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第24話 今さら遅いのです
その夜、ヴィルレオはほとんど眠れなかった。
東側の客室は暖かく、寝台も広く、火の落とされた暖炉の残り香さえ心を鎮めるように整えられていた。王都の大公爵家の本邸に比べれば質素だが、不足は何ひとつない。むしろ、余計なものがないぶんだけ身体にはやさしい部屋のはずだった。
なのに、まぶたを閉じるたび、昨夜のリュゼリアの声だけが繰り返し蘇る。
謝罪が欲しかったのではないの。
欲しかったのは、あの当時の時間だったの。
当時の時間。
その言葉は、刃物のように鋭かったわけではない。声も穏やかで、顔も穏やかで、ただ事実を述べているだけだった。だからこそ、逃げ場がなかった。
自分の謝罪は本物だった。
悪かったと、心から思っている。
何も見ていなかったことも、気づかなかったことも、当然のように彼女の整えたものの上でだけ生きていたことも、全部。
けれど、その本物の謝罪が、彼女の失った時間には何ひとつ触れられないのだと、昨日はじめて思い知らされた。
何も見ていなかった。
何も与えていなかった。
それをようやく知った時には、彼女のほうはもう、その何もない時間を何百も何千も積み上げ終えていたのだ。
夜半、外で風が少しだけ強くなった。湖のほうから来る冷えた空気が窓をわずかに鳴らし、その音でヴィルレオは寝台の上で目を開けた。薄闇の中、部屋の輪郭だけが見える。椅子。暖炉。机。整えられた寝具。どれも静かで、どれも少し遠い。
隣の部屋には、誰もいない。
南の別邸へ来てから、その事実を身体の奥がまだうまく理解していない。回廊を曲がれば彼女がいる。風の入る庭へ出れば、その細い肩が見える。だが、夜になれば彼女はもう自分の隣にはいない。夫婦としての距離ではなく、ただ同じ館の中にいるだけの距離にいる。
それが、こんなにも重いとは思わなかった。
ヴィルレオは寝台を出て、窓辺へ立った。空は暗い。雲が薄く流れ、月は見えたり隠れたりしている。庭の輪郭はぼんやりしていたが、南側の花壇のあたりだけは、昨夜見た白と青の小さな色がまだうっすらとわかった。
あの花は、もう彼女のものだった。
白いマーガレット。青いネモフィラ。土へ触れ、植え、咳き込みながらも「もう少しだけ生きたいわね」と零した彼女の時間の中にある花。
王都では与えられなかったものを、彼女はここで少しずつ自分で見つけ始めている。
そのことが嬉しいはずなのに、胸の奥には別のものも混ざっている。
焦り。
喪失への恐怖。
そして、あまりに遅すぎるという痛み。
眠れないまま、夜はゆっくり朝へ寄っていった。
◇
朝の食堂は静かだった。
昨日と同じく、リュゼリアのために整えられた小さな卓。白いクロス。小さな花瓶。温かい粥と薄いパン、それに蜂蜜を少し垂らした茶。ひとり分の食卓。
ヴィルレオは、本来ならまだ自分の部屋にいるべき時刻に、すでにその食堂の前に立っていた。
昨夜のままでは終われなかった。
謝って、それが届かず、それで引き下がることが正しいのかもしれないと頭ではわかっている。わかっているのに、何かを言わねばならない気がしていた。謝罪ではなく、もっと別の何かを。少なくとも、「悪かった」と言って終わるだけでは、自分はまた同じことをするような気がしたのだ。
扉の前で一度だけ息を整える。
中から、食器の小さな触れ合う音がした。咳は聞こえない。少しだけ安堵し、同時に、その音に混ざる自分の居場所がないことを思い知る。
ノックをする。
「……どうぞ」
リュゼリアの声だった。
扉を開けると、窓辺の光が柔らかく差し込んでいた。曇り気味の朝だが、南の別邸の光は王都のそれよりやさしい。卓にはひとり分の食事。リュゼリアは薄い灰色の室内着に、肩へ淡い青のショールを掛けて座っていた。顔色は相変わらず白い。だが昨日よりも目の焦点は落ち着いていて、夜のあいだ少しは眠れたのだろうとわかる。
彼女はヴィルレオの姿を見ると、ほんの少しだけ目を瞬かせ、それから穏やかに言った。
「おはようございます」
その口調の整い方に、ヴィルレオは一瞬だけ言葉を失いかけた。
