【完結】【R18】溺愛もふもふ甘恋同居〜記憶喪失な彼のナイショゴト〜

鷹槻れん

文字の大きさ
153 / 169
■お仕事、煮詰まっちゃった?/2022~2023年越し短編

大晦日の夜

しおりを挟む
 大晦日おおみそかの夜。
 何らいつもの晩と変わりなく、普段通りの夕飯の時間に信武しのぶとふたり、大きな海老天が2つも乗っかった、少し豪華な年越しそばを食べた。


 私の勤め先の書店は、営業時間は短縮になるものの、元日もきっちり営業するお店で、明日も残念ながらお仕事。
 信武は信武で年明けすぐに編集さんと打ち合わせるための準備があるとかで、寝室に入る私をリビングで見送ったはずだったのだけれど。


***


「――なぁ日和美ひなみ

 真夜中に名前を呼ばれて、私は「ふぇ?」と間の抜けた声をあげて目を覚ました。

 就寝したのは確か、23時過ぎ。
 ふと枕元に置かれた『ときマカ』のプリンス、紅茶王子ダージリートさまが描かれたオタクチックな時計を見やれば、0時まであと数分といった時刻で。
 寝ついてから1時間も経っていないかった。

 そりゃあ眠いわけね。

 気を抜けば、即座に落ちてきそうになるまぶたを必死にこじ開けながら、寝ぼけまなこ
 薄暗がりの中、こちらを見下ろしている信武こいびとをあくびを噛み殺しながら涙目で見上げた。

「――頼む。今すぐ目ぇ、閉じて口開けてくんね?」

 この人は真夜中に私を叩き起こして、一体何を言い出すんでしょうね?

 案外仕事が煮詰まって、何かヒントを得ようと私に協力を求めているのかも知れない。

 を暴露してくれてからというもの、信武しのぶは私にがなくなったのをいいことに、アパートこちらへノートパソコンを持ち込んで仕事をすることが増えたから。

 その一環かな?と思って。

 絶対自分のマンションで書いた方がはかどるはずなのに、「移動する時間が惜しいだろーが」とかごねるんだから仕方がない。

 付き合い始めて半年以上が経過したというのに……彼は相変わらず子供みたいな駄々をこねては私を戸惑わせるの。

 付き合い始めてからかなり長いことずっと。信武は『アパートここを引き払って俺んトコへ越して来いよ』とかしきりに言い始めて。

『そんな同棲みたいなこと、出来ません!』

 そう突っぱねたら『今更だろ?』って笑われた。

 確かにそうなんだけど、お互いに生活の拠点が別々にあると思うのと、それがひとつに統合されてしまうのとでは、気持ち的に大きな差があるんだもん。

 仕方ないじゃない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる

Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。 でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。 彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...