。
それは、世界を、救い、そして、たくさんの、涙と、笑顔の末に、本物の、愛と、なった。
断罪される、未来など、もう、どこにもない。
ここにあるのは、愛する人と、共に、歩んでいく、輝かしい、未来だけ。
悪役令嬢は、こうして、誰よりも、幸せな、最高の、ハッピーエンドを、手に入れたのだった。
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