のじゃロリ吸血鬼さんはチューチューしたい2

かま猫

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うれしはずかし逢魔時

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海辺の事件から数日後。平穏な生活に戻った仙一郎はその日、大学の講義も終わり自転車で帰宅するところだった。夕焼けが街をオレンジ色に染め、空の高さはもう秋が近い事を告げていた。

仙一郎とアルマが砂浜から逃げるとき、すでに朱夏の姿は消えていた。彼はあんな目にあいながらも彼女がそんなに悪い化物ではないように感じていて、それほど怨んではいなかったし逃げてどこかで生きているであろうことを願っていたが、アルマはそんな彼の様子を甘いだの、いつか痛い目を見るだのとさんざん愚痴っていた。

リザはといえば、眷属であるにもかかわらず彼の危機に役にならなかったことを悔やみ酷く落ち込んで、仙一郎が慰めても一向に効果がなかったのだが、

「リザが元気になってくれるなら何でもするからさ!」

と、つい口走ると彼女は目を輝かせて、

「ん?今何でもするって言いましたカ?ホントですカ?約束ですヨ!」

と、とたんに元気になってしまったのだった。

仙一郎は何となくリザにハメられたようで何を要求されるか一抹の不安を覚えたが、それも、いつものリザに戻ってくれたので良しとした。

アパートの外階段を足取りも軽くかけ上がり玄関の鍵を開けると、何故か部屋の中にリザが立っていた。

「スィーアー!やっと帰っテきましたネ!」

「リザ?何で部屋ん中いるんだよ!」

驚く仙一郎の目の前の彼女は大きめのワイシャツ一枚着ただけで太ももが丸見えの肉感的な姿で微笑んでいた。

「合鍵デース!」

リザは楽しそうに手に持った鍵をぷらぷらと見せびらかした。

「まったく…」

仙一郎がため息をつき、リザのことをなるべく見ないように部屋に上がると彼女はニコニコしながら近寄ってきた。

「な…何?」

仙一郎がうろたえていると彼女は彼を見つめながら、おもむろにシャツのボタンを外し始める。徐々に露わになっていく胸の谷間。

「リっ!リザ!何してんの!」

仙一郎が狼狽していると彼女はシャツを脱ぎ捨てた。

「だっ!だめだって!いくら何でもするっていっても…」

彼は慌てふためき目をつぶって手をばたばたと動かす。

「は?ナニを言ってるんデスカ?」

リザの言葉に目を開けると彼女は真っ赤なビキニ姿で怪訝な顔をしていた。

「なんだ…水着か…」

「ふふーん…仙一郎?何を期待していたんデスカ?」

「いや別に…俺は…ナニとかアレとか…別に…」

しどろもどろに言い訳する仙一郎をリザは弄ぶ。

「ははーん…仙一郎がお望みでしたらソッチでもワタシは構いませんヨ!」

「いやいやいや!滅相もないっ!」

「まあ、それはともかく仙一郎も水着に着替えてクダサイ!」

と、リザはどこから取り出したのか海水パンツを突きつけた。

「何で俺まで?」

「シーのゴーの言わずに着替えるデース!」

リザは彼につかみ掛かると無理やり服を脱がそうとする。

「待った!待った!分かったから!自分で着替えるからさ!」

結局、仙一郎は押し切られ、リザを部屋の外に追い出して着替えることになってしまった。「リーザー!着替え終わったよー!」

そう告げると、玄関の外で待つリザは勢いよく飛び込んできて彼の手を掴むと外へと引っ張った。

「ささっ!行きましょうカ!」

「ちょっ!こんな恰好でどこへ?」

海水パンツ一枚で外に連れ出され狼狽する仙一郎を尻目にリザはアパートの階段を下り隣に立つアパートの大家の家をぐるりと回って

通用口から庭に入る。すると、薄暮で青く染まり所々ガーデンライトのオレンジ色の光が灯る庭には少し大きめのビニールプールが据え付けられており傍らにはアルマが立っていた。

「お!やっと来たな画学生!」

アルマはゴスロリ調のーーーセパレートで黒に白いフリルとリボンのついた水着姿で仙一郎を手招きするので彼は問い詰める。

「これはどういうこと?」}

「なんじゃリザ!貴様まだ説明しておらんのか?」

アルマはリザを睨みつける。

「テヘッ!」

と、リザは笑って舌をペロっと出しお道化るのでアルマはため息をついた。

「仕方ないのぉ…この前、予だけ海に遊びに行けなかったから其方にその埋め合わせをしてもらうってことじゃ!海と比べたらちと寂しい感じじゃが…」

「埋め合わせはイイとして庭は…わわっ!」

仙一郎は話している途中でリザに背中を押されプールに突き落とされた。

「オーヤサンの許可はもらっているのデ問題ありませんネ!早速楽しむデース!」

と、彼女もプールに飛び込み抱き付いてくる。

「うぁっぷ!」

「あああっ!リザ!抜け駆けしおって!」

仙一郎が溺れそうになっていると、アルマもプールに飛び込んできた。

「うぇっぷ!」

さらに水を飲んだ仙一郎は狭いビニールプールで二人に抱き付かれる。

「ちょっ!くっつきすぎだって!」

「よいではないか!どうじゃ?両手に花で嬉しかろう?楽しかろう?」

アルマが身体を密着させると、それに張り合うようにリザもいっそうべったりくっつく。

恥ずかしさに仙一郎が固まっていると母屋から大家さんの声がする。

「早見さん。スイカ切ったから良かったら食べてね!」

大家さんは面倒見の良いおばあちゃんで気を聞かせてくれたのだが仙一郎はこんな状況を見られた恥ずかしさから言葉につまる。

「おばあちゃん、ありがとう!私、手伝うよ!」

すかさずアルマがプールから上がって駆けていく。

「良く出来た妹だ…」

仙一郎がアルマを目で追いポツリと独り言をつぶやく。

「まあ素直では無いデスけどネ!」

リザは変わらず抱き付いたまま茶々を入れるが、仙一郎が腑に落ちないといった表情をするので話を続けた。

「今日のコレも海行けなかったからっテ言ってますケド、仙一郎を元気づけるためだと思いますヨ!彼女ずっと仙一郎がスランプで落ち込んでるの気にしてましたカラネ!」

「ふーん…」

「こっち二モ素直では無い人ガ!」

仙一郎がそっけなく関心がないような素振りを見せるのでリザは再び茶々を入れる。

「なんだよぉ…」

彼が不満そうな顔をみせるとリザはくすっと笑うと楽しそうにプールから上がりアルマと大家さんを手伝いに早足で駆けていった。



遠くからヒグラシの鳴く声がうっすらと聞こえ昼間の熱がまだ残る夕暮れ時、ビニールプールのひんやりと心地よい水にひとり仰向けに浸かる仙一郎は、瞑色に輝く一つ星を仰ぎ見ながら、ちょっとだけ気持ちが軽くなったような気がした。





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