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わたヒロ(サドマゾ)
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三名以上で利用できるラブホを調べて向かう。
「ほ、本当に行きますの? リツさん」
「リッちゃん、やっぱり良くないよ」
けれど、二人は直前で怖じ気づいたようで、進む私の手を引っ張って引き戻そうとする。今更感があるけど、一応は常識がある。
非常識なのはわたしへの態度だけだ。
「外でやるよりいーでしょ。制服だったらアレだけど、私服で行って年齢確認なんかされないよ。ダメならダメで怒られるだけだって」
路地裏でしゃぶらせる度胸はどこに?
空室はひとつしかなかったから、迷うこともなかった。全部で二十四とかある部屋のすべてで日曜の昼間からセックスしてる。変態なのはわたしたちだけじゃないと思えて少し気楽だ。
208号室。
「いがーい。写真通り」
ホテルのサイトでみた室内写真より狭い印象は受けるけど、内装はちゃんと綺麗だった。天蓋のあるベッドに、大きなソファ、色調も落ち着いていて、窓のない閉塞感を別にすれば普通に宿泊用っぽくも見える。
「お風呂、本当に光るよ、リッちゃん」
ヒロヒロが呼んでいる。
「これがレインボーバス、いやらしいですわ」
ミコシーは真剣な顔で言う。
暗いバスルームだけど、浴槽自体が怪しく光ってくる仕掛けのようだ。お湯の中で身体が宇かっびあがる光景はたぶんエッチだと思う。そして、入ったら開き直ってはしゃぐ二人は可愛い。
「んじゃ、わたし一番に入るねー」
わたしはパッパと服を脱いでお風呂に入る。
「え、ちょっと、もう?」
ヒロヒロが言う。
「もー? ここまできて恥ずかしがることないじゃん。二人とも一緒に入るー? 三人だとちょっと狭いかな? まー、後でもっかい入るだろうし、どっちか決めて入ろーよ」
「ええ、そうさせていただきますわ」
わたしがパンツを下ろすのを見つめるミコシーの目が女豹になっていた。昨日の今日だけど、だからこそ気持ちが盛り上がってるみたい。
さっきのお説教でわかった。
「御子柴さん、どうする?」
「広瀬さんこそ、どうしますの?」
たぶん処女を奪われたわたしが怒ってると思ってた。だから昨日は終わったら意識がなくなったわたしを置いて帰っちゃてる。責任を感じたのかも知れない。距離をおくつもりだったのかもしれない。わたしを傷つけることに対して。
でもたぶんそれが失敗だった。
わたしだってショックは受けてた。痛かったし、ボロボロだった。目が覚めたとき、二人がそばにいて、優しくしてくれたら恋に落ちてたかも知れない。結果的にはおにいがいたけど、そうして欲しかったかも知れない。
二人のことは嫌いになれない。
でも、おにいほど好きにもならない。
それは二人も変態だけど、恋愛に対する考え方はわたしよりずっとまともだってことに問題がある。気持ちよくなるポイントがたぶん違うんだと思う。一方的に押しつけきれない。どこか物足りない。
そこに弱点がある。
「リッちゃん、入るよ」
「どーぞー」
ヒロヒロか。
「背中、流してあげるね?」
メガネをはずした姿でそろそろと入ってきた。
「うん、お願い」
身体を洗っていたわたしのうしろに座ってボディソープを手で泡立ててる。ぺちゃ、とその大きなおっぱいに撫でつけてる音。積極的で、献身的だ。ヒロヒロもサドのはずだけど、わたしに対してはちょっと違うみたいだ。
たぶん、前に踏んだときに変わった。
なんとなくわかる。
サドかマゾかなんて、そんなに絶対的なものじゃないかもしれない。わたしも今、すっごく感じてる。おにいに攻められてる。わたしたち双子の禁断の恋を邪魔しようとする二人を差し向けられて、これからどう逆襲しようか考えると楽しくて仕方がない。
わかってるよ、おにい。
罰が、ご褒美が欲しいんでしょ?
