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桃川鈴加

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一同驚愕

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巨大な蔓は、リリィの集中が切れると同時に急速に枯れ始め、最終的には元の小さな草に戻った。

しかし、庭には蔓が暴れ回った跡が残っており、地面は至る所でえぐれ、美しく整備されていた花壇は滅茶苦茶になっていた。

長い沈黙の後、メリサが震え声で言った。

「...今度は【植物操作】を一瞬で習得した上に、レオより強力な魔法を使った...」

「しかも制御できずに暴走...」エリカも青ざめている。「あの蔓の威力、尋常じゃありませんでしたわ」

「すまないのじゃ...」リリィが申し訳なさそうに俯く。「止め方が分からなくて...レオお兄ちゃん、痛かった?」

「いや、リリィのせいじゃない」レオがふらつきながら立ち上がる。「教えた俺が悪かった。もっと慎重にやるべきだったな」

カイロスが深刻な表情で言う。

「これは...普通ではない。リリィの魔法の才能は、我々の想像を遥かに超えている」

「才能というか...」リューナが困惑している。「まるで最初から魔法を知っていたかのような習得速度よ。族長として多くの魔法使いを見てきたが、こんな例は聞いたことがない」



新たなルールの制定

その日の夜、リリィが眠った後、5人は緊急会議を開いていた。リビングの重厚なテーブルを囲んで、それぞれが深刻な表情を浮かべている。

「結論から言うわ」メリサが厳しい表情で切り出す。「リリィには当分の間、魔法を教えるのは禁止よ」

「同感だ」カイロスも頷く。「あの子の力は危険すぎる。制御方法を身に着けるまでは...」

「でも、才能を潰すのも...」リューナが反対する。

「才能云々の問題じゃないのよ」エリカが遮る。「今日だってレオさんが怪我をしていたかもしれませんし...それに、あの力が暴走したら周りの人に被害が及ぶ可能性がある」

「俺は大丈夫だったけど...」レオが苦笑いする。「でも、確かに危険だったな。もし【時空操作】がなかったら、蔓に振り回され続けてたかもしれない」

「それに」メリサが続ける。「リリィちゃんの魔法の強さは異常よ。普通なら何年もかけて習得するような魔法を、一瞬で覚えて、しかも暴走レベルの威力で使ってしまう」

「まるで...」カイロスが呟く。「まるで封印された力が解放されているかのような...」

一同がカイロスを見つめる。

「何か心当たりがあるのか?」レオが尋ねる。

「いや...ただの憶測だ。だが、あの子は只者ではない。それだけは確かだ。竜族の長い歴史の中でも、これほどの才能を持つ者は伝説の中にしか存在しない」

結局、以下のルールが制定された:

1. リリィには当分の間、魔法を教えない
2. 危険な魔法に関する話題も避ける
3. リリィの魔法の才能については外部には絶対に秘密にする
4. もしリリィが自分で魔法を使おうとした場合は、全力で止める

