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第一章―飛び立つことさえ許されず―
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しおりを挟む◇ ◆ ◇ ◆
「依理、どうしよう。どうしたらいい?」
「百日って言ったら……丁度夏休みが始まる頃ね」
学校に着くなりすでに来ていた依理に早口で事の次第を伝えた。
それを聞いた瞬間、依理の眉が今までない程に寄せられた。
「あんた、固定電話なんているの?」
「絶対じゃないから……もういらない」
「でしょうね。解約するしかないわ。電話番号はどこから漏れたか……調査書か」
調査書って……学校に提出したあれ? でも、それじゃあ学校関係者しか見られないはず。
え? 学校関係者なの? それでもって、調査書でも今は個人情報の観点で見られる人は限られる。
「依理、怖いよ」
「分かってるわ。学校帰りに荷物とりに行くわよ」
「荷物?」
「しばらくホテルに泊まるわよ」
「ホテル!? ……で、でも」
「大丈夫。もう話はつけてあるから」
「う、うん」
「何泣きそうな顔してんの。大丈夫よ。何も起こさせないから」
「うん。……うん!」
やっぱり依理は最高の親友だ。私が欲しい言葉をいとも簡単に言ってくれる。
グスッと鼻をすすり、依理に飛びついた。
「ちょっと。危ないじゃない」
「へへぇー。依理大好きよ?」
「暑苦しい。離れて」
口ではこんなこと言ってるけど、依理は無理矢理引き離そうとはしなかった。
だから私はそれに甘えてたんだ。
私達をじっと見ている人物がいたことに気づかずに。
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