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第二十一話 雪解けの土地
北の別邸へ着いたのは、陽が西へ少し傾き始めた頃だった。
道中、空はずっと高かった。王都を離れるほどに人家の数は減り、濡れた街道の匂いは土そのものの匂いへ変わっていく。石畳の整った道から、轍の深い土道へ。屋根の連なる街並みから、裸木と畑と、まだ雪を抱えた低い丘の連なりへ。馬車の窓越しに見える景色が少しずつ薄く、静かになっていくたび、イゼルディナの胸の奥もまた、何かが一枚ずつ脱げていくようだった。
王都の空気には、人の視線が混じる。
屋敷の空気には、役目が混じる。
けれど北へ向かう道の空気には、ただ季節だけがあった。
雪が解けはじめたばかりの畑の匂い。
まだ冷たい水路を走る水の匂い。
遠くで焚かれている湿った薪の煙。
時折、馬の蹄が柔らかい泥を踏み抜く音。
春の手前の土地は、美しいというより生々しい。
何かが終わりきっていないし、何かが始まりきってもいない。
冬の骸と春の気配が、同じ地面の上で混ざっている。
その曖昧さが、今のイゼルディナには心地よかった。
馬車が最後の坂をゆっくり上がると、北の別邸が見えた。
大きくはない。
本邸のような威圧的な石造りではなく、灰色がかった石と、ところどころ色の褪せた木枠とで組まれた、控えめな館だった。中央に二階建ての本館、その横に低い渡り廊下、少し離れて古い温室。屋根の一部にはまだ薄く雪が残り、陽の当たる側からだけ雫が垂れている。窓は多くないが、南側のものは比較的大きく取られていて、冬の日差しを逃がすまいとする意志が見えた。
豪奢ではない。
けれど、息がしやすそうな家だと、最初の一目で思った。
馬車が正面の小さな車寄せへ入る。
屋敷の前庭にはまだ枯草色が多く、ところどころに雪解け水が小さく光っている。敷石の隙間から、去年の名残のような硬い草がのぞいていた。
停車と同時に、扉が内側から開く。
「奥様」
真っ先に出てきたのは、五十代半ばくらいの女だった。背は低いが肩はしっかりしていて、冬用の濃い茶の上衣をきちんと着込んでいる。灰色の髪をきっちりまとめ、頬は北の風に慣れた人間らしく少し赤い。
「お待ちしておりました。別邸管理を任されております、ハンナでございます」
その声には、王都の侍女たちが持つ柔らかな抑揚がない。少し土っぽく、少し乾いている。だがそのぶん、嘘のない声だった。
「迎えをありがとう、ハンナ」
イゼルディナが馬車を下りると、空気が思った以上に冷たく頬を打った。王都よりずっと冷えると聞いていたが、本当にそうだ。春へ向かう光はあるのに、風の芯はまだ冬のままだった。
外套の襟元を少し寄せる。
その仕草を見たハンナが、すぐに言う。
「本日は風が抜けまして。ですが、館の中は暖めてございます。お疲れでしょう、まずは中へ」
「ええ。でも、その前に少しだけ」
イゼルディナは屋敷の正面を見上げた。
そして、その視線は自然と、少し離れた場所に立つ温室へ向かう。
古い硝子張りの温室は、想像していた以上に傷んでいた。北側の硝子の一枚に長いひびが入っている。木枠の塗装は剥げ、蝶番には錆が浮き、屋根の継ぎ目の一部は苔むしていた。けれど完全に死んだ建物ではない。南側の硝子は光をよく拾い、中に置かれた棚の輪郭もうっすら見える。まだ使える。ちゃんと手を入れれば、また息を吹き返す。
それが、ひどくよかった。
ひび割れている。
でも、壊れきってはいない。
そのことに、自分を重ねてしまうのは少し滑稽だと思いながら、それでも胸のどこかが静かに緩むのを止められなかった。
「温室は、後で案内いたします」
ハンナが言う。
「今朝も中を見てまいりましたが、北の列はやはり夜が冷えます」
「ええ、あとで見せてちょうだい」
そう答えた瞬間、イゼルディナはふと気づく。
