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わたミコ(サドマゾ)
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ミコシーはテレビに見入ってた。
画面の中で外人の女性同士が激しく絡み合っている。白と黒。わたしたちに聞かれたくないのか音量を下げているのがなんか可愛い。ペットボトルに唇をつけたまま、じっと見てた。
「……」
わたしはヒロヒロにアイコンタクト。
手筈はもう決まってる。
そろそろとソファの背後に回って、ミコシーの両目を塞いだ。それを見て、ヒロヒロが正面側に出てくる。足音を殺して、凶器を握りしめて。
わたしのために。
「だーれだ?」
「! もう、リツさん、急になんてすの?」
「ミコシーの変態ー。こんなので研究して、だれに使う気? すっごいことになってるじゃん」
外国のはハードだ。
「違いますわ。チャンネルを回していたら、偶然……その黒人の方、美人じゃありません?」
目隠しをされても、特にあわてる様子もなく、ミコシーは逆にわたしの顔を撫でるように手を伸ばしてくる。甲斐甲斐しい。
「そーだね」
言われて気づいた。
なんとなく主観で白人の方がメインなのかと思ってたけど、おっぱいやおしりが大きなその人より、圧倒的に美人の女性が攻めてて、カメラもどちらかというとそっちを追ってる。
「なんとなくリツさんの雰囲気がありますわ」
「そーかな?」
それって褒めてる?
アダルトな映像作品に出る人っぽい?
「ええ、手つきとか、その、一見、派手なようで、相手への優しさがあるというか!?」
「やさしくはないかもー」
喋っている間に、ヒロヒロがミコシーの両脚を広げて、割ってはいる。長くはないスカートの中に、凶器を押し込んで擦り付けた。
「え? あの、これって……」
「気にしないで?」
「き、気にしますわっ! 広瀬さん? どういうつもりですの? わたくし、はじめては」
「わたしにくれるんでしょ?」
ミコシーの耳元で、わたしは強く言った。
「え?」
「くれるよね? あんな風に奪ったんだもん。くれないなんて言わないよ絶対、そーでしょ?」
有無を言わせず、畳みかける。
「ええ、それは、リツさんになら」
「その権利をわたしがヒロヒロにあげたなら、なにも問題ないよね? さー、ガツンといってみよっか! せーのっ!」
「も、問題しかありませんわ!」
ミコシーがもがいた。
もちろん、まだヒロヒロは擦っているだけで、入るような体勢にはなっていない。でも目隠しをされてるからよくわからないのだろう。
「なにが問題?」
わたしは揺さぶりをかける。
「み、見えませんわ」
まずはそれらしい。
強引にふりほどこうとすれば出来ないこともないだろうけど、そうはしないのはわかってる。なんと言っても、わたしに嫌われたくないから。それはもう完全に弱味なんだ。
そしてヒロヒロと同じで罪悪感もある。
「わたしにはおちんちんないから。ミコシーにはこうやってわたしにされてると想像して欲しいの。そーゆープレイ? いーでしょ?」
わたしはメチャクチャを言った。
「え? よい、のでしょうか?」
ミコシーは戸惑う。
「でも、それなら、わたくしは……ッイ!!」
「あぐ」
わたしはその耳を噛んだ。
反論は許さない。
「もーさ、そろそろやめない?」
そして言葉を強める。
「な、なにをですの?」
「そのお嬢様キャラさー、うっとーしーよね?」
「! へ? なにを仰って」
その一言で身体から一気に力が抜けるのがわかった。弱点は見えてた。家が落ちぶれても、気持ちまでは落ちぶれない。それを強い精神力で支えてきたのがミコシーだ。
だから、全否定。
「だって、ミコシー、ずっとわたしをレイプしてたんじゃん。幼い頃から、寝てるわたしを、そしてこの間だって二人で強引に。そーでしょ? それってお嬢様のすること? どーなの?」
支えてきた精神力を、折る。
