【完結】【R18】結婚相手を間違えました

鷹槻れん

文字の大きさ
29 / 228
6.外は…イヤです*

ギリギリのライン

しおりを挟む
***


 偉央いおから離れて脱衣所に入った結葉ゆいはは、荷物から取り出した水着を前に途方に暮れていた。


***


 沖縄への新婚旅行が決まって程なくして、偉央いおから「旅先には水着を持ってくるように」と指示された。

 水着なんて高校生の頃に授業でフィットネス水着を着て以来ご無沙汰で。
 その水着は半袖短パン仕様で、二の腕と太ももは隠せるデザインだったのでそんなに恥ずかしくはなかった。

 ついでに言うと、クラスメイトたちも皆似たり寄ったりの格好をして芋の子洗いだったから、集団に紛れることも出来た。


 けれど、さすがにそれを持っていくのは違うというのは結葉ゆいはにも分かる。



「あの、偉央いおさん、私、ちゃんとした水着を持っていなくて」

 眉根を寄せてそう言えば、偉央いお結葉ゆいはの気持ちを汲んで、「それじゃあ仕方ないね」と許してもらえるかな?とか思っていたけれど、甘かった。


「――じゃあ、一緒に買いに行こうか」

 偉央いおにニッコリ微笑まれて、結葉ゆいはは何も言い返せなくて。


 売り場に並んだ色とりどりの水着を見て、学生の頃に着たスクール水着にスカートがついたようなデザインのものを見つけた結葉ゆいはは、これに長袖のラッシュガードを合わせたら肌の露出が抑えられて無難かも、と思った。

「あの……私、こういうのにしようかなって思ってるんですけど」

 水着を着るにしても、お腹が出るのは無理だし、ワンピースタイプ以外ないと思ってそう言ったら、即座に偉央いおから却下されてしまう。

「せっかく新調するんだから……。僕は結葉ゆいはのビキニ姿が見たいな? ――ね、ホルターネックになってるこれとか可愛くない?」

 言いながら偉央いおが手にしたのは薄花色うすはないろの、明るく薄い青紫系のビキニで。

 首元で紐を結ぶホルターネックタイプになっていて、胸元も、まるで真ん中でカップとカップを繋ぐように結んだデザインになっていた。
 真ん中の結び目はあくまでも飾りで、ほどけたりする心配はなさそうだった。
 お腹こそ少し露出してしまうけれど、幸いなことに胸を覆う部分とはセパレートになった下は、短いスカートを巻きつけたように見えるフィッシュテールのキュロットで、上にも透け感のある白色のボレロがセットになっていた。

 ボレロを羽織れば、胸元や二の腕もカバー出来るデザインで、奥手な結葉ゆいはでもこれなら、と思えるギリギリの仕様になっていた。

 それを一発で見つけ出して自分に勧めてきた偉央いおの審美眼に、結葉ゆいははただただ驚かされるばかり。


「他のほど露出が多くないし、これなら結葉ゆいはでも着られるでしょう?」


 試着しておいで?と促されて、結葉ゆいははこの水着を購入する以外の選択肢は残されていないことを悟った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて

アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。 二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・

希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!? 『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』 小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。 ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。 しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。 彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!? 過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。 *導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。 <表紙イラスト> 男女:わかめサロンパス様 背景:アート宇都宮様

敏腕SEの優しすぎる無償の愛

春咲さゆ
恋愛
26歳OLの木崎茉莉は人生のどん底にいた。上手くいかないことに慣れ、心を凍らせることで自分を守る毎日に絶望した祭りは、雨の夜に終わりを願う。そんな茉莉に手を差し伸べたかっこいい彼。茉莉は、なぜか無償の愛のような優しさをくれる不思議な男性に少しずつ救われ、前を向いていく。けれど、疑ってしまうほど親切な彼には、親切であり続ける理由があって……。雨の夜の出会いがもたらした、優しくも切ない物語。

包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。 結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。 何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。

お前が愛おしい〜カリスマ美容師の純愛

ラヴ KAZU
恋愛
涼風 凛は過去の恋愛にトラウマがあり、一歩踏み出す勇気が無い。 社長や御曹司とは、二度と恋はしないと決めている。 玉森 廉は玉森コーポレーション御曹司で親の決めたフィアンセがいるが、自分の結婚相手は自分で決めると反抗している。 そんな二人が恋に落ちる。 廉は社長である事を凛に内緒でアタックを開始するが、その事がバレて、凛は距離を置こうとするが・・・ あれから十年、凛は最悪の過去をいまだに引き摺って恋愛に臆病になっている。 そんな凛の前に現れたのが、カリスマ美容師大和颯、凛はある日スマホを拾った、そのスマホの持ち主が颯だった。 二人は惹かれあい恋に落ちた。しかし凛は素直になれない、そんなある日颯からドライブに誘われる、「紹介したい人がいるんだ」そして車から降りてきたのは大和 祐、颯の息子だった。   祐は颯の本当の息子ではない、そして颯にも秘密があった。

処理中です...