夫へ向ける朝の挨拶というより、館に滞在する客へ向ける朝の挨拶に近い。失礼はない。温度も低すぎない。けれど、その向こうに“待っていたもの”がない。
「……おはよう」
返しながら、ヴィルレオは扉を閉めた。
アイダは傍らに控えていたが、二人の気配を察したのか、すぐに小さく一礼した。
「茶を替えてまいります」
それだけ言い、部屋の外へ出ていく。完全に二人きりではない。廊下の向こうに人の気配はあるし、必要ならすぐ誰かが来られるだろう。けれど、今この食堂の中にいるのは彼と彼女だけだった。
「座っても?」
ヴィルレオが訊くと、リュゼリアはごくわずかに視線を上げ、それから頷いた。
「ええ」
卓の向かい側へ腰を下ろす。王都の長い食堂ではありえなかった近さだ。ひとり分の食卓に、あとからもう一人が座っただけの距離。その近さが、逆にどうしようもなく遠く感じられた。
しばらく、どちらも何も言わなかった。
窓の外では、風が低木の葉を揺らしている。卓上の粥からは薄い湯気が上がり、ハーブ茶の香りがかすかに漂っていた。こういう朝の静けさそのものは、決して嫌いではない。だが、そこへ自分がどう入ればいいのかがわからない。
先に口を開いたのはヴィルレオだった。
「昨夜は」
そこまで言って、少し言葉を探す。
「……眠れたか」
問いとしてはあまりにも凡庸だった。だがリュゼリアは、責めるでもなく答える。
「少しだけ」
「咳は」
「ありましたけれど、ひどくは」
「そうか」
また沈黙。
会話は続いている。声も届いている。なのに、いま二人のあいだにある距離は、王都で互いに言葉を交わさず食卓へ座っていた頃よりずっと遠い。昔は遠かったが、それでも彼女はまだこちらを向いていた。今は違う。穏やかに応じながら、心のどこかはすでに自分へ預けられていない。
それを真正面から感じるたび、胸の内側が少しずつ削られていく。
「昨夜の話だが」
ヴィルレオは低く言った。
リュゼリアの指先が、スプーンの柄をそっと撫でる。それだけの動きで、彼女が何を言われるのか大体察していることがわかる。
「ええ」
「……終わらせたくはない」
リュゼリアは目を上げた。驚いたふうではない。むしろ、どこか少し疲れたような目だった。
「旦那様」
「謝って、それで済む話ではないとわかっている」
「ええ」
「わかっているが、それで何も言わずにいるのも違う気がする」
リュゼリアは小さく息を吐いた。その息は諦めにも似ていた。
「何を仰りたいの?」
その問いに、ヴィルレオはようやく自分がここへ何を言いに来たのか、形にしようとする。
何を言いたかったのか。
昨夜の謝罪では足りないと、自分でもわかっていた。ならば、何を差し出せばいいのか。考え続けた末に、道中ずっと胸の中に残っていたのは、変える、という感覚だった。
遅い。遅すぎる。それはもう承知している。
それでも、ただ“悪かった”と認めるだけではなく、これからどうするかを言葉にしなければ、また何も見ていない男のままだ。
「王都へ戻ったら」
ヴィルレオはゆっくりと言う。
「屋敷のことを改める」
リュゼリアの睫毛が一度だけ揺れた。
「……改める?」
「ああ。帳簿も、人員の割り振りも、客の取り方も、食卓も」
「食卓まで?」
「お前に任せきりにしていたものを」
言いながら、自分の言葉がどこか必死で、どこか遅れているのを感じる。
「これからは違うようにする。お前が」
そこまで言って、一瞬だけ喉がつまる。
「お前が戻るなら」
リュゼリアの目が、静かに細まった。
「戻るなら?」
その繰り返しが、やけに冷たく響く。
「……そうだ」
「戻ったら、変わると仰るのね」
「変える」
ヴィルレオははっきり言った。
「食卓も、朝も、屋敷の回し方も、お前が一人で抱えなくて済むようにする」
それは本心だった。
自分でも、ようやくそこまで言葉にできたのだと思う。もっと早くに知るべきだったし、もっと早くにそう言うべきだった。だが遅すぎるとわかっていても、黙ってはいられなかった。
けれど、その言葉を聞いたリュゼリアは、怒りも喜びも見せなかった。
ただ静かに、ほんの少しだけ寂しそうに笑った。
「……そう」
それだけ。
その反応の薄さに、ヴィルレオの胸はひどくざわめく。
「リュゼリア」
「今さら、遅いのです」
