【R18/完結】勇者の盾は魔力供給を拒めない

香山

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※第9話 秘めた想い

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 あの魔力枯渇の一件以来、エデュアルドも魔力供給を受けることに決まった。複雑な思いもあるがパーティに迷惑をかけてしまった自覚がある為、エデュアルドは受け入れるしかなかった。



「くっ、……さっさと終わらせろ……」

 枕にしがみつきうつぶせになったエデュアルドに優斗が覆いかぶさる。浴室で準備しておいた後孔はすでに蕩けていて、すぐにでも優斗のモノを飲み込める状態になっていた。優斗はズボンの前を寛げると、すでに勃起しているそれを取り出す。

「エディ、挿れるよ」

 柔らかく解れた蕾に亀頭を擦り付けると、ゆっくりと挿入していった。

「っ、ぅ……く、」

 太い肉棒で内壁をこすられる感覚にエデュアルドは息を飲む。苦しいが、それ以上の快感が襲ってくるのだ。エデュアルドが痛みで萎えていないことを確認した優斗は、そのまま根元まで押し込んだ。

「っ、は、……入ったよ、大丈夫?」
「大丈夫だ……早く動け……」

 エデュアルドの返事を聞いた優斗はゆるく抽送を始めた。最初は浅く抜き差ししていたのだが、徐々に深く突き入れるようになり、最後は最奥をぐりぐりと刺激した。

「ひっ、……ぐ、……ぅ……っ!」

 一番感じる場所を攻め立てられ、エデュアルドは悲鳴を上げそうになり、慌てて手で口を塞いだ。前立腺を責められた時とはまた違う、深い快楽に頭がぼうっとしてくる。

「声、出してもいいのに……エディ、気持ち良い? ここ好きだもんな」
「だ、まれ……っ! んっ! ……っ! ~!!」

 優斗は執拗にそこばかり攻め立てる。カリ首を引っ掛けて何度も出し入れされる度、エデュアルドの目からは涙が流れ落ちた。

「素直じゃないとこも可愛い……好きだよ、エディ」
「そん、な、こと……」

 ベルトラン本当に好きな人がいるのにそんな事を口走るなんて、不誠実だ。しかし体はその言葉を素直に受け取り、歓喜で後孔を締め付けた。

「っ♡ ……は……♡」
「エディ、こっち向いて」

 顔を見られたら気持ちがユートにばれてしまう。
 そう思ってエデュアルドが首を横に振ると、頭上から小さなため息が聞こえた。
 空気を読めない奴だと失望されただろうか。嫌われたかもしれない。それでも、この想いが知られてしまうよりかはずっとマシだ。

「好き。好きだよ、エディ。エディも好きって言って?」
「いや……駄目だ」
「どうして?」
「私は君の事など、なんとも思っていない……」

 嘘だ。本当は大好きだ。でも、それを口にすることは出来ない。口にしてしまったら最後、想いが溢れ出して止められなくなってしまうだろう。
 エデュアルドが頑なに拒否をしていると、優斗は「そっか……」と寂しげな声を出した。

 その後、無言のまま律動が再開する。
 エデュアルドは目を瞑ったまま、優斗が行為を終えるまでじっと耐え続けた。





「グオオォォォォォ!」

 大きな断末魔を響かせて最後の一体だった悪魔が倒れる。

「――ふぅ」

 大きく息をつくと、エデュアルドは剣を納めた。魔王討伐も大詰めを迎え、次が最後の魔法標識チェックポイントだ。

「あ! あれだよ! 最後の魔法標識チェックポイント!」

 イラが指さす先にはぼんやりと光る石柱がある。確かに、あれが目指していた魔法標識チェックポイントだ。

「じゃあ今日はここまで。いったん帰ろう」
「おっけー!」

 優斗の言葉を受けイラが転移陣ポータルを設置する。大きな怪我も無い為、そのまま砦へ移動した。


「では今日はしっかり休んで、明日に備えよう」

 明日の打ち合わせを終え、各々好きな事をしに食堂を出ていく。エデュアルドは装備の手入れをする為、部屋に戻った。
 魔界岳の山中は転移陣ポータルが設置できない為、一気に登る必要がある。肉体強化を駆使しながら、頂上を目指し、そのまま魔王を倒すのだ。
 その為、戦闘で傷ついた装備や武器の整備をしなくてはならない。今まで以上の激戦が予想されるため念入りな整備が必要だ。

