【完結】【R18】組長さんと年下彼女~今日から同棲始めます~

鷹槻れん

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9.ひとりには出来そうにない

ケジメ

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「こら! ……んなことすんな! 唇が切れちまうだろ!」

 芽生めいが言うことを聞かなかったことを物凄く怒っているように振る舞うくせに、芽生が自分を傷つけかねないことをしたらすぐさま芽生を甘やかすみたいに頬へ手を当ててくる。そんな京介に、芽生はとうとう我慢出来なくなって泣きながら感情をぶつけていた。

「言、われた……けどっ! 京ちゃ、が怪我したって聞かされたら、じっとしていられるわけ……ない……じゃない!」

「あ、おいっ、芽生……っ」

 ポロポロと涙をこぼしながら訴える芽生を、京介が慌てたようにギュッと抱きしめてきた。そうしてそのまま、「三井……」と低めた声で先ほどねぎらったばかりの配下の名を呼ぶ。

「はい、何でしょう?」

「こいつ誘い出すのに、俺が怪我したとか嘘ついたのか?」

 京介の威圧的な問い掛けに、慌てたように三井とは別の声が被さった。

「お、俺がっ! 独断で嘘つきやした! アニキは知りません!」

 京介に抱きしめられている芽生からは見えないけれど、恐らくこの声はマンションに来た木田だろう。

「いや、木田に神田かんださんの誘い出しを任せたのはわたくしです。……とがは自分にあります」

 そんな木田をすぐさまかばう三井の声がして、その雰囲気に我慢出来なくなったのだろう。

「あのっ。カシラ! あねさんに聞けばわかると思いますが……俺が彼女をぞんざいに扱ったのをアニキがいさめてくれましたっ! だから……三井のアニキは姐さんを傷付けるつもりなんて微塵もなかったんです! 誓いやす!」

 恐らく佐山が、言わなくてもいいのに……と言う罪の告白をしてしまう。

芽生めい、本当か?」

 京介の言葉に、芽生はどう答えたらいいのか分からなくてオロオロと視線を彷徨さまよわせたのだが、どうやらそれを【肯定】と受け止めたらしい。

「何があってもコイツに危害を加えるような真似はすんなって言ってあったよなぁ?」

 低められた声に呼応するように、芽生を抱きしめる京介の腕に力が込められる。

 今にも佐山に殴り掛かりそうな不穏ふおんな空気を感じた芽生は、京介の胸をトントンと叩いた。

 その振動に、京介が険しい顔のまま自分の方を見下ろしたと同時、眉根を寄せて言う。

「京ちゃん、そんな顔しちゃだ」

「芽生……」

「怖かったのは確かだけど……私、怪我とかしてないよ? だから……三人を許してあげて?」

「けどな、芽生。俺たちの世界にゃ、ケジメってぇのが必要なんだよ」

「じゃあ……」

 芽生は京介の言葉にちょっとだけ考えてから、「私、『たちばなあん』の塩大福が食べたい!」と頓珍漢なことを言った。

「は? いきなり何だよ子ヤギ」

 たちばな庵はこの辺ではちょっと有名な和菓子屋で、中でも今芽生が言った塩大福は人気商品で、昼過ぎには売り切れてしまう。

「みんなで二〇個! ここにいる全員で食べられる数買って来てくれて……ついでに美味しい緑茶も用意してくれたらそれでいいことにしよう? ダメ?」
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