彼女は怒鳴らなかった。
静かな、あまりにも静かな声だった。
だからこそ、その一言は真正面から入ってきた。
今さら、遅いのです。
同じ意味のことを、彼女は前にも言った。だが今日のそれは、昨夜の“失った時間には届かない”よりもっと静かで、もっと決定的だった。
「わたくしが欲しかったのは」
リュゼリアは続ける。
「旦那様が“変える”と仰ってくださる未来ではなかったの」
彼女の指先が、卓の上で静かに重なる。白く、細く、かつて自分の食卓や屋敷の細部を整え続けた指だった。
「欲しかったのは、もっと前の時間よ」
昨夜と同じ言葉。
だが今朝は、その先がもう少し深く続いた。
「朝に、食堂で会うことを苦にしないでいられること」
「……」
「何かを言った時に、ちゃんと聞いていただけること」
「……」
「夜更けに遅くなった翌朝、少しだけ顔を見てくださること」
その一つひとつが、何でもない。何でもないはずなのに、今となってはひどく遠い。
「そういうものが欲しかったの」
リュゼリアはまっすぐヴィルレオを見る。
「でも、欲しいと思っていた時間の中では、何も変わらなかった」
言葉は責めるようではなかった。
ただ事実を置いていく声だった。
「わたくし、待っていたのよ」
その一言で、ヴィルレオの喉がきしむ。
「本当に、ずっと」
リュゼリアは少しだけ目を伏せた。睫毛の影が白い頬へ落ちる。
「何かが変わるのではないかと。明日こそ、来月こそ、次の季節こそと」
その語尾がわずかに細くなる。
「でも、待っても来なかった」
胸が痛い、というにはあまりに静かだった。内側へ冷たいものが沈んでいくような痛みだ。
「だから、期待しないようにしたの」
顔を上げた彼女の表情は穏やかだった。涙も怒りもない。けれど、その穏やかさの中にある諦めが、何よりも取り返しのつかなさを突きつけてくる。
「最初は難しかったわ。期待しないようにするのは、とても苦しかった」
「……」
「でも、しばらくすると、できるようになったの」
リュゼリアはほんの少しだけ笑う。自嘲にも似た、薄い笑みだった。
「期待しなければ、傷つかないでしょう?」
ヴィルレオは何も言えなかった。
言えるはずがない。
自分がようやく変えようとしているものは、彼女が期待を捨てることでしか耐えられなかった時間のずっと先にある。今さら「これからは違う」と言ったところで、その捨てられた期待が戻ってくるわけではない。
「わたくし、もう待っていないの」
その一言は、怒鳴り声よりよほど重かった。
「だから、旦那様が何かを変えると仰っても……昔のわたくしなら、きっとすごくうれしかったと思う」
ここで初めて、彼女の声が少しだけ揺れた。
「でも、今のわたくしには、それを喜ぶための期待がもう残っていないのです」
ヴィルレオは目を伏せたい衝動に駆られた。だが、それは彼女の言葉から逃げることになる。かろうじて堪える。
「……戻せないのか」
掠れた声だった。
「何を?」
「期待を」
リュゼリアはしばらく答えなかった。
窓の外を風が撫でる。卓上の茶が少し冷め、薄い湯気が途切れる。
「わからないわ」
やがて彼女は言った。
「でも、少なくとも今すぐには無理よ」
その答えは残酷なほど率直だった。
「期待というのは、言葉ひとつで戻るものではないもの」
「……そうか」
「ええ」
そしてそこで、リュゼリアは少し困ったように首を傾げた。
「怒っていたら、まだ簡単だったのかもしれないわね」
ヴィルレオは眉を寄せる。
「簡単?」
「ええ。怒っているなら、ぶつける先があるでしょう?」
その言葉に、胸の奥が静かに裂けるような心地がした。
「でも、今のわたくしは、怒っているわけではないの」
リュゼリアは穏やかに続ける。
「ただ、もう期待していないだけ」
それは、終わりの言葉に近かった。
終わりといっても、関係そのものの断絶ではない。怒って絶縁するような激しいものではない。もっと静かで、もっと冷えた終わり。相手が何かを変えるかもしれない未来に、自分の心を預けないという決意。
ヴィルレオはようやく、その重さを本当の意味で知った。
謝罪が届かないことよりも。
時間が戻らないことよりも。
彼女が自分へ期待することをやめた、その静かな事実のほうが、ずっと決定的なのだ。
