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第1章 少年期〜覚醒編〜
第6話 1489
しおりを挟むあの日
ぼくが固有スキルを二人分授かった日から、五年の月日が流れた。
長いようで短かった日々
今思い返すと、これまでに経験したいろいろなことが頭をよぎる。
あの日
ぼくが《強欲者》と《管理者》という、二つの固有スキルを手に入れたこと
《管理者》の初期効果"監視"は〈鑑定〉が無ければ使えないけど、その〈鑑定〉は《強欲者》の初期効果"スキルコピー"で手に入れられること
お父さんに固有スキルを授けたという神官様から、ぼくが"神に認められし者"という存在なのだろうと言われたこと
そして、今のぼくがそれまでのボクと転生した僕が、お互いを認め会って生まれた、新しいぼくだということ
ぼくは、あの神殿で起きたこと全てを、お父さんとお母さんに話した。
一人じゃ不安だったから、神官様にも一緒に話してくれるようにお願いしたら、あっさりOKしてくれた。
神官様、曰く……
"お互いを、もう一人の自分を受け入れるということは、大変な決断だったでしょう。
お父様とお母様には、私からも説明のお手伝いをさせていただきたいのです"と
ぼく一人じゃ、もっと困惑させてしまったかもしれないけど、神官様が仲介者のような立場で居てくれたおかげで、家族三人できちんと話し合うことができた。
二人は最初こそ驚いていたし、
お父さんからは、スキルのことも含めて何度も確認されたりしたけど、
お母さんは
"私たちの唯一の息子なんだから。
一緒に過ごした時間を今でも覚えてくれているのなら、あなたは私たちの大切な家族なのよ"
と、優しくぼくのことを受け入れてくれた。
お父さんも、お母さんの話を聞いて一緒の想いだということを話してくれた。
ぼくは気持ちを新たにして、数日後には七歳の誕生日を迎えた。
そして、その翌日から今日までの五年間
毎日欠かさず訓練に励んだ。
それは、これまでの剣術訓練とは一線を画したレベル
非常に厳しい訓練の日々だった。
原因となったのは、他ならぬ《強欲者》にあった。
その初期効果"スキルコピー"を最大限に活かすため、お父さんはぼくに、ありとあらゆる剣術スキルを叩き込んでくれた。
しかし、その訓練は決して生ぬるいものではなかった。
"スキルコピー"があれば、理解してしまえばすぐにスキルが習得できる……
それは確かにその通りなんだけど、問題となったのは剣術スキルの使用判断だった。
数多く覚えた剣術スキルの中から、どのスキルを、どのタイミングで使用するのがベストなのか……
そうして求められるのは、一瞬の合間に、最も適切なスキルを、最大限集中して繰り出すという技術だった。
これは五年間、お父さんと試合をし続けてもなお、納得のいくレベルには達していない。
冒険者のお父さんが"救国の英雄"とは言われていても、その実どれほど強いのか?
ぼくは周りの人からあまり聞いたことが無いけど、これだけはハッキリ言える。
五年鍛えても、お父さんには全く歯が立たない。
"0勝1489敗"
ぼくの戦績だ。
悔しいけど、笑えるほど勝てない。
笑えるほど勝てないのに、悔しい。
数多の敗北が、今のぼくの剣術を支えている。
"必ずお父さんに勝つ……
勝って最強を目指す"
ぼくは今、気持ちを改めてお父さんに相対し、適度に脱力を意識して、お父さんへ木剣の切っ先を向けた。
「ここでお父さんに勝ってから、外の世界へ旅立ちます!!」
「あぁ、その意気だ。
全力で来い……ファミリア!」
こうして、旅立ち前の前哨戦が始まった。
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