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第十九話:尋問と証拠
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収穫祭の悪夢から一夜が明けた。
朝の光が照らし出したのは、目を覆いたくなるような、惨劇の跡だった。
黒く焼け焦げた温室の残骸。
破壊された屋台。
そして、大地に染み付いた、生々しい血の痕。
領民たちは、言葉もなく、その光景を眺めていた。
その顔に浮かぶのは、悲しみよりも、深い疲労と、そして、静かな怒りの色だった。
誰もが、この仕打ちを決して許さないと、心に誓っているのが分かった。
そんな重苦しい空気の中、アレクシス様の命令は、迅速かつ的確だった。
負傷者の手当て、遺体の片付け、そして、街の警備強化。
彼の冷静な指揮が、領民たちが茫然自失の状態から立ち直る、一つのきっかけとなった。
そして、アレクシス様は、私とセバスチャンだけを伴い、城の地下深くにある牢獄へと向かった。
そこには、捕らえられた盗賊団の頭目と、裏切り者の村人が、それぞれ別の牢に押し込められている。
「……さて、害虫駆除の仕上げといくか」
松明の灯りに照らされたアレクシス様の横顔は、まるで氷の彫像のように、一切の感情を映していなかった。
だが、その奥に、燃え盛る溶岩のような、激しい怒りが渦巻いているのを、私は感じていた。
まず、裏切り者の村人の牢の前に立つ。
男は、ガタガタと震え、アレクシス様の姿を認めると、土下座するようにひれ伏した。
「こ、公爵様! お許しを! 私は、金に目が眩んで……! ゲルラッハ様から、銀貨50枚で、井戸に土砂を入れるよう……」
男は、聞かれもしないうちから、ぺらぺらと白状し始めた。
だが、アレクシス様は、それを冷たく一瞥するだけだった。
「貴様の命乞いなど、聞く価値もない。だが、その命、今はまだ、預けておいてやる。後で、役に立ってもらうからな」
その氷の視線に射抜かれ、男は「ひぃっ」と悲鳴を上げて、気を失ってしまった。
次に、私たちは、盗賊の頭目が入れられた牢の前へ移動した。
頭目と名乗るだけあって、その男は、まだいくらかの気骨が残っているようだった。
傷だらけの顔で、アレクシス様を睨みつけてくる。
「……へっ。殺すなら、さっさと殺しやがれ。公爵様だか知らねえが、俺の口から、依頼主の名前が出るとは思うなよ」
「ほう。ずいぶんと、義理堅いことだ」
アレクシス様は、少しも動じず、静かに言った。
「ならば、聞こう。お前の仲間は何人だ?」
「……30人だ。それが、どうした」
「そうか。昨夜、俺たちが殺したのが21人。今、ここにいるのが、お前を含めて9人。計算は合うな」
アレクシス様は、淡々と事実を述べる。
その、あまりにも平然とした態度に、逆に頭目の顔から血の気が引いていく。
「お前の仲間は、今、別の場所で、我が配下の者たちから、それはそれは、手厚い『もてなし』を受けている頃だろう」
「なっ……! てめえ、何を……!」
「お前が口を割らなくても、誰か一人が喋れば、それで済む話だ。そして、最初に喋った者だけは、苦しまずに死ねるよう、配慮してやろうと、伝えてある」
それは、悪魔の囁きだった。
仲間同士の結束を、内側から、巧みに崩していく。
恐怖と、疑心暗鬼を植え付ける、あまりにも残酷で、効果的な尋問。
「……きたねえ真似を……!」
「お前たちに言われたくはないな。女子供もいる祭りの夜に、火を放つような外道どもに」
アレクシス様の言葉が、ぐさりと頭目の胸に突き刺さる。
彼の顔が、絶望に歪んでいく。
もう、仲間を信じることはできない。
誰かが裏切る前に、自分が喋らなければ。
「……分かった。話す。全部、話すから、仲間には、手を出さないでくれ……!」
ついに、男は屈した。
依頼主は、やはり、ゲルラッハ辺境伯家の令嬢、マルティナ・フォン・ゲルラッハ。
報酬は、成功報酬で金貨100枚。
目的は、温室の焼き討ちと、領地の混乱。
そして、あわよくば、「追放令嬢リナを始末すること」。
男の自白は、よどみなく続いた。