自分は今、「公爵夫人」としてではなく、この場所を使う人間として話している。
王都の屋敷なら、まず「整っているか」「来客の目に耐えるか」「義母の茶会に使えるか」を見ただろう。
けれど今の自分が気にしているのは、温室の夜の冷え方や、硝子のひびや、棚の位置だ。
そこでようやく、ここでは呼吸の仕方が違うのかもしれないと思う。
*
本館の中は、外から見た印象よりもさらに質素だった。
玄関ホールと呼ぶほど広い空間はない。石床の小さな前室があり、そこからすぐ居間へつながる。壁には古い狩猟画が二枚、暖炉の上には先代の時代のものらしい地図が額装されている。家具は重たく、流行の優雅さはないが、座ればしっかりと身体を支えそうなものばかりだ。床の敷物も分厚く、色味は茶と深緑を基調としている。
無理に飾っていない。
そのことが、部屋へ入った瞬間にわかった。
王都の本邸のように、空間そのものが「見られること」を前提にしていない。暖炉は実際に暖を取るための大きさで、窓辺の椅子は景色を見るためというより光を取り込んで縫い物をするための位置にある。花瓶は小さく、床に余計な装飾もない。
暮らすための家だ。
それだけのことが、今のイゼルディナには妙に新鮮だった。
「こちらへ」
ハンナに導かれて居間へ入ると、暖炉の熱がじんわりと頬をあたためた。薪の匂いが濃い。王都の暖炉で使う乾き切った香木ではなく、もっと実用本位の、少し樹脂の匂いが残る薪だ。その匂いに、北の空気が混じる。
「お茶をお持ちいたします」
「ありがとう」
厚手の椅子へ腰を下ろした瞬間、身体がふっと沈む。馬車の揺れに耐え続けていた筋肉が、遅れて疲れを思い出したらしい。エウラがすぐにショールを整え、膝掛けを寄せる。長く仕えている侍女は、こういうときに何も言わず必要なものだけを寄越す。
ハンナが運んできた茶は、王都のものより少し濃かった。香りも強い。だが冷えた身体には、そのほうがよかった。口に含むと、苦みの奥に野草のような匂いがある。
「こちらの水は少し硬うございますので、葉の開き方が違います」
ハンナが言う。
「最初は少し驚かれるかと」
「いいえ。嫌いではないわ」
そう答えると、ハンナはほんの少しだけ目元をやわらげた。
「それはようございました」
エウラが荷の確認へ下がったあと、居間にはイゼルディナとハンナだけが残った。
静かな時間だった。王都の屋敷なら、居間に女主人が一人きりで座る時間などほとんどない。常に誰かが出入りし、報告を持ち込み、茶を下げ、指示を仰ぐ。もちろんここでもそういうやり取りはあるだろう。だが今はまだ、屋敷そのものが「到着した人間へ少し黙って呼吸をさせる」ような静けさを持っていた。
「村の者たちにも、奥様がしばらくこちらへ滞在なさることは伝えてあります」
ハンナが言う。
「大げさに迎えを出すなと申しつけましたので、皆、遠くから見ておるだけでしょうが」
「それで十分よ」
「こちらの者は、飾った歓迎の言葉をよう使いません。ですが筋は通します。何かございましたら、正面から申します」
その言い方が、イゼルディナには少しおかしかった。
「貧しいがまっすぐ、ということかしら」
するとハンナは、少しだけ肩を揺らして笑う。
「ええ、だいたいその通りでございます」
その笑い方には、王都の女たちのような品のある抑制はない。だがその分、腹の底に別の意味を隠していない笑いだとわかる。
イゼルディナはその時、自分の肩の力が少しだけ抜けるのを感じた。
ここでは、人の言葉の裏を読みすぎなくていいのかもしれない。
*
少し休んだあと、イゼルディナは温室を見に行くことにした。
エウラは止めたがった。長旅のあとだし、まだ風も冷たい。明日に回してもよいのではないかと。けれどイゼルディナは首を振った。
「今日、見たいの」
それ以上の理由は、自分でもうまく説明できなかった。
ただ、到着した日のうちに見なければならない気がした。