「よし……こんなものか」

 手甲の具合を確認し、道具箱を閉じる。

「ん?」

 窓の外を見ると月明かりの下、優斗の姿があった。今日はあまり戦闘が無かったので魔力供給は必要ないはずだ。
 こんな時間に何をしているんだろうか?
 ひとり佇むその姿があまりに儚くて、エデュアルドは誘われるように外に出た。

「……何をしているんだ?」
「えっ!? ああ、エディか」

 優斗は弾かれたかのように振り向いたが、エデュアルドの姿を認めるとふわりと笑った。穏やかなその顔に心拍数が跳ね上がる。こんな時でも、好きという気持ちを再確認させられてしまう。

「緊張で眠れないからさ。散歩でもしようかなって思って……」

 そう言うと優斗は空を見上げた。どんよりと雲に覆われた夜空からは星ひとつ見えない。

「明日にはいよいよ最後だな……」

 ふっとため息をつく姿はとても頼りなく見える。いつもとは違う弱々しい雰囲気を感じ取ったエデュアルドはそっと隣に立った。

「大丈夫だ。きっとうまくいく」
「……そうだな」

 そう言う優斗の顔色は悪い。無理もない。ここ数日ろくに寝ていないのだから。

「顔色が悪いぞ。もう休むべきだ」
「あのさ……一緒に寝てくれない?」
「っ! 君は――」
「添い寝だけだから。一人じゃ眠れそうにないんだ。頼むよ」

 ベルを差し置いて、私で良いのだろうか。
 だが好きな相手にそんな顔をされたら断る事などできるわけがない。エデュアルドは無言のままうなずくしかなかった。



 エデュアルドの部屋のベッドの中で二人は並んで横になった。お互いに背中合わせになり、相手の体温を感じるようにぴったりとくっついている。
 優斗の体温を感じ、エデュアルドの心臓の音は今にも壊れてしまいそうなほど脈打っていた。この鼓動が相手に聞こえているんじゃないかと思うと恥ずかしくて仕方がなかったけれど、それでも離れることなんてできなかった。

「ねぇ、エディ」

 不意に声をかけられどきりとする。

「なんだ?」

 平常心を装って返事をしたつもりだが声が上ずってしまったかもしれない。しかし優斗は気にした様子もなく話し出した。

「俺……いや、これはフラグだな」

 言いかけた言葉を飲み込み優斗が自嘲気味に笑う。何か話したいことがあるのだろうが、それは口に出せないことらしい。

「どうしたんだ? 言いたい事があれば何でも言って欲しい」

 エデュアルドが促すと、少しだけ沈黙が落ちたあと、再び優斗が口を開いた。

「俺、この世界に来れて良かったよ」
「ああ」
「みんなと一緒に戦えてよかった」
「ああ」
「……エディに出会えたことも」
「―――!」

 耳元で囁くような小さな声で紡がれた言葉に思わず振り返る。しかし、そこには静かな寝息をたてて眠る優斗がいた

「ユート……寝たのか?」

 優しく声をかけるが返事はない。熟睡しているようだった。
 エデュアルドは悪いと分かっていながら眠る優斗を抱き寄せた。腕の中に感じる温もりが愛おしい。このままずっと抱きしめていたかった。
 優斗がベルトランを愛している事は知っているし、自分が入る余地がないことも分かっている。けれど、せめて今だけは――。

「ユート……」

 エデュアルドは眠っている優斗にキスを落とした。唇を重ねるだけの淡いものだったけど、胸の奥の方から幸せが溢れてくるのを感じた。

「んっ」

 その感触がくすぐったかったのだろうか、優斗が小さく身じろぎをする。エデュアルドは慌てて体を離し、再び背を向けて布団に埋まった。

「……愛してる」

 祈るようにして呟いた愛の告白は夜の闇に溶けて消えた。
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