アレクシス様は、そのすべてを、黙って聞いていた。
そして、彼の後ろに控えていたセバスチャンが、一つの魔道具を、そっとかざしていた。
それは、『記憶水晶』。
音声を、そのまま記録することができる、高価な魔法道具だ。
男の自白は、今や、動かぬ『証拠』として、この水晶に刻み込まれた。
「……これで、全てだ」
話し終えた男は、魂が抜けたように、その場にへたり込んだ。
「ご苦労だった」
アレクシス様は、冷たく言い放つと、男に背を向けた。
「では、約束通り、貴様には、苦しまずに済む死を与えてやろう」
「な……! 話が、違う! 助けてくれるんじゃ……!」
「俺は、『苦しまずに死ねる』としか言っていない。助けるなどと、一言も約束した覚えはないな」
非情な宣告に、男の絶叫が、地下牢に響き渡った。
私は、その光景から、目を逸らすことができなかった。
これが、彼のやり方。
これが、領地と民を守るための、氷血公爵の、覚悟。
城に戻る道すがら、私は、アレクシス様に尋ねた。
「あの……本当に、彼らを……?」
「ああ。害虫は、根絶やしにしなければ、また湧いてくる」
彼の答えは、揺るぎなかった。
私は、それ以上、何も言えなかった。
甘い感傷が、いかに無意味で、危険なものであるかを、思い知らされたからだ。
執務室に戻ると、私は、焼け跡で途方に暮れる領民たちの姿を思い出し、決意を固めた。
アレクシス様が、汚れ仕事を引き受けてくれるというのなら。
私は、光の当たる場所で、希望を繋ぐ役割を果たさなければ。
私は、再び領民たちの前に立ち、声を張り上げた。
「皆さん! 下を向かないでください! 私たちは、何も失ってなどいません!」
「温室は、また作ればいい! 種も、幸い、半分は無事でした! 私たちは、何度でも、やり直せます!」
「この悔しさを、怒りを、復興への力に変えましょう! 奴らに、私たちヴァイスハルトの、本当の底力を見せてやりましょう!」
私の言葉に、領民たちの瞳に、再び、光が灯り始めた。
そうだ、私たちは、負けない。
絶対に。
アレクシス様が、敵を討つための剣を研いでいる。
ならば、私は、未来を耕すための鍬を、もう一度、手に取るのだ。
二人の戦いは、まだ、始まったばかりなのだから。
朝の光が照らし出したのは、目を覆いたくなるような、惨劇の跡だった。
黒く焼け焦げた温室の残骸。
破壊された屋台。
そして、大地に染み付いた、生々しい血の痕。
領民たちは、言葉もなく、その光景を眺めていた。
その顔に浮かぶのは、悲しみよりも、深い疲労と、そして、静かな怒りの色だった。
誰もが、この仕打ちを決して許さないと、心に誓っているのが分かった。
そんな重苦しい空気の中、アレクシス様の命令は、迅速かつ的確だった。
負傷者の手当て、遺体の片付け、そして、街の警備強化。
彼の冷静な指揮が、領民たちが茫然自失の状態から立ち直る、一つのきっかけとなった。
そして、アレクシス様は、私とセバスチャンだけを伴い、城の地下深くにある牢獄へと向かった。
そこには、捕らえられた盗賊団の頭目と、裏切り者の村人が、それぞれ別の牢に押し込められている。
「……さて、害虫駆除の仕上げといくか」
松明の灯りに照らされたアレクシス様の横顔は、まるで氷の彫像のように、一切の感情を映していなかった。
だが、その奥に、燃え盛る溶岩のような、激しい怒りが渦巻いているのを、私は感じていた。
まず、裏切り者の村人の牢の前に立つ。
男は、ガタガタと震え、アレクシス様の姿を認めると、土下座するようにひれ伏した。
「こ、公爵様! お許しを! 私は、金に目が眩んで……! ゲルラッハ様から、銀貨50枚で、井戸に土砂を入れるよう……」
男は、聞かれもしないうちから、ぺらぺらと白状し始めた。
だが、アレクシス様は、それを冷たく一瞥するだけだった。
「貴様の命乞いなど、聞く価値もない。だが、その命、今はまだ、預けておいてやる。後で、役に立ってもらうからな」
その氷の視線に射抜かれ、男は「ひぃっ」と悲鳴を上げて、気を失ってしまった。
次に、私たちは、盗賊の頭目が入れられた牢の前へ移動した。
