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■呼び出し!? Another side/オマケ的SS②-2

あれ? パパは?

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 ちょうどその時、少し離れたところに佇んでいた温和はるまさが近づいて来て――。

 私に何かを言ってきたの。

 でも、雑踏と和音かずねの応対で、気がそぞろだった私には、温和はるまさの言葉がよく聞き取れなくて……そのくせ曖昧に頷いてしまった。

 そうしながら、私はとりあえず和音かずねに、「気に入ったんならそうしたらいいと思うよ」と答えたの。

 そんな私たちに、「じゃあ和音かずね、レジ、行ってくるね。ママはパパとここにいてね?」って和音かずねが言ってきて、「ん、分かった」って、背後に立つ温和はるまさをちらりと見遣りながら返したの。

 温和パパと待っていて、っていうのは恐らく和音かずねの独立心の現れで。
 私はそれを尊重してあげたいって思いつつ、でも彼女から目を離すのだけはダメって思ってじっと和音かずねを目で追ったの。

 てっきり温和はるまさも、私のそばでそうしているものだと信じて、和音かずねがレジ前で背中に背負ったリュックサックからお財布を取り出すのを注視する。


***


 和音かずねは月に五百円のお小遣いを、普段はしっかり貯めておいて、今みたいに欲しいものが出来た時にスパーンと使う男前なところのある女の子だ。

 こういうお金の使い方も、何となくお兄ちゃんを彷彿とさせるの。

 兄の奏芽かなめも子供の頃から、普段は無駄遣いをしないでおいて、欲しいものが出来ると惜しみなくお金を放出する人だった。

 思えば、その欲しいものにしても、自分が、というものばかりではなく、私が好きそうな物さえも気前よく買ってくれるような人で。

 幼い頃、毎年誕生日になると欲しいと思っていた文房具やマスコット人形が机の上に置かれていたりしたのをふと思い出す。
 お母さんやお父さんに聞いても知らないと言われるそのプレゼントが、実は兄からのものだったと知ったのは、ずいぶん大きくなってからだった。

 真相を知ってからも、普段は意地悪を言って泣かせてばかりの妹に対する兄からのささやかな罪滅ぼしかしら?と思っていたのだけれど。
 実際はそういう意味合いですらなくて、単なる純粋な愛情表現だったのかもしれないと思えるようになったのは、恥ずかしいけどここ数年のことだったりします。

 多分お兄ちゃん自身も、昔より随分愛情表現がわかりやすくストレートになってきたからじゃないかなって思うの。


***


 レジで無事お会計を済ませた和音かずねが、リュックに買ったばかりの品物と、お財布を戻しながら「あれ? パパは?」と聞いてくる。

「え?」
 私の後ろに――。そう思いながら振り返ってみるといなくて。

 そういえば――。
 和音かずねのことに夢中で有耶無耶になってしまっていたけれど、温和はるまさ、何か言ってた気がする。

 でも、何て言ってたの?
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