「これで、いいかな?」
ヒロヒロが身体をぴったりと押しつけて、泡をこすりつけてくる。下半身の方を気にしてるのかどこかぎこちない感じだ。
「あんまり慣れてないんだねー?」
わたしは言う。
「せ、先輩とか部長とかがやってはくれたんだけど、私からするのは、経験なくて」
「ふーん……」
わたしは身体を回して正面で向かい合う。
「リッちゃん?」
「……ヒロヒロって貪欲だよねー? わたしも、文芸部の二人も、両方とも欲しいんでしょー?」
そう言って、下半身を握った。
もうボディソープでぬるぬるになってる。
「! り、リッちゃんッ」
「好きだよ、ヒロヒロ」
わたしは握ったまま、キスをする。
やっぱりおにいとするのとは違う。でも、二人きりだと受け身になっちゃう文芸部の女王様は可愛い。本当にわたしが好きなんだ。
「んんっ。ごめん。嫌だよね。どっちもなんて」
「そんなことないよー」
揺さぶりは効いていた。
「ううん、リッちゃんが、リッちゃんが言うなら、私、リッちゃんだけにする。でも、リッちゃんが私とその、ちゃんと……」
「ヒロヒロ、それは違うよ」
わたしは握ったものを股に挟む。
「貪欲なところが好き」
「え?」
「一人で満足するなんておかしーよ。わたしと部長さんと先輩さん、みーんな違うんだから、三人とも欲しいのは間違ってない」
「ま、間違ってなくないよ。そんなの」
「ヒロヒロは特別なんだよ」
わたしは腰を動かしながら耳元で囁いた。
「っ、ん」
「特別だから、特別な身体を持ってる。そーでしょ? わたしたちがその特別を好きなだけ。だからいーの。貪欲に生きよ? みんなそれを望んでるんだから、だれも不幸になんてならない」
ヒロヒロは肯定されたいと思ってる。
「すごいんだよ。すごいと思っていーの」
なぜサドになったか。
身体はコンプレックスだったはずだ。普通の常識があって、普通に頭が良くて、普通の身体だったら、もっと普通を望んでたはず。でも、身体が普通じゃないから普通は望めなかった。
だから、変態になった。
女同士に向かうのは当然だ。身体に男がいるんだから。そして否定されるのが怖いから、強気になるしかない。たぶんそれは、お節介焼きで、人に甘えるのが下手な姉気質が影響してる。
弱味を自然に見せられない。
甘えられればマゾになってたかもしれないけど、それはきっと怖かったはずだ。だれかにコンプレックスを預けることはできなかった。
だから、わたしは背中を押す。
「すごいヒロヒロなら、もっとすごくなれるよ」
キスして、愛撫して、ほめたたえる。
「もっと?」
「うん。たとえば、ミコシーも手に入れられる。わたし、想像できるよ。わたしとミコシーのおしりを並べて、ヒロヒロが嬉しそうな顔する様子。やろーよ。せっかく、三人なんだから」
女王様を、気持ちよくする。
「御子柴さんを、私が?」
「手伝ってあげるってばー。わたしがヒロヒロを好きな証拠に。ねー? そしたら、わたしをもっと可愛がりたくなるでしょ? ねー?」
強引な方法でも、わたしがヒロヒロのために行動すると思えば、拒否はできないはず。それをさせなかったら、証拠は示されないし、可愛がりたくもなくなっちゃうんだから。
「でも、御子柴さんがイヤがったら」
「すっごい、気持ちよかったから」
全肯定。
「いーでしょ? ミコシーとわたしをお揃いにしてよー。それとも? わたしのこと好きじゃないから、あんな風に処女奪ったの?」
そして罪悪感を刺激。
「リッちゃん」
ヒロヒロは不安そうだけど拒否できない目をしてた。逃げられないのだ。わたしに悪いことをしたと思っちゃう常識人だから。わたしの願いを拒否できない。わたしは抱きしめて、またキスして、レインボーバスに一緒に入る。
「リッちゃん、私って、リッちゃんの特別?」
ヒロヒロはとろけてた。
「もっちろーん」
わたしがとろけさせた。美少女って武器なんだ。
「ほ、本当に行きますの? リツさん」
「リッちゃん、やっぱり良くないよ」
けれど、二人は直前で怖じ気づいたようで、進む私の手を引っ張って引き戻そうとする。今更感があるけど、一応は常識がある。
非常識なのはわたしへの態度だけだ。
「外でやるよりいーでしょ。制服だったらアレだけど、私服で行って年齢確認なんかされないよ。ダメならダメで怒られるだけだって」
路地裏でしゃぶらせる度胸はどこに?