頭目と名乗るだけあって、その男は、まだいくらかの気骨が残っているようだった。
傷だらけの顔で、アレクシス様を睨みつけてくる。
「……へっ。殺すなら、さっさと殺しやがれ。公爵様だか知らねえが、俺の口から、依頼主の名前が出るとは思うなよ」
「ほう。ずいぶんと、義理堅いことだ」
アレクシス様は、少しも動じず、静かに言った。
「ならば、聞こう。お前の仲間は何人だ?」
「……30人だ。それが、どうした」
「そうか。昨夜、俺たちが殺したのが21人。今、ここにいるのが、お前を含めて9人。計算は合うな」
アレクシス様は、淡々と事実を述べる。
その、あまりにも平然とした態度に、逆に頭目の顔から血の気が引いていく。
「お前の仲間は、今、別の場所で、我が配下の者たちから、それはそれは、手厚い『もてなし』を受けている頃だろう」
「なっ……! てめえ、何を……!」
「お前が口を割らなくても、誰か一人が喋れば、それで済む話だ。そして、最初に喋った者だけは、苦しまずに死ねるよう、配慮してやろうと、伝えてある」
それは、悪魔の囁きだった。
仲間同士の結束を、内側から、巧みに崩していく。
恐怖と、疑心暗鬼を植え付ける、あまりにも残酷で、効果的な尋問。
「……きたねえ真似を……!」
「お前たちに言われたくはないな。女子供もいる祭りの夜に、火を放つような外道どもに」
アレクシス様の言葉が、ぐさりと頭目の胸に突き刺さる。
彼の顔が、絶望に歪んでいく。
もう、仲間を信じることはできない。
誰かが裏切る前に、自分が喋らなければ。
「……分かった。話す。全部、話すから、仲間には、手を出さないでくれ……!」
ついに、男は屈した。
依頼主は、やはり、ゲルラッハ辺境伯家の令嬢、マルティナ・フォン・ゲルラッハ。
報酬は、成功報酬で金貨100枚。
目的は、温室の焼き討ちと、領地の混乱。
そして、あわよくば、「追放令嬢リナを始末すること」。
男の自白は、よどみなく続いた。
アレクシス様は、そのすべてを、黙って聞いていた。
そして、彼の後ろに控えていたセバスチャンが、一つの魔道具を、そっとかざしていた。
それは、『記憶水晶』。
音声を、そのまま記録することができる、高価な魔法道具だ。
男の自白は、今や、動かぬ『証拠』として、この水晶に刻み込まれた。
「……これで、全てだ」
話し終えた男は、魂が抜けたように、その場にへたり込んだ。
「ご苦労だった」
アレクシス様は、冷たく言い放つと、男に背を向けた。
「では、約束通り、貴様には、苦しまずに済む死を与えてやろう」
「な……! 話が、違う! 助けてくれるんじゃ……!」
「俺は、『苦しまずに死ねる』としか言っていない。助けるなどと、一言も約束した覚えはないな」
非情な宣告に、男の絶叫が、地下牢に響き渡った。
私は、その光景から、目を逸らすことができなかった。
これが、彼のやり方。
これが、領地と民を守るための、氷血公爵の、覚悟。
城に戻る道すがら、私は、アレクシス様に尋ねた。
「あの……本当に、彼らを……?」
「ああ。害虫は、根絶やしにしなければ、また湧いてくる」
彼の答えは、揺るぎなかった。
私は、それ以上、何も言えなかった。
甘い感傷が、いかに無意味で、危険なものであるかを、思い知らされたからだ。
執務室に戻ると、私は、焼け跡で途方に暮れる領民たちの姿を思い出し、決意を固めた。
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「皆さん! 下を向かないでください! 私たちは、何も失ってなどいません!」
「温室は、また作ればいい! 種も、幸い、半分は無事でした! 私たちは、何度でも、やり直せます!」
「この悔しさを、怒りを、復興への力に変えましょう! 奴らに、私たちヴァイスハルトの、本当の底力を見せてやりましょう!」
私の言葉に、領民たちの瞳に、再び、光が灯り始めた。
そうだ、私たちは、負けない。
絶対に。
アレクシス様が、敵を討つための剣を研いでいる。
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