「わ、わたくし」
「わたくしじゃないなー」
容赦はしない。
「百歩譲って、犬畜生だよねー? わたしも犬にされたんなら仕方ないかなって諦められる? さー、自分は犬だと思って言ってみよー?」
「え? わ、わかりませんわ」
「ワン!」
わたしは耳元で吠えた。
「ひっ!?」
「犬語でしゃべってみよーよ」
「い、犬語?」
ミコシーは無理難題に小さく首を振る。
「シュバルツ、だっけ、ミコシーの家にいた犬の名前。賢い犬だったよねー? 飼い主の言葉にはなんて答えたっけ? 覚えてるよねー?」
「リツさん」
目隠しをする手が涙で塗れてきた。
意味は伝わったみたいだ。
「はい。ミコシー? あなたはもうお嬢様ではありません。だからー、お嬢様キャラもやめまーす。これからは犬でーす」
わたしは明るく言う。
「わ」
「わ?」
「わん」
ミコシーは小さな声で鳴いた。
それは、叱られて伏せた小さなふわふわの犬をわたしにイメージさせた。とても可愛い室内犬。これからちゃんと躾てあげよう。
「よーしよしよしよし」
出来たら褒めてあげる。
噛んだ耳をペロペロして、こっちが犬なんじゃないかってレベルで溺愛してあげる。人にいじわるをしてるんじゃない。犬を可愛がってる。これはそんな愛情表現だ。
「わ、わん」
ミコシーの身体が震えていた。
感じてるんだと思う。やっぱりマゾだから。
「そっちの様子はどー? ヒロヒロ?」
「うん。濡れてきてる」
言いながら、スカートをめくってみせた。
「広瀬さんっ!」
「こら! ミコシー! 人に吠えちゃダメッ!」
わたしはすかさず叱る。
「……っ!」
「わかった!?」
「わ、わん」
血統書付きのノラネコも、こうなれば従順なイヌだ。元お嬢様であることをわたしに否定されて、今はまともに喋ることもできない。長年身についた口調はキャラなんかじゃないのに。
「さ、ミコシー、ベッドに行くよ」
叱った後には優しく。
「わん」
目隠しをはずされて、わたしとヒロヒロを見るミコシーの目にはもういつもの覇気がなかった。自信、生き様を否定されて、立つ場所を見失ってる。
「犬は何本脚で歩くかなー?」
「……」
わたしの言葉に、ミコシーは四つん這いでベッドに向かって歩き出す。わたしもヒロヒロもその様子を見つめながらゾクゾクしていた。プライドを捨てた。こんなにあっさりと。
ふりふりとおしりを振って、犬になろうと。
「はい、べっどの上でおすわりー」
後から追いかけて、わたしは命令。
「わん」
シュバルツのことを思い出しているのかも知れない。家を失って飼えなくなったから、余所へやられてしまった愛犬のこと。わたしは可哀想で泣いた。おにいも涙ぐんでた。もう一生会えないお別れだと思った。
ミコシーが涙を堪えてたことを思い出す。
「よしよーし」
健気な子だ。本当に。
「わん」
「ヒロヒロも一緒に撫でてあげて」
わたしは誘った。
「うん」
二人で、ミコシーを仰向けにして、服を脱がせて、おなかを撫でまくる。ああ、可愛い。とっても可愛い。どうしてこんなに犬は可愛いんだろう。従順だから? 違うと思う。命令して、従う、このプロセスに、飼い主も成長した気分になれるからだ。これは猫にはない喜び。
わたしはキスをする。
色んな場所に。たっぷり跡を残すつもりで。
そしてヒロヒロが両脚を抱えた。
「くぅん」
泣きながら、ミコシーは鳴いた。
「うん。見ててあげるから。痛いと思うけど我慢してねー。一生、可愛がってあげるから。一生、わたしの可愛い犬だよ。ミコシー?」
「わんっ」
元気な鳴き声で、大人の犬になりました。
目一杯、ホテルで楽しんで、夕方の電車で帰路につく。疲れたのかヒロヒロとミコシーはわたしの両肩に頭を乗せて寝てた。安心しきった顔だ。お嬢様のプレッシャーから解放されて、わたしにずっと可愛がられる。
それが幸せじゃない訳がない。
「そー……だから。わかった?」
起こさないように、小声で電話をする。
「終わったら? ……ご褒美あげるよー?」