「リリィちゃんには明日、『魔法は危険だから、もう少し大きくなってから教える』って説明しましょう」エリカが提案する。

「それがいいな」レオも同意する。「あの子を傷つけたくないし、でも安全は最優先だ」



翌朝、みんなでリリィに説明した。

朝食後、リリィをリビングに呼んで、5人が優しく取り囲むように座った。リリィは昨日のことを覚えているのか、少し不安そうな表情を浮かべている。

「リリィちゃん、昨日のことなんですけど...」エリカが優しく切り出す。

「私、何か悪いことしちゃった?」リリィが心配そうに尋ねる。

「違う!」レオが慌てて否定する。「リリィが悪いんじゃない。俺たちが準備不足だったんだ」

「そうじゃ、リリィは悪くないのじゃ」カイロスも優しく頭を撫でる。「ただ、魔法は使い方を間違えると危険だから、もう少し大きくなってから教えることにしたんだ」

メリサが膝の高さまでしゃがんで、リリィと目線を合わせる。

「リリィちゃんはとても才能があるの。でも、その才能が大きすぎて、今はまだ上手にコントロールできないのよ」

「...分かったのじゃ」リリィが小さく頷く。「私、もう少し大きくなるまで待つ。みんなに迷惑をかけたくないもん」

その素直な返事に、大人たちは胸が締め付けられる思いだった。

しかし、その後でリリィがこっそりと呟いた。

「でも...なんで私、すぐに覚えられたのかしら...」

その小さな疑問を、大人たちは聞き逃さなかった。



リリィ最強説の誕生

その日の午後、庭の修復作業をしながら、5人は昨日の出来事について話し合っていた。

「それにしても」レオが【地形操作】で地面を修復しながら言う。「リリィの才能は本当に規格外だったな」

「飛行魔法を一瞬で習得して、【植物操作】でお前を振り回すなんて...」メリサが苦笑いする。「私でもあそこまで強力な植物魔法は使えないわよ」

「もしかして」リューナが思案顔で言う。「リリィちゃんって、実は私たちが思ってるより、ずっと凄い子なんじゃない?」

「どういう意味だ?」カイロスが振り返る。

「だって考えてみて。あの子がここに来た経緯も曖昧だし、記憶も断片的でしょう?そして魔法の才能は異常なレベル...」

「まさか...」エリカが何かに気づいたような顔をする。「リリィちゃんも、何か特別な存在なのでしょうか」

「特別って?」

「例えば...」エリカが声を潜める。「神族とか、古代の魔法使いの血を引いているとか...」

「それは...」レオが考え込む。「確かに、普通の人間の子供じゃ説明がつかない」

カイロスが深刻な表情で言う。

「俺の長い経験から言うと、リリィのような存在は滅多にいない。もし本当に神族や古代種族の血を引いているなら...」

「なら?」

「この世界でも最強クラスの存在になる可能性がある」

一同、再び沈黙に包まれる。

「リリィ...最強説...」レオが呟く。

「まあ、今はまだ8歳の子供よ」メリサが現実的に言う。「どんなに才能があっても、精神的にはまだまだ子供なんだから」

「そうですわね」エリカも同意する。「私たちがしっかりと守って、導いてあげなければ」

「ああ」レオが力強く頷く。「リリィが何者であろうと、俺たちの大切な仲間だ。借金仲間じゃないけど、家族みたいなもんだからな」

リューナが微笑む。

「族長として多くの子供を見てきたが、あの子ほど純粋で愛らしい子はいない。種族や出自など関係ないわ」



平和な日常の終わり

夕方、リリィは庭で一人遊んでいた。

修復されたばかりの花壇で、小さなジョウロを使って花に水をやっている。その姿は本当に普通の8歳の少女そのものだった。

「綺麗なお花さんたち、今日もお疲れ様なのじゃ」

リリィが花に向かって優しく話しかけながら、そっと花びらに触れる。

「不思議なのじゃ...なんで私、すぐに魔法が使えたのかしら。みんなはあんなに驚いてたのに...」

リリィが触った花が、一瞬だけ光って、より美しく咲いた。まるで祝福を受けたかのような、神々しい輝きを放っている。

「あら?」

しかし、リリィ自身はその変化に気づかず、そのまま屋敷の中に戻っていく。

残された花壇では、リリィが触った花だけが、他とは明らかに違う神々しい輝きを放っていた。まるで聖なる力が宿っているかのような、美しく幻想的な光だった。




その夜、レオは一人でバルコニーに出ていた。

標高800メートルの山中から見える星空は、地球で見たものよりもはるかに美しい。無数の星が瞬き、天の川が夜空を横切っている。

「リリィ最強説か...」

星空を見上げながら、今日の出来事を振り返る。

リリィの異常な魔法の才能、そして時々見せる大人びた表情。すべてが謎に包まれている。

「まあ、どんな秘密があろうと」レオが微笑む。「あの子が俺たちの大切な仲間であることに変わりはない」

そんなレオの背後で、リリィが窓からこっそりと外を見ていた。

「レオお兄ちゃん...」

リリィの金色の瞳が、一瞬だけ神々しい光を放つ。まるで星の光を集めたような、美しく神秘的な輝きだった。

「私...みんなに迷惑をかけちゃダメなのじゃ。でも...この力は一体何なのかしら」

リリィの記憶の奥底で、何かが静かに蠢いている。

封印された記憶、失われた過去、そして彼女の真の正体...

「私は...一体何者なのじゃ?」

リリィの小さな疑問が、夜風に溶けて消えていく。

借金返済ファンタジーに、新たな謎が加わった。



翌朝、いつものように賑やかな朝食の時間が始まった。

「今日は何を作ろうかな」レオがエプロンを着けながら呟く。

「レオお兄ちゃん、今日はパンケーキが食べたいのじゃ!」リリィがはしゃいでいる。

「よっしゃ、【料理マスター】で世界一美味いパンケーキを作ったるで!」

「楽しみですわね」エリカが微笑む。

「でも、材料費の計算も忘れずにね」メリサが家計簿を見ながら言う。

「族長として、仲間との食事は何よりも大切だからな」リューナも満足そうだ。

「ああ、こんな平和な朝が続けばいいな」カイロスが呟く。

リリィが天使のような笑顔で言う。

「みんなと一緒にいると、とっても幸せなのじゃ!」

しかし、その笑顔の奥に、小さな疑問が残っていることを、まだ誰も知らない。

リリィの真の正体、そして彼女に秘められた力の謎。
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