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勘違いしちゃったお姫様
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しおりを挟む「そうそう。サーヤ、約束の品じゃ」
「どうも。……うん、なかなかいい。それで? どれくらい?」
「一日十五分。月が出る晩に。これが限界じゃ」
「上出来だよ。ありがとう」
「なに。そなたには魔術師達の育成に力を貸してもらっとるからの」
ふぉっふぉっふぉと自慢の髭を撫でる魔術師長様。
これがあればジョシュアもきっと喜ぶだろう。受け取った品物を大事に包装して家に飛ばした。なくなったら嫌だからね。
「じゃあ、私は今日はこれで帰るよ」
「あぁ。わしもまたしばらく国外へ出る。よろしく頼むぞ?」
「はいよ。任しといて」
魔術師長様も高齢なわりに活動的だよなぁ。この間他国から帰ってきたばっかりなのに。……後継が育ってないからか。そうか、そうなのか。
せめて次代の長くらいは育てないとなぁ。今のところ候補は何人かいるみたいだけど。
「じゃ、魔術師長様も気を付けて」
「あぁ」
こんな高い棟から階段を使って降りるなんて面倒だし、なにより疲れる。
だから行きは瞬間移動、帰りは……
「また窓から出おって……」
そんな魔術師長様の呟きがかすかに聞こえた。
だって気持ちいいんだもん。風がびゅっと唸るのを聞くのは。
足元に地面が柔らかくなる術をかけ、飛び降りる。まぁ、要はトランポリンだよ。
「ジョシュア、終わったよ」
「サーヤ!」
ジョシュアが稽古をつけてくれていた騎士達にお礼を言い駆け寄ってくる。
よし、どこも怪我をしてないな? あぁ、汗びっしょりじゃないか。
「世話になったな、リヒャルト。……それよりどうしてミハエルがここに?」
「おや、名前を覚えていてくれたんだね? 嬉しいな、光栄だよ」
「触るな、変態」
「ひどいな。僕は変態じゃないよ。この世の女の子を全員愛してるだけさ」
「間違うことなく変態だな」
「あぁ、末期だ」
「へんたい?」
「お前は知らなくていい言葉だよ」
神殿騎士達の集団になぜか所属の違う近衛騎士のミハエルが混じっている。
奴は重度の女好き。女と見るや歳を考えず誰も彼もと口説き回っている。そのうち去勢されないかとひそかに期待しているんだが。いかんせん腕も立つのでその兆しはまだない。実に残念だ。
「ひどいな、君達。今日はもう帰るのかい?」
「あぁ。変態も帰れ」
「変態変態って僕の名前は違うよ?」
「お前は変態で十分だ」
さぁ、ジョシュア。お前にこの男の性格が移らないよう、早く帰ろう。
ジョシュアが女好きになった日にはお前の両親に顔向けができないよ。
養い親である私は断固認めません!
そしてシーヴァ。 奴は世の中の女の子達のために早々に宦官にすべきだと切に願います。
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