さて、おにいのデートはどうなったかな。
ナルセンじゃ満足できないよね。
わたしにはわかってるよ。
画面の中で外人の女性同士が激しく絡み合っている。白と黒。わたしたちに聞かれたくないのか音量を下げているのがなんか可愛い。ペットボトルに唇をつけたまま、じっと見てた。
「……」
わたしはヒロヒロにアイコンタクト。
手筈はもう決まってる。
そろそろとソファの背後に回って、ミコシーの両目を塞いだ。それを見て、ヒロヒロが正面側に出てくる。足音を殺して、凶器を握りしめて。
わたしのために。
「だーれだ?」
「! もう、リツさん、急になんてすの?」
「ミコシーの変態ー。こんなので研究して、だれに使う気? すっごいことになってるじゃん」
外国のはハードだ。
「違いますわ。チャンネルを回していたら、偶然……その黒人の方、美人じゃありません?」
目隠しをされても、特にあわてる様子もなく、ミコシーは逆にわたしの顔を撫でるように手を伸ばしてくる。甲斐甲斐しい。
「そーだね」
言われて気づいた。
なんとなく主観で白人の方がメインなのかと思ってたけど、おっぱいやおしりが大きなその人より、圧倒的に美人の女性が攻めてて、カメラもどちらかというとそっちを追ってる。
「なんとなくリツさんの雰囲気がありますわ」
「そーかな?」
それって褒めてる?
アダルトな映像作品に出る人っぽい?
「ええ、手つきとか、その、一見、派手なようで、相手への優しさがあるというか!?」
「やさしくはないかもー」
喋っている間に、ヒロヒロがミコシーの両脚を広げて、割ってはいる。長くはないスカートの中に、凶器を押し込んで擦り付けた。
「え? あの、これって……」
「気にしないで?」
「き、気にしますわっ! 広瀬さん? どういうつもりですの? わたくし、はじめては」
「わたしにくれるんでしょ?」
ミコシーの耳元で、わたしは強く言った。
「え?」
「くれるよね? あんな風に奪ったんだもん。くれないなんて言わないよ絶対、そーでしょ?」
有無を言わせず、畳みかける。
「ええ、それは、リツさんになら」
「その権利をわたしがヒロヒロにあげたなら、なにも問題ないよね? さー、ガツンといってみよっか! せーのっ!」
「も、問題しかありませんわ!」
ミコシーがもがいた。
もちろん、まだヒロヒロは擦っているだけで、入るような体勢にはなっていない。でも目隠しをされてるからよくわからないのだろう。
「なにが問題?」
わたしは揺さぶりをかける。
「み、見えませんわ」
まずはそれらしい。
強引にふりほどこうとすれば出来ないこともないだろうけど、そうはしないのはわかってる。なんと言っても、わたしに嫌われたくないから。それはもう完全に弱味なんだ。
そしてヒロヒロと同じで罪悪感もある。
「わたしにはおちんちんないから。ミコシーにはこうやってわたしにされてると想像して欲しいの。そーゆープレイ? いーでしょ?」
わたしはメチャクチャを言った。
「え? よい、のでしょうか?」
ミコシーは戸惑う。
「でも、それなら、わたくしは……ッイ!!」
「あぐ」
わたしはその耳を噛んだ。
反論は許さない。
「もーさ、そろそろやめない?」
そして言葉を強める。
「な、なにをですの?」
「そのお嬢様キャラさー、うっとーしーよね?」
「! へ? なにを仰って」
その一言で身体から一気に力が抜けるのがわかった。弱点は見えてた。家が落ちぶれても、気持ちまでは落ちぶれない。それを強い精神力で支えてきたのがミコシーだ。
だから、全否定。
「だって、ミコシー、ずっとわたしをレイプしてたんじゃん。幼い頃から、寝てるわたしを、そしてこの間だって二人で強引に。そーでしょ? それってお嬢様のすること? どーなの?」
支えてきた精神力を、折る。
「わ、わたくし」
「わたくしじゃないなー」
容赦はしない。
「百歩譲って、犬畜生だよねー? わたしも犬にされたんなら仕方ないかなって諦められる? さー、自分は犬だと思って言ってみよー?」