「……俺は」
言葉が喉で止まる。
何を言おうとしたのか、自分でもわからない。期待しなくていいと言うべきか。もう一度期待してほしいと言うべきか。どちらも違う気がした。
結局出てきたのは、あまりに弱い問いだった。
「それでも、何かできることはないのか」
リュゼリアはその言葉に、少しだけ考えるように目を伏せた。
「今のわたくしに、でございますか」
「ああ」
「……無理に何かをくださらなくていいの」
静かな声。
「欲しかった時に欲しかったものと、今必要なものは、もう同じではないから」
「今必要なものは何だ」
リュゼリアはゆっくりとカップへ手を伸ばした。茶はもうぬるくなっている。それをひと口だけ含み、喉を潤してから答える。
「穏やかな時間よ」
ヴィルレオは目を上げる。
「驚かされない時間。期待と失望のあいだへ立たされない時間。……少し息がしやすいまま、過ごせる時間」
それは、王都の屋敷で彼女が一度も得られなかったものだった。
そして、いま彼女はこの別邸で、ようやくそれを手の中へ置き始めている。
自分がそれを壊してはいけないのだと、ヴィルレオは遅れて理解する。
追いかけてきた。
謝罪し、変えると告げ、埋め合わせのような未来を差し出そうとした。だがそれは、彼女がようやく手にした穏やかな時間を、また“自分に期待する時間”へ引き戻しかねないのだ。
「……そうか」
言葉にすると、敗北に似た響きがあった。
けれどそれを否定する気にはなれなかった。ここで彼女の言葉を否定することだけは、もう絶対にしてはならない気がした。
リュゼリアはほんのわずかに肩の力を抜いたように見えた。
「ごめんなさいね」
「なぜ、お前が謝る」
「旦那様が、せっかく言葉にしてくださったのに」
その言い方に、ヴィルレオは思わず目を閉じたくなる。
彼女は最後まで優しい。優しいくせに、その優しさはもう彼へ向けて身を削る形では差し出されない。そういう優しさだ。だから余計に遠い。
「……もういい」
ヴィルレオは低く言った。
そして、言ってからその言葉のまずさに気づく。もういい、ではない。何一つ、よくなどない。だが、それ以上を今ここで言葉にする力がなかった。
リュゼリアもまた、そのまずさに気づいたのだろう。けれど指摘はしなかった。ただ、少しだけ疲れたように目元を和らげる。
「今夜は、もう休みましょう」
「……ああ」
「外は冷えますし」
「そうだな」
「旦那様が風邪を召しては困るわ」
その気遣いが、かつてと同じ言葉なのに、かつてとは違う場所から来ているとわかる。彼女はもう、自分の心を預けたまま彼を案じてはいない。ただ、目の前にいる体調を崩しやすい人間として気遣っているだけだ。
それだけの違いが、こんなにも深く突き刺さる。
ヴィルレオは椅子から立ち上がった。足元が少し重い。扉の前まで行き、振り返る。
リュゼリアはまだ窓辺の光の中にいた。白い頬。薄青い瞳。細い指。温かさを失いかけた茶。外套の裾に乗る灯り。その全部が、届きそうで届かない。
「……おやすみ」
結局、最後はそれだけだった。
リュゼリアは静かに頷く。
「おやすみなさい」
扉を閉める。
廊下の冷たい空気が頬へ触れた。
今さら遅いのです。
その一言は、怒りではなかった。だからこそ、どこにも跳ね返らず、真っ直ぐ胸の奥へ沈んでいく。
彼女はもう期待していない。
その事実は、謝罪が届かなかったことよりもずっと重い。
期待されないということは、責められないということでもある。怒りも、すがりも、求めもない。そこに残るのは、ただ相手がもう自分へ未来を預けていないという、静かな断絶だけだ。
ヴィルレオは廊下の途中で立ち止まった。
春の夜気はまだ冷たい。だがその冷たさのほうが、今は救いに近かった。胸の中は熱もないのに、ひどく痛んでいる。その痛みをごまかさずに済むぶんだけ、外気の冷たさのほうがましだった。
今さら遅い。
その言葉を、彼はこれから何度も思い知るのだろう。
そして、その遅さを認めたうえで、それでもなお自分に何ができるのかを、ようやく考え始めるしかないのだ。
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