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お前は付けるってことだな?
じゃあお前は…
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「三岳は……その……朝日さんと……どういう話になってるんだ?」
佳乃花がキッチンに消えると同時に、まるで場を持たせるみたいに温和が口を開いて、私は少しびっくりしてしまった。
だって……何だか温和にしては物言いがまどろっこしいんだもの。
いつもの彼ならもっとハッキリとした口調で話しかけてる気がする。
窺うように彼の横顔を見詰めたら、明らかにそっぽを向いてかわされてしまった。
もぉ! だから何なのよ、さっきからっ!
仕方なく眼前に置いたままにしていた飲みかけのビールを一気にあおる。
佳乃花の言葉じゃないけど、こうなったらお酒の力を借りてやるんだから!
いや、正直な話、酔ってなくてもそんなふりをして大胆に攻めてやる!
押しかけてきたくせに目を合わせようとしない温和に段々モヤモヤしてきて、私はそんなことを思ってしまった。
過激派でごめんなさい。
***
佳乃花がグラスを2つと缶ビールを2缶、それから“炙りたらこ”とお箸を小皿に載っけて戻ってくる。
「勝手にオーブンとアルミホイル使わせてもらっちゃった」
事後報告でごめんねって、問題なしだよ。っていうか逆に
「ありがとう。言ってくれたらやったのに」
言いながら、そういえば一路、炙りたらこが好きだったもんね、とニンマリしてしまう。
何だかんだ言って、佳乃花と一路はラブラブだ。
「――僕たちは……まぁ付き合いも長いですし……その……同棲もしてるんで。一応お互いの親には結婚するつもりでそういうことをしてるって話は通してあります」
一路が佳乃花をチラチラと気にしながら、さっきの温和からの質問に答えてくれる。
「え!? 結婚!? そうなの!?」
いずれそうなるんだろうな、とは思っていたけれど、具体的に2人がそんな話をしているなんて思っていなくて、私はびっくりしてしまった。
「それは……婚約してる、ってことか? 朝日さん、別に指輪はしてねぇみたいだけど――」
って温和さん、やけにグイグイきますね!?
私が言いたかったセリフを横からさらわれてしまって、私、若干不完全燃焼です。
「あ、それはっ」
佳乃花がソワソワとして……自分のすぐ横に置いていたハンドバッグから小さなケースを取り出しながら真っ赤になる。
「も、もらってはいるんですけど……付けてたら傷がつきそうで怖くって――」
「気にしなくていいって言うのに、付けてくれないんです」
佳乃花のセリフをさえぎるように、一路が不満げな声を上げた。
「もぉー、佳乃花ぁ~。それはちゃんと付けて婚約者います!アピールしなきゃー! 一路が不安がるって~」
思わず身を乗り出してそう言ったら――。
「じゃあ、お前は……渡されたら付けるってことだな?」
って、静かな声音が響いた。
佳乃花がキッチンに消えると同時に、まるで場を持たせるみたいに温和が口を開いて、私は少しびっくりしてしまった。
だって……何だか温和にしては物言いがまどろっこしいんだもの。
いつもの彼ならもっとハッキリとした口調で話しかけてる気がする。
窺うように彼の横顔を見詰めたら、明らかにそっぽを向いてかわされてしまった。
もぉ! だから何なのよ、さっきからっ!
仕方なく眼前に置いたままにしていた飲みかけのビールを一気にあおる。
佳乃花の言葉じゃないけど、こうなったらお酒の力を借りてやるんだから!
いや、正直な話、酔ってなくてもそんなふりをして大胆に攻めてやる!
押しかけてきたくせに目を合わせようとしない温和に段々モヤモヤしてきて、私はそんなことを思ってしまった。
過激派でごめんなさい。
***
佳乃花がグラスを2つと缶ビールを2缶、それから“炙りたらこ”とお箸を小皿に載っけて戻ってくる。
「勝手にオーブンとアルミホイル使わせてもらっちゃった」
事後報告でごめんねって、問題なしだよ。っていうか逆に
「ありがとう。言ってくれたらやったのに」
言いながら、そういえば一路、炙りたらこが好きだったもんね、とニンマリしてしまう。
何だかんだ言って、佳乃花と一路はラブラブだ。
「――僕たちは……まぁ付き合いも長いですし……その……同棲もしてるんで。一応お互いの親には結婚するつもりでそういうことをしてるって話は通してあります」
一路が佳乃花をチラチラと気にしながら、さっきの温和からの質問に答えてくれる。
「え!? 結婚!? そうなの!?」
いずれそうなるんだろうな、とは思っていたけれど、具体的に2人がそんな話をしているなんて思っていなくて、私はびっくりしてしまった。
「それは……婚約してる、ってことか? 朝日さん、別に指輪はしてねぇみたいだけど――」
って温和さん、やけにグイグイきますね!?
私が言いたかったセリフを横からさらわれてしまって、私、若干不完全燃焼です。
「あ、それはっ」
佳乃花がソワソワとして……自分のすぐ横に置いていたハンドバッグから小さなケースを取り出しながら真っ赤になる。
「も、もらってはいるんですけど……付けてたら傷がつきそうで怖くって――」
「気にしなくていいって言うのに、付けてくれないんです」
佳乃花のセリフをさえぎるように、一路が不満げな声を上げた。
「もぉー、佳乃花ぁ~。それはちゃんと付けて婚約者います!アピールしなきゃー! 一路が不安がるって~」
思わず身を乗り出してそう言ったら――。
「じゃあ、お前は……渡されたら付けるってことだな?」
って、静かな声音が響いた。
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