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28.同じ轍(てつ)
混乱
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「それでね、おじいちゃん」
そんなことを一人考えていた京介に、芽生のソワソワとした、だけどどこか弾んだ声音が飛び込んできた。それと同時、不意にこちらへ視線を向けられて、「京ちゃん」と呼びかけられる。何事だろうか?
家族水入らずのところを邪魔する気なんてさらさらなかった京介は、「あ?」と努めて不機嫌そうに返事をしたのだが、そんなのお構いなし。栄蔵のベッドへ腰かけていた芽生が、そこからぴょんと飛び降りてこちらへ駆け寄ってくるのだ。
「私ね、京ちゃんと……この人と結婚しようと思っているのっ」
グイッと芽生に腕を引かれてにっこり微笑まれた京介は、思わずフリーズしてしまう。
芽生の言葉は正に青天の霹靂。まさかこのタイミングで芽生の方から婚姻の件を切り出されるとは思っていなかった京介は、思わず「はぁ!?」と素っ頓狂な声を上げてしまった。
***
孫娘は最初こそしどろもどろではあったけれど、今日一日あったことを中心に――鳴矢とのことも含めて――たくさん話してくれた。
それを聞きながら、改めて芽生が無事で良かったと痛感させられた栄蔵である。
その流れ、ここへ来る前に鳴矢から害された猫を動物病院へ入院させたことまでは理解できたのだが――。
先ほどまで相良京介や、彼の幼なじみで芽生の職場の社長だという長谷川将継らとともに、芽生が十八歳になるまでを過ごした児童養護施設『陽だまり』へ出向いていたというのは、(何故このタイミングで?)と思わずにはいられない。
(何をしに行ったんだ?)
そんな疑問符だらけの自分を置いて、芽生が続ける。
「陽だまりの責任者・比田真理先生は私にとって母親のような存在なの。そんな彼女がね、実は京ちゃんにとっても、恩師だったって知って、私、すっごくすっごく驚かされたのよ!」
「相良くんも陽だまり育ちということか」
芽生の言葉に頷きながらも、(いや、それは分かったが、何故わたしのところへ来る前に陽だまりへ寄ったんだ?)
そこのところがどうにも腑に落ちない。
「実は今日陽だまりに出向いたのはね、婚姻届の証人欄を埋めてもらうためだったの」
比田と自分たち二人の縁故を興奮気味にまくし立てて心底嬉しそうに微笑んだ芽生が、栄蔵のそんな疑問へ答えるみたいにそわそわしながらそう切り出した。
「えっ?」
鳴矢に婚姻届を無理矢理書かされて、ギリギリのところで役所への提出だけは阻止できたのだと芽生から聞かされたばかりだった栄蔵は、またしても出てきた【婚姻届】という文言に、瞳を見開かずにはいられない。
今の話の流れから、その婚姻届は鳴矢とのものではないと容易に察しはついたけれど、(だったら相手は誰なんだ?)となったのは当然の流れだろう。
そんなことを一人考えていた京介に、芽生のソワソワとした、だけどどこか弾んだ声音が飛び込んできた。それと同時、不意にこちらへ視線を向けられて、「京ちゃん」と呼びかけられる。何事だろうか?
家族水入らずのところを邪魔する気なんてさらさらなかった京介は、「あ?」と努めて不機嫌そうに返事をしたのだが、そんなのお構いなし。栄蔵のベッドへ腰かけていた芽生が、そこからぴょんと飛び降りてこちらへ駆け寄ってくるのだ。
「私ね、京ちゃんと……この人と結婚しようと思っているのっ」
グイッと芽生に腕を引かれてにっこり微笑まれた京介は、思わずフリーズしてしまう。
芽生の言葉は正に青天の霹靂。まさかこのタイミングで芽生の方から婚姻の件を切り出されるとは思っていなかった京介は、思わず「はぁ!?」と素っ頓狂な声を上げてしまった。
***
孫娘は最初こそしどろもどろではあったけれど、今日一日あったことを中心に――鳴矢とのことも含めて――たくさん話してくれた。
それを聞きながら、改めて芽生が無事で良かったと痛感させられた栄蔵である。
その流れ、ここへ来る前に鳴矢から害された猫を動物病院へ入院させたことまでは理解できたのだが――。
先ほどまで相良京介や、彼の幼なじみで芽生の職場の社長だという長谷川将継らとともに、芽生が十八歳になるまでを過ごした児童養護施設『陽だまり』へ出向いていたというのは、(何故このタイミングで?)と思わずにはいられない。
(何をしに行ったんだ?)
そんな疑問符だらけの自分を置いて、芽生が続ける。
「陽だまりの責任者・比田真理先生は私にとって母親のような存在なの。そんな彼女がね、実は京ちゃんにとっても、恩師だったって知って、私、すっごくすっごく驚かされたのよ!」
「相良くんも陽だまり育ちということか」
芽生の言葉に頷きながらも、(いや、それは分かったが、何故わたしのところへ来る前に陽だまりへ寄ったんだ?)
そこのところがどうにも腑に落ちない。
「実は今日陽だまりに出向いたのはね、婚姻届の証人欄を埋めてもらうためだったの」
比田と自分たち二人の縁故を興奮気味にまくし立てて心底嬉しそうに微笑んだ芽生が、栄蔵のそんな疑問へ答えるみたいにそわそわしながらそう切り出した。
「えっ?」
鳴矢に婚姻届を無理矢理書かされて、ギリギリのところで役所への提出だけは阻止できたのだと芽生から聞かされたばかりだった栄蔵は、またしても出てきた【婚姻届】という文言に、瞳を見開かずにはいられない。
今の話の流れから、その婚姻届は鳴矢とのものではないと容易に察しはついたけれど、(だったら相手は誰なんだ?)となったのは当然の流れだろう。
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