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本当に来るんだ
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結局あの初対面の日からほぼ毎回、バイトに入っている限り鳥飼奏芽という男を見ない日はなくて。
この感じだと私がお休みの日やいない時間帯にもちょくちょく顔出ししてるんだろうな。
この人、本当このお店にとって、常連中の常連だったんだ。
満面の笑顔で私の前にカゴを置く彼を見て、私は溜め息を必死に堪えた。
たまには別のレジに並べばいいのに、絶対に私の側に並ぶ徹底ぶりに心底嫌気がさしていたりする。
一緒にシフトに入っていることが多い谷本くんも、最初のうちこそ「次でお待ちのお客様どうぞ~」と彼に声を掛けてくれていたけれど、鳥飼さんが必ず自分より後ろの人がいればその人に、居なければ「あ、俺こっちがいいんで」と断るのを学習して、鳥飼さんの後ろに人がいない限り声を掛けないのが暗黙の了解みたいになってしまった。
何なの、本当!
私の何をそんなに気に入ってくれたのか分からないけれど、やはり私は基本的にやたら馴れ馴れしい彼のことがあまり得意ではなくて。
むしろ関わりたくないとさえ思っているの。
なのに――。
「682円になります」
結局、あの初日以降、この人があんな爆買いをするのは見ないけれど、それにしたって毎日のように通って、――日によっては複数回、数百円単位でお金を落としていたのでは相当な出費になっているはずだ。
先生って呼ばれていたからしがない学生バイトの私よりは沢山稼いでいるんだろうけど……それでも、と思ってしまう。
「ね、向井ちゃん、そろそろさぁ、下の名前教えてくれてもいいんじゃね?」
顔を合わせた回数がトータルで10回目を越えた頃くらいから、しきりに鳥飼さんのフルネーム教えろ攻撃が始まった。
前一緒に来ていた彼女さん?のことは苗字で呼んでたじゃない。私もそれで構いませんことよ?
っていうかもっと言うと「店員さん」で構わないとすら思っているの。
この感じだと私がお休みの日やいない時間帯にもちょくちょく顔出ししてるんだろうな。
この人、本当このお店にとって、常連中の常連だったんだ。
満面の笑顔で私の前にカゴを置く彼を見て、私は溜め息を必死に堪えた。
たまには別のレジに並べばいいのに、絶対に私の側に並ぶ徹底ぶりに心底嫌気がさしていたりする。
一緒にシフトに入っていることが多い谷本くんも、最初のうちこそ「次でお待ちのお客様どうぞ~」と彼に声を掛けてくれていたけれど、鳥飼さんが必ず自分より後ろの人がいればその人に、居なければ「あ、俺こっちがいいんで」と断るのを学習して、鳥飼さんの後ろに人がいない限り声を掛けないのが暗黙の了解みたいになってしまった。
何なの、本当!
私の何をそんなに気に入ってくれたのか分からないけれど、やはり私は基本的にやたら馴れ馴れしい彼のことがあまり得意ではなくて。
むしろ関わりたくないとさえ思っているの。
なのに――。
「682円になります」
結局、あの初日以降、この人があんな爆買いをするのは見ないけれど、それにしたって毎日のように通って、――日によっては複数回、数百円単位でお金を落としていたのでは相当な出費になっているはずだ。
先生って呼ばれていたからしがない学生バイトの私よりは沢山稼いでいるんだろうけど……それでも、と思ってしまう。
「ね、向井ちゃん、そろそろさぁ、下の名前教えてくれてもいいんじゃね?」
顔を合わせた回数がトータルで10回目を越えた頃くらいから、しきりに鳥飼さんのフルネーム教えろ攻撃が始まった。
前一緒に来ていた彼女さん?のことは苗字で呼んでたじゃない。私もそれで構いませんことよ?
っていうかもっと言うと「店員さん」で構わないとすら思っているの。
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