ひび割れた硝子も、冷える北の列も、手つかずの棚も。
それらを最初に自分の目で見ておかなければ、この別邸での「最初の一歩」が始まらないように思えた。
外へ出ると、風はやはり冷たかった。
けれど雨上がりの土地は、空気までまっすぐだった。雪解け水が地面の低いところに溜まり、そこへ痩せた空が映る。踏み固められた土はまだぬかるんでいるが、道の縁には去年の枯れ草の間から小さな青みがのぞいていた。芽吹きというには早い。だが、土の下で何かがもう動いている匂いがする。
温室は近くで見ると、さらに傷んでいた。
木枠の継ぎ目は痩せ、硝子の一部には細かな曇りが残っている。扉の取っ手は冷たく、ハンナが押し開けると、蝶番が小さく軋んだ。
中へ入る。
外よりは少しだけあたたかい。
だが王都の温室のような甘い密閉された熱気ではない。
乾いた土と、湿った木と、冬を越えた葉の青臭さがある。
棚は三列。
中央には空の鉢がいくつか。
南側には、冬のあいだ辛うじて生かされてきた鉢植えが並ぶ。
北側の列は予想通り冷えるのだろう。棚板の色が少し薄く、夜露の名残がまだ乾き切っていない。
「ここが一番ひどく冷えます」
ハンナが言う。
「先代の頃はもっと手を入れておったそうですが、近年は最低限で」
イゼルディナはしゃがみ込み、北側の棚板へ指を触れる。木は冷たい。だが腐ってはいない。少し削り、継ぎ直し、硝子を替え、布を内張りすれば、来冬には使えるだろう。
「大丈夫」
自分でも驚くほど自然に言葉が出た。
「直せるわ」
ハンナが横からそれを見ていた。
「そう思われますか」
「ええ。手を入れれば応えてくれる傷み方だもの」
その返答に、老女の目がほんの少しだけ細くなる。
「奥様は、傷み方を見るお方ですな」
イゼルディナは顔を上げた。
「え?」
「何でもございません」
ハンナは首を振ったが、その言葉は不思議と胸へ残った。
傷み方を見る。
たしかにそうかもしれない。
王都の屋敷でも、彼女はいつも壊れ方や滞り方から物事を見ていた。帳簿の数字、使用人の疲れ、義母の茶会の席順、温室の根腐れ。何がどう傷み、どこから手を入れれば立て直せるかを考えるのは、もう癖のようなものだった。
なら、自分自身の傷み方も、いずれ見つめ直せるのだろうか。
そう思った時、温室のひび割れた硝子に映った自分の姿が目に入った。
公爵夫人らしい華やかな装いではない。
旅用の外套と実用の手袋をした女。
けれどその姿は、昨日までの屋敷の中にいた女より少しだけ、自分のものに見えた。
公爵夫人として立つのではなく。
ここでは、イゼルディナとして立たなければならない。
そのことに、怖さはなかった。
むしろ、ようやく息が通る感じがした。
*
夕方近く、村の者が二人、卵と根菜を届けに来た。
別邸の裏手にある小さな納屋の前で、ハンナが応対していたのをイゼルディナも見に出たのだ。
村人たちは、本当に飾らなかった。
一人は大きな手をした中年の男で、帽子を持つと髪がぺたりと額へ張りついている。もう一人は年若い女で、腕に卵の籠を抱え、頬が風で赤い。二人とも、王都の使用人のような洗練はない。言葉も少し荒い。けれど目はまっすぐだった。
「お初にお目にかかります、奥様」
中年の男が深く頭を下げる。
「村の者に、顔だけでも見せておけとハンナさんに言われまして」
「わざわざありがとう」
イゼルディナが言うと、若い女が少しだけ緊張しながら籠を差し出した。
「卵、今朝の分です。あの、そんな立派なもんじゃないですけど、別邸に人が戻るならって」
その「そんな立派なもんじゃない」が、妙にまっすぐで、イゼルディナは少しだけ笑ってしまった。
「十分立派よ。今夜の食卓が豊かになるわ」
若い女は、そこでようやく少しだけ肩の力を抜いた。
「……よかった」
それ以上の愛想はない。
媚びもない。
ただ、差し出したものが役に立つかどうか、それだけを気にしている顔。
