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夏休み最後の日

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今日は夏休み最後の日だから、私は友達と花火をしに行くことにした。友達と言っても、私には本当の友達がいない。クラスメートと仲良くしてるふりをしてるだけだ。でも、それでいいんだ。本当の友達がいたら、彼のことを話さなきゃいけなくなるかもしれないから。

彼は誰かと付き合ってるんだろうか? 好きな人がいるって言ったけど、その人は誰なんだろうか? もしかしたら同じクラスの誰かかもしれない。そう思うと、クラスメート全員が急に敵に見えてくる。

でも、そんなこと考えても仕方ない。彼は私のことを好きじゃないんだから。私は彼を忘れるべきなんだ。でも、どうやって忘れればいいんだろう?

「あっ、ちょっと待って!」

私は自転車で駅に向かって走っていたら、後ろから声をかけられた。振り返ると、同じクラスでよく話す女子が追いついてきた。

「あら、こんばんは」と私は笑顔で挨拶した。「どこ行くの?」

「花火大会よ」と彼女は言った。「あなたも行くでしょ?」

「ええ、そうよ」と私は嘘をついた。「友達と待ち合わせてるの」

「そうなの? じゃあ一緒に行こうよ」と彼女は言った。「私も友達と待ち合わせてるから」

「そういうわけにも……」と私は断ろうとしたが、「じゃあ行こう」と口走ってしまった。

どうしてこんなことになっちゃったんだろう? 私は一人で花火を見ようと思ってたのに。でも、断りづらかったし、仕方ないよね。

「それじゃあ駅まで一緒に行こう」と彼女は言って自転車を走らせた。

私もつられて自転車を漕ぎ始めた。

彼女は優しくて明るくて可愛らしい子だ。男子からモテるタイプだ。でも、恋愛話をする時は決まって失敗ばかりしてるみたいで、「またフラれちゃった」「また浮気されちゃった」みたいな話ばかりする。

今日もその話題に入りそうだった。

「実はさー」と彼女が言った。「この前告白されちゃってさー」

「えー! 誰から?」と私が聞くフリをした。

「知らない?」と彼女が驚いて言った。「大樹君よ」

大樹君? その名前聞き覚えあるけど……思い出せない。





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