空室はひとつしかなかったから、迷うこともなかった。全部で二十四とかある部屋のすべてで日曜の昼間からセックスしてる。変態なのはわたしたちだけじゃないと思えて少し気楽だ。
208号室。
「いがーい。写真通り」
ホテルのサイトでみた室内写真より狭い印象は受けるけど、内装はちゃんと綺麗だった。天蓋のあるベッドに、大きなソファ、色調も落ち着いていて、窓のない閉塞感を別にすれば普通に宿泊用っぽくも見える。
「お風呂、本当に光るよ、リッちゃん」
ヒロヒロが呼んでいる。
「これがレインボーバス、いやらしいですわ」
ミコシーは真剣な顔で言う。
暗いバスルームだけど、浴槽自体が怪しく光ってくる仕掛けのようだ。お湯の中で身体が宇かっびあがる光景はたぶんエッチだと思う。そして、入ったら開き直ってはしゃぐ二人は可愛い。
「んじゃ、わたし一番に入るねー」
わたしはパッパと服を脱いでお風呂に入る。
「え、ちょっと、もう?」
ヒロヒロが言う。
「もー? ここまできて恥ずかしがることないじゃん。二人とも一緒に入るー? 三人だとちょっと狭いかな? まー、後でもっかい入るだろうし、どっちか決めて入ろーよ」
「ええ、そうさせていただきますわ」
わたしがパンツを下ろすのを見つめるミコシーの目が女豹になっていた。昨日の今日だけど、だからこそ気持ちが盛り上がってるみたい。
さっきのお説教でわかった。
「御子柴さん、どうする?」
「広瀬さんこそ、どうしますの?」
たぶん処女を奪われたわたしが怒ってると思ってた。だから昨日は終わったら意識がなくなったわたしを置いて帰っちゃてる。責任を感じたのかも知れない。距離をおくつもりだったのかもしれない。わたしを傷つけることに対して。
でもたぶんそれが失敗だった。
わたしだってショックは受けてた。痛かったし、ボロボロだった。目が覚めたとき、二人がそばにいて、優しくしてくれたら恋に落ちてたかも知れない。結果的にはおにいがいたけど、そうして欲しかったかも知れない。
二人のことは嫌いになれない。
でも、おにいほど好きにもならない。
それは二人も変態だけど、恋愛に対する考え方はわたしよりずっとまともだってことに問題がある。気持ちよくなるポイントがたぶん違うんだと思う。一方的に押しつけきれない。どこか物足りない。
そこに弱点がある。
「リッちゃん、入るよ」
「どーぞー」
ヒロヒロか。
「背中、流してあげるね?」
メガネをはずした姿でそろそろと入ってきた。
「うん、お願い」
身体を洗っていたわたしのうしろに座ってボディソープを手で泡立ててる。ぺちゃ、とその大きなおっぱいに撫でつけてる音。積極的で、献身的だ。ヒロヒロもサドのはずだけど、わたしに対してはちょっと違うみたいだ。
たぶん、前に踏んだときに変わった。
なんとなくわかる。
サドかマゾかなんて、そんなに絶対的なものじゃないかもしれない。わたしも今、すっごく感じてる。おにいに攻められてる。わたしたち双子の禁断の恋を邪魔しようとする二人を差し向けられて、これからどう逆襲しようか考えると楽しくて仕方がない。
わかってるよ、おにい。
罰が、ご褒美が欲しいんでしょ?