「え? わ、わかりませんわ」
「ワン!」
わたしは耳元で吠えた。
「ひっ!?」
「犬語でしゃべってみよーよ」
「い、犬語?」
ミコシーは無理難題に小さく首を振る。
「シュバルツ、だっけ、ミコシーの家にいた犬の名前。賢い犬だったよねー? 飼い主の言葉にはなんて答えたっけ? 覚えてるよねー?」
「リツさん」
目隠しをする手が涙で塗れてきた。
意味は伝わったみたいだ。
「はい。ミコシー? あなたはもうお嬢様ではありません。だからー、お嬢様キャラもやめまーす。これからは犬でーす」
わたしは明るく言う。
「わ」
「わ?」
「わん」
ミコシーは小さな声で鳴いた。
それは、叱られて伏せた小さなふわふわの犬をわたしにイメージさせた。とても可愛い室内犬。これからちゃんと躾てあげよう。
「よーしよしよしよし」
出来たら褒めてあげる。
噛んだ耳をペロペロして、こっちが犬なんじゃないかってレベルで溺愛してあげる。人にいじわるをしてるんじゃない。犬を可愛がってる。これはそんな愛情表現だ。
「わ、わん」
ミコシーの身体が震えていた。
感じてるんだと思う。やっぱりマゾだから。
「そっちの様子はどー? ヒロヒロ?」
「うん。濡れてきてる」
言いながら、スカートをめくってみせた。
「広瀬さんっ!」
「こら! ミコシー! 人に吠えちゃダメッ!」
わたしはすかさず叱る。
「……っ!」
「わかった!?」
「わ、わん」
血統書付きのノラネコも、こうなれば従順なイヌだ。元お嬢様であることをわたしに否定されて、今はまともに喋ることもできない。長年身についた口調はキャラなんかじゃないのに。
「さ、ミコシー、ベッドに行くよ」
叱った後には優しく。
「わん」
目隠しをはずされて、わたしとヒロヒロを見るミコシーの目にはもういつもの覇気がなかった。自信、生き様を否定されて、立つ場所を見失ってる。
「犬は何本脚で歩くかなー?」
「……」
わたしの言葉に、ミコシーは四つん這いでベッドに向かって歩き出す。わたしもヒロヒロもその様子を見つめながらゾクゾクしていた。プライドを捨てた。こんなにあっさりと。
ふりふりとおしりを振って、犬になろうと。
「はい、べっどの上でおすわりー」
後から追いかけて、わたしは命令。
「わん」
シュバルツのことを思い出しているのかも知れない。家を失って飼えなくなったから、余所へやられてしまった愛犬のこと。わたしは可哀想で泣いた。おにいも涙ぐんでた。もう一生会えないお別れだと思った。
ミコシーが涙を堪えてたことを思い出す。
「よしよーし」
健気な子だ。本当に。
「わん」
「ヒロヒロも一緒に撫でてあげて」
わたしは誘った。
「うん」
二人で、ミコシーを仰向けにして、服を脱がせて、おなかを撫でまくる。ああ、可愛い。とっても可愛い。どうしてこんなに犬は可愛いんだろう。従順だから? 違うと思う。命令して、従う、このプロセスに、飼い主も成長した気分になれるからだ。これは猫にはない喜び。
わたしはキスをする。
色んな場所に。たっぷり跡を残すつもりで。
そしてヒロヒロが両脚を抱えた。
「くぅん」
泣きながら、ミコシーは鳴いた。
「うん。見ててあげるから。痛いと思うけど我慢してねー。一生、可愛がってあげるから。一生、わたしの可愛い犬だよ。ミコシー?」
「わんっ」
元気な鳴き声で、大人の犬になりました。
目一杯、ホテルで楽しんで、夕方の電車で帰路につく。疲れたのかヒロヒロとミコシーはわたしの両肩に頭を乗せて寝てた。安心しきった顔だ。お嬢様のプレッシャーから解放されて、わたしにずっと可愛がられる。
それが幸せじゃない訳がない。
「そー……だから。わかった?」
起こさないように、小声で電話をする。
「終わったら? ……ご褒美あげるよー?」
さて、おにいのデートはどうなったかな。
ナルセンじゃ満足できないよね。
わたしにはわかってるよ。
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