貧しいがまっすぐ。
ハンナの言葉通りだった。
村人たちが帰ったあと、イゼルディナは納屋の前にしばらく立っていた。空はもう夕方の色へ変わり始め、湿った土から冷えが立ち上ってくる。遠くの畑にはまだ人影があり、帰る前の最後の片づけをしているのが見えた。
「奥様」
エウラがショールを持って近づく。
「風が」
「ええ」
肩に羽織る。北の風は細く、真っ直ぐだ。
「ここ、好きになれそうだわ」
イゼルディナがぽつりと言うと、エウラは少しだけ驚いた顔をしたあと、やわらかく目を細めた。
「はい」
その一言だけで十分だった。
*
夕食は質素だった。
卵のスープ。
焼いた根菜。
黒いパン。
少量の燻製肉。
そして少し濃いお茶。
王都の本邸なら、これでは簡素すぎると誰かが眉をひそめただろう。義母なら確実に嫌味を言ったに違いない。だが今日のイゼルディナには、その質素さがむしろ身体に馴染んだ。味は真っ直ぐで、余計な飾りがない。卵のスープは湯気が高く、喉へやさしかった。
食卓には、誰の視線もない。
誰の評価もない。
何をどれだけ食べるかを気にされる重さもない。
その静けさの中で、イゼルディナは久しぶりに「食べている」と感じた。
ただ義務として口へ運ぶのではなく、身体がそれを受け取っている感じ。
食後、居間の暖炉の前で記録帳を開く。
王都から持ってきた白薔薇の帳面ではなく、新しい一冊を出した。まだ紙の匂いが強く、表紙も硬い。そこへ最初の頁を開き、ペンを持つ。
何を書こうかと少し考えたあと、イゼルディナはゆっくりと記した。
**北の別邸。到着。温室北列、夜の冷え強し。硝子一枚ひびあり。棚板交換要。土の匂いは悪くない。**
そこまで書いて、少しだけペン先を止める。
そして、その下にもう一行だけ足した。
**ここでは、私として立つ。**
文字にしてみると、胸の奥が少しだけ震えた。
公爵夫人としてではなく。
誰かの妻としてでもなく。
役に立つ女でも、空白を抱えた女でもなく。
まずは、イゼルディナとして。
それはまだ、うまくできるかどうかわからない。
十年ものあいだ、彼女は「自分」より先に「公爵夫人」であることを身体へ馴染ませてきた。朝の立ち方、笑い方、椅子の座り方、誰にどの程度の声で話すか、どう目を伏せるか。すべてが役目の延長だった。
だからここで急に「自分として立つ」と言っても、たぶん最初はぎこちない。
けれど、それでもいいのだと今夜の彼女は思う。
ぎこちなくても。
不器用でも。
誰も拍手をしてくれなくても。
少なくとも、この土地の空気は、自分の呼吸を自分のものとして返してくれる。
窓の外では、夕闇が完全に落ちていた。
だが王都の夜と違って、ここにはまだ余計なざわめきがない。
遠くで犬が一度だけ吠え、風が木々を撫でる。
それだけだ。
イゼルディナは記録帳を閉じると、暖炉の火をしばらく見つめた。
火はまっすぐ燃えている。
乾いた薪が、静かに形を崩していく。
癒やしという言葉は、もっと甘いものだと思っていた。
けれど今の彼女に訪れているものは、甘いものではない。
ただ、自分の呼吸が自分の耳にちゃんと届く、というだけの静かな回復だ。
それで十分だった。
雪解けの土地の匂い。
ひび割れた温室。
貧しいがまっすぐな村人たち。
豪奢ではなく、見せるためでもなく、ただ暮らすためにある家。
そのすべてが、イゼルディナの胸の中で、王都の空気とは違う場所を少しずつ作っていく。
彼女は今日、初めて「公爵夫人」ではなく、自分として立とうとしている。
それはたぶん、前半の痛みを抜けたあとの、最初のやわらかな一歩だった。
暖炉の火が、ぱちりと小さく鳴る。
イゼルディナは目を閉じ、その音を聞きながら、ようやく少しだけ、自分の身体の力が解けていくのを感じていた。
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