「これで、いいかな?」
ヒロヒロが身体をぴったりと押しつけて、泡をこすりつけてくる。下半身の方を気にしてるのかどこかぎこちない感じだ。
「あんまり慣れてないんだねー?」
わたしは言う。
「せ、先輩とか部長とかがやってはくれたんだけど、私からするのは、経験なくて」
「ふーん……」
わたしは身体を回して正面で向かい合う。
「リッちゃん?」
「……ヒロヒロって貪欲だよねー? わたしも、文芸部の二人も、両方とも欲しいんでしょー?」
そう言って、下半身を握った。
もうボディソープでぬるぬるになってる。
「! り、リッちゃんッ」
「好きだよ、ヒロヒロ」
わたしは握ったまま、キスをする。
やっぱりおにいとするのとは違う。でも、二人きりだと受け身になっちゃう文芸部の女王様は可愛い。本当にわたしが好きなんだ。
「んんっ。ごめん。嫌だよね。どっちもなんて」
「そんなことないよー」
揺さぶりは効いていた。
「ううん、リッちゃんが、リッちゃんが言うなら、私、リッちゃんだけにする。でも、リッちゃんが私とその、ちゃんと……」
「ヒロヒロ、それは違うよ」
わたしは握ったものを股に挟む。
「貪欲なところが好き」
「え?」
「一人で満足するなんておかしーよ。わたしと部長さんと先輩さん、みーんな違うんだから、三人とも欲しいのは間違ってない」
「ま、間違ってなくないよ。そんなの」
「ヒロヒロは特別なんだよ」
わたしは腰を動かしながら耳元で囁いた。
「っ、ん」
「特別だから、特別な身体を持ってる。そーでしょ? わたしたちがその特別を好きなだけ。だからいーの。貪欲に生きよ? みんなそれを望んでるんだから、だれも不幸になんてならない」
ヒロヒロは肯定されたいと思ってる。
「すごいんだよ。すごいと思っていーの」
なぜサドになったか。
身体はコンプレックスだったはずだ。普通の常識があって、普通に頭が良くて、普通の身体だったら、もっと普通を望んでたはず。でも、身体が普通じゃないから普通は望めなかった。
だから、変態になった。
女同士に向かうのは当然だ。身体に男がいるんだから。そして否定されるのが怖いから、強気になるしかない。たぶんそれは、お節介焼きで、人に甘えるのが下手な姉気質が影響してる。
弱味を自然に見せられない。
甘えられればマゾになってたかもしれないけど、それはきっと怖かったはずだ。だれかにコンプレックスを預けることはできなかった。
だから、わたしは背中を押す。
「すごいヒロヒロなら、もっとすごくなれるよ」
キスして、愛撫して、ほめたたえる。
「もっと?」
「うん。たとえば、ミコシーも手に入れられる。わたし、想像できるよ。わたしとミコシーのおしりを並べて、ヒロヒロが嬉しそうな顔する様子。やろーよ。せっかく、三人なんだから」
女王様を、気持ちよくする。
「御子柴さんを、私が?」
「手伝ってあげるってばー。わたしがヒロヒロを好きな証拠に。ねー? そしたら、わたしをもっと可愛がりたくなるでしょ? ねー?」
強引な方法でも、わたしがヒロヒロのために行動すると思えば、拒否はできないはず。それをさせなかったら、証拠は示されないし、可愛がりたくもなくなっちゃうんだから。
「でも、御子柴さんがイヤがったら」
「すっごい、気持ちよかったから」
全肯定。
「いーでしょ? ミコシーとわたしをお揃いにしてよー。それとも? わたしのこと好きじゃないから、あんな風に処女奪ったの?」
そして罪悪感を刺激。
「リッちゃん」
ヒロヒロは不安そうだけど拒否できない目をしてた。逃げられないのだ。わたしに悪いことをしたと思っちゃう常識人だから。わたしの願いを拒否できない。わたしは抱きしめて、またキスして、レインボーバスに一緒に入る。
「リッちゃん、私って、リッちゃんの特別?」
ヒロヒロはとろけてた。
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