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■だってあったかいんだもん/オマケ的SS⑧

俺の寝込み、襲おうとしてくれてたんじゃねぇのかよ?

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 気が付いたら、温和はるまさの背中にそっと触れてしまっていて、音芽おとめは自分の無意識の行動にドキッとする。

(わ、私ったら何してるのっ)

 疲れて眠っている温和はるまさを起こしてしまいかねない愚行に、慌てて手を引っ込める。

 と、その手をいきなりギュッと掴まれた。

「ひゃっ」

 びっくりして思わず悲鳴を上げてしまってから、音芽は慌てて握られていない方の手で口を覆う。

「手ぇ、冷え切ってんじゃねぇか」

 音芽の小さな手を両手でギュッと挟み込むようにしながら、温和はるまさが寝返りをうつ要領で音芽の方を向いた。

 すぐ間近、いきなり温和はるまさと向かい合う格好になってしまった音芽はドギマギしてしまう。

「ほら、グズグズしてねぇでそっちの手も貸せ」

 言われてどうしようと戸惑っていたら、口を塞いだまま止まっていた手も、温和はるまさにさらわれてしまう。

 「あ、あの、でもっ」と慌てて手を引こうとした音芽だったけれど、温和はるまさはそれを許してくれなくて。

「俺の寝込み、襲おうとしてくれてたんじゃねぇのかよ?」

 次いで、おでこをくっつけるようにして温和はるまさにクスクス笑われて、音芽おとめは真っ赤になってうつむいた。

「ち、違っ。あ、足がねっ、冷た、かっ」
 ……た、から……。

 ゴニョゴニョと尻すぼまりに小さくなる音芽の声に、温和はるまさがニヤリと笑う。

「それはいけませんね、音芽さん」

 言うが早いか、布団がバサリとめくり上げられて、音芽は温和はるまさにひざ裏をすくい上げられる形で組み敷かれていた。

「あ? ……えっ!?」

 急に身体を折りたたんだみたいな格好にされて、目を白黒させて驚く音芽を、温和はるまさが彼女の両足の間から満足そうに見下ろしてくる。

「お前の冷え切った身体、俺があったかくなるようにしてやるよ」

 音芽に見せつけるようにふくらはぎからかかとに向けて口づけていきながら、ゆっくり足先に向けて這い上っていく温和はるまさを見て、音芽の顔がぶわりとしゅに染まった。

「やん、温和はるまさっ。ダメっ、それ……くすぐったい」

 温和はるまさの攻めに耐え難いみたいに必死で足指をギュッとグーに縮こめる音芽に、温和はるまさが一層笑みを深くする。

「ほら、もうこれだけで指先が少しぬくもってきてる」

 音芽の足をサワサワと撫でさする温和はるまさに、音芽自身もさっきまで冷え切っていて眠れなかった自分の身体が、嘘みたいに熱を帯びてきているのを感じずにはいられなかった。

 でも――!と、半ば熱に浮かされかけた頭で、音芽はぼんやりと思考する。

 今のままじゃ、結局別の意味で眠れなくなってしまいそうだよっ!?って――。


   END(2020/10/01~10/6)
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